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幕章ー8 ~帰省ライブ~

今回はアンヴェに来る2週間前の話です。

ちなみに天の声(※:)は透が担当しています。

ついでに今回佐夜は女性化中です。


 両世界軸的にどう考えても季節外れの暑中見舞い───というかちょっと早い寒中見舞い?


 ここは佐夜の元いた物質界。

 季節は12月のクリスマス前、どう考えても冬。

 イニシエは今11月の秋なので約一ヵ月の時差がある。


 ───で、そんな事はどうでもいい。


 何でそんな事を書くのかというと、佐夜は今現在元の世界にやって来ている。

 まぁ、単に佐夜がホームシック気味らしく元気が無いのを見かねてリオが帰省する事を進めたのだ。


 ただ、基本的に幹部(教師)クラスにならないと帰省はそう簡単には許されない(艦の数がそんなに無い為)ので普通は帰ろうとしても無理な上、帰りたくても既に故郷の世界が滅んでいる他の生徒もいるので安易に個人優遇すると他の生徒から苦情が出るので1度はリオがヴァンに相談したが苦笑いされて却下された。


 が、しかし、その話を聞いていたゼロがある提案(・・・・)した事を飲むのなら帰省に協力すると言ったので佐夜は碌にその提案の内容を聞かずに了承した。

 帰省が確定となった1週間後、後悔する羽目になるのは言うまでもないけど。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「みんな~! また会おうねぇ~~~~」


 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!×∞


 SAYAちゃ(た)ーーーーーーーーーーーーーん!!!×∞


 関東の一番大きな更地があった埼玉・栃木・茨木の境目の土地(あくまでこの世界での話です)に急遽武道館の約3倍の特設ライブ会場(ドーム型)で5時間をも及ぶ長時間(?)ライブを終えてアンコールの声も聞こえるが、流石にこれ以上は近隣住民の迷惑になるのでアンコールは2回で終わらせ、佐夜は会場を後にして楽屋に入る。


「ふはぁぁぁぁぁぁ…………」

 そしてパイプ椅子にもたれかけ、ミネラルウォーターを飲んで一息付いた。


「まさかライブをやる羽目になるとは思わなかったぁ……」

「あはは、ごめんねさやや。まさかあんなに人が集まるなんて思わなかったよ」

「思わなかった訳があるかっての。なんせライブは今日1日だけなんだから。全国のファンの人達(?)がここに集まればこうなるのは当然でしょうに」

「だからこんなに人がいっぱい来るほどみんながさややに熱狂していとは思わなかったんだよー?」

「嘘付け。総売上を見て考えればこのくらいは誰だって分かるでしょ。全く」

「えへへ」

 しれっと嘘を吐くリオをジト目で睨むが、佐夜の容姿と今の恰好が相まって全然怖くない。


 ちなみに佐夜の口調からしてもう分かるとは思うが、今の佐夜は『僕っ娘』状態である。普段はともかく流石にライブ時に『俺』の性格じゃちょっとマズいから、リオがちょこーっと佐夜を罠にかけて精神的ショックを与えて精神転換を行った。


「さて、そろそろ帰ろうと思うけどこのまま正面から出たら確実に外で出待ちされるよね?」

「だね。というか既に楽屋前がヤバい事になっているし」

「……ホントだ。昭和のスターじゃないんだから」

「……YM●Aの人?」

「そう、それそれ」

 素・晴・ら・し・い|(意味不明)。


 このままじゃ揉みくちゃにされる事確実なので事前に打ち合わせしている陽菜々に転移で来てもらい、協会関係者は全員ここから脱出した。

 その十分後、楽屋の数メートル先のバリケードが破られてファンの人達が押し寄せてきた時にはもう楽屋には誰もいない。


 そしてその翌日にはこの数日間の突貫作業で作られた立派な特設会場が2時間で解体されて跡形も無くなっていた(ちなみに爆発物は使ってない)。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 今日は遂にあの超有名なSAYAのライブの日。

 美里凪咲は友人達と共にSAYAのライブの超低確率のライブ抽選応募に当選し、突貫工事で作られたと言われている斬新的で広く大きなライブ会場でSAYAの歌を聞いて全く関係の無い見知らぬ人と共に騒いでいた。

