第23話 ~ダンジョン攻略・Part5 リオの邂逅~
リオと佐夜を合流させるために、かなり話が長くなりました。
仲間達が恐竜達の強襲を押さえている間に遺跡の地下5階層の最深部にあると言われている謎の物体を調査するべく地下5階の更に地面の下を掘り進んでいた佐夜達。
「んう……ひゃう!?」
しかし地下5階層の丁度中央付近で何かの拍子でびっくりした佐夜は、その拍子で地面からボコッと飛び出した。
錬成術で掘り進める事が出来るのはこの中では佐夜だけなので、仕方なく佐夜が出た所から次々とイング、エミリア、マナが出て来る。
「ちょっとサヤさん。目的地はここではなくて、まだまだ先の方ですわよ!?」
「姫、ちょっと声大きい………」
「む、むぐぐ………」
周りを見渡したエミリアが、先ほど行動を別にした仲間達とそんなに距離が離れてない事に気付き、佐夜に問い詰める。恐らく早く原因を突き詰めて仲間の元へ行きたいのだろう。若干声色が高くなり、マナに口元を抑えられる。
「だ、だって、イングが僕のお尻に顔を突っ込んで来るんだもん………」
何故か身体をモジモジさせる佐夜。何か可愛い。
「イング……?」
「変態………」
エミリアとマナによる、ジト目の視線が突き刺さるイング。イングはタジタジしている。
「ふ、不可抗力、だ! 地面の下を佐夜が先頭で四つん這いで掘り進んでるんだから、薄暗い上に佐夜が止まったらぶつかるのは仕方がないだろ!」
「だ、だったらイング、貴方が後ろから来ればいいでしょう?」
「そうだそうだーー」
更に二人からの追及が来る。佐夜は黙ってモジモジしている。いつまでやってんだ。
「そうしたら今度はお前等のケツにぶつかる結果になるぞ? それでいいのか?」
「のーさんきゅう」
「い、イングがそれを望むならそれに応えて上げてもよ、よろしくてよ」
マナは手を付きだして拒否したが、何故がエミリアはどもりながらも応えようとする。何気にお尻をイングの方へ向けているのは故意なのだろうか?
ドドドドド───────────
「ん? 何の音だ?」
「大量の足音ですわね………」
「これ、多分人間の足音……だと思う」
遠くから聞こえてくる大勢の人の足音に首を捻る3人。
ドドドドドドドドドド──────────────
「何かこれ、近付いてきてね?」
「うん。しかも………」
GYAAAOOOOOOOOO×2
「『恐竜』とやらの鳴き声近付いてきてますわよね。確実に!」
「ああ、くそ! サヤ!」
焦るエミリアとイングは佐夜に即席壁(防護壁)を作るよう、佐夜の方へ向くと、
「───も、もう駄目だよぅイング~。僕、男の子だよ~~(赤面)」
何故かトリップして岩をペチペチ叩いている佐夜。一体何を想像したお前!?
「サ、ヤ!」
「φ!?」
「恐竜が近くに来ている。防護壁(迷彩バージョン)を頼む!」
「サヤ、早く………!」
「ですわ!」
トリップしている佐夜を強制的に現実に戻して説明するイング。
「ふぅ……間一髪って所でしたわね………」
「ギリギリ……」
恐竜達が姿を現す前に何とか姿を隠す事が出来た一行。今は物陰で空岩の中に4人が隠れて覗き穴から外の様子を窺っている。すると、
「あ、あれってマーロ達じゃないイング?」
「そうだな、しかも大きい2頭に追われてるしな」
「おまけに何かだかあの恐竜達怒っていませんこと?」
「カンカンに怒っている………」
マーロ達を追っている2頭の大型恐竜達は怒りマークを浮かべながらマーロ達を含む31人を追っかけていた。
実は佐夜達がここに着く前にマーロ達を含むC班の生き残り83がここを通って既に最深部にある謎の物体とやらがある所へ辿り着いていたのだ。
しかしうっかり転送装置に触れてしまった者の所為で大型の恐竜が5頭も転送されてきてしまったのだ。
で、当然の様に逃げるC班だが、このまま一塊で逃げると返って恰好の餌に成りかねないとC班のリーダーの指示で二手に分かれた。つまりこっちに来ているマーロ達31人&2頭の大型恐竜達とは別方向に、残りの52人と3頭が違う方向へ逃げている事になる。
ドドドドドドドドドドドドド───────
「「「「「うわああああああああああ!?」」」」」
「おーおー。マーロ達、がんばれー、逃げろー」
「あ、一人喰われた………」
「……だから何で君達はそんな達観モードなのさ?」
「呑気ですわね……」
