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第10話 ~その頃~

あ~本業が辛い……。ようやく更新できました……

今回は短いですがご勘弁を。

ごは……っ


 協会メンバーが異界人達による中途半端な料理知識によって食中毒患者が大量に出た東の国で救援活動&勇者や次元迷子者達の送還&保護、そして何故かカレースパイスの正しい作り方と栽培方法伝授しているその頃、各地とアルゴノート内では色んな事が起きていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 まずはアルゴノート内から。


「ぬあー! さっきから避けてばかりで全然反撃してこないじゃんかー!」

「きゃははっ、だってまーちゃん1げきで『けーおー』するんだもん。避けた方が遊べるし楽しい!」

「いや遊びじゃないから!」

 TR(トレーニングルーム)で魔法の戦闘訓練をしていた魔王の真桜とアンデッドのアニカだが、未だ強すぎる魔力とその所為で身体の強化(せいちょう)が追いついていない真桜はイニシエにいた時からあまり他の者と一緒に戦闘訓練に参加出来ないでいた。

 理由は簡単、身体は年相応だが魔力は魔王並み、それ故肉弾接近戦では他の者との相手が出来ず、かといえ魔法だと真桜が強すぎる。普通なら身体が成長するまで『魔法攻撃専門』として作戦に加わればいいのだが、この組織は色んな世界を回る事を前提としているので、任務先が普通に魔法が禁止されている物質界Aや『魔法不可世界』だったり、任務中に魔法を封じ(・・・・・)られて(・・・)しまう事もありうるため、迂闊に任務に参加させられないのだ。


 なので真桜はゼロに許可を取ってTRでのトレーニングを行っているのだ。ちなみにアニカは真桜がトレーニングをしているのを見て勝手に対戦相手になっているだけで無理に強くなる必要は無いし、今はOPの人達は仕事中なので暇なのだ。つまり真桜はアニカにとってただの遊び相手に過ぎない。

 ………魔王がアンデッドに遊ばれるとか世も末すぐる。


「む~~。………どうしても標準がズレる」

「ねー。たまにズレた事で当たるけど……それもまた面白い!」

「こっちは全然面白くない!」

「怒らない怒らない。はい、すまいる~~」

「ひゃあ~あ~。ほっへったひっはふは~!(頬っぺた引っ張るなぁ~!)」

 魔王になった当初よりは大分マシになったが未だ戦線には出れそうにない真桜が膨れっ面をしてるとアニカに頬っぺをうにょーんされた。

 ………本当に魔王がアンデッドに以下ry────


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ん? (クンクン)……この匂どこかで嗅いだ事のある様な?」

「………どうしたのイング?」

 一方、アンヴェの南の方の国で【案内屋(ガイド)】の香山蛍と共に次元転移でやって来たアルケシスの3人は現在、南の国近くに出現した小さなダンジョンを攻略───という名の『潰し』を行っていた。


 通常、異世界などでダンジョンが出現したとなれば「金脈ー!」と金の匂いを嗅ぎ付けてハイエナ共が群がってくるのだが(言い方が悪い)、流石に街中にダンジョンが出現したとなればかえって邪魔になる上、この世界ではあまりダンジョンは重要視されていない。

 なのでこの世界では街中ダンジョン=即・滅☆なのだ。放置して魔物を大量発生させてしまえば街や国が危険に晒されるからだ。

 だが東・西・北の国と比べ、南の国は冒険者にあまり恵まれておらず、尚且つイング達のいる地域は南の国が召喚した勇者達がいる場所からは遠い為、偶々この辺りを通りがかったイング達がクエストボードを見て食料調達のついでとして依頼を受けたのだ。


 そして誕生したばかりのダンジョンを潰し、地上に戻ってきた所でイングはどこか懐かしい(・・・・)スパイスの香りを嗅いで思わず笑みを浮かべる。

「この匂いってカレーだよね? でも確かこの世界のカレーって味薄で香りも少なかったような?」

「いや、匂いの元はこの近くからじゃない。ここから結構離れた北東からだ」

「それって最早国一つ離れているではありませんかイング?」

「ああ、ここまで匂って来るほど良い匂いだ。懐かしい……」

「懐かしい?」

 目を閉じレニアナにいた時の事を思い出す。だが肝心のカレーという物を作った人物が思い出せずにモヤモヤし、眉を顰める。これはイングだけでなくマナやエミリアにも同じ事が起きていて、アルケシスの7人目である佐夜の事がどうしても思い出せない。佐夜の事を覚えているのは天罰を喰らう前にレニアナから転移したニケだけだ。