 

「「「きゃあああああ、SAYAー!!」」」

「「「「「うおおおおおおおおおお!!(鼻血)」」」」」

 この世界中から殺到した応募の2億中10万人(会場に入るギリギリの数)しか当たらない二千分の一の確率で当選した幸運の持ち主達が時に興奮しすぎて鼻血を噴出させており(特に男達)、鼻にティッシュを詰めるというシュールな光景があちらこちらに見られている。


 ちなみに突貫工事で作られた特設ライブ会場は扇形ではなく中央から延びる螺旋状になっていて、これによって扇形では遠い客も螺旋型によってSAYAを身近に見る事が出来る。


「あ─────」

 なので当然凪咲の近くにもSAYAが接近し、凪咲がSAYAの顔を見て納得する。

(やっぱり似てる……)

 SAYAと自分(凪咲)。ずっと友達からも「親族か何か?」と聞かれるが美里家の親族にSAYAに似た人はいなく、唯一上げるとしたら自分の兄『火汰那』だけ。

 しかし火汰那は男性であってSAYAは女性(だと公式ホームページに書いてあった)なので仮設では火汰那が女装しているのではないかという事で、一時期火汰那が変な追っかけに逢ったのは記憶に新しい。まぁ、一時期ではなく今もたまに追われているのだけど。


 ♪♪~~~♪~~~~♪♪♪♪~♪♪~~~~~~♪~~~~~


「~~~~♪、っ!?」

「?」

 すると今まさに歌のメロディ部分に入って少し余裕が出来たSAYAが凪咲の方に近付いてきた時、何故かSAYAが凪咲を見て息を飲んだ。凪咲もSAYAがこちらを見てビックリしているのは分かったがその理由は分からない。


 ・・・・・・・・・。

 ・・・・・・。

 ・・・。


 そしてアンコール含め、5時間に及ぶライブは終了し凪咲は友達3人と会場を後にする。

「いやー、生SAYAサイコーだったぁー!」

「ねー。抽選応募にハズレた時はしょんぼりしたけどまさか凪咲が家族分3枚をくれた事には感謝だね♪」

「……私、一生目を洗わない」

「いや、意味分かんない」

「普通は手じゃね?」

「握手はしてないからせめてSAYAの雄姿をこの目に焼き付けるの。撮影器具(スマホ・携帯含む)の使用が禁止されてたから」

 友人の1人がしょんぼりしながら目が閉じるのを我慢している。いや、無理なのは分かっているが眼球が乾くって。


「確かに何で撮影が禁止なんだろう?」

「歌うのを阻害しかねないからじゃない? 全員がパシャパシャしたらSAYAの歌よりもシャッター音しか聞こえなくだろうし」

 皆の脳裏には不祥事で謝罪会見する誰かの映像とそれを撮影するカメラマン達のシャッター音が浮かんだ。確かに10万人が一斉に撮影なんかしたら絶対歌どころか曲すらも聞こえない。


「……にしても、似てたね、超」

「うん……。前々からDVD・BLとかで見ても似てるとは思ってたけどここまでだったなんて」←凪咲

「これってさ、やっぱりSAYAってナギのお兄さんじゃない?」

「だよね。お兄さんにウィッグ被せたら絶対こうなるって」

「けど兄さんは今日補習で学校だからそれはありえないよ」←凪咲

 凪咲の兄である火汰那は未だに記憶障害の時の欠席が響いて無理の無い様、時々補習が入っている。


「じゃあSAYAって誰なんだろうね」

「SAYAはSAYAよ。凪咲達家族とは確かに似てるだろうけど、この世にそんな有名人・芸能人にそっくりな人なんて沢山いるじゃない」

「じゃあ他人の空似でいっか?」

「そだね。どうせ結論は出ないし」

 と言って一同は結論が出ないまま話題は別の話に移り、カラオケ屋に移動した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「う~~………」

