第12話 ~犬〇家(笑)~
今回は作者が体調不良のため短めになっております。ご了承ください。
GWまでには直して連続投稿できるようにしたいですね。
「凄く心配だ」
「どうした清良。そんな浮かない顔して?」
西の国【ウェスタ】に直転した協会メンバーの一番後ろを歩く第4の男の娘、セーラこと【七原清良】が何やら後ろ髪を引かれるような心配顔をするのでそれに気付いた健太が声を掛ける。(って、誰が男の娘じゃ! by清良)
「いや、な。バスに置いてきた椿姫が言ってた『もしかしたら何か騒動が起きて戦闘になるやもしれん』で俺はさっき「そんなわけないだろ。あっても精々ドラゴンとか迷彩が効かない魔物と遭遇するだけだろ」って言ってな。……後々になってよく考えればドラゴンとか迷彩の効かないモンスターに出会った時点で十分な騒動だなーってさ」
「あー、確かにこの世界に来た時も深紅龍だっけ? それに補足されてたからな。また何か問題にぶち当たる可能性は十分にありそうだ」
「だろ?」
2人してやれやれと溜息をしつつ、前を歩く協会メンバーに追いつくよう少し歩を速めた。
まさか本当に問題が起きていようとは、ましてやマックに懐いているドラゴン絡みで起きていようとは思いもせずに。
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「喰らいな、居合撃ち『急所ショット』!」
「なんの! 聖闘士化!」
「ちっ、またそれか!?」
適度な距離から秘技を繰り出すマックだったが勇者の聖闘士化によって無効化される。これは所謂スー〇ーマリ〇のスター状態と同じ状態になり、一定の時間無敵になる。
そのため、マックはおろか他の4人も勇者相手に決定打を浴びせられずに攻めあぐねていた。
というのも東の国の勇者と西の勇者では得られる祝福と習得できるスキルが大きく違うらしく、先日少しだけ戦った東の国の勇者は『聖闘士化』は誰一人使わなかった。いや単にその祝福が得られなかったのだろう。
故にすっかり勇者を舐め切っていた5人は攻撃力・防御力、そして戦闘経験は十分に勇者を上まっていたが、勇者という認識の違いによって現在は今ちょっとした苦戦を強いられている。
「砕け、覇奏流『霧ヶ峰』!」
「せ、聖闘士化!」
『トトノギス』の様な突きの連打ではなく、刀を振るった先で衝撃波が波走る攻撃を相手の体勢を崩した隙に放った椿姫だったが、またもや聖闘士化によって無効化される。
実はこの聖闘士化、当然ながら時間制限がある。使用制限時間は僅か1~2分でそれが切れた後は5分間使用できない様になっている。なので勇者は聖闘士化の無敵時にのみ攻撃を仕掛け、それが解けた時はひたすら防御や回避に専念している。
なので無暗に攻撃しても簡単に回避され、せっかく間合いに入ったり勇者の体勢を崩してもそのタイムロスの間に再び聖闘士化に成られて無効化される。
「今だ、総攻撃を仕掛けろ!」
「くっ、鬱陶しいですわ!」
更には勇者の従者として後からやって来た騎士や傭兵達、総勢50名程がヒット&ウェイで勇者を援護するので尚更勇者を攻撃出来ない。クラス委員長の花蓮も空手やその他の武術を組み合わせたオリジナル武術で受け流し続ける。こんなのまともに受け続けたら流石の脳筋委員長の体力が持たない。
「ちっ、せっかくの戦闘だってのにこのままじゃジリ貧だな。おいメメット、アレをやるぞ!」
「……え? でもあれはまだ完成してない………」
「いいからやるんだよっ。どうせ回数をこなして慣れなきゃいけないんでな」
「……分かった。ご武運を」
こちらもやや防戦一方のリベッタは愛沙と共に障壁を張り続けるメメットに声を掛け、とある技を仕掛ける。
「今はまだ自力で高く跳ぶ事が出来ないから、なっ。やれメメット!」
「『ロ・レヴィテーション』」
斧で周りをうろつく雑魚を蹴散らしメメットの魔法によってリベッタは上空へ上がり、
「お、おいまさかリベッタお前……っ」
「そのまさかよ。アンタ等、上手く避けろよ!」
上空に上げられたリベッタを見て覚助は以前見た事ある光景を思い出し戦く。
「う、うおおおおっ!?」
「Oh、マジか!?」
「ふ、良いだろう。受けて立つ!」←椿姫
「いや、何故味方の攻撃を受けようとするんですの!? 回避しなさい!」
何故か味方の攻撃を受けようとする椿姫に花蓮がツッコみつつ4人は回避行動を取る。
「……じゃ、離すよ」
そしてある程度の高度にまで達した時メメットはレヴィテーションを解除する。
そして、
「精々簡単に死んでくれるなよ。『森羅追討』!」
リベッタの風格と放った技が某RPG・運命の尻尾の斧使いを彷彿させるなぁ、とレッドを回復させているメンツの護衛をしている正義はそう思った。
ズド─────ンッ!!
