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第13話 ~半蔵論破?~

GW~~~!!

惰眠を貪りたいですね。


 シュン──────


「ごはぁっ!?」

 アルゴノートの『死者蘇生部屋(リザレクションルーム)』にリベッタが転送される。勿論逆さまの状態で。


「痛つつ……ここは、アルゴノートか?」

「ああそうだ。おかえりリベッタ」

「月(るな)……か? って事はあたいしくじって死んじまったって事か」

「しくじったというか攻撃自体は実に有効だったらしいぞ? お前が死んだのは単に着地時の衝撃を殺しきれずに自爆したんだ」

「……マジで?」

「大マジだ。しかも犬〇家状態で地面に突き刺さっていたらしいぞ? 見るか?」

「い、いい! 犬神〇が何なのかは知らないが碌なもんじゃないだろ!?」

「……。ほれ( ̄ー ̄)ノ」

「ぎゃあああ、やっぱり碌なもんじゃない!?」

 ややS気の月(るな)がいじめっ子全開で戦闘の様子を録画したものを当の本人に見せ、リベッタが絶叫した。


「……何をやってるんだあいつら?」

「さぁな」

 遠くから月(るな)に保護されたベレッカと重貴が覗いていた(特に意味はない)。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 そしてこちらは現場の西の国ファファの都市【モンカ】の有名大型宿泊施設。そこのロビーに置いてあるテーブルに両手を叩きつけて嘆く生徒がいた。


「くそっ、早くも2人目の犠牲者が出るなんて……っ」

 とても悔しそうに嘆くこの男子生徒の名は【ガレスト・ジョガン】。伊達眼鏡の似合う物質界カテゴリーB世界出身の副委員長だ。

 ちなみにガレストの能力(スキル)は空気に圧力を加える能力『エアー』だが、スキルレベルが低いので今は『空気砲(手で殴る程度の威力)』程度の物しか作れない。

 だが見えない打撃はそれなりに有効なのでレベル自体はまだ低くても261期生の中では結構ランクが高い。


 そんな彼だが、実は結構な純情派で仲間思いな傾向が高く、明るい性格の者(リオとか優李とか)には人気だが月(るな)や詩織(信長)などの影(闇)がある暗い性格の者にはウザく思われている。割合で言うと6:4。


「いや犠牲者って、別に死んだわけじゃないだろ」

 で、その彼の近くにいる同じ世界出身の男子【浜谷 浩平】がウザったくツッコむ。ちなみに浩平の能力は『温度上昇(ヒートアップ)』。触れた物の温度を上げるほぼ使い処の無い能力だ。


「そうだが我々の預かり知らない所で戦闘不能者が出たのだぞ!? 悔しいとは思わないのか!?」

「いや、だから死んでないんだからいーだろそんなの。そもそも誰も無敵じゃないんだから誰がいつ死んでもおかしくねーだろうに」

「それはそうだが───」

「だから落ち着けって!」

「れーるがんっっ!?」

 隙だらけの脇腹を手刀で突いて黙らせる。


「何騒いでるの?」

「ん、優李か。何でもねーよ。単に2人も死んだからこいつが騒いでるだけ」

「あー、そゆこと」

「ん」

 ガレストの性格をよく知る2人はそれだけで通じる。


「そういや実際に戦闘をした花蓮(いんちょー)に話聞いたんだけど、東と西の国で勇者が持つスキルに違いがあるんだって」

「どう違うんだ?」

「何でも『聖闘士化(せいんとか)』っていうマリヲのスター状態みたいなスキルがあるんだって」

「は? 何だそれ、無敵じゃねーか!?」

 浩平の脳裏にはピカピカに光る勇者像の姿が。ちなみにモデルは正義。


「でも制限時間が1~2分と短くて、インターバルが5分あるからその間に仕留めないとめんどくさくなるんだって」

「なるほど。つまり無敵状態に遠慮なく攻めて来られ、切れた状態の時にはひたすら防御か回避、援護や撤退されるわけか」

「だから無理矢理ベレッタが完成してない秘奥義で敵味方巻き込んで攻撃し、自爆のダメージで死んだらしいよ」

「アホだ。究極のアホだ」

 優李のスマホに送られてきた画像を見て浩平が頬を引き攣らせ、ガレストが「ぶふぉっ!?」吹いた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「……やはり身体を拭くだけでは気分転換(りふれっしゅ)には程遠いな」

