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第11話 ~諦めの悪い佐夜~

ハーマン「ぬ? もうカレーが切れたのか」

マロン「もうしばらくカレーはいいわね。飽きたわ」

ハーマン「すまん。既に追加で作ってしまった。1トンくらい」

マロン「作り過ぎ!?」


次回はお休みで次の更新は11月3~4日になりそうです(早ければ早めに更新可)。



 シュン──────


 ドサッ。


「ぐはっ!?」

 アニカに胸から下の下半身をマミられた健太が『死者蘇生部屋リザルーム』に転送される。勿論全身復活だ。


「痛つつつ………。佐夜達を助ける為とはいえまさかマミられるとは思わなかったぜ。下半身が感じられない感覚を知るとか人生何が起きるか分かんねーな」

 戻って来た時の落下の時に痛めた肩と一瞬失った下半身をペタペタ触りながらレアな体験を振り返る。


「おー、お前も戻ったかケンタ」

「リベッタか───何で逆立ちしてんの?」

 すると背後の扉から声が掛かり、その声がリベッタだと分かってはいた健太だが何でそのリベッタが逆立ちしているのか全く理解できない。


「アレだ。勝手に突っ走って特攻した挙句『犬神○?』になった罰らしい」

「犬○家は関係無いと思うが逆立ちは罰になるか普通?」

 体幹を鍛える効果があるとか無いとか聞くけど逆立ちは普通に危ない。罰メニューに加えるならもっと効果的なやつじゃないと。


「モニターで見てたけど何がどうなってるんだい?」

「アニカの事か?」

 健太が言うとリベッタは頷く。つかいい加減逆立ちは止めて欲しい。会話しにくいわ。


 逆立ちを一旦止めたリベッタと共に健太は急いでブリッジへ向かった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「KOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO─────」


「アニカッ!?」

「ク……ッ。佐夜さん、一度引きますよ!」

「で、でもアニカがっ」

「このままこの場にいたら貴女までも引きずり込まれますよ!」

「んあぁぁ~~」

 健太をマミったアニカにコードイーターの瘴気がドンドン吸い込まれていく。何が起きるか分からないが近付くのは危険と判断した新が佐夜の首根っこを引っ張って一度皆の元に戻る。一緒に来ていた者達も急いで戻る。あ、誰かコケた。


「おいおい、一体どうなってんだありゃ!?」

「知るかよ。先輩達に聞け!」

「いや寧ろこの場合、アニカを創った関係者に聞けば良いんじゃね?」

 と、皆が動揺しつつも対処法を聞く為にゼロやベジター(orメイファ)の元に行こうとしたが、既にこの3人は集まって話し合いをしている模様。


「おい、アレはどういう事だ? 見た感じアニカの身体をコードイーターが乗っ取っている様に見えるが?」

「見えるも何も見たまんまだな。我々の属性もあの世界食い(コードイーター)の属性も同じ『闇』。………相性が良いのもそうだが、恐らく産まれて間もないアニカの弱い自我に目を付けたんだろうな」

「そうね。仮に私やお父様がアレに飲まれたとしてもそう簡単に乗っ取られたりはしませんわ」

「ああ、……と考えると、これは嵌められた可能性があるな」

「嵌められた?」

 ゼロが眉をひそめるとベジターはこの世界でアニカを創るに至った経緯を話す。


「俺は元々メイファの妹(?)を創るべく妻と共に創るのに最適な世界を探していたのだ。その時、知り合いの知り合いの知り合いに「創るのに良い場所がある」と聞いてこの世界を選んだのだ」

