第3話 ~大谷峡の出会いと繋がり~
ここで新と半蔵達が出会います(ネタバレ)。
今回は少し短いです。
「ぅおおおおおおおおおおおお!?」
「逃げろ、逃げるんだー!?」
「伊賀忍法『先駆け』!」
「忍者ズルい!?」
半蔵が忍走りで皆より前に逃げる。
「ビューティーダーッシュ!!」
「言ってるだけじゃないか!?」
「というか俺達の前でマッスルポーズしながら走るな暑苦しい!」
「ぎゃあ、汗がっ!? マッチョの汚い汗が目にー!?」
「んまぁっ。失礼な子達ねぇ!」
その後ろを走っているオネエの杏樹が何故かマッスルポーズをしながら走るので後続を走る人達から不評の声が出る。そりゃあムキムキなオネエなんて誰得だよって話だ。普通のマッチョより性質が悪い。
半蔵達一行は現在、逸れて森で彷徨うハルマ小隊を救出後、元来た道を引き返すより先にある崖下(谷底)に一旦降りてアルゴノートからの通信が届く場所まで移動していた。
だが谷底に降りて数分歩いた直後、同時刻に別の場所で発生した健太とハズのいた場所から例の『世界食い』がここでも発生し、風下側にいた半蔵達にドンドン迫ってくる。
といってもここのはまだ速度がそんなに早くないので急いで逃げれば何とかなるだろう。多分。
「おいお前等、悪いが急いで走れ! 別方角からもアレが来てる!」
「「「「マジで!?」」」」
で、予想通り先行していた半蔵が皆に急ぐよう指示を出すと。
「どうやらこの先の合流地点で例の黒目玉が向こうからも来そうなのよねぇ」
「だったら早く急がないと喰われちまうぞ!?」
「だったらその重い武器を置いて行けよっ」
「嫌だ! この武器だけは絶対に嫌だ!」
早く逃げないと食べられてしまうっていうのにやたら重いガトリング銃(レトロ風)を手放さないハルマ小隊の1人が必死になってその重い銃を持ちながら走る。走るがこのままでは後方はともかく前方の合流地点には間に合いそうにない。
「んぅ、全く仕方ないわねぇ」
「ぅわっ!?」
「さ、早く逃げるわよ」
「えぇ……」
するとそれを見かねた杏樹がひょいっとそのガトリング銃を取り上げて肩に担いで再び前に走る。
「杏樹さん、それ重くないんですか?」
「全然。むしろ良い重さで筋トレに最適ねぇ♪」
「こんな時まで筋トレとか、これ以上ムキムキになったら閲覧禁止になるぞ……」
「って俺のコレクションを振り回すなー!」
コードイーター対策で皆の前を走っていた正義と愛沙が追いついて来た杏樹に尋ねると、杏樹は先ほど奪った(?)レトロなガトリング銃をまるでバーベルの様に振り回し、乱暴に扱われた事で銃の持ち主が怒った。
───キィン、キキィン!
「ん? 何か先の方で半蔵が何かと戦っている?」
「つか俺達以外にもこんな辺鄙な場所にいたのか」
「普通はこんな魔物だらけの所誰も来ないもんね~」
その後ろの殿を征也達が務めていたのだが、ふと最前線を見ると半蔵が何かと戦っていた。
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「くそ……っ」
芝崎新は泣きながら後方から迫ってくる謎の黒目玉に追われていた。
時はほんの数十分前、突如として地面より噴出した漆黒の瘴気と共に出現した黒い目玉相手に新は最初逃げるどころか嬉々として経験値とスキル奪取をすべくこの謎魔物に挑んだ。
しかし当然物理攻撃が効きにくい上、有効そうな光属性の魔法やスキルですらあまり効いていない様でひらすら中遠距離から攻撃したり、近距離からでもスキルテイカーで奪えるスキル・魔法を取得しようとしても何故か失敗。
「っ! アラタ危ない!」
「ゑ……?」
しかも周りを見ずひらすら前にいる敵しか攻撃していなかった為、背後からの接近に気付かなかった。
その為、咄嗟に新を押して庇ったアニカがそのまま漆黒の瘴気&黒目玉の魔物(?)に飲み込まれてしまった。
「アニ…カ? ………アニカ!!」
一瞬、呆然とした新だったがアニカが自分を庇って飲まれた事態に気付き、温存していた魔力・スキルの全てを殆ど使いアニカを救出しようとしたが今の新ではこの魔物には全然歯が立たないらしく、アニカを助けるどころか自分の身すら危なくなったので新は已む無く敗走した。
「このままじゃアニカは助けられない。もっとレベルを上げないと……っ」
メアリーと融合した為、かなり涙脆くなっている新は涙を拭いながら近くの獲物を狩っていく。
「ん? こんな場所に人が……?」
「っ!?」
すると魔物を狩っていると背後から忍者っぽい人がやって来て新は身構える。
「お前……この世界の人間じゃないな。次元転移してきた異界人か? ………いや何だ、勇者の気配も感じる……? 一体何者だお前は?」
「答える必要はありませんね」
どう見てもこの世界の人ではない忍者に「何者だ?」と、お前が言うな的な事を言われたが、新は「これはチャンスですね」と呟きスキルテイカーを発動させる。
「っ!? ……なるほど。『強奪』スキルの持ち主か」
「っ。この人にもスキルが発動しない!?」
『強奪』が発動しないので新は先ほどそこらにいる魔物から補充した魔力で忍者の半蔵に襲い掛かる。スキルテイカーが発動しないという事は相手が何かしらの対策を取っているか単純に相手が超格上だという事だ。
前者の場合はどうやっても相手の物を奪う事は出来ないが後者は殺せば奪う事が出来る。故に新はアニカを救うべく格上の半蔵に挑んだのだ。
しかし新は知らなかった。相手が半蔵1人だけじゃなかったという事に。
ドカーン──────ッ!!