 桶に濡れタオルを入れて持ち歩く詩織が「湯船に入りたい……」と呟きながら施設内を歩く。

 この施設───というよりこの世界には水道はあるが有料な上、風呂なんてものはある訳が無い。故に研修に来た生徒達は皆、濡れタオルで拭くしかなく詩織だけではなく皆、ちゃんとした風呂に入りたいと思っている。

 故にアニカ事案で定期的にアルゴノートに戻っている佐夜とリオが風呂に入っている事をみんな知っている為、佐夜とリオは少し羨ましがられている。


 ----からそ--研-なの-------なく………


「……ん?」

 するとその先の曲がり角から複数の話し声が聞こえる。声の数からして3人居るみたいだがその内2人は誰なのか既に分かっている。


 ティーナとルルセナだ。知らない男と話している模様子。


 気配を殺して話を盗み聞きしよう。

 

 詩織は気配を消しつつ壁に沿って耳を傾ける。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「協会は本当に分かっているのか? 事を荒立てればどうなるのか」

 どこをどう見ても忍者にしか見えない男がティーナとルルセナに話している。


「そんな事は十分に分かっている。その上での研修だ。もし次元戦争にでも発展しそうな時はすぐに撤退する様に指示を受けている」

「そうです。それに生徒と異界人さん達(召喚勇者と次元迷子者の事)を出来るだけ損失させない様、危険な状況になれば私達も手を出しますし」

 忍者の質問に2人が反論。


 だがしかし、

「だがそれでは手遅れになる事もあるだろう? 聞いたぞ、街道での戦闘で死者が出たそうじゃないか」

「そ、それは……」

「く……っ」

 忍者【半蔵】がジト目で指摘するとティーナとルルセナはそれ以上何も言えなくなる。


(確か、受けた報告では椿姫達が無駄に戦闘を長引かせた所為で援軍が到着し容易に倒す事が困難になったが故、りべったが自爆技(?)を使用して仕留めたが死者も出てしまった、か)

 曲がり角の向こうで先ほど『すまほ』とやらに入って来た情報で確認済みだ。


 ちなみに詩織はこれでも結構な実力の持ち主(元の世界での話)で地元でも町娘に扮しながら町を散策し、部下達が血相を変えて自分を探しに来るも、気配を殺してあちこちに隠れていたのでお陰で気配遮断のスキルは高い。


「丁度いい。そこの武将娘にも話を聞こうか」

「っ!? ………(`ヘ´)っ」

 だが相手は忍者。気配を殺す事と人の気配を読む事に関しては詩織の方が数段劣っていた様だ。あっさりとバレたのがショックだったのか不貞腐れた表情で3人の前に来る。


「で、話を聞いていたのだろう? 貴様はこの不甲斐ない奴等をどう思う?」

「どう思う……か」 

「「………」」

 正直言って街道での戦闘は現場にいなかったこの2人には責任は無いように思う。が、確かに『戦闘を長引かせた』事に関し、講習では『短時間で倒す』様な事は一切教わってこなかった。そういう意味では組織としての不手際が大きい。

 なんせその所為で保護すべき者達と現地人の命が無駄に散ってしまったのだから。


「正直言うと確かに戦闘を長引かせて苦戦したのはあやつ等で、その様な時の対処法は前もって受けておらん上、先輩達も手を貸さなかった所為でりべったが強制的に戦闘を終わらせた事で死者が出た。これだけ状況証拠が揃うと確かに協会が悪いと言われてもしょうがあるまい」

「そんな……っ」

 腕を組みつつそう言うとティーナがショックを受けた。


「だが草よ。そういうのも含めて『研修』なのではないのか? 最初から完璧に物事を出来る者などそうそういないであろう。人は失敗、成功を繰り返して成長するものだ。こんな初めの失敗でどうのこうの言うのは甚だおかしいのではないか?」

「く……っ」

「よし、よく言った! ……ひっ!?」

 だがここで逆に言葉の刀を切り返した詩織は半蔵に問う。反対に安堵しながら口を挟むルルセナに「貴様は黙ってろ」的なガンを送ると何故か怯んだ。いやアンタ先輩やろ。

 ちなみに『草』とは忍者(忍)の事を指す室町時代の名称。


「それに理事(まろん)とやらも言っておったぞ。「勘違いをしてはいけませんが、私達は慈善事業ではありません」とな。で、あれば『多少の人斬りも考えねばならない時もある』という事であろうな。恐らく『はんたー』という者達がそうなのだろう」

