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異世界無双禁止規定(ステージ オブ グラウンド)『緩』 ~歌姫神と称された少年のあれこれ~  作者: 浅葱
第一章 ~次元迷子の少年(佐夜プロローグ)~
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第21話 ~ダンジョン攻略・Part4 それぞれの戦場とリオ登場~

地下3階層から地上へ向かう組と恐竜達が現れた原因を探る組の話です。

そしてこの話の最後にリオが登場します。

 ザシュッ──────ドォーン──────ドサドサ─────

「ふぅー。全く、何て奴らだ……」

「か、硬い………」

「魔法も効きにくいし、避けられるし……」

「あの子のアドバイス聞いて無かったら闇雲に突っ込んでやられてたわね……」

「っておい! 休んでる暇はないぞ! あっちからも来た!」


 ANNGYAAAAAAAA!!!×3匹


「あ~もう! どんだけいるんだよ!?」

「知らないよ! でもA班とC班の人によると地下4、5階層にいる奴よりは小さいタイプらしいって」

「小さいタイプというか、小さい方し(・・・・・)か通れない(・・・・・)の間違いだけどなー」

「通路が狭くて助かったな………」

「そうね!」

「だからお前等お喋りしながら戦うなって!!」

 地下3階層を逆走して地上を目指しているのはB班の班長レギンが率いる脱出確保チームだ。地下4階層への出入り口を全て塞ぎ、まずはこれ以上上層への侵入を防ぐ。

 その次は更に人数を15人ずつの4チームに分け、地下3階層に避難しているA、C班の人達の救助、そしてそれを追って徘徊している恐竜を殲滅するためだ。そしてその階層全てのマップを埋めて、恐竜の生き残りやその卵を残さす根絶やしにし終えたら、2階層、1階層へ進む。

 ちなみにこの地下4、5階層から3階層へ避難出来た人達は五十人にも満たない。しかも避難出来た人達の殆どが怪我だらけ&片腕を無くすとかで、五体満足な避難者は殆どいなかった。ここに居ない人達は運よく逃げ切った(上層へ逃げた)か、あるいは恐竜に食べられて(殺されて)しまったのだろう。


「俺、この窮地から生還したら、あの子にアタック(告白)するんだ……」

「「「「こんな時に不穏な事言うな!!」」」」


 ………実際この後、大量の恐竜が現れます。ANGYAAA!!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「俺の魔法が戦闘向きじゃないから囮を任された訳だけど────」


 GYAAAAOOOOOOOOOO!!×複数


「───いくらなんでもこれは多すぎだろぉ!!」

「逃げろ逃げろ~~」「呑気に言ってる場合か!」「い、息が続かない……」「あ、こら! お前等だけシールド張って卑怯だぞ!?」「うわっ!? こっちにもいた!」「ギャアア! 噛まれた!!」「おい誰か救助だ!」「ちっ、仕方ねえな!」


 エミリア率いる殲滅組の片割れの一団は、ただいま地下4階層で爆走していた。こちらは脱出組より多く出張り、120人で挑む。が、一ヵ所に固まるとかえって標的の的になる上、攻撃しずらい為、更に3チーム(40人ずつ)に分かれて行動する事にした。

 一つは未だ4、5階層に取り残されている要救助者を救助するチーム(リーダーはニケ)。

 もう一つは暴れ狂う恐竜に囮となって誘き出し、他のチームの人達が動きやすくする為の囮チーム(リーダーはタック)。

 そして最後の一つが恐竜達が何故この世界に居るのかを探り、原因の解決する為のチーム(リーダーは佐夜)。


 地下4階からは天井が高くなり大体10メートル位はある。地下3階層までは5メートルも無かったので超大型の恐竜は入って来れなかった(第20話参照)が、3~4メートル位の中型恐竜は余裕で徘徊していた為、何の安心も出来ない。

 ちなみに作戦の前に『遺跡を完全封鎖』という案も出てはいたが、中(地下)にまだ生き残っている者もいるし、たとえ遺跡を封鎖しても地下で大繁殖した恐竜達が何時地上へ飛び出てくるか分からない為、この案は却下された。

 よって被害が無いB班だったが、この状況を打開するべく二手(脱出確保組と恐竜殲滅組)に分かれた後も更に細かくチームを分けて、無理はしない様にそれぞれの役割を担った。


 ちなみに先ほど絶叫を上げて爆走していたのがタック。恐竜に出会った直後に一撃をかまして逃げる、所謂『一撃離脱戦(佐夜案)』を採用していた。が、予定よりも恐竜の数が多すぎて今では百体以上の多種多様な恐竜達に追われている。一応囮組なので、シールド魔法が使える魔法使いをメインに集めたのでそうそうやられることは無いが、すぐ後ろに死があるっていう恐怖に最早タックのMP(せいしんりょく)はもう0(ゼロ)だ。

 それでも何とか地下4階層の割と天井の狭いエリアまで恐竜達を誘導する事に成功。


「はぁ、はぁ、はぁ………。これくらい連れて離せば下(・)にいる奴等は動きやすくなるだろう………。さあみんな! ここから反撃─────」


「オーーホッホッホッホッホ!!」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ────────

 

 GAAAAAAAA!!?