閑話休題(後から駆け付けて来た正義達全員に数秒で凹凹にされますた)。
流石の新でも加護持ちの相手ではスキル・ステータスを奪う事が出来ず、尚且つ魔法やスキルは愛沙とメメットのシールドで防がれ、唯一奪えるハルマ小隊へは半蔵と杏樹、あと何か戦国武将っぽい奴(椿姫と詩織)に邪魔されて近付く事すら出来なかった。
「で、何なんだこいつ?」
「さぁの。何となく佐夜やリオと似ているのぅ」
「え、全然似てないぜ?」
「雰囲気がそれっぽいって事だろう」
「なるへそ」
新をワイヤーで縛り(縄だと炎で切れる可能性がある為)他の者達に例の瘴気&目玉が来ていないか確認中、清良達戦国メンバーは気絶している新を見張る。
「あぁ……。こんな所で終わるのか………」
「あ、起きた」
すると小さく呟きながら新が起きる。
「それで、お主は何故草(半蔵の事)を襲ったんじゃ?」
「(ぼそぼそぼそ)」
「あ、駄目だ。聞いてねぇ」
アニカを瘴気に奪われ(?)、更に急いでレベル上げを行ったが失敗した新はすっかり意気消沈して椿姫の声など届かない。
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「で、これからどうするんだ? 前も後ろもアレで塞がれちまってるし通信もここじゃ届かないんだろ?」
「ああ、だがここなら崖上までそこまで高くないし鼠返しなどの傾斜も無い」
「という事は誰かが自力で登ってロープを下ろすしかないわねぇ」
「ぶっちゃけ間に合うのかそれ?」
「間に合わすしかないだろ」
その頃半蔵達とハルマ小隊の面々はこれからどうするか話し合っていた。
というのも話の通り、前後共にアレが迫って来ているので早く何とかしないと詰む。
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「正義、何してるの?」
「ん? あぁ、ここ触ってみ」
「ここ? あ、結構脆いわね」
「……ボロボロ」
一方で正義と愛沙、そしてメメットの3人は壁の土の感触を確かめていた。
「なぁ愛沙。アルフィーニで俺がやった事覚えてるか?」
「……正義のやった事?」
「一体どれの事を言ってるの?」
すると唐突に正義が愛沙に過去の事を尋ねるが内容が漠然とし過ぎてどれの事を言っているのか分からない。
「ほらアレだ。新しい必殺技が完成した時、つい仲間の召喚したゴーレムで試した時、うっかり一刀両断してしまった時の話だ」
「ゴーレムどころかお城まで一刀両断して超怒られた時ね」
「お城を!?」
ゴーレムならともかく、その覇斬の勢いがゴーレムの後ろにあった城まで斬ってしまったという話にメメットは珍しく驚いた。
ちなみに城を斬った時、死者は出なかったが城の弁償代で3ヵ月間真桜を探しに行けなかったらしく正義はその後その新しい必殺技は封印してきた。ベリアルと戦った時もそれを使ったら戦況は有利になっていたがその時は単に忘れていただけの話である。アホだ。
「それで、その話がどうかしたの?」
「いやさ、アレをここで撃ち放って斜めに崖を斬れば上に上がれるんじゃないかなーって思ってよ」
「出来るの!?」
「分かんね。でもやってみる価値はありそうだ」
「……私、その話をハンゾーさん達にしてくる」
「お、そうか。じゃあ俺等は清良んとこに行くか」
「そうね。上手く行けばすぐにでも脱出出来るね」
そう言ってメメットは半蔵の元に行き、正義達は清良達の所へ。
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「(ぼそぼそぼそぼそ)」
「何か凄い病んでるなコイツ」
「うむ。近付きたくはないな」
「諸行無常なり」
意気消沈から自失しかけている新に清良達3人は若干距離を取る。取るが一応何か喋るかもしれないのでギリギリ聞こえる距離に入る。
「………ゴメンねアニカ。助けに行けなくて………」
「っ!?」
故に新が次に発した言葉に椿姫が反応した。
「お、おおおおお主っ、今何と言ったか!?」
「……ふぇ!?」
「「椿姫!?」」
新の言葉に反応した椿姫が新の肩を揺さぶる。
新とアニカが繋がっていた事で、この後新に訪れる破滅が回避される事に新自身は当然知る筈がない。
※:今回はここまで。
リオ「にゃー!」
ティーナ「……何やってんの?」
ここは特に意味はありません。単に出番の無いリオの憤りです。
長くなりそうなので今回はここで一旦区切ります。
次回は少し遅れるかと思います。
ではまた。




