第24話 ~ダンジョン制覇 リオの力と次元の穴~
専門用語がいくつか出てくる話。そしてオペレータ『茨城 透』の登場(電話回線のみ)
「リオはさややを迎えに来たんだよ! っと」
リオという少女はそう言って岩から飛び降りる。
大型恐竜との死闘を終えた4人はリオが持ってきた回復薬によって何とか普通に動けるまで回復したが、リオの「佐夜を迎えに来た」という発言に困惑する。特にイングの心中は穏やかではないだろう。何故ならそれは佐夜との別れを意味するからだ。
「リオといったな。サヤを連れて行って一体どうするつもりだ?」
助けて貰った手前、なるべく落ち着いて話そうとしたイングだったが無理だったらしく、若干声色と顔が険しくなる。
「別にどうもしないよ? ただ、人には帰る場所があるっていう話?」
「? それって一体どういう────」
「「危ない! 後ろ!」」
エミリアのリオへの問いは途中で佐夜とマナの大声で遮られた。
LOOOOOOOO!!
「くそっ! まだ残っていたのかよ。もう俺達に戦う力は残ってないぞ……!」
「くっ! リオさん、逃げなさい!」
イングとエミリアが苦虫を噛む。助けに入りたいが身体が思う様に動かない。回復薬によって回復したのは体力のみで魔力は回復していないのだ。
しかし、リオにそんな心配は全く必要なかった。
「ん、大丈夫。もう終わってるから」
恐竜がリオを踏み潰ぶそうとしたが、リオはそれを軽く避けて恐竜の踏み潰しを回避した。そしてその直後、イング達にとって衝撃が走る。
GA!? GYAAAAAAAA!!!?
攻撃を空振りした恐竜が突如、自分の首を引っかきながら苦しみだす。
「あ、何か首に巻き付いてる……?」
「あれは……糸…か?」
「必殺○事人か!?」
「……何ですのそれ?」
佐夜がツッコミを入れつつも恐竜はもがき苦しむ。そして徐々に後退していく。
キリキリキリキリ───────
「あ、なんか後ろに下がっていく……?」
「ええ、それに何か聞こえませんこと?」
「……キリキリ聞こえるな」
「だから必○仕事人か!?」
佐夜のツッコミが激しくなる。
4人が後退していく恐竜の先をよく見ると壁に何かが撃ち込まれていて、それが糸を巻いていってる様だ。
「糸はミスリル鉱石で出来てるからね。そう簡単には切れないよーっと!」
リオは最早恐竜には目もくれず伸びをした。
リオの言う通り、恐竜に巻き付いているミスリル鉄線(糸)はいくら暴れても全く切れそうにない上、首に食い込んでる為それを掴む事も出来ずどんどん後ろに下がっていく。
そして遂に壁に身体(首)が付き、身動きが取れなくなった。しかし、それで終わりではなかった。
「ガ!? ガガガガ……ッ!」
何と更に首が締まっていき、そこからは血が出て来る。そして、
「ガ───」
ボトリ………
「「「「う…うわぁ………」」」」
いとも簡単に恐竜の首が落ちて死んだ。なんと哀れな死に方なんだ……
「相手を殺さずに倒すのならともかく、殺すだけなら別に戦う必要は無いって事だね。耐久性(その他諸々)が高そうな相手に真正面から戦いを挑むのはぐ、の…こっちょう? ってやつ?」
「『愚の骨頂』ね。それにしてもいつの間にこんなの仕掛けたの?」
リオが壁に埋まっているアンカーとミスリル鉄線を回収してる最中に佐夜が訪ねる。
「んを? 何時と聞かれたら今さっきだよ? この荒れた惨状を見た後、そこの姫っぽい人が君達に回復薬を飲ませてる間にね。他にも一応色々と仕掛けてるよ? ほら、そこのエルフっぽい人が今踏みそうになってる床の部分とか───ってちょっとストップストップ!!」
「へ? 『ポチッ!』 アベベベベベベベベb!?」
「「イング!?」」「感電!?」
「あちゃー踏んじゃったよ……」
うっかりリオが仕掛けたトラップに引っかかったイングが感電する。
「し、死ぬかと思った……」
「イング、勝手に戦いとは関係ない所で死なないで下さいませ」
「無意味な死は避けるべき………」
「いや、そんな事言われても避けられるかあんなもん!」
アフロになったエルフがキレる。
「うわっ、何だこれ!?」
「「「「「ん?」」」」」
5人が声のする方(右側)へ顔を向けるとそこにはタック、ニケ、双子、そして先ほど逃げていたマーロを含む5階層のメンバーがいた。
「こ、これは一体何があったんだ……?」
「「「「「んん?」」」」」