 キシャアアアアア────!?

 俺らも巻き込まれr───あ゛るがず!?

 助けt──────


 グシャ! ドゴッ! ベコッ! ベシャ!

 ゴロゴロゴロゴロ…………


「────だ?」

「あの技って確かホーラント家ご令嬢(サラ)の……」

「うわぁ……仲間ごと巻き込んで潰してやがる」

 反撃に移ろうとした直後、謎の高笑いと共に巨大な鉄球が横から転がって来てタックとアイスナー、エイル他数名の後ろを通過し、後ろに迫っていた恐竜達を仲間ごと轢いた。目が点になるタックに、「流石破天荒な家だな」と唖然するアイスナーとエイル。


「っておい! 仲間ごと轢いちゃってるけど大丈夫かあれ!?」

「ひ、ヒールヒール!!」

「一応周りも警戒して生き残りがいないか確認!」

「おい! ちゃっかり一人だけシールドでガードしてるやつもいるぞ!」

「それよりさっきの鉄球が戻って来たぞ!?」

「た、退散だ! 逃げろー!」


「オーーホッホッホッホッホ!! オーーーホッホッホッホッホッホッホ!!!」

 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ───────


 結局狭い所に誘い込まれた多種多様で大勢の恐竜達はサラの鉄球によってその殆どが挽肉になった(笑)。ちなみに仲間にも被害が出ているがそこはちゃんと手加減してくれてたそうで割と軽症で済んだ。

「俺達の活躍の場所、取られたな……」

「ま、ただ走っただけで楽できたからいいげど……」

「あのお嬢、まだ笑ってるぜ………」


「オーーホッホッホッホッホ!! オーーーホッホッホッホッホッホッホ!!!」

 地下4階層で鉄球の転がる音とサラの高笑いが木霊する。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「……一体誰の声だい、これ?」

 遠くから聞こえる謎の高笑い(サラの声)でビクッとなったニケ率いる救助組。現在地下4~5階層の間を捜索し、怪我人や死亡した遺体の確認を行っている。本当はこの辺も恐竜達がウヨウヨしてて、捜索している暇が無かったのだが、タック達囮組が上手く機能し殆どの恐竜達を引き連れて行ったのだろう。ゆえにこちらには少ししかいない為、一匹一匹駆除するのにさほど時間はかからない。

「ニケさん。こっちにも生きてる者が3人いました!」

「あい、分かった。すぐに回復師(ヒーラー)を向かわせるよ」

 これで救助した数が53人。予想通りだが生き残っている人が極端に少ない。むしろ今まで生き残って来れた事が奇跡に近いだろう。とニケは思った。実際中型(2~3メートル級)の恐竜に相対した時、ニケ一人では結構厳しかった(倒せないわけではないが時間が掛かる)。なので倒す際は一匹当たり2~3人であたっている。まあ、タック達囮組のおかげで大分楽に救護者の捜索に当たれるのだが油断は禁物。


「姉御。向こうにあった遺体の確認完了しました……」

「ん。何か遺品とかがあったら(地上に)出た後、親族に渡しな」

「………分かりました」

 違う所からは残念ながら生者ではなく死者が見つかった。でも幸いな事に遺体の確認が出来るのは良かった。佐夜が言うには「種類によっては骨も残らない」と言っていたので、顔や遺体の一部でこれが誰の遺体なのかが分かれば後で追悼が出来る。しかし血だけが残ってたり丸呑みされてロストした(いなくなった)場合、『行方不明者』として扱われる。なのでどうせ死ぬのなら遺体が残っていた方が本人も浮かばれるだろう。


「姐さん! 好きです!」

「今は空気読め!」

 ゴンッ!

「ありがとうございます!」

 こいつは何を言っているのだろうか?