この後、恐竜&マーロ達C班の気配が無くなるまで佐夜達はここで待機する。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「むむっ!」
「カカカッ!」
その頃、地下1階層ではリオと地下2階層に分布するはずの鹿(迷子)が対峙していたが、この場面は特に意味は無い。
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「おりゃー!」
ズバンッ
「ギャオォー!」
バタン………
「これでようやく全滅か。時間が掛かったが何とかなったな」
「12人ぼど殺られちまったけどな………」
エミリア王女達4人を先行させて奇襲で襲ってきた小中型恐竜達(約100体以上)を何とか結界師の結界を多用して、少しずつ少しずつ削っていき、今ようやく最後と思われる一体(匹)を倒した。
現在12名が亡くなり、生き残りは24人。大分喰い殺されてしまったが、あれだけの敵に囲まれて半数以上生き残ったのは奇跡と努力の結果だ。
しかしこの場に居る全員がホッと一息を付こうとした時、
LOOOOOOOOOOOOO!!!×2(怒)
「「「「「!!!!!!」」」」」
生き残った24人の試練はまだ、終わらない。
ドドドドドドドドドドドドドド────────
「「「「「うわあああああああああああ!?」」」」」
通路の奥から物凄い地鳴りをしながらこちらに逃げて来たのは自分達とは別方向から地下へ侵入したC班の人達。どうやらC班の生き残りは奥の方に行っていた様だ。しかし逃げてくるのはいいが、その後ろで追いかけて来るバカでかい奴は一体なんだ!しかも2頭もいるし!
だが幸運な事に、生き残った24人は小休憩を取ろうと物陰に集まっていた為、逃走中のC班と2頭の恐竜は、B班の者達の存在に気付かずそのまま階段へと突っ込む。
しかし、大型恐竜の1頭が階段で詰まった。どう考えても階段の大きさと恐竜の体格のサイズが合ってない。と、思ったら詰まった恐竜はそのままメリメリと壁を破壊しながら突き進んでいった。その信じられない光景に隠れて覗いていたB班の者達は唖然とするが、その直後、階段手前で立ち往生していたもう1頭に気付かれる。
GAAAAAAAAAAA!!!
「ああもう、くそったれが!」
「ここまで来たらもうやるしかねぇ!」
「レネットちゃんいざとなったらまた結界をお願い!」
「みんな、危なくなったら避難しに来なさいよ!」
「ここが俺達の関所って所か。行くぜぇー!」
生き残った24人の(地下での)最後の戦いが始まる。
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「(もぐもぐ)じゃあその『佐夜』って子が異世界から来た人なんだね(もぐもぐ)」
「そうだよ、ノンとロロ、サヤとはとっても仲良いよー(もぐもぐ)」
「仲良しだよね~~(もぐもぐ)」
地下2階層でリオが出会ったのはリスの双子のノンとロロだ。この双子は脱出確保組で他の人達と一緒に行動しているが、リオに佐夜(異世界から来た人間)の事を聞かれて少し離れた場所で事情聴取をしていた。ちなみに3人が食べているのはリオが持ち込んだ中華まん(リオはピザまん、ノンがあんまん、ロロがチョコまん)。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「何だあのデカさは!?」
囮としての役目を終えたタックは何やら奥の方で騒がしいニケの所へ来た。するとそこには今まで戦って(逃げて)きた恐竜達とは一回り二回りも大きい、巨大な奴だった。
が、しかし、ニケ達はこの巨大な奴に襲われもせず、尚且つ攻撃もしていない。よく見れば盾師の3人が恐竜相手に逆結界(閉じ込め結界)を張っていて、その中で恐竜は暴れていた。
「遅かったじゃないかタック」
「いやいや遅かったとか呑気に聞いてる場合じゃないだろ。何だこいつは?」
「それはこいつらに聞きな」
ニケが顎で指した先には全力疾走で疲労困憊してへたり込んでるマーロ達だ。うつ伏せで動かない奴もいるので、どんだけ全力で走ったかは想像に絶する。
HALLLLLLLLL!!!(唸り声)
「でもま、相手1頭に対してアタシ達はこれだけ人数がいるんだ。ここは余裕だろうね」
「ここは?」
「ああ、ここは、ね」
ニケがマーロ達に聞いた話ではこの巨大な恐竜は2頭いたらしく、流石に勝てないと思ってここまで逃げて来たら、追ってきたのは1頭だけ来ていたらしい。
じゃあもう1頭はどこに行った?
