第20話 ~ダンジョン攻略・Part3 緊急時の対策~
ここから話が変化していきます。
「おいサヤ。い、一体奥の方で何があったんだ?」
佐夜達がテントの方へ戻って来ると、恐竜の叫び声によって起きたタックが恐る恐る聞いてきた。よく見ればテント内で休憩していたB班のほぼ全員が起きて来て佐夜達の言葉を待っていた。
「僕も良く分からないんだけど、何故か『恐竜』が奥の方から出て来たんだ」
「「『キョウリュウ』?」」
マナと同じ反応をする双子。いや双子だけじゃなく恐竜を知らないみんなは皆同じ反応をした。するとエミリアが前に出て話す。
「私は前々までの報告で少し知っていましたが実際見るのは初めてで、見た目は大きなトカゲ……いえ、むしろその存在感は地竜に近い物でした」
「「「「「「地竜!?」」」」」」
エミリアがドラゴン発言したことで皆に緊張が走る。
「でもサヤは『キョウリュウ』って言ってた……」
「ええ、そうですわね。サヤさん。その『キョウリュウ』とは何ですの?」
「うん……。恐竜っていうのはね─────」
恐竜────佐夜が元いた世界の超超大昔(約2億年前以上)に存在した生き物。ニワトリ位小さな物もいれば20メートル以上を超える恐竜も存在する。その中にもたくさん色々種類が存在するが、佐夜もそんなに詳しく知っている訳じゃない。
ただ佐夜でも分かっている事は『俊敏なので接近戦は超危険』『諸々の耐久値が高い』『通常のドラゴンに比べ理性が無いが知性はある為、かなり凶暴』だって事だ。
「実際かなりの実力者だっていってたA班の冒険者が腕を食いちぎられる程の大怪我してたんだ。その凶暴性は半端ないよ。その上恐竜の中には繁殖力が高いのもいるんだ」
「他のドラゴンと比べたらどっちが強いんだ?」
「1対1なら多分普通のドラゴンが強いと思うけど、恐竜は群れるからね。多対1なら喰われるのはドラゴンの方かな」
冒険者の一人が質問してきて答える。
「炎とかは吐くの?」
今度はノンが質問してきた。
「いや、魔法は使えない。そのかわりに攻撃力が非常に強くて動きもかなり素早い」
先ほど一度初めて遭遇して何とか恐竜の侵入を防いだ佐夜だがその後、その恐竜を見て思い出したのか小さく震えている。それだけ恐竜が危険な怪物だという事がみんなに伝わる。
GAAAAAAAAAAA!!!!
「「「「「「っ!!!?」」」」」」
その時テントの真正面にある、地下4階層に続く階段の奥から先ほどとは比べ物にならない程の大きな鳴き声が全員の鼓膜を叩く。思わず耳を塞ぐほどだ。そしてその直後3人の男女が走って逃げて来た。2人の男女は見張りの騎士で、もう一人はC班のセウレン帝国側の学園の男子生徒だ。
「はぁ、はぁ、はぁ………」
「し、死ぬかと思った……」
「な、何なのよアレ。早すぎるでしょ!?」
恐竜からギリギリで逃げ切った3人はへたり込んで息を切らす。
「おいベント、リリー。見張りは3人居たはずだろ。ギャレックはどうした?」
B班の班長【レギン】が走りつかれた2人の騎士に聞く。すると、
「喰われた……」
「は?」
「喰われたんだよ! 逃げて来る俺を助ける為に前に出て戦ったけど、まるで歯が立たなかった。……そして一瞬で上半身を………うぷっ!」
騎士の代わりに答えたのが逃げて来たC班の男子生徒だ。
このC班の男子生徒の話によると、C班はこの先の地下4階層でテントを張って休憩をしていたらしく、突然の襲来によってみんなバラバラになったそうだ。
「……最初は俺もみんなも交戦していたけど、相手の速さが半端なくて連携どころじゃなかったんだ。剣も通じにくいし、魔法も素早過ぎてまともに当たらない。ふと気が付けばいつの間にかどんどんドラゴンの数が増えてきて次第に手に負えなくなったんだ。そして次々と食われていく仲間達を見てC班の班長が解散命令を出したんだ。そしてその後みんなバラバラに逃げてたけど、俺はその途中ではぐれて迷ってここまで来たんだ。けどあのドラゴンの強さを知らなかったあの人は………うぷっ…」
うげぇーっと吐きながらも必死に伝える男子生徒の言葉にB班一同に寒気が走る。もし自分達B班も地下4階層で休憩していたら、まず間違いなく襲われていたからだ。
GAAAAAAAAAAA!!!