「貴様、そこまで……」

 まさかそこまで考えが至っていたとは思わなかった半蔵が後退る。


 元々、尾張の領主であった信長こと詩織は頭の回転が速い、いわゆる高IQの持ち主なのだ。なので他の者達より物事を遠く考える事が出来たのだが(外国進出など)、誰も信長の考えに着いてこられず終いには『うつけ姫』とまで呼ばれるようになったのだ。

 ※:あくまでもこの作品内での設定です。


 話が少しそれたが半蔵は協会の不手際をティーナ達の後輩である詩織に言い、出来る事なら協会に失望し脱退させて機関にヘッドハンティングしようと考えていたのだ。

 だが流石の半蔵も信長である詩織の頭の回転の速さまでは考えておらず見事に論破されてしまった。


 更にここで更なる乱入者が登場。

「にゃー! 何でハンゾーがここにいるの?」

「っ!? っぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!?」

「わ、何だ急に叫んで!?」←詩織

「リオ?」←ティーナ

「やほ、帰って来たよ~♪」

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?」

「うっさい!」

「ぎふっ!?」

 佐夜と共に帰って来たリオが半蔵の背中から跳び付き、半蔵が悲鳴を上げつつリオを首に引っさげたまま周りを走り回る。流石に耳元での大声が煩いのでリオは『北斗残〇拳』にて半蔵を落とし、引き摺って皆の元に戻ってくる。


「あ、戻ってきた」

「はろはろ~♪」

「「「………」」」

 見た目身軽そうなリオが軽々と細マッチョを引き摺ってくる姿に佐夜と詩織、ルルセナは頬を引き攣らせるしかない。


「それにしても何故この人、リオが背中に乗っただけで絶叫したんだ」

「え? ああ、半蔵さんは『男の娘』が大嫌いなんですよ」

「は? おかまじゃなくてか?」

「リオ、オカマさんじゃないよ!?」

 詩織の『おかま(オカマ)』発言にリオが過剰に反応した。まぁ、似て非なる物だしな。


 実はこの半蔵、過去に地元世界で里一番の美人と言われたくノ一と付き合っていた事があるのだが、実はそのくノ一が男だったことが初体験で発覚し、その男の娘くノ一の股間にあるもの(・・・・)を至近距離で見てしまい、それ以降、ハニトラを警戒し、男の娘は勿論、胸の薄い女子までも「こいつもしかして……」という疑心暗鬼に陥るくらいトラウマになってしまった。

 ちなみに見た目で男だとすぐ分かる『オカマ』なら問題は無いのだが、見た目じゃ分からない男の娘だから処理に困る。


「てゐっ!」

「みかわっ!? ……はっ!?」

「起きた!?」

「うおおおおおおおおおおおおおあだっ!?」

 自分で落としたとはいえ、このまま寝かせたままだと戻すのがめんどくさいので手刀で起こし、起きた半蔵の視界に再びリオの顔が映った途端凄い勢いで後退り、壁に激突する。


「お、俺に近付くな!?」

「ええ~、何で~?」

「いや理由分かってるだろ!?」

「うふふ~♪」

「う、うわああああああああああああ───」

 理由は既に分かっているリオなのだが、男の娘嫌いな半蔵の怖がる顔がゾクゾクするのか、ニヤニヤしながら半蔵に近付く。


「そこまで」

「うにゃ!」

 が、流石に嫌がる者をイジメる光景を見過ごせない佐夜がリオを止める。


「はぁ、はぁ……助かった………」

 リオが離れて行った事でようやく一息つく。


 しかし、

「大丈夫ですか?」

「っ!?」

「え?」

 と、先ほど半蔵の事を聞いた(自分の事を男の娘だと思っていない)佐夜がうっかりリオと入れ違いで近付いてしまい、再び半蔵の息が詰まり、

「ぎゃああああああああああぁぁくぁwせdrftgyふじこlp!?」

 そのまま有名な悲鳴を上げながら半蔵は泡を噴いて再び気絶した。


「流石さやや、自分で止めを刺すなんてやるぅ~」

「そんなつもりはない!」

 全く持って男の娘の自覚の無い佐夜であった。



こうも見事に男の娘嫌いな人ってそうはいないですよね?

半蔵もリオも忍者だし何かしらの因縁がありそうかな?

次回は早めに更新できそうです。

ではまた。

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