「あ、班長! 無事だったんですね!?」
「何であんたがここに居るんだいガル?」
更に左の方から聞こえて来たのはマーロ達とは別方向へ逃げたC班の班長を含む34人(18人死亡)、それと何故か血まみれのガルがいた。
皆、一体ここで何があったのかと聞きに佐夜達の元へ近づいてくる。が、
「あ! ちょっと待って! そこはまだ床の罠を解除して────」
「「「「「へ? 『ポチポチポチッ!』 アバババババババババb!?」」」」」
「あちゃー遅かったかぁ……」
話を聞こうと先頭を歩いていたタック、ニケ、双子、マーロ、C班長、その他何人かがイングと同じトラップに掛かり、感電した。
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「じゃあ、この首が切断されてる恐竜はリオがやったんだ?」
「ああ、俺達があれだけ苦戦したっていうのに、ものの一瞬で殺っちまった」
「私達だって12人も殺されながらもやっと倒したのに……」
「ああ、我々だって18人も亡くなってしまった……」
皆があれだけ死者を出しながら苦労して倒した4頭を、たった30秒足らずでやっつけたリオに畏怖と尊敬の眼差しを送る一同。
「え、何? リオが悪いの?」
「ううん、気にしないで。みんなちょっと落ち込んでるだけだから」
視線を感じたリオが眉を顰めてちょっと不機嫌になるが、佐夜が宥める。
「C班の報告によるとこの装置から出現した(大型)恐竜は全部で5頭……で、あってますこと?」
「ああ、そして俺達が2頭引き連れて4階層への階段まで連れてきてしまった後」
「4階層に来た1頭は魔法が使える奴全員で総攻撃して倒して」
「4階層まで来なかった1頭は私達が5階層階段付近で倒して」
「我々が引きつれた筈の3頭の内1頭はガル殿の手を借りて倒し」
「装置がある最深部に戻って来た1頭は私たちが倒して………」
「最後の1頭はリオが簡単に倒した。と言う事は、だ」
「ええ、どうやらこれでやっと危機は脱したと言う事ですわね!」
「「「「「「「「おっしゃー(やったー)!!」」」」」」」」
ようやく訪れた安堵の声。実はまだ少数の小物が残ってはいるが最大最悪の大型恐竜を撃破した&最深部に辿り着く事が出来た為、ダンジョンを攻略したと言ってもいいだろう。生き残った者達はそれぞれ喜び合う。
しかし、
「っ!?」
それもつかの間、リオがある異変に気付いたと同時にみんなの身体が突如として動かなくなった。
「な、何だ?」
「身体が、動かねえ?」
「一体、どうなってるの?」
「みんなも、動けない、のか!?」
突然己の身体が動かなくなりパ二ックになる一同。
「これはまさか『次元封鎖』? いや、この空間が不安定になっている?」
この場で唯一動く事が出来るリオはスマホを取り出してエルシオンにいる透に繋ぐ。
「もしもしバラっち、聞こえる?」
≪ええ、聞こえてますよリオちゃん。状況はこちらでも確認してます。空間が不安定になっているんですよね?≫
「うん、そうだよ。原因は分かる?」
≪空間が不安定になっている原因は色々ありますが、おそらくこれはそちらの次元転移装置に何らかの異常があるのではないかと≫
「装置に異常? ……あっ!?」
≪やはり何かあったのですね?≫
「何か装置の一部が焼け溶けてる!?」
リオが次元転移装置に目を向けると、装置の一部が焼け溶けて露出し、中の配線やらも焼け焦げてバチバチし、何やら誤作動を引き起こしているっぽい。
≪……多分原因はそれじゃないかと≫
「ど、どうする? バラっち、リオどうしたらいいい?」
≪『い』が一個多いです。そうですね、とりあえずこのままだと色々と危険だから、一時的に『限定封鎖』を掛けるのでリオちゃんは装置を破壊しちゃって下さい。それで空間の暴走(不安定)は収まるはずです≫
「わ、分かった。やってみる!」
そう言ってリオは電話を切る。
「リオ。これって一体何が起きて───「ごめん、後で説明する!」え?」
リオの近くにいた佐夜が説明を求めるが、それどころじゃないリオはダッシュで装置──の上、天井にアンカーを打ち込み、巻き戻しを利用して天井に着くとその天井の何ヵ所に爆弾を設置して地面に降りてその場所から離れる。
「爆破!」
カチッ!
「「「「「「え?」」」」」」
ドォンドォンドドォ────ン!!