 ライブが終わった翌日、佐夜は私服に着替えグラサン&マスク姿で自宅前の電柱で唸っている。所謂怪しい人だ。

 帰省して母親の沙奈に会いたかったのだが、いざ家の前に着くと何か怖くなって躊躇しているのだ。

 しかも今日は日曜日。下手をしたらもう一人の自分(名前は『火汰那』という)や妹の凪咲と鉢合わせてしまう可能性があるから下手に凸出来ない。

 しかも凪咲とは昨日のライブでうっかり目が合ってしまっているのでもしかしたらSAYAの正体に気付いた危険もある。


「というか何で都合良く凪咲がライブに来ていたんだろう?」

 確かライブ会場に入れる人数は満員でも10万人。応募はこの世界中から集まっていて2億を超えていたらしく当たる確率は二千分の一。凪咲が自分のファンだっていうのは母から聞いていて当然ライブの応募はしたのだろうが、こんな身内に当たるとかどうみてもおかしい。

 ※:実は佐夜には内緒でリオの計らいで佐夜の家族4人分のチケットを送っていたのだが、両親は仕事、火汰那は補習&行きたくないで3枚分余ったので友達と行っていたのだ。


「まぁ、せっかく貰った休みなんだし行かないわけにはいかないよね」

 と、いよ決して佐夜は自宅に向かおうと電柱の陰から出た。


「はーい☆」

「うゎああああああああああああ!?」

 すると反対側に隠れていたのか母親の沙奈が目の前に現れたのでビックリした佐夜はマンガみたいに万歳&仰け反りし、グラサンとマスクが取れた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「久しぶりね佐夜。元気してた?」

「うん。色々と大変だけどね」

 帰宅する気満々だった事と、都合よく沙奈以外の家族全員が留守な状況もあって佐夜は誰かに遠慮する事も無く、次元転移に逢って以来の自宅に帰宅出来た事に若干泣きそうになるが泣くわけにはいかない。男の子だもんっ。

 ※:え………?


 父親(名前は『駿(すばる)』)は急遽入った会議で休日出勤。火汰那はバイト。凪咲は例によって友達と友達の家でSAYA談義しているので誰もしばらく帰ってこないらしいので佐夜はここぞとばかりに母親とお喋りする。

 再会した時言えなかったこれまで何があったのか、そしてイニシエに行って何をしていたのか等を。


「ふふ……」

 するとふと何かを感じた沙奈が優しく微笑む。


「ど、どうしたの急に微笑んだりして?」

「いや、だってね、すっかり女の子なのねぇって思ったら何だかおかしくって」

「はっ!?」

 指摘されてようやく気付く己の仕草に佐夜は頭を抱えた。

 なんせ椅子に座る体勢がX脚だしコップを持つ手の小指が立つなどの女の子らしい仕草、何より髪がちゃんと手入れされていて男の雑な髪とは明らかに違う。

 ※:これは単純に現在の性格上の問題で『俺』性格の時にはここまで酷くない。


 ガチャ─────


「あー、参った参ったー」

「「っ!?」」

 すると突然玄関のドアが開き、佐夜の代替人の火汰那が帰って来てしまった。


(佐夜、こっち隠れてっ)

(う、うんっ)

 幸いにも玄関からリビングは直接覗けないので沙奈は慌てて佐夜を棚の後ろに隠す。流石に埃がどうのとか気にしている場合ではない。


「お、母さんただいま」

「おかえりなさい。あら、今日はバイトの日じゃなかったの?」

「いやぁ、バイト先の空調が壊れているらしくて換気が出来ないから臨時閉店して業者を呼ぶんだって。だからバイトも休みになった。嬉しいけど何だかなぁー」

「そ、そう……」

 まさかバイト先にトラブルが発生するなんて思いもしなかった沙奈は心の中で汗だくになる。


「ん? 母さん、誰か来てたのか?」

「え? ええ、私の知人がさっきまでいたのよ。火汰那君と入れ違いで帰ったからもうこれ片付けるけど」

 すると目敏くテーブルの上に逢った2つのコップ&ケーキ皿に目がいった火汰那。スルーしろよ。探偵かお前?


