第26話 ~滅落の危険~
ネタはあるのに執筆がなかなか進まねぇ……。
本業と趣味(あと睡眠時間)の時間割合がギチギチ過ぎる。
どうしよう……。
東と西の愚皇子達の(色んな意味で)下らない争いが起きる数時間前。互いの国の王族達が慌てふためいていた。
「あわわわ……」
「あの馬鹿……勇者が1人もいなくなっている時に何を考えている……っ」
「はわわわ……」
「父上、どうやら城下町の兵の話によると例の女神を追いかけて行った模様」
「うむ。恋煩いも甚だしいくらい迷惑な話よ」
「あわわわわ……」
「「あわあわ喧しいわ!」」
「はぅ!?」
王様と第2皇子が相談してる中、第1皇女が「はわわ……」とウロチョロし2人に怒られる。
「……とりあえず早くあの馬鹿を回収しなくては」
「そうですね。間違ってもウェスタの連中に「出し抜かれた!?」と思われて向こうから援軍が来ない様にしなければ───」
と、第2皇子【リョーメ】がそう思考していると、突然謁見の間の扉が開かれ兵士が駆け込んで来た。
「た、大変です! に、ウェスタから大量の軍が中央に進軍しています!」
「なんだと!?」
「あぁ……遅かったか……」
「はわわ……っ」
そう聞いて王様はくわっと見開き、リョーメは盛大に溜息を付いた。第1皇子は相変わらずはわわしていたが。
その後、何とかあの馬鹿【セロファン】だけは連れ戻そうと東の国は勇者や異界人抜きの状態で何とか冒険者や傭兵を雇い、騎士と共に中央平原へ乗り出した。あわよくばそのまま西の連中を追い返し今度こそ中央平原の地下水の利権を得る事も視野に入れながら。
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そして西の国も東の国にはもう勇者がいない事を周知しているので、第1王子【ケイズ】の起こした騒動に混じって(勇者を入れた)軍を大量介入し、東の国の跡取りであるセロファン諸共一気に東の連中を駆逐し、そのまま中央平原の地下水の利権を得ようとしていた。
「ククク、東の馬鹿め、たかが一人の女の為に跡取りを領地から出すとは愚かすぎて笑えるわ」
「いや、いやいやいや、我々も人の事は言えないでしょお父様」
「そうよ、こちらも下街を練り歩いていた愚弟がこの国に来ていた【サヤ】とかいうセロファンが惚れた女を寝取ろう(?)と勝手に兵を出したじゃない」
「……そうだな。……というか何でよりにもよって同じ女を好きになっとるんだあの馬鹿息子共はっ」
これが中央平原の地下水を巡っての戦ならばともかく、きっかけが『同じ女を好きになってどちらが貰うか』という当事者以外どうでもいいものなので西の国の王は思わず東の国の王に同情した。同情はするがこれはこれで絶好の好機なので逃がす手はない。
故にこのバカ騒ぎが勃発したと共に王は急遽、勇者を含めた兵を中央平原に出す事にする。
「勇者抜きの戦力差的に悪いなエルターニャの王。これも天命よ」
「は? 何言ってるの? 気でも狂った?」
「………」
「姉様、口が悪い……」
とても一国の王女とは思えない暴言に王様は顔を顰めた。
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「と、現状はこうなっているわけだ」
ルルセナが地図を指でならしながら皆に説明する。
協会メンバーの大半は今、西の国に滞在中で本来はここにいる勇者&異界人達の保護をする為に来ている。
だがある意味佐夜の所為で非常に面倒くさい事になろうとしていた。
「大半の勇者が中央平原に行っているこの間にこの国に残っている異界人と平原に行かなかった勇者達を回収する。というのが今回の作戦です」
ルルセナの言葉をティーナが引き継ぎ、ホワイトボードに印された場所をいくつか挙げる。言わずもがなそこは異界人達(物質界の人間)がいそうな場所である。
「中央平原での戦争(?)が本格的に始まってから終わるまでが結構時間あるな」
「ああ、だがそう時間も掛けていられないだろう。先ほどトウジマから不死者を捕らえたとの情報が入ったのだがその際、『滅落』注意報を出したそうだ」
「え、ちょっと待ってください! って事はもうすぐこの世界は………」
「近からず遠からず崩落するか消滅するな」
「そんな……っ」
くそ真面目な副委員長のガレストが淡々と言うルルセナの言葉に絶句する。
「つかそもそもこの世界に入る前に見たと思うけど、この世界を覆う外殻がボロボロだったの覚えてるか?」
「は、はい……確か近くで話していたティーナ先生が『これは時間との勝負ですね』と呟いてて……ってまさか最初から『滅落』する事分かってたんですか?」
「いんや? 確率的には半々で滅落予定だったから一応世界が治る事も視野に入れて活動していたんだぜ? 戦闘も小規模的な物が多かっただろ? あれは世界にダメージが入らない様に考慮してやってる。まぁ、流石にこちらが関与出来なかった勇者絡みに関してはしゃあないがな」
義信がヤレヤレしながら浜谷の質問に答える。
「え、ちょっと待って下さい! 我々や保護する勇者や異界人はともかくこの世界の住人はどうするつもりなんですか!? ………まさかこのまま?」
「……あぁ、流石に地球規模ではないが約3千万人もの人間を別の世界に移住させるのは時間的に余裕は無いし、空世界のストックも新世界も現状無いので移住は無理だ」
「そんな……っ」
目を閉じて若干苦痛の表情をしながら言うルルセナにガレストは再び絶句する。
というかこいつ登場回数はまだ少ないがいつも絶望ばっかりしてないか?