「「「「「「はあああああ!!?」」」」」」
身体が動かない理由は分からない一同だが、この遺跡(装置)を調査しに来ているのにそれを目の前で破壊───厳密にいうと天井が破壊されてその下にある装置が瓦礫で埋まった。
「あ、あれ? 身体が動く?」
「一体さっきのは何だったんだ?」
「それよりもあの子、遺跡(装置)を勝手に壊したよ? いいのかな?」
「良くはないだろうな」
瓦礫の落下の衝撃で壊れたのか、装置の暴走が収まり、皆の身体も動くようになったが、やはり何故身体が急に動かなくなったかについては誰も分からない。
「リオ。さっきのは一体何だったの? それに何でアレ(装置)を壊す必要があったのかな? あ、後、スマホ持ってたね? やっぱり君は────」
「さやや、いっぺんに言わないで。一つずつ言うから、身体を揺らさないでぇ~~」
色々とリオに聞きたい事がある佐夜は珍しく興奮してリオの肩を揺すり、リオはグルグルと目を回す。
「こほん。まずは改めてリオの自己紹介からだね」
秋梨リオ───世界管理協会に所属。佐夜が体験した次元転移などで異世界にやって(落ちて)来た者達を、元の世界に返すのが主な仕事。そして現在セルニア王国を侵略している異世界の者達を退治し、元の世界に叩き返すのもリオ達の仕事だ。
「ちょ!? ちょっとリオさん、今何気に凄い事言いましたわよね!? 侵略!? 我が国は今、侵略を受けてるんですの!? ですの!?」
「あ゛~~あ゛~~~ぁ。だから身体を揺らさないでってば~~!」
どうやらリオは身体を揺らされるのが苦手らしい。ピンポイント過ぎるわ!
「はぁはぁ。だ、大丈夫だから。王都は今うちの隊長達3人が異世界からの侵略者達を鎮圧(退治し)に向かってるから」
「大丈夫じゃないですわよ! たった3人で何が出来るというんですの!」
「姫、落ち着いて………」
興奮するエミリアにマナが宥める。
「だから問題ないんだってば。だってあの3人、普通じゃないし」
そう言いながらリオは両手を後頭部で組んで笑う。
「普通じゃないってどんなよ?」
「強すぎるって意味なのか?」
「「ん~~想像できない」」
タック、イング、双子が首を捻る。
「まあ、少なくともリオより遥かに強いよ? 特に隊長は別格だね」
「「「「「「「マジか!?」」」」」」」
リオの実力をほんの少しだけ目の当たりにした一同はその規格外さに驚愕する。
「え~っと。リオ、どこまで話したっけ?」
「自己紹介途中で話した侵略者の討伐の所だね」
「あ、そうだった。で、実はセルニア王国にいる侵略者達の他に異世界の人間(佐夜の事)がいる事が分かってリオがここに来たんだよ~」
佐夜に手を振るリオ。手を振られた佐夜も思わずリオに手を振り返す。
「さっきの話の途中だがサヤを元の世界に返すのか?」
「さぁ? リオはあくまで保護に来たからね。さややを元の世界に返すのかどうかはその後に色々調査しないとすぐには無理かな?」
「え? そうなの?」
てっきりすぐあの真っ白な空間に送られてしまうのかと身構えてた佐夜だったがリオは否定する。
「そうだよぅ。さややがどういう経緯でこの世界に来たのかはまだ聞いてないから分かんないけど、他の人の中には元の世界自体が滅んでしまっている場合もあるからね。その場合は色々と融通しないとね」
「「そっか……」」
元の世界が真っ白になってて住める状況じゃない佐夜は安堵する。あの頃とは違って体力も付き、錬成術も使える様になったとはいえ、誰もいない世界なんかには住みたくないだろう。それにミミズ(っぽいもの)もいるし。
イングの場合、佐夜の事情を知っているので「もしかしたらこの世界に永住できるのでは?」という思いから安堵する。うん、すっごい安堵した。
「ちょっと待って、電話がかかってきた」
突然リオのスマホの着信が鳴り(バイブレーション)電話に出るリオ。
「サヤ、ノン、お腹空いたよ~」「ロロも~」
リオが電話している間に、双子が佐夜にお腹空いたとねだる。子供か!