「………母さん何か隠してね?」

「え、な、何も無いわよ?(゜∀ ゜)」

 名探偵火汰那が「何かあるな……」と確信し母親に迫る(性的な意味はない)。


「ぅ……わ、分かったわ。話すわ。これよ」

「っ!?」

 すると観念した沙奈が話すと言ったので思わず佐夜は「裏切られた!?」とショックを受ける。だがそれは杞憂に終わる。


「え、ケーキ?」

 沙奈は冷蔵庫に行き、そこから『佐夜がお土産に持ってきたイニシエのケーキ(ホールサイズ)』を火汰那の前に置く。


「その知人から貰ったケーキなのだけどとても美味しくってね。つい独り占めしたくなっちゃったのよね」

「あー、だから隠してたのか。でもケーキをそこまで隠すか?」

「食べてみれば分かるわ。はい」

「むぐっ!?」

 と、無理矢理火汰那の口にケーキを突っ込む。


「いきなり何すん───って何だコレ。美味(うま)っ!?」

 たかがケーキ如きで云々言っていた火汰那だったが突っ込まれたケーキを味わうとそれまで食べてきたケーキとは一線を越える味に目が点になるΣ(・x・)ノ。

 ※:ちなみに佐夜が持ってきたのはイニシエにある洋菓子店【イニシエ・ト・ライエ】の『苺ショートケーキ(ホール)』と『ブッ(ビュッ)シュ・ド・ノエル(チョコ)』。火汰那の口に突っ込んだのはショートケーキ。


「むぐむぐ……。あー確かにこれは独り占めしたくなるわな」

「でしょう? まぁ、見事に見つかっちゃったけど」

「ふ、罰が当たったのさ多分」

「かもしれないわね。それで今日はこれからどうするの?」

「秀一の奴も今日は休みだって言っていたからあいつの家に行ってくるわ」

「そう……。あまり遅くならない内に帰って来るんですよ」

「あいよ」

 そう言って火汰那は一旦自室に戻って着替え、リビングで火汰那用に切られたケーキを食べて幼馴染の家に行った。


「……佐夜、もう出て来ていいわよ」

「ぅ、けほっ、けほっ。埃臭いぃ……」

「あらあら。咄嗟の事とはいえごめんなさいね(´ω`;)」

 普段掃除しない棚の後ろから出て来た佐夜はすっかり埃塗れになっていた。


「流石にその状態で帰す訳にはいかないからシャワー、浴びていきなさい」

「え……」

 まさかのお風呂タイム突入(?)に佐夜は硬直した。

 というのも今回、ライブ(公式ホームページ)に合わせて佐夜はリオやセロから美里に憑依させて女性化しろという指示があり、現在佐夜は女の子。当然胸はEカップ(少し痩せた)。

 佐夜は基本、女性化中はなるべく自分の裸を見ない様にしている。当然その間はお風呂にも入らない(戻ってから入っている)。

 だが今回、まさかの自宅で母親にお風呂入れと言われて佐夜は動揺する。


「あわ、あわわわわ………(-_-;)」

 あわあわしてる間に佐夜は沙奈に背中を押され脱衣所に押し込まれた。


「……こ、こうなったらしょうがないよね。美里さん、僕に見られても問題無い?」

(いやいや、問題も何もアンタの身体でしょうに。好きにしたら(ニヤニヤ))

「……何でニヤケ顔なのさ?」

 恥ずかしがる佐夜を見てニヤニヤする幽霊の喜屋武(きゃん)美里。


 カポーン──────(お風呂に入っている時の謎の音)


「♪♪♪~♪♪~~~♪♪~♪~~~~~~~」

 という訳で、サービスシーン突入。

 最初は顔を真っ赤にし、出来るだけ目を瞑っていた佐夜だったが数分もすればすっかり慣れてしまった。慣れって怖い。

 ※・各自それぞれ想像力を働かせて妄想してください。当社は責任を負いません。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ガチャ──────