「「「ぎゃあああああああああ!?」」」
「「「きゃあああああああああ!?」」」
落下とメメットの振り下ろし、そしてリベッタの持つ高い攻撃力によって斧が地面に叩きつけられ、その周辺が盛大に爆破し、勇者はともかく騎士や傭兵達はその一撃によって大ダメージを負って吹っ飛ぶ。もしかしたら死者もいるかもしれない。
「「ぬおあああああ!?」」
「ほお、凄い破壊力……。威力だけならあの鬼柴田を越えるなぁ」
「感心してる場合ではないでしょ!?」
震源地からやや距離の離れている椿姫と花蓮はともかく覚助とマックは退避が間に合わなく仕方なく手をクロスして防御で耐える。
「くっ、何だ今のは……聖闘士化じゃなきゃ死んでたぞ」
「って、きゃああああ!? 騎士達が死んでる!?」
「この野郎(?) 何も周囲を巻き込まなくてもいいじゃないか!」
ギリギリで聖闘士化出来た勇者達だが、聖闘士化が解け土煙が晴れた時には周囲が地獄絵図と化し、何かこちらを批難してきた。
いや元々襲撃してきたのはそっちじゃん………。
「───ぶはぁっ!?」
「い、生き埋めになって死ぬ所だった……っ」
そして先ほど至近距離でリベッタの秘技を防御した覚助とマックが地面から這い出て来て文字通り這いつくばる。
地上ってステキ。空気があるってサイコー。
「おいこらリベッタ。いきなり何するん────だ?」
「………」
突然の超必殺技を噛まされたリベッタに覚助が近付いて怒ろうとした。が、当のリベッタは着地に失敗しその身体の上半身が地面にキレイに埋まっている。
まさに犬〇家みたいなポーズになっているのだが、どうやったらこんな感じで埋まるのか、それは技を放った本人にも分からない(らしい)。
「───さて、邪魔なゴミ共がいなくなった所で戦を再開しようではないか?」
「「「「ひっ!?」」」」
それはさておき、邪魔な騎士達が戦闘不能(死んでるかは不明)になった所で椿姫が愛刀の太刀を抜き勇者の首筋に当てる。
流石の勇者も聖闘士化の効果が切れ、更に時間稼ぎの為の騎士・傭兵達が全滅。更にはこんな破天荒な攻撃をしてくる連中に最早戦う意思など残ってはいなかった。
勇者達が降参した事で「なんじゃつまらんのぅ」と椿姫は太刀を収め、後処理を他の者に任せ、地面に埋まっているリベッタとそれに駆け寄る覚助とマックの方に歩く。
「……どうやったらこんな感じで埋まるんだ?」
「まるで犬神〇だな」
で、ピクリとも動かないリベッタを見て覚助とマックは他の者と同じ事を思う。まぁ、実際埋まるとしたら下半身だとは誰もが思うだろうが、何で上半身の方が埋まっているのかまさに謎である。
「あ、消えた」
「って事はこれが『死に戻り』ってやつか」
「ううむ……奇怪じゃのう」
そして上半身が地面に埋まったままリベッタの姿がスゥっと消えた事で覚助達は死んだらどうなるのか悟った。
と言ってもそこには悲壮感はなく、単に死んだらどうなるかを確かめたかったというのと、死んでも『1回だけ復活できる(イニシエに戻る事でチャージ可)』というのが分かっているのでこんなにのんびりしていられるのだ。実際は初死にしたのは月なのだが、その時は月一人だけだったので誰も『死に戻り』を目撃してないからだ。
その後、リベッタが戦闘不能=アルゴノートに戻った事を正義達に知らせ、この戦いを見守っていた先輩【佐藤 八日】が送還シートを取り出し、4人の勇者を元の世界へ還す。
「何人か死んじゃったね……」
と、愛沙が呟く。
そう、実は1人聖闘士化が解けるのが早く、リベッタの攻撃をまともに受けた勇者がその衝撃で内臓破裂し、文字通りショック死していた。
最初、襲ってきたとはいえ怪我人には違いないと愛沙を含めた回復師達が騎士・傭兵達が急いで回復を掛けるも瀕死状態(13名)から息を吹き返したのは僅かに4人だけ。残りの者は既に手遅れだった。その中には勇者も含まれる。