それとマーロ達を追ってきたのは最初2頭だが、元々は5頭いたらしい。つまり、ここにいる奴を倒しても後4頭いる計算だ。残りの4頭が地下5階層にいるのなら尚更早く増援に行ってやらないと先に行ったエミリア王女やイング達が危ない。
「てことで時間が無いからここは全員で一斉に魔法攻撃をやろうと思う。タック達が来たから、後はマーロ達が回復したら逆結界(閉じ込め結界)を解除して一斉攻撃」
「うわ、えげつねえな」
「時間が無いからね。さっさとやるよ!」
そしてその2分後、1頭の大型恐竜に大量の攻撃魔法が降り注いだ。
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ドゴ──────ン!!
「な、何だ?」
「……上の方から爆音?」
「だ、大丈夫だよね? 崩落とかしないよね?」
「もし崩落したらサヤさんに(穴掘って)頑張ってもらいますわ」
「そういう問題じゃないよ」
「いや、実際崩落したらサヤ頼みになるな、絶対」
「………不吉な事言ったらダメ」
佐夜達4人はそろそろ最深部へと着く頃だが、先ほどから慎重に(防護壁迷彩バージョン使用して)少しずつしか進んでいない。何故ならさっきの巨大な恐竜が他にもいる可能性があるからだ。故にちょこちょこちょこちょこ進んでいる。
はっきり言ってさっきみたいに地下を掘って進めば確実に早いのだが、暗い上に佐夜が先頭になるので、イングが2番目に居ても、3番目に居ても、最後尾に居ても誰かが止まった瞬間にまた誰かのお尻にぶつかるのが目に見えている。エミリアと何故か佐夜は満更でもない様子なのだが、マナが不謹慎だと言う事で仕方なく地上(?)を進む事にしたのだ。本当に少しずつしか進めないが。
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「うわ、何これサバト!?」
「「リオちゃん。サバトってなーに?」」
リオとその案内人として同行する事になった双子が地下4階層の奥まで来るとそこには大勢の人達が大型恐竜1頭に対し、攻撃魔法を叩きこんでいる光景だった。この大型恐竜は無駄に耐久値が高いので、(現時点で)魔法攻撃が可能なメンツだけでは火力不足なので一人一人何回も撃つ事になった。
そのある意味イジメみたいな異様な光景にリオは思わず儀式的な何かの意味で「サバトか!」と思った。というか言った。
「おいおい。何でこんな所に来てるんだお前等。脱出組はどうした?」
「「あ、タック」」
「知り合い?」
「「うん。同じアルケシスの仲間~」」
「……何故俺の手掴んで万歳させんだお前等?」
双子がリオにタックの紹介をする為に双子はタックの両側の手を取って万歳する。その際、当然の如くタックも万歳させられる。その行為に意味はあるのだろうか?
「それでこの子は誰だ? どこの班の奴だ?」
「あ~~、えっと………」
一瞬(また最初から説明するの面倒くさいなー)と思ったリオだが、双子にも説明した手前、ここは逸らかしたりすると逆に面倒が掛かると思い直しここに来た理由をタックにも話す。
「……その話、イングには言わない方がいいな。絶対」
「「だよね~」」
話を聞いたタックと双子が苦笑いを浮かべる。
「???」
3人の変な様子にリオは首を捻る。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「やっと着いたー」
「長かった……」
「地面の中よりはマシですけど、狭かったですわ………」
「それより俺達、(今更)ここに来たのはいいが目的知らないぞ。研究者は(危な過ぎて)連れてこれなかったわけだしな」
「そこは無問題ですわ。このダンジョン攻略は両国のトップからの依頼。つまり王族である私もある程度調査の内容は存じていますわ」
無問題て、王女だろあんた……
「それで姫、私たちはここで何をすればいいの……?」
「ええ、それはここにある『異世界への扉(次元転送装置の事)』を調べる事、そしてそれが私達に害する物の場合、破壊する事が目的ですの」
「破壊って乱暴すぐる………」
そう話しながらエミリアとマナは転送装置の近くに行く。
「え………?」
エミリアの話を聞いた佐夜は今、聞き捨てならない話を聞いて佐夜の時が止まる。