「というかイング、凄い嗅覚だね。流石エルフ」

「エルフ関係あるか?」

「あるよー。エルフといえば美食屋とかベジタリアンとかそういうイメージが強いから」

 他にもエルフ特徴的なものはあると思うが、異世界小説関係で多いのがやはりこの2つだろう。


「……イングは肉も食う」

「ですわね。それに割とジャンキーな物を好みますわ」

「一気にエルフの幻想(イメージ)を壊したね!? ……あ、でも嗅覚が鋭いのはエルフっぽくない?」

「……エルフというより、犬?」

「まぁ、普通の犬でも流石に国一つ離れた場所からの匂いは嗅ぎ取れないとは思いますわよ?」

「……嗅覚は関係無いのかな?」

 エルフは犬ではない。


「じゃあ、報酬を受けとったら東の国に行ってみる? まだSP(スキルポイント)が溜まるまで時間あるし」

 ちなみに香山蛍の場合、異能(スキル)を使用する際、SP(スキルポイント)が必要になっている。まあ、ゲームで言うと必殺ゲージみたいなものだ。


「私(わたくし)は構いませんわ」

「………私も構わない」

「なら決まりだな。運が良ければカレーも食えるだろうし」

「楽しみですわ」「……どんな味だったのか確かめる必要あり」

「カレー目的かよ。7人目はどうした!?」

 すっかり目的が変わっているアルケシス3人にカヤマがツッコみ、一同は東の国へ向かった。


(あ、そういや業務連絡で今この世界に『協会』の人達も来てるんだったっけ。もしかしたらイオン君に会えるかも)

 実はカヤマ、密かにイオンファンなのだ。あんな似非方言野郎のどこが良いんだろうか?


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 次は西の国────の都から西側に少し離れた場所。


「おおうっ、まさか本当にメタンKやクリアコラム、Uルックまであるとは……」

「人語を話す謎の小動物(・・・・・)から受けた報告を聞いて正直疑っていましたが……これは超良質なやつですよリーダー!」

「石油などの化石燃料もかなり豊富に眠っている事が分かってますからね。……これはイケますよ」

「どこにだ。……だが先ほども言った様に派手な行動を起こして現地人に見つかるなよ。一般人はともかくこの世界には魔法使いもいるからな。俺等の異能力とは相性が最悪だ」

「「「「「ああ、そうでしたね……」」」」」

 物質界カテゴリーB世界から資源を求めてやって来た特殊部隊のリーダー【西郷 政也】は気を抜くなと部下に指摘し、部下達もあの事を思い出す。


 それは4~5日前の事。

 政也達とは別の部隊が先に別の場所で色んな資源を発見し、それを掘り起こして確保していた時、運悪く現地人に見つかって戦闘になったそうだ。

 正直異能(スキル)使いと魔法使いでは異能(スキル)使いの方が圧倒的に分が悪い。こちらは大体1種類(場合によっては3種類まで可)の能力に対し、魔法使い側は魔法を覚えようと思えば(限度はあるが)何でも覚える事が可能なので、仮に火の能力者がこちらにいたとしたら魔法使いは水魔法を使えばいいし、最悪対称魔法が無くとも魔法障壁を使ってしまえばこちらの異能攻撃は一切通じなくなる。

 現にこちらの世界に派遣された5部隊の内、2部隊はそういう無茶な行動を起こして戦闘となり、その後一切連絡が取れなくなった。捕まってしまったのか、最悪殺されたのだろう。

 という訳で残りの3部隊はなるべく固まらない様に行動していたがそれが仇となり今度は別れて行動していた1部隊が魔物の群れと遭遇してしまい全滅。詳細は分からないが全然能力が効かなかったのだろう。


 なので結果として残りの2部隊合わせて6人で行動をする事にしたのだが、征也と同じリーダー格の男が勝手な行動を起こして単独行動を行いそのまま行方不明となってしまった。一体何を考えているのだろうか?


