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第22話 ~アニカの姉~

左手、治ったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!


はぁ、しんどかった………。


と、いう事で次回からは通常通りに更新できると思います。


右手痛い←腱鞘炎気味?


「おーい、アニカー?」

 アルゴノートから勝手に転送を使って抜け出し、佐夜に会う為アンヴェに降りたアニカを探す為、リオ達は南の国【レレイ】に来ていた。アニカの転送先のログを探ったらここに来ているらしい。


「アニカー」

「おいおい、流石にそんな所にはいないだろ」

「分っかんないよ~? あの子アンデッドだし」

「いやいやだからってゴミ廃棄場には……」

 だがリオが探しているのは何故かゴミ廃棄場。いくらアニカが死者(アンデッド)だからってゴミ溜めにいるとは限らないしそもそもアンデッドはゾンビだけではない。ゾンビ=腐ってる⇒ゴミ場とかどんな偏見だよ。


 アニカがいるであろう街の中にはリオとシャルル、東島と寝郎が入り、アニカを中から探す。ちなみに街郊外には残りのゼリア軍がバラバラに手分けして捜索してもらっている。あいつ等、固まると目立つからなぁ。


「……それにしてもこの世界は色々と変ですね」

「変?」

 「いないなぁ~」と当たり前の事を言うリオにシャルルがここに来て思った事を口にする。


「私はこれで2回目の異世界ですが、何と言いますか……前に事故で飛ばされた世界と違い、この世界は今にも崩壊しそうな危うい感じがプンプンします」

「ほぅ? お前、『滅落(フリーゲシュ)』の予知が分かるのか?」

「『滅落(フリーゲシュ)』?」

 思わず東島に見つめられ、ドキッとしたシャルルだが『滅落』という聞き慣れない単語に首を傾げる。


 『滅落』とは所謂(いわゆる)世界が滅びる事を指す。

 だが世界が滅びるといっても色々な滅び方があり『滅落』とは滅ぶ世界の総称を指す。

 ちなみに滅落には

『(スラムへ)崩落』

『(システム異常の為)凍結』

『(エネルギー極大や融合などで)消滅』

『(資源やエネルギーがまだ残留しているので)残骸』

『その他』

 と5つの意味合いがあるが、滅落が起きるタイミングというのは協会や機関メンバーでも起きる直前にしか察知できず、大体は予兆が起きてから退却準備を進めるのだがシャルルの様な事前に世界の異変に気付ける者の貴重さはどの組織も欲しそうな人材だ。


「ちょっと待ってよシャル。崩壊って危険が危ないじゃん!」

「危険が危ないって……」

「お前の言動が危ないわっ。いいから少し落ち着いてアニカを探すぞ」

「落ち着けって無理だよ。だって滅落するんでしょ!?」

「予感がするだけで今すぐ滅落する訳じゃ無い。それに俺達が今ここで引いたらアニカが危ないだろ。色んな意味で」

「色んな意味?」

「ZZZzzz………」

「いい加減、起きろ」

「ふぁっ!?」

 シャルルの疑問に答えようとした東島だったがその前にずっと寝ている寝郎を叩き起こした。


 言わずもがなアニカはアンデッドだ。それも死んだ者ではなく、大量の異界人の遺体が何かしらの異変でそこにあった全ての遺体を何かが咀嚼、食べて吸収・融合する事でピンク髪の死霊王(アンロード)アニカが産まれたのだが、そのアニカが持つ異様で要領の掴めない謎のエネルギーにゼロは眉を顰め、制御もアニカの解明も時間が無いので佐夜にアニカを預けてアニカの精神を安定させようとした。

 だが佐夜も暇ではなく幼い精神のアニカを置いて現場に戻ってしまったが為、こうしてアニカの寂しがりが限界を超え、アニカがここに来てしまったのだ。


 これがもしアニカではなくリオならばここまで事態は悪化しなかっただろう。

 だがアニカはアンデッド、それもブラックボックスだらけの超危険な存在だ。万が一敵対組織に捉えられ利用されればどうなるか、ゼロどころか神のマロンでさえ分からないだろう。故に一刻も早くアニカを確保しなけりゃいけないのだが……。


