プロローグ ~アンヴェの現状~
更新は20日からの予定でしたが第6章のプロローグが上がったので先に上げておきます。
佐夜達261期生3組が幻想界【アンヴェ】に来る約2年ほど前────
シュン─────
「う……こ、ここ…は………?」
「どこだよ、ここ?」
「太陽が2つある……だと?」
「うわ、草が動いた!?」
どこにでもある高校の全校生徒が突如、アンヴェの中央にある大草原のど真ん中に次元転移で現れた。恐らく全校集会で体育館に集まった時点で転移に巻き込まれたらしい。その証拠に彼らと共に体育館も一緒に転移しているからだ。大草原のど真ん中に体育館とか、違和感ありまくり。
ダァンッ!! ←体育館に体当たりをするワイバーン
「「「「きゃああああああ!?」」」」
「「「「う、うわああああ!? 竜だ!?」」」」
当然、そんな所にそんな体育館が現れれば、ドラゴンではなくとも気になって近付いて来る魔物がいるのは必然で、
ゴゴゴゴゴゴ……… ←体育館に火を放つ魔物。
「た、体育館に火が……っ!?」
「は、早く消さなくては。しょ、消防車!」
恐らく体育館を大型魔物だと思った小物の魔物が体育館に火を付けたのだろう。未だ現状を把握出来ずに現実逃避していた校長と教頭だが、この世界に消防車などない。
「逃げるんだみんな。このままだと体育館が焼け落ちる!」
「で、でも外は魔物が……っ」
「それでもここにいたら100%死ぬ! いいからみんな外に逃げるんだ! そして人里がある所まで走れ!」
「出来るだけ多く生き残れるよう固まらず、バラバラに逃げて!」
生徒と校長達の中間くらいの歳にあたる教師達が指示を出し、体育館の大玄関を開ける。
KYAAAAAAAOOOO!!
MISYAAAAAAAAA!!
BUUMOOOOOOOOOOOO!!
くぁwせdrftgyふじこlp!!
するとそこには当然の如く、大勢の多種多様な魔物達がそこに鎮座していて次元転移者達を待ち構えていた。……つか最後のは某有名な叫び声的なやつじゃね?
──────────(聞くに堪えない叫び声)!!!!!
その後、何の力も持たない一般人が魔物に敵う訳も逃げる術も無く、全校生徒及び教職員を含めた600人の内、500人は魔物の胃袋に収まる事となってしまった。もしかしたら異世界に転移した事で異能が開花していたかもしれない者もいたかもしれないが、それを確認する暇も無く、かなりの人数がここで死んでしまった。
ちなみに自力で逃げ切った者は20人くらいで、残りの80人くらいの者はというと、
「飛斬!」
「フレア!!」
「アイスニードル!」
「はぁっ!!」
「おらおらおらぁ!」
ズシャシャシャシャ─────
「はぁ…はぁ………」
「た、助かったぁー」
「死ぬかとおもたぁ」
偶然近くを通りかかっていた冒険者パーティによってなんとか生き延び、町まで送っていってもらったが、その内何人かは冒険者に売られ、奴隷落ちしたらしい。ある意味死んだ方がマシだったのかもしれない。
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体育館ごと次元転移した2ヵ月後、
「「う、うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!?」」
電車の車掌と飛行機の機長が絶叫を上げる。
今度は大型飛行機が東の国に転移して墜落し、西の国では街と洞窟に敷かれたレールに突如列車が現れ、そのままその列車はレールを外れ、盛大に街に突っ込んだ。
当然、飛行機の中に乗っていた乗客の約300人の内9割が死に、電車も車掌を含めた200人(通勤ラッシュ故に満員電車だった為)の内7割は死んだ。
それだけではない。
体育館の時とは違い、双方は街に突っ込んだ為現地住民達にも被害が出た。このため生き残った者達はほぼ全員捕らえられ、奴隷落ちとなった。逃げる事が出来たのは事故ってから早い段階で目が覚めた者だけだ。
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更にその半年後、今度は東の国、西の国で勇者召喚が行われ、東の国は池袋のスクランブル交差点で歩いていた大勢の人間を、西の国は成人式を終えて会場の前で騒いでいた大勢の若者を召喚し、召喚された者達は召喚特典として祝福を手に入れ、憧れの異世界に歓喜する者が続出した。
「相手は魔族。人じゃないから殺してもOKだろ♪」
「そうね。話を聞く限り、向こうも人間を殺しまくって侵略しているって話だし」
「魔法。いいね、これこそ異世界!」
事故で転移した者達と違い、呼ばれてきた者達は知らない。この世界には自分達と同じ日本人が奴隷となっている事を。
そして知らない。この世界には魔族はとうの昔に滅んで存在しておらず、戦争する相手が同じ人間だという事を。