「「「ひっ!!?」」」
「「「「「「っ!?」」」」」」
その時再び恐竜の鳴き声が聞こえ、その上その階段に頭を突っ込んだ恐竜の顔がB班の目の前に現れ、皆に緊張が走った。特に逃げ切った3人の顔には恐怖が走る。
GAAAAAAAAAAAAA!!!
「う、うわぁ──!?」「キャー!?」「何てデカさだ……」「はは…これは夢だ……」「現実逃避してる場合か!」「お家帰りたい……」「「ママー!」」「僕は男だ!」
顔を突っ込んでこちらを見る恐竜の頭(顔)の大きさにビビるB班。既に少しパニックになっており左の通路から地上へ逃げようとする人達もいた。
しかし、今逃げ出すのは悪手な行動だ。何故なら、
「お待ちなさい!! あのドラゴンはこの階層に既に侵入してますわ!!」
「「「っ!?」」」
逃げ出そうとする人達を止めたのはエミリア。その訳は勿論先ほど遭遇した地下3階層の恐竜達だ。今はまだ姿を現さないが、いつ左の通路から現れるか分からない。もしかするとこの先で待ち伏せしている可能性もある。
「サヤ。今のうちに左と下の通路も一度塞いだ方が良いと思う」
「う、うん。分かった!」
いつこの場所に侵入されてもおかしくないので、佐夜はまず左の通路を錬成術で厚めに塞いだ。逃げようとした人に帰り道を塞がれた事で文句を言われるが、そこはエミリアが説明した。
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「それで、これからどうしようか?」
左右と下へ続く通路と階段を封鎖したB班一同はテントを片付け、班長のレギンはアイテムのチェックをするように指示した後、みんなを地下4階層前の広場に集め、議論を始めた。
「どうするって逃げるに決まってるだろ!」
恐怖のあまり逃げる事を言い出す生徒に周りから「そうだそうだ!」という声も多数上がる。
「ちょいまち。逃げるのは構わないけどさ。この下の階層にはまだ逃げ切れずに残ってる人もいるかもしれないだろう? 助けが必要なら助けるべきだね」
しかしそこに待ったをかけたのは以外にもニケだった。
「それにあの恐竜を外に出せば大変な事になるよ? 絶対に殲滅しなきゃいけない!」
それに続いたのが佐夜だった。昔見た恐竜映画の中で、恐竜を管理しきれなくなった研究所が、たった数年後に恐竜が大繁殖していて大変な事になった事をみんなに言う。勿論アレはフィクションだが、もし現実に恐竜を外に逃がしてしまい、大繁殖なんて事されたら、この世界はまさに恐竜天国となるだろう。そうなると思っただけで背筋が寒くなる思いだ。
その間、あーだこーだ議論を交わす内に大怪我で気絶していたA班の冒険者が起き、無理を承知で事情を聴いた。その内容はやはり、A班も別ルートから地下5階層まで降り、まだそんなに恐竜の数が多くないのを確認した後奇襲を掛けて殲滅し、その後の索敵魔法にも引っかからなかった為、少し休憩を取っていたらしい。
「でも、その直後に一番奥の方から変な光が現れたと思ったら、そこから大量にドラゴンが出て来たんだ。しかもその中には巨大な奴もいて、みんなで慌てて陣形を組んで対処したけど敵の数が半端なく多く、やむなく撤退するしかなかったんだ」
しかし撤退しようとするも敵は待ってくれなく、油断したり、はぐれたりしたものから容赦なく捕食されていき、この冒険者もみんなとはぐれた後に襲われ、腕を食いちぎられながらも何とか地下3階層までたどり着き、佐夜達に助けられたのだ。
この話を聞いてレギンはみんなと相談し、対策を練った。
「では我々はこれより二手に分かれよう。一つが左の通路を(開けて)通りながら敵(恐竜)を殲滅しつつ脱出ルートを確保する組。その際目に付いた恐竜は残らず殺す事と、地上へ脱出した後、地上班と一緒に這い出て来る恐竜を残らず殺す事だ」
「そしてもう一つの組が右の通路から周り、地下4、5階層へ降りて救助が必要な人達を助けつつ、可能なら敵(恐竜)の数を減らしたり、殲滅する組ですわね。最終目的としましては、一番奥で起きたと言っておりました謎の光を探って、これ以上キョウリュウの侵入を防がなければいけませんわね」
レギンとエミリアが仕切り、それぞれ二手に分かれる班員達。まあ、脱出確保ルート組には勿論、まだ未熟な両国の学園の生徒達が多くいる。まあ、まだ全然若いし死にたくはないからだろう。