「いないね」

「そりゃいませんよ」

「だからこんな所にいる訳ない……zzz」

「だから寝るな」←寝郎に強めのチョップを噛ます東島。

「ふぁっく!?Σ(゜□ ゜)」

 何故か居なさそうな場所を探したり、色々とグダグダな事をやったりと一向に捜索のヒントが得られない。


「本来なら1人ずつ手分けして探した方が効率はいいが今、何が起きるか分からないから2人ずつに分かれてアニカを探す。シャルル、お前はリオと組んでくれ。俺はこいつを叩き起こしつつアニカを探す」

「おっけー」

「わ、分かりました」

「暴力反対ぃぃ………zzz」

「寝るな!」

「ワホイッ!?Σ(〇Δ〇)」

 天丼頂きました。


 ・・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・。

 ・・・。


「なるほど、協会(ヴァルハーレ)とはそんな組織なのですね」

 東島と寝郎と別れ、シャルルはリオとアニカと呼ばれる女の子(?)を捜索しつつ、協会における規定をリオから簡単に聞き出す。詳細は第2~5章にて。


「ってかさシャル。協会に入る気満々じゃん……」

「ふぇっ!? い、いや、そんなつもりはっ。私はただ東島さんの側にいたいなぁって………」

「ガチで入る気満々じゃん(゜∀ ゜)」

「何でニヤニヤしてるんですか!」

 思わず顔文字で表現出来るくらいニヤニヤしているリオにシャルルはプンプン怒るが全然怖くない。

 ……ちなみに少女達の戯れの様に見えなくも無いが、この2人は男の娘です。


 そんなこんなですっかりアニカの事が頭から離れていた2人だった。


 が、

「おい聞いたか? 最近ダンジョンや外の魔物に襲われて死んだ冒険者の遺体が消えてる噂」

「ああ、何でも死体の原形が残ってる物が優先的に消えてるんだってな」

「魔物が入った形跡も無いっていうから多分誰かが持ち去っていってるんだと思うけど何に使うんだろうな?」

「そもそも死体を持ち去るとか罰当たりじゃね?」

 と、すれ違った兵士の話が耳に入ったリオの足が止まる。


「そういやその噂と共にここいらじゃ見慣れない奴も出て来たな」

「ああ、それってあの貴族っぽい恰好した女の子だろ? ピンク髪(・・・・)の」

「「っ!?」」

 貴族っぽい恰好(恐らくこの異世界の服)とピンク髪というワードで2人はここにアニカが来ている事を確信し、世間話をしていた兵士に話を聞く。


 ・・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・。

 ・・・。


 バンッ!


「アニカ! ───あ!」

 そして兵士達にアニカらしき者が潜伏してるであろう場所を聞き、ノックもせずにドアを開け放つ。そしてピンク髪の女の子が椅子に座り、向こうを向いたまま何かを食べている。


「まさか……。アニカ!」

 と、リオは後ろを向いているピンク髪の女の子の肩を掴み、食事を止めさせる。


「あ? 誰よアンタ。食事の邪魔しないでくれる?」

「………誰?」

 ジト目でこちらを見つめて来る女の子にリオは目が点になった(・_・)?。


「え、この人がアニカさんじゃないんですか?」

「違うねー。同じ髪の色だけど顔が違うし、アニカはロングだけどこの子はツインテだぁ」

 まさかの別人だった事にリオが項垂れる。


「ふぅ……。で、何よアンタ達、他人の食事を邪魔するどころか不法侵入するとか非常識じゃないかな?」

 とりあえずリオ達をスルーして食事をしていた少女が食事を終え、眉を顰めて咎めてきた。


「う……ごめんなさい。知り合いが行方不明と聞いて探してたんだよ」

「す、すみません……。………え?」

 明らかにこちらの非なので謝る2人だが、シャルルが目にしたのはテーブルに乗っている『調理された人の腕や足(豚足的なアレ)』それに大皿に乗せられた『脳みそ的なアレ』。それを見て顔が蒼くなる。