──────────────────


「ニケさん。これで4階層の捜索は完了しました!」

「はい、ご苦労さん」

 その後、タック達がいる場所も含めて捜索し、恐竜達からの強襲により生き残ったA、C班の生き残りは345人中118人(3~4階層階段付近で保護した生徒も含む)、身元の確認が出来る遺体が79体あった。

 計197人の確認が取れたが残りの148人は5階層にいるのか(生死不明)、もしくは『身元が確認できない位酷い事になった状態(表現不可)』&『丸呑み』にされたのだろう。そうなってしまった人達のご冥福を祈る。(_ _)


「じゃあ、一度タック達と合流して、そっからまた人数を半分に分けて、半分を保護したA、C班を地上に連れて行き、残った半分で5階層に降りて姫たちの手助けしようか」

「「「「「分かりました姐さん(姉御)!」」」」」

「何で姐さんなのよ………」

 先ほどまではツッコむ余裕が無かったが、落ち着いた今でもそう呼ばれている事にニケはがっくり項垂れた。だってしょうがない、姉御肌なんだもん。


ドドドドドドドドドドドドド───────

「無理無理無理~~~~」「勝てるかあんなもん!!」「デカい上に動きが素早すぎて攻撃が当たらねえ!」「退避、退避~~~~」「~~~~~~~!!」

「ってお前等、俺を置いてくな~~~!!」


「んを?」

「あ、姐さん後ろ! 5階層から誰か上がって来ます!」

「っ! やっぱり下にも生き残りが居るって事だね……っておいおい!」

「何……あれ?」

「天井がガリガリいってる……」

 ニケ達一同が見たのは5階層から逃げて来た【ナターレ】のマーロ達(+他数名)だ。それは別にいい。問題はその後ろから、明らかに大きすぎて天井や壁に身体をめり込みながらマーロ達を追って来る巨大な恐竜だ。無理矢理己の身体をめり込ませて進んでいる為どのくらいの大きさなのかは分からないが、4階層から5階層に続く通路の高さは10メートルを超えるのでこの恐竜はそれ以上の大きさなのだろう。


「姉御! あの恐竜(ドラゴン)が通路で手古摺(てこず)ってる今の隙に殺(や)っちゃいましょう!」

 ギルドに所属する冒険者のチンピラが自棄に物騒な事を言う。

「ダメ。今あのデカブツを殺(や)っちゃったら通路が塞がれてしまう。だからアレから逃げてる連中も攻撃してないじゃないか」

 1階層から4階層まではいくつか下る通路があったのだが、5階層へ降りる通路はここしかない為、今下手に攻撃して動かなくなってしまったら通路が完全に塞がれてしまい下にいる連中が上がって来れなくなる。ゆえに今は手出し出来ない。

「伝達師(テレパサー)は今逃げてる連中に『4階層に上がったら横に逸れる様』に通達。盾師(シールダー)は横に逸れた連中を遠距離シールドで護れ。そして他の魔法使い達は攻撃魔法詠唱の準備をして待機!」

「「「はい、姉さま!!」」」

「「「了解です姐さん!!」」」

「「「おっしゃあ! いっちょ殺(や)ってやりますぜ姉御!!」」」


「だから何でみんなアタシを姉さん呼ばわりする………?」

 ここがニケ達最大の関所だ。気合入れて行かねばなるまい(何故か古い言い回し)。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ドドドドドドドドドドドドド───────

 わあああああああああああ!?


「おーおー。マーロ達、追われてるなー」

「……何でイングはそんな達観してるのさ?」

「……さっき(イング号泣)の影響?」

「違……わないか。少し気が楽になったのも事実だしなー」

「何だか少し昔のイングに戻った感じですわね」

「イングってそんなにゆるい性格だったんだ……」

「ゆるゆる」

 現在イング達一行は地下5階層の中央あたりの物陰で空岩(防護壁迷彩バージョン)の中に隠れていた。5階層は4階層よりも更に天井が高く、2、30メートル位はあるんじゃないかと思う。


 40人ほどを連れて降りて来た地下5階層はそれはそれは酷い有様だった。そこら中に戦った跡や、夥(おびただ)しい血痕の跡。そして、わずかに残る遺体の欠片(骨や頭部)。それを見た佐夜は血の気が引いた。通常の怪物(モンスター)の死体などでも吐いたりしてた佐夜だが、人死を、それもこんなに大量殺戮された現場を見て正気でいられる人は多くない。実際吐いてはいないが、皆顔が青ざめている。それも人死にを見た事のある騎士や冒険者達までもがこの異様な光景に緊張して周りを警戒する。

 そしてその直後、結界師(ハイシールダー)の女性【レネット】が何かの気配に気付き、大きな結界を張った直後、上から中型恐竜が何十匹か降って来た。

「う、うわあああああ!!?」「なんじゃこりゃあ!!?」「大盛だぁ……」「どこに隠れてたんだよこいつ等!」「うう……凶暴すぎるよ」「この結界大丈夫か?」「バリバリいってるし!」「1、2、3、5、7、11、13、17、19………」「おい、1は素数じゃないぞ」「ダメだ。みんな混乱してやがる」