「む? リーダー、向こうの方にも資源反応があります!」

「それもかなり反応が大きい。……これはこの場所よりも多くの資源が取れる予感?」

「そうか。だが再三言うけど……気は抜くなよ」

「「「「「イエッサー!」」」」」

 そう言って一同は反応の大きい場所へ移動する。


 それが結果として騒動を起こす事になるとは思いも知らずに。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 そして今度はベレッカのいなくなって系統の取れなくなった物質界Aからやって来たゼリア兵達。

 ベレッカが勇者達に見つかって逃げている最中に隙を見て撤退した連中は現在東の国を出て西の国へと向かっている。

 目的は勿論、東より西の方が資源が多く眠っている事が分かっている事と、以前自軍を元の世界へ叩き返した協会の連中が東の国にいるからだ。あのまま東にいたら再び協会に見つかってしまう恐れがあるので連中はベレッカ不在のまま西へ向かっている。

 ちなみに今は副官である【シャルル・トレスティン|(16歳)】が指揮を執っている。言わずもがなベレッカの親族なのだが【シャルル】は男性である。シャルルって何か響きが女っぽい気がするがシャルルは男だ。

 ……たとえ女顔で背も低く(勝手に改造した)軍服も女物を着ていようが、シャルルは野郎である。


「皆さん、今は亡きベレッカ姉さまの為にも絶対資源を大量に持ちかえりましょう。良いですね!」

「うおおおおおシャルル様!」

「ベレッカ少佐の事を思うシャルル中尉最高!」

「シャルル少佐ー可愛いです~」

「シャル様、抱いてー!」

「いや寧ろ抱きしめさせてー!」

「ペロペロさせてー!」

「変態がいる!? いや気持ちは凄く分かるけどもっ」

「通報しますた」←リアル通報

 ……たとえ姉であるベレッカより人気者で人望があろうがシャルルは男の娘である。再三言うけどシャルルは男の娘である。

 ※:またライバルが増えた!?Σ(゜□゜)(by リオ)


「勇者……か。姉を襲った事、絶対に許しません………」

 部下達を従えシャルルは静かな怒りを抱き、資源反応が多くあった場所へと向かって行った。

 そこで別の世界からやって来た者達と争う事になるとは思いもせずに。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 そしてとある空間内にて────


「ふーむ、良い感じで異界人達が集まってきたね」

「いや、流石に集めすぎだろう。それに協会の者もやって来ているではないか」

「まー、流石に来るのが早いなーって思ったけど想定内。ちゃんと最後は狩るよ」

「上手く行けばいいがな……」

 可愛らしいフリフリの服を着た少女と紳士服を着たいかにも執事セバスチャン的な爺さんが何処からかアンヴェを裏で操っていた。


「んー……んんんんん~~~~~~!!!」

 その背後でこの世界の管理人がこの2人に捕まっていて声にならない声を出して助けを呼ぶが当然そのぐもった声はこの空間から漏れる事は無かった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「サヤ、どうかこの世界に残り僕の妃になってくれー!」

「だから嫌だって言ってるだろー!」

 で、当の協会メンバー。東の国での活動を終え、西の国に行く為の身支度をしている最中、すっかりこの国の第1皇子に気に入られてしまった佐夜は第1皇子の【セロファン】に追いかけ回されている。他のみんなは「今関わったら面倒な事になる」と思い、あえて放置している。勿論この国を出る頃には佐夜の回収も怠らない。


「大体アンタ、許嫁いるんだろ? そっちに行けよ!」

「許嫁の件はもうお断りした。サヤ以外の美人は他にいるだろうか? いや、いない、反語!」

「断るのはアンタの勝手だけどだからって俺に迫るな! つか俺は男だって言ってんだろ!?」

「それでも構わん!!」

「俺が構うわ!」

 ちなみに口調でもう分かっているとは思うが、佐夜は連日の追走・逃走劇に加え、物理的にセロファンに襲われた事ですっかり男口調に戻ってしまっている。この事で何故か覚助とかが残念がっていたがそんなのは佐夜の知った事ではない。


「じゃあせめて一夜だけでもっ」

「だから嫌だって言ってるだろー!」

 佐夜とセロファンの追いかけっこはこの国を出るまで続いた。




次回は4/18~19更新デス。

では。

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