 「奥さんいるのかー」とゼロがメイファに聞きつつベジターは話を続ける。


「だが今考えると世界食い(コードイーター)の依代を創らせる為に我々をこの世界へ誘ったものだと思えば納得がいく」

「……そういえばアニカが産まれたあの場所、谷の近くだったな」

 2人してアニカの生まれた場所を見つめる。偶然にもアニカが産まれた場所でその身体を乗っ取られるとか皮肉すぎる。


「……といいますかお父様。知り合いの知り合いの知り合いって最早他人じゃありません事?」

「言うな……」

 娘からジト目で見つめられて視線を逸らす父親。


「……それでこれからどうするかだが───」

「そんなの決まっている」

「「「っ!?」」」

 3人で話していたのにいつの間にかゼクターまでもが接近し、会話に混じってくる。それと同時に佐夜達も到着しそこに混じる。


「ああなってはもう手の施しようも無い。なら話は簡単だろう」

「……アニカごと世界食い(コードイーター)を破壊する、か」

「「っ!?」」

「そうだ。このまま悪戯に時間を掛けても滅落するのが早い上、もし奴を仕留めきれずに逃げられたら他の世界への被害がデカくなる。それはもう予想が付かない位にな」

 そういってゼクターは動かないアニカを見つめる。

 今はまだ周りの瘴気を取り込んでいるので動いていないが、アレを全部取り込んだ後、どう動くか誰も分からない。


「……分かった。ならばもう3組の生徒達、及びゼリア軍とハルマ小隊は撤収させよう。それで、俺達で片を付けるか」

「ああ、アレが動き出せばその分、時間も相乗的に短くなるからな。少人数で始末するっ」

 そう言ってゼロはアルゴノートに連絡しようとする。


「「ちょ、ちょっと待って」下さい!」

 すると当然それを聞いていた佐夜と新が声を上げる。


「始末するって……それってつまりアニカを殺すって事?」

「そうだ」

「っ」

 恐る恐る聞いた佐夜の問いにゼクターはあっさり肯定する。


「はっ、あっさりと見捨てるんですね」

「そうだ。俺達は慈善団体じゃないんだ。自分達の身が危ないのに他人の身を案じている場合じゃないからな」

「それに……恐らくもうアニカはダメだ。だろベジター?」

「多分な」

 ゼロがアニカの父親、ベジターに目配せするとベジターは頷いて同意する。


 理由は先ほど言った様にアニカの魂、自我の話だ。

 産まれて間もないアニカの魂は色んな物に影響を受けやすく、そんなアニカがアレに飲まれて身体を乗っ取られたらもう自我を保つ事などほぼ不可能。

 一応なんやかんやでコードイーターから助け出す事は出来てもあんな瘴気に魂を汚されたら助け出してももう元のアニカには戻れない可能性が高い。

 ならいっそ殺してあげた方が元のアニカも納得するだろう。

 それにアニカ自身も自分の身を挺してまで新を助けたんだ。


 元のアニカも自分の為に命を懸ける様な真似はして欲しくないだろう。


「「「「「「……………」」」」」」

 上司ゼロとアニカの父親にそう言われ、3組の生徒達及びゼリア軍、ハルマ小隊達は皆押し黙る。


「けどそれでも僕はアニカを助けたい!」

「佐夜さん……」

 だが諦めの悪い佐夜はそれでも食い下がる。


「だからゼロさんゼクターさん。もうちょっと僕に時間を───」

「──いい加減にしろ!!」

「っ!?」

 食い下がる佐夜だが最後までセリフを吐く前にゼクターに胸倉を掴まれ怒鳴られる。


何時いつまで夢見てんだ。お前の身勝手な行動に付き合うこちらの身にもなれ!」

「っ……っ、っ|(呆然)」

 至近距離で怒るゼクターに言葉を失う佐夜。


「お前が勝手に突っ走って死ぬのは構わないさ。だがな、さっきも言っただろ。アレを逃がして外界にで出られたら甚大な被害が出るんだぞ? その責任をお前、取れるのか。あぁ゛!?」

「ひぅっ!?」

 いつものグラサンをも外し、鋭い目つきで睨むゼクターに佐夜はもう悲鳴しか出ない。


「お前が言っているのはただの我が儘だ。例え神玉を使ったとしてもこの決定は覆らん。いい加減に諦めろ。いいな、分かったか!?」

「………」

 最終的に何も言えなくなった佐夜を解放しサングラスを掛け直す。


「……ゼロ、撤退準備を進めてくr────」

「────やだ」

「───あ?」

 だがそれでも諦めの悪すぎる佐夜の呟きにゼクターのこめかみに青筋が入る。


「アニカに何もしてあげられないで逃げるのは嫌だって言ってるんだ!」

「だから何だ?」

 立ち上がり泣き叫ぶ佐夜に対し冷静に斬り捨てる。


「さっき「(取り憑かれた)アニカが外界に出たら甚大な被害が出る」って言ったね? だったらまだ時間はある筈。だからアニカが外界に出ない様に動きを封じ、尚且つアニカの中に入って直接コードイーターをアニカから引き剥がす。これならどう!?」

「中に入る……『魂中侵入スピリットダイブ』か。確かに外から叩くよりは効果的だろう。だが確証が無い上に中に入っても既に自我が消えて無くなっている可能性があるだろう。その場合無駄足だ」

「可能性でしょ? 0%じゃないならそれに賭けたい」

「賭けたいってお前な………」

 それを我が儘だろとゼクターは言いたい。が、佐夜は更に言葉を被せる。


「もし中に入ってアニカがもう駄目ならキッパリ諦めるし、中に入る前にアニカが外界に出そうなら遠慮なくふっ飛ばしてもらって結構。だからお願い。チャンスを下さい!!」

「………」

 その我が儘ながらもキチンと妥協した提案にゼクターは少し考える。


 確かにその条件なら滅落までに時間は有り、尚且つアニカが外界に出ようものなら遠慮なく始末出来る。

 だがその条件には穴がある。


「お前が『魂中侵入スピリットダイブ』で中に入るのはいいが、その前にあいつを止めるのはどうするんだ? お前1人で奴を止められないだろ」

「そ、それは……」

 そう、佐夜の能力は守護者セイバー寄り。防衛に徹する事は出来ても攻める火力は誰かにチャージしてもらった『ストック玉』のみ。外でも中でもストック玉が切れたらOUT。そこで終了だ。


「佐夜さん1人で行かせる訳ないでしょう。当然僕も行きますよ」

「新君……」

 しかしそこで佐夜に新が援軍に加わる。まぁ、元々アニカを助ける為に無茶をしていたくらいだし。


「だったら俺達は佐夜達が中に入る前の梅雨払いだな」

「ああ、奴の攻撃がお前達に届かない様にしてやんよ」

「だから佐夜っち、芝っちも安心して助けに行ってあげて」

「うゎ、台詞盗られたー」

「もう言うセリフが無い。けどやる事は一緒だ」

 すると立て続けにクラスメイトが佐夜の立てた作戦に参加を表明し、ゼロとゼクターはこめかみを押さえる。


「ゼロさん、お父さんも。佐夜さんがこうだと決めたら梃子でも動かないというのは報告にあった筈ですよ。諦めて佐夜さんの策に乗りましょう?」

「………分かった」

「………だが佐夜、お前が提案した様にもしアニカが外界に出そうになったら遠慮なく俺達はアニカを始末する。いいな」

 ゼクターの鋭い眼光に佐夜は息を飲んで頷いた。




マロン「はてさてこの後どうなるのかなぁ?」

ハーマン「どうせアニカを助け出すのだろう」

マロン「さぁね?」


作者(そこはまだ構成中……)


前書きでも言いましたが次回はお休みで次の更新は11月3~4日になりそうです(早ければ早めに更新可)。


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