「はいはい。ニケもそろそろ腹ペコ気味かな?」
…………。
ニケに聞いた佐夜だったが、何故かその本人がいない。
「あれ、ニケは?」
「え? さっきまでニケ姉いたよね?」
「ニケ姉~~~!?」
「ニケの奴どこ行ったんだ?」
アルケシスの一同はニケを探すがどこにもいない。いや、それどころか、
「……何かさっきより人、減ってないか?」
「若干…減ってる気がする……?」
ただの気の所為だろうか、確かに少し人が減っている様に見える。
「ちょっと確認した方がいいですわね」
「ああ、ニケの事もあるしな」
そう言ってエミリアに従い、この場から突然居なくなった人達の確認をした。
その結果、先ほどの謎の金縛り(?)前後で16人が消えたとの報告が上がった。
「うん、分かった、ちょっと待って。おーい、さやや!」
電話の途中で確認したい事があるらしいリオが佐夜達を呼びながら近づく。
「どうしたのリオ。もしかしてこっち(消えた人達)の話と関係ある話?」
「ピンポーン! よく分かったね?」
「そりゃあ、自分達の仲間が消えれば気付くだろ?」
「ニケ姉がいないよ~(泣)」「ニケ姉~~(泣)」
「あ、あ~あ~。泣かないでよ。ほら『あんまん』と『チョコまん』上げるからさ」
「「(もぐもぐ)」」
「はぁ………」
居なくなったニケの事で泣きそうになってた双子を宥める為に、再び中華まんを上げると一時的に泣き止んだ。
「それでリオさん。そちらの話も消えた人達と何か関係があるって事らしいですが、結局これって何が起こっているんですの」
「うん。さっきの話の続きでね、何でリオがあそこにあった遺跡──『次元転移装置』を壊さなければならなかった理由はね────」
『装置の一部が焼け溶けた事』が原因で装置が誤作動し、暴走。その周囲の空間が不安定になり、転移慣れしてない人達は金縛りに遭った様な症状が出る。更に空間が不安定になると空間に穴が開き、その場に居た人は穴に飲み込まれて世界から消えてしまうのだ。
「じゃあ、俺達がいきなり動けなくなったのも、ニケが突然消えたのも、あの装置が原因だって事か」
「そうなんだけど、そもそも何で焼け溶けてるのかが分からないんだよねー」
「「「「……………」」」」
タックとリオが話す内容に心当たりがあるイング達4人。多分その焼け溶けた原因は先ほど戦った恐竜が放った『火炎』が原因だと思われる。『爆散』や『焼き焦げる』ならいざ知らず、『焼け溶ける』くらい高濃度の火炎魔法はイング達には使えないからだ。自分達がやった訳じゃないが言い出せるわけもなく、とても口に出来ない。
「それで、空間の裂け目の穴に飲み込まれて世界の外───『亜空間』に飛び出してしまった人達を11人回収したって報告があったの」
「え、11人? 16人じゃなくて?」
「え? いなくなったの16人? って事は5人取りこぼしたって事?」
「どうやって回収したのかは聞かないでおくが、その11人はどうするんだ?」
「すぐにこの世界に転送したって。場所はこの上、地上に送ったそうだよ」
「じゃあ、そこにニケが居るって事……?」
「さぁ? 誰々を回収したかまでは聞いてないから、もしかしたら取りこぼした方に行った可能性もあるっぽいね('ω')」
「変なフラグ立てないでよ……」
首を傾げて変な事を言うリオにツッコむ佐夜。顔文字すな!
「ま、取りこぼしてしまった人達は今も捜索してもらってるからその話は後でね。それよりもう地上に上がらない? 今ならリオ達の転送装置で地上まで送ってくれるよ?」
上の方を指すリオ。どうやら早くここを出たい様だ。
「あ、うん。じゃあ他に地上に上がりたい人を集ってみるからちょっと待って」
「早くね~~(-_-)/~~~」
帰る気満々のリオはさておき、帰るついでに地上に連れてってくれるらしいので佐夜達はすぐ地上に帰りたい人達を集めてリオと一緒に遺跡の外へ転送された。
ちなみに地下には恐竜から出る素材(皮や角)を採取する為に数十名残った。
何はともあれ、これでこのダンジョンは制覇(ミッション『遺跡の装置の研究』は失敗)。一同は地上へと帰還する。
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番外地獄↓
透「え~っと……すみません。今回は私しかおりませんので、あとがき地獄は中止とさせていただきます(_ _)。代わりにこの曲をお聞きください」
『空の架け橋』 作詞・作曲・ボーカル サヤヤ
サヤヤ「夜明けの空を見t「わーーっ!?」」
ガチャ! ←停止ボタンを押す佐夜。
透「あら佐夜さん。何でこんな所へ?」
佐夜「分かんない。何となく嫌な予感がして来てみたけど危なかった……。つか、何で透さんがこんな物を持ってるのさ!?」
透「フフフ。情報士ならではの情報を辿って佐夜さんが昔、元の世界で作った自作の曲を(ヨーチューブより)サルベージしました」
佐夜「恥ずかしいからやめて~!」
ヴァン・義信((一体どういう曲だったのか、聞いてみたかった……))
ネタバレではありますが、いなくなったニケは別世界へ飛ばされます。