「ん、どしたのシャル、顔が蒼い……よ………」

 シャルの視線が固まったのを見てリオがそっちに視線を向けると同じく固まった。


「? 2人共固まっちゃってどうしたの?」

「どうしたって、それ……」

「それ? ああ、これね。美味しいよ?」

「美味しいって……」

「嘘でしょ……」

 こんがりミディアムな腕部分をプラプラさせてにこやかに言う少女に2人は言葉が続かない。


「それとこの脳味噌もコクと風味が最高なの。食べる?」

「ノー!」

「け、結構です!」

 フォークで人の頭部を突き刺す光景で2人は少し吐きそうになりながらも必死で拒否。某・バイオ的なアレじゃないがグロすぎる。


 その後、2人は調理された死体をなるべく視界に入れない様にこのカニバ少女と会話する。名前は【メイファ・Q=グリーム】、通称メイファというらしく、このメイファはアニカと同じアンデッドの様だ。ただ、わざわざ生きている人を殺す事はせず、あくまでも死んだばかりの新鮮(死後24時間以内)な死体を食しているらしい。

 ……けどやはりどうしても死体が気になってしょうがない。

「さっきから気になっていたけどアンタ等だって牛やら豚やら鶏とかの死体食べているじゃない。何で人間はダメなの?」

「何でってそりゃあ……ねぇ?」

「ええ……同じ人間だからです」

「ふぅん……理解は出来ないけど納得するしかないね」

 リオ達の倫理はメイファには通じないみたいだ。そもそも最初からアンデッドなのだから当然である。


「にしてもメイファと同じアンデッドね……。それってこの世界で産まれた子なんだよね?」

「そだよ。うちで保護してたんだけど逃げ出しちゃってねー」

 逃げ出した理由はあえて言わない。


「一応聞くけど、その子が産まれた場面って知ってる?」

「リオはその場にいなかったけど仲間達が見たんだって」

 マック達が遺体の処理していた時の事を話す。


「じゃあやっぱりその子はメイファの妹って事になるのかな?」

「え、どゆこと?」

 メイファの出した結論にリオの理解が追いつかない。


「簡単な事だよ。メイファも元々大量の死体から産まれたアンデッドだから。そしてその時大量の死体に特殊な術式を埋め込んで一つのアンロード、つまりメイファを作り出したのがメイファの父様よ」

「それとアニカに何の関係が……?」

 食事後の紅茶を優雅に飲みながら説明するメイファにゴクリと緊張が走る。


「分からない? メイファも父様もお爺様もこの世界の住人ではない。けど今ここにメイファはいる。……じゃあ父様とお爺様は?」

「ま、まさか……」

「そ、父様は東の国で放置されていた大量の異界人の遺体に術式を埋め込み、その術式が大量の遺体を飲み込むまで少し時間が掛かるらしくその間に他の場所に移動している隙に貴方達がそこにやって来てしまいその子を回収してしまったって事ね。あぁ、道理でここの所、父様の機嫌が悪かったのかー」

「「っ」」

 メイファの他に不死身のアンデッドが2人この世界に来ているという事実にリオとシャルルは動揺を隠せない。


「……さて、アナタ達の目的と父様の目的が分かった所で───殺合(しあ)いましょうか」

「っ!?」

「っ、回避『影八相』!!」

 すると突然当たり前の様に即死技を繰り出してきたメイファにシャルルは突然過ぎて身動きが取れず、代わりにリオがシャルルの手を取って忍びの技でメイファの潜伏宿から脱出する。


 ガシャンッ!


「く……っ」

「痛っ」

 だが背後から鞭の様に迫って来た植物の触手の様な物に掠った為か着地に失敗し2人して転ぶ。


「へぇ、突然の不意打ちをよく回避出来たね」

 そしてメイファがゆっくり扉から出て来る。余裕のよっちゃんだ。


「……わざわざ殺す必要無いんじゃなかったの」

 小刀と銃を構えて言うリオは警戒を怠らない。何せ相手は恐らく植物を操る系の能力を持っている。他にも色々ありそうだが今は分かっている事だけに集中する。主に植物という事で地面への警戒を、だ。