ちなみにイングは班分けし終えた後に目が覚めて「何?何?」っと、ぼーっと周りを見渡したのち、佐夜から事情を聴いて「なんじゃそりゃ?」って笑ってたが、その直後に遠くから「GAAAA!!」って聞こえてきた為、すぐに察した。
脱出確保ルート組には少数の冒険者&騎士・兵隊と両国の生徒達の三分の二、そしてA、C班から逃げて来た2人が同行する事になった。この組の中には佐夜以外の練成師も(一人だけ)いる為、敵を殲滅し安全が確保できた階層は錬成術で通路を(簡易的に)塞ぎ、これ以上の上層への侵入をさせないのと同時に、地下に残る者達の安全を確保する。
救助&殲滅&問題解決組には勿論、腕利きの騎士や冒険者、そして自ら志願した生徒達が挑む。勿論このチームのリーダーはエミリアだ。本当はみんなエミリアに止める様お願いしたが、真面目なエミリアは強引に押し切った。強引に押し切った理由としてイングの名前が挙がった時、本人は生きた心地がしなかったそうな。そして勿論アルケシスのメンツ(ノンとロロは除く)もこちら側に参戦。
ちなみに佐夜の場合、錬成師が他に居ないという理由と、
(もしかしてあの恐竜達、僕の世界の過去に繋がっているのかもしれない)
という思いからこちら側に参加しているが、イングがかなり佐夜を心配して2人に帰る様に言うが、女は強し(?)っていう名言もある様に却下された。
ちなみに真正面の塞いだ階段からはいまだに先ほど頭を突っ込んで「ギャオギャオ」言っていた恐竜がまだ「ギャオギャオ!!」言っている。どうやら頭が抜けなくなったと思われるが、皆あきれてそれを放置した。下手に触れると何が起きるか分からないからだ。その恐竜の処理は後でも良いだろうというレギンの判断だ。
「では姫様、ご武運を!」
「ええ。きちんと帰りのルートを確保してくださいませ!」
そしてB班は二手に分かれてダンジョンを攻略(脱出)するための行動に出た。
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一方ここはセルニア王国から南西へ少し離れた場所の谷峡。
「何? 大佐の奴、侵略に失敗しただと!?」
「はい! なんでも我々と同じく、異世界から来た者の手によって阻まれたそうです」
「何だと!?」
部下によってもたらされた報告によって苦虫を噛む准将。
本来なら准将達がセルニアに到着する前に比較的距離の近いセウレンを大佐達によって制圧する予定だったのだが、それらの野望は既にヴァン達によって阻まれている。
(まさか我々と同じ異世界の者がいるとは予想外だったな。だがもう後に引けん)
「大佐側のセウレン制圧は失敗した、だが我々も既にここまで来ているのだ。今更後には引けん。ならこれまで以上に速度を上げてセルニアに進軍。早急に制圧し、その後で切り返し、セウレンへ向かう! 皆にそう伝達せよ!」
「はっ!」
准将は部下にそう伝えると、司令席にもたれながらボヤく。
「あ~~、やっぱり失敗したかー。何となーく、嫌な予感がしてたんだけど大佐が大丈夫大丈夫っていうから。無理して来たらこれだよ……」
「あ、あの……准将?」
「おわっ!? 何だ? まだ居たのか!?」
「あ、いえ……。何やらお疲れでしたので整体などいかがかと?」
「ああ、いらん。それよりもセルニアに向かうのが先だ。予定よりも2時間早く到着させろ」
「はっ! では失礼します!」
そう言ってようやく部下が出て行った。
「はぁ……。こんな事なら侵略に名乗り出なきゃよかった……」
そうボヤきながら准将は移動する車内のベットで横になり少し寝ることにした。
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あとがき地獄↓
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ヴァン「ん? リオの奴どこ行った?」
義信「さあ? いつもならアホな位ハイテンションで一番乗りするのに今日はちょっと様子が変だな?」
透「ああ、リオちゃんならもうサヤさんを救出しにダンジョンへ向かいましたよ?」
ヴァン「もう行ったのか!? 早いな~~」
R「何をしている貴様等。我らも早く現場に向かおうぞ!」
義信「って! 何でいつも俺を引き摺って行くんだよ~~~!?」
Rは義信を引き摺って転送装置に向かう。
ヴァン「………。じゃあ俺も行くわ」
透「……はい。行ってらっしゃい」
この時点で既にプロローグと同じ時間帯に突入しました。後は合流するだけです。