(今、エミリアは何て言った………? 異世界への扉………? つまりやはりこの恐竜達はこの扉(装置)を通ってこの世界に来たって事……? それがつい最近の事なら、この扉はまだ使用できる状態であって、これを使えば元の世界に帰れるかもしれない)
と佐夜はある種の希望を抱いたが、それも一瞬で霧散した。何故なら、
(……いや、万一これを使って帰ったとしても、真っ白の世界の状態じゃ帰っても意味ないじゃないか。それにあの『ミミズ(?)』が居るんじゃむしろ帰る方が危険……)
帰れる希望(状況)が存在するのに帰れない、そんな絶望を抱いた佐夜は唇を噛んだ。
「サヤどうした? 顔色悪いぞ? それに口から血が出てるぞ」
ふと佐夜を見たイングは佐夜が絶望的な表情を浮かべて、更に唇から血が出ている事に気付いてハンカチを渡しながら心配する。
「ん。ごめんありがとイング。ちょっと勝手に落ち込んでた。もう大丈夫だから」
「そうか。でも出来るだけ何かあったら俺……こほん、俺達に相談してくれよ」
「……今まで色々溜め込んでたイングに言われたくないよ(・△・)」
「う……それ言われると何も言えん………」
今度は逆にイングが落ち込んだ。
「ん。でも何かあったら相談するね」
「お、おう。俺に任せと─────」
言葉を言い切る前にイングが硬直する。何故なら、
「「二人共危ない!!」」
「くっ! サヤ!!」
「へ?」
お喋りで佐夜からは死角になっていた背後から現れたのは大型恐竜1頭。C班のリーダーの所に向かっていたはずの3頭の内、1頭がここに戻って来ていたのだ。すかさずイングが佐夜を抱きかかえて横飛びする。
「がはっ」「痛っ」
二人を踏みつぶそうとした恐竜だが、間一髪で避ける事が出来たがギリギリの状態で避けた為、二人共受け身を取る事が出来ずに壁にぶつかる。
LOOOOOOOOOOOO!!!(唸り声)
だがそんなことはお構いなしに恐竜は二人に襲い掛かる。
「っ! させませんわ!」
そこに割って入ろうとしたのはエミリア。再度二人に襲い掛かろうとしている恐竜の頭部を目掛けて突っ込む。が、
ブンッ! ガッ!
「きゃあ!?」
突っ込んで来るエミリアを横目で捉えていた大g…恐竜は、その首を横に薙ぐことによりエミリアを吹っ飛ばす。
「突風!!」
パァン!
「GAAA!?」
エミリアをふっ飛ばした恐竜にマナが突風(吹っ飛ばし技)をぶつけ、10メートルほど後退させた。これで相手の間合いからイングと佐夜を外せた。そして偶然にも恐竜の目に砂が入り恐竜の動きが止まった隙にイングと佐夜、エミリアとマナが合流する。
「マーロ達がろくに戦わずに逃げた理由が分かったぜ……」
「突風も全然効いてない……」
「それで、これからどうするの?」
「ふ、そんなの決まってますわ! 普通に戦っても勝てそうにないのなら、限界ギリギリの全力……いえ、むしろ限界を超えてぶつかればいいのですわ!!」
「出た。エミリアの変な熱血根性」←苦笑する佐夜
「……何時からエミリアこうなった……?」←頭を抱えるイング
「多分これもイングの所為……?」←ジト目でイングを見るマナ
過去のいざこざトラブルの所為で己を鍛え過ぎて校内ランク1位になったエミリアは、脳まで若干筋肉化してきている。熱血=脳筋とは限らないけども。
「でもこれだけ強いとこっちも限界を超えるくらい全力で戦わないと殺られちゃうね」
「ああ、何か腑に落ちないがエミリアの言う通りに最初から全力全開でいくぞ!!」
「うん!」「分かりましたわ!」「おっけー」
そしてたった4人と1頭の恐竜が激突する。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「へぇ。じゃあ君はサヤを元の世界に返すために来たのかい?」
「んー、それは分かんないけど、今はとりあえず『次元迷子』を保護する事を優先しろってうちの(ヴァン)隊長に言われてるからね。帰る帰らないかは状況次第かな」
その頃ようやく地下5階層に降りて来たリオは一緒についてきた双子とタック、そして5階層の案内役としてマーロと共にニケと合流した。
先ほどの4階層での戦いに居なかったニケは、マーロ達の話を聞いてタックと合流した後、タックにこの場をお願いした。そして上級魔法戦闘が可能な何十人かを連れて一緒に5階層に降りて来て、階段付近で戦っていた23人(1人死亡)に加勢して、先ほどようやく討伐した。リオ達がニケと合流したのはその十分後の話。