「ただいまー」

 只今の気温9度。友達の家から帰る道を歩くだけで足が凍える程寒い。昨日のライブ時の熱狂とはうって変わって死にそうだ。

 本当なら今日は昨日のライブを振り返っての感想や今までのDVD・BLを友達の家で見る予定だったのだが、途中でその友達に家族の急用で家を空けないといけないらしく、凪咲を含めた残りの3人は途中で帰る事になったのだ。


「お母さんは……お風呂かな?」

 美里家は玄関の近くに風呂場があり凪咲が帰って来たと同時にシャワーの音が消えたので恐らく丁度母親がお風呂を上がったのだろうと思い、凪咲は荷物を廊下に置き、脱衣所に手を掛けた。


「あらお帰りなさい凪ちゃ───ってちょっと待って!」

「え?」

 すると2階から沙奈が乾いた洗濯物を1階に降ろしてきたのを見て凪咲の手が止まる。

 が、時すでに遅し。凪咲がドアノブ(レバー式)を離したタイミングは下げた状態。つまり手を離して沙奈の方を向いた時には少しずつドアが開いていく。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「え?」←佐夜

「………え?」←凪咲

「あ……」←沙奈

 そして凪咲とタオルで身体を拭いている佐夜の目が合い、沙奈も「しまった……」と言わんばかりに言葉を失う。


「あ、ごめんなさい………」←凪咲

「あ、うん……」←佐夜

「………」←沙奈

 だがしかし凪咲は佐夜がSAYAだという事に気付かずドアを閉めた。


「………。………んん?」

「「っ」」

 一瞬、バレてないのかなと息を飲んた沙奈だったが、凪咲はその後凄い違和感を感じ眉を顰める。


「………。………? ………!?」

「……………」

 そしてしばらく長考し、とある仮説に辿り着いた。


「………あっはっはー。いやいやいや、まさかねぇー?」

「ふふふ……(汗)」

 頬を引き攣らせながら母親を見る凪咲に沙奈は汗が止まらない。


「ごくっ」

「………っ」

 そして遂に凪咲の手が再びドアノブに掛かり、脱衣所のドアが開く。


 ・・・・・・・・・。


「………あれ、誰もいない?」

「ぇ?」

 いよ決して中にいる者の正体を探ろうとドアを開けたが、そこには誰もいなかった。凪咲がそう言った時、沙奈はうっかり声が出そうになったが堪える。


 その後、脱衣所、及び風呂場を探したが謎の女性は何処にもいなかった。ちなみに美里家の風呂場、及び脱衣所は天井付近に窓があるが人が通れるほど大きくない為、そこからの脱出は不可能。つまり密室状態だ。


「おかしいな。さっき見た時SAYAがいた気がしたんだけど」

「き、気の所為よ。きっと昨日のライブの光景が頭に残っているだけよ」

「そうなのかなぁ………」

 う~んと腕を組んで悩む凪咲に沙奈が夢か幻だと言う。

 


「あ、危なかったぁ……」

 ちなみに当の本人はというと、凪咲が一旦ドアを閉めて考えている間に急いで着替えを終えて風呂場に行き(きちんと着られていないけど)、錬成術で壁を破壊。

 外に出て破壊した壁を修復する事で難を逃れた。

 だが急いで着替えた為、ショーツは穿いたがブラを着ける暇が無かった上、そのブラを洗濯機(勿論乾燥機付き)に残したままだ。


「凪咲の奴がそれに気付かなければいいんだけど……」

 それに火汰那は気付かなかったけど玄関に佐夜の履いて来た靴もあるからそれも早く回収しないといけない。


「ま、いっか。戻るとバレる可能性あるし。回収はまた今度来た時にすればいっか」

 が、やはり戻るのは危険と判断した佐夜はスマホの緊急信号ボタンを押し、亜空間にある小型艦に転送してもらった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「………またね、佐夜」

 その後、佐夜から『これ以上ここにいると凪咲にバレるから今日はもう帰るね。下着と靴は上手い具合に隠しておいてね』というメールが来たので沙奈は微笑み、心の中で佐夜を応援した。


「SAYAがいない~~~~!?」

 そして未だ佐夜が隠れていると思っている凪咲が家中を探しまくっていた。



次回は6章のQ&Aです。

佐夜の女性化が止まらねぇ……

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