ピピピ、ピピピピ────(高音)
すると今度は全員のスマホに緊急の情報がアルゴノートより送られてきた。
「この音は『緊急警報』!? はい、一体何があったんですか!?」
≪いや何があったもメールで送ったでしょうに!?≫
すかさず皆を代表し、ティーナがメールを見ず直接アルゴノートへ連絡を取るとわかなにツッコまれた。
≪いやまぁ、メールだけだと不十分な所もあるだろうから説明するけどそれは先輩からしてもらうね。はい≫
≪ティーナさん、変わりました透です≫
「透さん。急に『滅落警報』を出すなんて何があったんですか?」
≪あぁ、それですか。実は………≫
ティーナの質問に透が答える。
事はこの世界に入る前に決められていた『外殻がボロボロなこの世界にこれ以上深刻なダメージを与えない事』が破られそうだという事に当たる。
つまり西と東がこのまま大規模な戦争を起こせば滅落する危険が一気に上がるという事だ。
だがそれならばもっと前に『滅落警報』を出せば良かったんじゃないか?
しかしあの時はまだ戦争シミュレーション的にまだ世界が滅落に至らない(イエローレベル)と出ていたのだが、その後に起きたアンヴェの最新状況を組み込んだ結果、この世界の滅落ラインは一気にレッドラインを越え、アンヴェは後数時間後に滅落するとの結果が出た。
「それで透さん。その最新状況って何が起きてるんですか?」
≪それは………≫
・・・・・・・・・・・・。
「「「「「えええぇぇぇぇっ!?」」」」」
透の放った言葉に皆は凄く驚愕した。
ここで一旦、現状を整理しよう。
アンヴェは今現状外殻に無数の穴が開いてて何時滅落してもおかしくない状況。
そんな状況の中、東エルターニャと西ウェスタが愚かにも中央平原の地下水を巡って戦争を行おうとしている。
ここまではいい。問題はこの後だ。
≪大半以上の兵を中央に持っていき、戦争を行っている隙に南と北の国がそれぞれ西と東へ軍を進め、乗っ取ろうとしています≫
「それってつまり戦場が一ヵ所から三ヵ所に増えるって事ですよね?」
≪そうです。一ヵ所だけでギリギリなのに戦場が三ヵ所に増える事でどう見てもこの世界へのダメージが致死量を大きく超える結果が出ています≫
透の出した結果に皆は押し黙るしかない。ちなみに協会や機関が武力行使で止めても良いのだが、それはそれで世界にダメージが入るのでNGだし(寧ろこっちの方が世界の寿命が縮まる)、話し合いで解決するなどもってもほかだ。
「そうですか……。それで、残された時間は後どのくらいですか?」
ティーナが覚悟を決めて問う。
≪ずばり、もって後31時間弱、といった所でしょう≫
「31時間!?」
「短すぎる!?」
残り2日も無いという現実に皆動揺する。
≪といってもこれはあくまでもシミュレーションなのでいざ各地で戦いが起きれば崩壊が早まる可能性があります≫
「なるほど。つまり出来るだけ時間を稼ぎつつ異界人達を回収すればいいのだな?」
≪ええ、ちなみにもう機関の方にも連絡を取って既に協力を取り付けて東の国の時間稼ぎのための防衛に回って貰ってます≫
「じゃあ俺等は西の防衛に回るんだな?」
≪いえ、半分だけです≫
「へ?」
機関が東に回るならてっきり協会は西の防衛に回るものだと思っていた一同はみんなして変な声が出る。
「──1部の人数は東の国に回ってもらい、残りの半分は北と南へ行ってもらう」
「なるほど、大量の兵がいない隙にそこに住んでいる異界人の回収をするのでござる───ってゼロ殿!?」
「いつの間に!?」
いつの間にか簡易会議室に転送して来ていたゼロが割り込む。ちなみにいずみとさなえ、花蓮も一緒だ。
「無駄話は後だ。とりあえず優先すべきはこの世界に残っている異界人の保護だ。その後、どうするかはその時決めればいい。透、後輩に各国の都市から離れた村や集落にいる異界人の捜索を大至急行え。そしてお前はこの世界の管理人と管理室を探してくれ。こちらも早急にな」
≪了解です。ついでにあの計画についても準備を進めます≫
「任せる」
そう言ってゼロは勝手に通信を切った。
「ゼロさん。あの計画とは?」
「ん? ああ、佐夜に関する事だ。条件が揃って上手く行けば───この世界は滅落せずに救われる」
そう断言するゼロにティーナがゴクリと息を飲んだ。
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「はぅっ!?」
ゼロがそう言ったのと同時に佐夜の身体がビクンッと跳ねる。
「どしたの佐夜っち、絶頂した時の様な反応して?」
「イッたってアンタね……」
いきなりエロいことを言い出した優李に詩紗がジト目。
「分かんない。何か急に背筋が……」
「背筋て。……どうせまた誰かがアンタにアイドル活動させるつもりなんじゃない?」
「こんな時に?」
滅落の危機があるというのにアイドル活動とか意味が分からないと佐夜は眉を顰める。
「お、何だ? 佐夜また新曲出すのか?」
「うるさい馬鹿!」
「何故にのはぁっ!?」
微妙に体調と機嫌が悪くなっている時に覚助が声を掛けてきたので、先ほど佐夜を女の子だと錯覚していたらしい覚助を警戒する様に飲もうとしていた未開封の缶ジュースを投げつけた。
「仲が良いのは宜しいが任務を忘れるなよ」
そしてそんな馬鹿をやってる連中をゼクターが一睨みして黙らせた。
やはり睡眠時間を削るべきかな………。
ま、いっか。
ではまた。