GAAAAAAAAAAA!!!(空気が震える感じ)
「「「「「っ!!?」」」」」
ニケにも事情を説明していたリオだったが、その話の途中に恐竜の声が奥の方から聞こえた。
「この声ってさっきの恐竜と同じ声?」
「ちっ、まだ他にもいやがったのか……」
「「うう、怖いよニケ姉………」」
「怖いのなら来なければいいのに(苦笑)」
今までの小中サイズの恐竜の声とは違う、大型の恐竜の声に双子が震えながらニケに抱き着き、その二人をあやしながら苦笑するニケ。
「声が聞こえてくるこの方角って確か、謎の遺跡(装置)があった最深部の方だった様な……」
その時、この中で唯一、5階層の最深部まで足を運んだことがあるマーロが思い出したかのように言う。
「そこから聞こえてくるって事は誰かが戦っているって事?」
「だろうな。でもC班の人達ではないと思う。5頭の恐竜達から逃げるのに俺達は階段の方に逃げて、隊長達は迷路の方に逃げたからな。隊長達がわざわざここに戻って来て奴らと戦う意味が無い」
「……って事はだ。今あそこで戦っているのって────」
「その佐夜って子?」
「いや、サヤの他にイングとマナ、そして姫の4人しかいないらしい」
「4人!? 無理だ! 勝てっこないって!」
「「サヤが死んじゃう!」」
タックと双子が叫ぶ。いや、心配すんのは佐夜だけかよ。
「……戦える何十人かを道中何か所かに配置しつつ最深部に向かう。タック、ノンロロ、マーロもまだ戦える人達を集めて来てくれるかい?」
「わ、分かった」「「了解~!」」「仕方ないな」
ニケが4人に指示を出しつつ苦虫を噛む。本当はすぐにも向かいたいのだろうが、単独で向かってる途中で他の恐竜に出くわしたら目も当てられない。ここは大人しくタック達が集めて来るのを待つしかない。
「ってあれ? あの子はどこ行った?」
ニケがリオの存在を思い出した時、既にリオはそこにはいなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「これで終わりだ! 蒼炎剣!!」
「これで終いですわ! 雪月花!!」
「ガンロック……!!」
「~~~~!!」←錬成術で恐竜の足を地面に埋めて足止め中の佐夜。
GYAOOOOooooo…………
ドゥスン───ドゥスンドゥスン………
「「「「はぁ、はぁ、はぁ………」」」」
血反吐を吐きながらも何とか恐竜を倒した4人。既に限界はとうに超えていて、倒した恐竜が起き上がってこないのを確認した後、さすがに疲れて倒れる4人。
イングの場合、最初から『カゼノコロモ』を使ったのだが、何と10分も維持する事に成功。何でも同じ魔力兵装(氷系)を使うエミリアが言うにはイングは『カゼノコロモ』を使用する際、ダダ漏れの状態のまま使用していたので、ただでさえも少ない魔力では3分も持たなかった。
それに気付いたエミリアが風を循環、つまり制御するのではなく風そのものを身体の一部として捉える事で魔力の消費を抑える方法を教えてそれをイングは戦いの最中にそれを会得し、『カゼノコロモ』の使用時間を延ばす事に成功した。
マナの場合、大きい魔法が使えない(みんなを巻き込んでしまう恐れがある為)ので、風系や土系の魔法、そして自分の身体能力を出来るだけ上げて敵の攻撃を回避&細かい魔法を当てて相手の集中力を削ぐ事にした。これは今までのマナが決してやらなかった事でもあり、今回の事でマナの戦い方に関しての幅が広がったと言えるだろう。
エミリアの場合、先ほど言っていた脳k……ごほん、熱血的なセリフの通り、全力全開で戦った。まだまだ未熟なイングやマナと違い、強さ的にある意味カンストしている為、これ以上強くなったかは分からないが、自分一人じゃ勝てなかった相手と戦った経験は今後の経験に生かされるだろう。
そして佐夜の場合、終始動き回って恐竜の視界に入ったり入らなかったりして、足止めをしていた。直接的な攻撃力が(イングとエミリアと比べて)皆無な佐夜が出来る事と言ったら今の所これしかないが、実はこれが一番恐竜にとって厄介な戦い方だったのだ。視界に入るのに攻撃してこないからといって無視できる状態じゃない恐竜(生物学的な事情)は、嫌でも佐夜が視界に入ると自然と目がそっちに向いてしまい、その瞬間に反対側からイング達の攻撃が入る。