「みなさん! 前後の結界を一度解きますので集中攻撃魔法をお願いします!」

「よっしゃあ、任せとけ!」「やったるけぇ!」「特大な奴をお見舞いするわ!」

「「「「………(詠唱中)」」」」

「マナもストック『炎』の準備、お願いしていい?」

「おっけー」

「私も魔法攻撃に加勢しますわ!」

「俺は詠唱無理なので周りを警戒しておく」

「うん。援護お願いねイング」


「では解きます!」

 レネットが前後の結界を解いた途端、恐竜達がなだれ込んで来ようとしたが、

「大影縫い」「ファイヤーストーム」「アイスクラッシュ」「サンダーウォール」「ハリケーンストライク」「アースウェイク」「ダークネスショット」「ライトニングボルト」「アクアカッター」「インパクトライン」「ファイヤー」「ファイヤー」「ファイヤー」「ファイヤー多すぎ!」「ガトリングレイン」「ゴレット」「ヒール」「ひ、ヒール!?」「回復させてどうする!」


 ドォーンパーンバーンヒュヒュヒュボッボッボッドドドドドドパァー!!!


 轟音と共に前後の恐竜達が爆散した。その余波で左右の恐竜達が仰け反って結界から離れた隙にレネットが左右に結界を大展開し、全員が前に突っ込んで前方に残っている恐竜の残党を狩りながら死地を脱した。

 そして少し進んだ後で振り返り再び結界を展開して防御に徹する。

「姫さん。あんた達は先に行って、こうなった原因を探りに行ってくれ」

「え、でもどうやってですの?」

「そこでほら、僕の出番だね」

「ああ……錬成術で穴掘って進むわけか」

「その通りだ。俺達はここでこいつらを少しずつ倒していく。君らはこの奥に行って事の究明に当たってくれ。本当は研究者の俺達も行くべきだがそんな戦力的な余裕は無い筈。無責任な話だけど君達だけで行ってくれ」

「………分かりましたわ。ではイング、マナさん、そしてサヤさん、一緒に同行をお願いしますわ!」

「ああ」「うん……」「おk」

 エミリアがイング、マナ、そして佐夜を連れて佐夜が掘った穴からこの場所を離れて最深部付近まで行った。


「さあて、地道なドラゴン狩りを始めますか」

「「「「「「おう!!」」」」」」

 この場に残った38人+研究者15人がこの後、地道な作業(結界の一部を解き魔法を集中攻撃→また結界を張る)を繰り返す事になる。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ふ~ん。反応があった人がいるのが最深部……ね。潜るのメンドクサイなー」

 遺跡の手前側にある地下への入り口にリオが到着した。事前に対象者がどのあたりに居るのかを透に聞いていたが、まさかの最深部に居るとの話。更におまけとして内部には恐竜達が次元転移されていて、うじゃうじゃいるらしい。

「ちょ、ちょっと君! ここで何してるんだ!?」

「え? ああ、うん。今から中に潜るんだよ?」

 地上で待機していたD班の騎士がリオを発見して近付いて話しかけて来た。当然の様に答えるリオに唖然する騎士。

「は? ダメだダメだ! 中は今、ドラゴンが大量発生してて危険なんだ! 君が何者なのかは知らないけど危険すぎて中には行かせられない!」

「はぁー、御託はいいよ。リオは行く。ついて来なくていいよ」

 口上前は聞き飽きたとばかりにリオは遺跡の中に入ろうとするが、

「ダメだ、行くんじゃない!」

 騎士に手首を掴まれて止められたリオ。

「……。えい!」

 くるっ!

「がはっ!」

 溜息を付いたリオは合気を使用して騎士を回転させて地面に叩きつけた。背中から落下した為、その衝撃で気絶した騎士に少し離れて様子を見ていた他の者が慌てて駆け付ける。

「ちょっと手荒な事してごめんね。こっちもあまり時間が無いの。 そこの人! リオはもう行くからこの人をお願いね!」

「え、あ、ちょっと君!?」

 これ以上悠長にしてるとまた止められかねないので、駆け付けて来た者に気絶してる騎士を任せてリオはダッシュで地下へと潜って行った。


「早く終わらせないと隊長の所に行けないからね」

 ……忘れてる人も多いかもしれないが、リオは男の娘(オトコノコ)である。



そして次回佐夜とリオが出会います。

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