「本来は、ね。けどメイファ達アンロードとアンタ達の目的が同じなら……戦わない運命は無いよね?」

「目的の内容によるんじゃないの、それってさ!?」

 例えば片方が殺害で、もう一方が保護ならば話が分かる。けどメイファからはまだ何も聞いていない。


「正直その子の事や父様、御爺様がやっている事には興味が無いの。……なので戦う理由っていってもそんなのはただの建・前」

「え、それってつまり……?」

 「まさかでしょ?」と言わんばかりにシャルルの頬が引き攣る。


「単にメイファが暇だから暇つぶしになって(はぁと)」

「「暇潰しかよ!?」」

 ただの暇潰しで襲ってきた事にリオはともかくシャルルまでツッコんだ。


「それにメイファの父様は大の『男の娘』好きだから」

「父親が変態です!?」

「というか性別バレしてるし……」

 恐らくアンデッド特有の嗅覚が微妙な性別のフェロモンを嗅ぎ取ったのだろう。


「あ、勿論食べ物というでね。アンタ達を殺して差し出せば父様は喜んで何でもしてくれると思うし」

「食べられるの私達!?」

「どんだけ美食家なのさ!?」

 筋肉質な男でも柔らかい女でも脂肪たっぷりのデブでもなく『男の娘』が好みとか。ホント、この小説には変態しかいないのか!?


「───と、バカな話してる間に捕まーえた♪」

「っ、しまった!?」

「って、何でアンデッドの君が『光魔法』を使ってるのさ!?」

 アンデッド=基本闇属性、という前提を覆すような光属性の拘束魔法を喰らう2人。一応リオは全性対策はしていたものの、まさかここでアンデッドが光属性魔法を使ってくるとは思ってもいなく、あっさりと捕まってしまった事に歯噛ゆむ。


「ふふん。そういう『何でっ!?』って顔が見たくて習得した魔法だけど、便利だよね。なんせ勝手に相手がこっちの属性を『闇』だと油断してくれるから♪」

「くぅ~~~~~っ」

 これが影縫いとか氷結とかなら抜け出す方法もあるんだが、まさか『ホーリィレイ』で拘束してくるなんて夢にも思わないだろう。ジタバタしようにも拘束に使っている物は『レイ』なので下手に暴れたら身体が細切れになる。即死だ。


「んじゃ、なるべく傷を付けずに殺すから動かないでね」

「「~~~~~っ」」

 指先を光らせ、その射線の先は2人の喉元。先ほども言ったがこの一族は脳や心臓(モツ)なども牛豚同様に平然と食べる為、出来るだけ食べない所で殺すのがこの一族の常識らしい。


「シャル……リオの手を取って」

「え……?」

「いいから……っ」

 反撃をさせまいと少し離れた場所から狙っている為、中々狙いが定まらない隙にリオがシャルルに手を伸ばす。


「ふーん。最後は仲良くお手て繋いで死のうって事? なら一緒に殺してあげる」

 狙いが定まり指先に光が集まる。


「……残念でしたー! っ!」


 バァンッ!!


「っ!?」

 そして発射される直前、リオが不敵な笑みを浮かべ、シャルルと繋いだ手と反対側の手で自分の頭(・・・・)を狙い、撃った。


「リオさん!?」

「な、何を……!?」

 流石に自害するとは思っていなかったのかメイファの指に集まっていた光が飛散する。


「リオさん、しっかr────」

 それと同時に拘束していたレイも消えてシャルルがリオの元に向かおうとするが、その瞬間自害したリオとリオに接触して(・・・・)いた(・・)シャルルの姿がその場から消える。


「え……消えた? 一体どこに………」

 いきなり自害したと思ったら突然そいつと相棒(?)が消えた事でメイファは困惑する。


「………。………。まぁいっか。どうせ目的は一緒の様だし今度会ったらイジメてあげる♪」

 少し長考したが結局何でリオが自害したのか、そして2人が消えたのか、結論が出なかったので思考を放棄し潜伏していた建物に戻る事にした。










「それはちょっと勘弁してもらおうかな?」

「!?」

 すると今度は先ほどまで周りに気配や索敵反応が無かったのに、メイファが後ろを振り返るとそこには、


「まさかあのリオが手も足も出ずに自害するほどの敵なんて……。周りに他の人はいないし、アンタなら少し本気を出しても大丈夫そうだね!」

「───────」

 真っ赤な長い髪と立派な角(つの)が付いた膨大なまでの魔力を秘めた真桜がそこに降臨(転送で直接来たんだけど)し、その膨大な魔力とその風貌に今度はメイファが愕然とした。



いくら趣味だからといって片手が壊れたらストレス半端無いですよ、これ。

皆さんは腕はともかく『手』は壊さない様に。何も出来なくなるから!


ではまた。

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