そんなこんなでこつこつとダメージを与えつつ、今ようやく倒す事が出来た。イングとエミリアだけではすぐに恐竜に超反応されて反撃をくらい、佐夜とマナだけでは攻撃力が足りずに倒せない。ある意味この4人がここにいたこと自体が奇跡に近い。
「はぁ、はぁ、はぁ……ダメだ。もう指一本、動かせねー」
「はぁ、はぁ……まさか、イングからその、セリフを聞くとは、思わなかった、よ」
「…………(屍)」
「ふ、ふふふ。何だかまた強くなった気がしますわ!」
熱血…いや最早脳筋姫と化したエミリアは既に呼吸が正常化しているのに対し、他の3人は駄目だった。特に魔力が枯渇寸前のイングと体力の限界を超えたマナの2人は流石にすぐには動く事が出来ない。
「それにしても、まさか恐竜が魔法を使うとは思わなかったよ……」
「ああ、本当、にな」
「危なかった……」
「それほど驚異的な威力ではありませんでしたが、いきなり使ってきたので不意を突かれてしまいましたわね。流石の私も少し焦りましたわ」
「いやいや、驚異的な威力じゃないってそれはエミリアにとってはだろ」
「僕たちがアレを喰らったら間違いなく死んでたよ!」
「全面的に同意……!」
3人がエミリアにツッコミを入れる為に無理して起きて指を指した先は、恐竜が口から吐いた火炎で溶けた壁や岩だ。炎の大きさは直径2メートル位なのだがその威力が半端なく、人間が壁(岩)に火炎魔法をぶつけても精々焦げるか爆発して霧散するかだ。溶けるくらいの威力を持った火炎を食らったら溶けて死んでいた可能性が高い。
「うわっ! 何この酷い状況!」
そこにノコノコと現れたのは1人の少女。倒れて動かなくなった恐竜や、焼けて溶けた壁や岩、そして同じくボロボロになった4人を見て言う。
「っ!? 誰ですの!?」
回復が早かったエミリアが近付いてきた少女──リオに訪ねる。
「リオはリオだよー、っとそんな事言ってる場合じゃないね。とりあえず、はいこれ」
「え? 何ですのこれ?」
自己紹介になってない自己紹介をされた上に、いきなり謎の瓶を4本渡されたエミリア。ラベルを見るが見た事の無い文字で書かれている為、エミリアには読めない。
「それは『回復薬』だよ。…ああ、文字は日本語で書かれてるからこの世界の人じゃ読めないんだっけ? まあいいや、それより早くみんなに渡したら? 動けなくなっている人もいるみたいだし」
そう言ってリオという少女は近くの岩に座って足をブラブラさせている。どうやらこちらの回復を待っている様だ。しかし、それよりも重要な事を佐夜は聞いた。
(日本語? 今この子、日本語って言った!?)
エミリアがイング、マナ、佐夜の順に回復薬を飲ませて皆が動けるようになった頃、佐夜はリオに訪ねた。
「リオって言ったっけ? 君もしかして日本人?」
エミリアに飲ませてもらった回復薬に書かれていた文字はやっぱり佐夜の知る日本語だった。だとするとこの子は日本人、もしくはその存在を知っている者って事だ。
「当たり。ハーフだけどね! って事は君が『佐夜』って人?」
「え、う、うん。そうだけど僕に何か用?」
佐夜を探していた事をリオの発言から察した佐夜は自分に用があるらしいリオに訪ねた。
「用っていうか、リオはさややを迎えに来たんだよ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
以下、あとがき地獄↓
リオ「ようやくさややと合流した! 長かったよ~~」
佐夜「そうだね。プロローグからすっごい話が飛んだからね。もう23話目だし」
ヴァン「リオはともかく俺らはもうちょい後に出会う予定だがな」
義信「な、長すぎる……!」
R「ふん。そんなのどうでもいいわ!(筋トレ中)」
透「Rさん! ブリッジで筋トレなんかしないでください!」
リオ・佐夜「「うわ! 臭い!」」
R「臭いって何だオカマ共が!」
リオ・佐夜「「オカマじゃない!」」
ヴァン「似たようなもんじゃないか……」
義信「だな」
汗だくのRとオカm…男の娘2人がぎゃあぎゃあ言い争う光景は何ともシュールな光景だった。
オチ無し。
次回、アルケシスの誰か(佐夜以外)がこの世界から居なくなります。