「まぁ、流石にこれはやり過ぎだとは思うが襲ってきたのは向こうだ。こちらから仕掛けて殺したら罰則ものだがこの場合はしょうがないだろ。あまり気に病むな」
「でも……」
「お前のその気持ちは分からなくはないけど俺達が所属しているのは慈善事業じゃないんだ。流石に全員を無傷で還すのは無理だろ」
「……そうね。私達が最初に召喚された世界でも何人か死んじゃったってリオちゃん言ってたしね」
自分達と同じ物質界の勇者の遺体を見て愛沙が気に病むが正義が優しくフォローする。その雰囲気に他の生徒達は「今は茶化さない方がいい」とそそくさと2人から離れる。
「そうだ。その中で元の世界に還せる者を還せただけでも上出来だって。な先輩?」
「あ? んな訳ねーだろアホ」
「ゑ?」
周りのみんなが気を利かせた事に気付いた正義はそれとなく先輩に話を振ると、なんと否定された。ちなみにこの口の悪い先輩の名は【東島・クリーナー】。名前から察するにハーフかそれ系だろう。
「今回は初任務と集団戦闘という事で大人しく見ていたが、勇者達の所に援軍が来る前に倒せなかった事は大いに減点対象だ」
「そ、それは確かに……」
「まー、初任務という事で手を出さなかった俺等がどうこうつもりはないが、次からは保護対象者と戦闘になる場合、色んなシチュエーションを考えて行動しろ。分かったな覚助、椿姫、花蓮!」
「「「う……っ」」」
最初は正義に語っていたと思ったら急カーブで言葉が3人に突き刺さる。
というのも、この4人(リベッタ含む)は最初、確かに戦闘を楽しんでいて、敵の援軍が来る前にケリを付けようと思えば付けられたのだ。ちなみにその中で唯一マックだけが早く戦闘を終わらせようと躍起になっていたのだが、敵の援軍が来てからはどうしようもなくなっていた。
「OOOOOh、レッド、何だその姿は!?」
「キュイ?」
一方、リベッタが消失(?)した後、深紅龍レッドの元にやって来たマックは変わり果てたレッドの姿に驚いていた。
なんと元々10メートルはあった巨体が回復と拡縮魔法により、僅か10~15cm位にまで小さくなっていた。心なしか鳴き声も可愛くなっている。
「とりあえず私の拡縮魔法で限界ギリギリまで小さくしたわ。これなら連れ歩いても狙われにくい筈──きゃ!?」
「サンクス! なんて礼を言ったらいいか分からないっ」
「れ、礼はいいから離れて!」
「そ、ソーリー。つい、な。だがありがとう」
「ふ、ふん。この事はロッテちゃんに言いつけてやるんだから」
「あ゛っ!? しまった、ついやっちまった……」
「そうやって女の子相手に感謝する時抱き着くの止めた方がいいよ。ホントに……」
そうツンデレっぽく言う拡縮魔法持ちの少女【富士村 さなえ】にマックはorzする。元々チャラい様なクール系で行くマックは度々ロッテにこうやって感謝を述べる為、今ではすっかり女の子相手だと抱き着く癖があるマックである。正直ロッテ以外にやれば十分犯罪者である。
「罰としてお前等4人(マックも連帯責任)はここから西の国までダッシュだ! 勿論先ほど離脱したリベッタも後日罰を与える!」
「な、何と横暴な!?Σ(゜□ ゜|||)」
「ここから西の国までどれだけ離れてると思ってんだ!Σ(゜Д ゜#)」
「ふ、寧ろ私には修業する絶好の機会ですわ!( `ー´)」
「「お前(主)は黙ってろ(おれ)!」」
「───って、俺もか!?」
先輩風を吹かせるクリーナーに覚助と椿姫が異議を唱えるが却下され、まともに戦っていたマックも連帯責任として一緒にデスロードを走る事になった。
ちなみに小さくなったレッドはバス内にて小さいプリッツを齧りながらマックをキュイキュイと応援していた。
次回は29~30日に更新予定です。
ではまた。