だが異世界に来た事と魔法(&祝福)が使えるという点で召喚された者達はそんな事には気付かない。特に若者たちが浮かれている。アホみたいに。
「ほらほら見て、ファイヤーボール!」
「あっはっはー。小っせぇー」
「なにおー!」
ホント、アホだ。
その後、東と西の勇者召喚に即発された南と北の国も勇者召喚を行い、南の国は修学旅行中にてバス移動中の中学生団体を3台、北の国は試合を行っていた高校のサッカーの試合中に転移し、両校の選手及び、監督や試合を応援に来ていた者達ごと北の国へ召喚された。
そしてその後は西と東の国と同様、学生たちは皆異世界に来た事を喜び、魔法や祝福を学んで行った。
正直、学生達はともかく大人達は異世界の生活にはあまりついて行けず、また戦いには乗り気ではなかった為、望まぬ者には城下町での生活を送る様少しだけだが支援を行った。やはり基本は戦争にお金を使いたいらしい。
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そして佐夜達が来る1ヵ月前、最後にやって来たのはとある物質界、カテゴリーB世界の者達。
「ここが異世界……か?」
「思ったより田舎とあまり風景が変わらないね。外国っぽい感じ?」
「おい、あまり周りをキョロキョロするな。不審に思われる」
「「はっ、すみませんリーダー」」
道中にある小さな町に転移していたこの者達は次元転移についてあまり驚いていない。どうやら意図的にやって来た者達の様だ。
「な、何だお前達。どこから現れた!?」
するとフラグを立てた直後、当然の如く町の住人に見つかった。早い、早すぎる。
「ちっ、騒ぐから見つかっただろ……」
「すみなせんリーダー。すぐ取り押さえます。……拘束」
「んでもって微電撃……!」
「がはっ!?」
見つかった事で舌打ちしたリーダーと呼ばれた男【西郷 政也】は部下に手話で指示を出して部下が異能の力を使い、現地人を気絶させる。
「ったく、いいか? 異世界に来たのはいいが俺達は侵略に来たのではない。調査だ。俺達の世界の資源が枯渇しかかっている今、異世界に赴き、そこを調査してその資源もしくはそれに近い物が使える場合、こっそり持ち帰るのが俺達の仕事だ。だからなるべく諍いは起こすなよ。いいか? あまり戦うなよ?」
「……フリですかリーダー?」
「押すなよ押すなよ?」
「違うわっ!」
ついフリみたいな事を言ってしまう政也だったが部下が茶化すので今度は自分が大声を出してしまい、再び別の住人に見つかってしまい、再び気絶させるのであった。
政也達3人の元いた世界は【物質界B】。先ほど異能を使っていた事から分かる通り、基本となるカテゴリーA世界に能力者がいる世界。
能力者がいるという事は研究機関やそれに合わせた施設なども多い為、色々と石油や有機化合物などの化学資源を多く使う為、物質界Bでは多くの世界で資源不足に陥っている事が多く、完全になくなる前にこうやって政也達みたいに別の世界への扉を開いてそこに行き、可能ならその資源を持ち帰る指名を受けている。
ちなみにここに転移したのは政也達3人だけだが、この世界には後19組、つまり後57人もの人間が転移しているのだ。場所はそれぞれ人気に着きにくく、尚且つ危険が無い場所を選んでいるつもりだ。なので流石にフィールドに転移して魔物と遭遇なんてでもしたら一溜りもない。
一応戦闘訓練は受けてはいるが彼らはあくまでも物質界基準での兵隊みたいなものだ。命のやり取りが日常茶飯事な幻想界の冒険者や騎士達には敵わないし、魔物なんて言葉が通じない為、逃げるのが精いっぱいなのだ。
「さて、そろそろ調査に向かうぞ」
「うっす」
「はーい」
そういって彼らは気絶させた住人達を近くにいた別の住人に「道で倒れていた」と軽く説明し介護を任せ、その町を後にした。
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そしてまた別の世界。今度は物質界Aからとある軍が再び異世界への門を開こうとしていた。
「次元の門の開通にはどのくらい掛かる?」
「はっ、後1日か2日あれば行けるかと」
「1日で済ませろ。よいな」
「は、はい。お任せを!」
門の周りに備え付けられた装置を必死に調整する研究員に偉そうな女軍人が声を掛け、時間の短縮を急かした。
「ちっ、せっかくもう少しで異世界征服を達成出来ると思っていたのにやっかいな連中め……」
女軍人、もとい氷の少将と呼ばれた少女【ベレッカ・トレスティン】はあの出来事を振り返る。
あの日、ベレッカが属するゼリア軍は異世界のとある帝国を現代兵器を大量投入し、征服を目論んだ。
そしてそれが達成されようとした直前、王城を制圧に行った大佐の所に謎の連中がやって来てあっさりと大佐を鎮圧し、征服に失敗。その上ベレッカが指揮していた屋外では褐色スキンヘッドの大男と遠距離からの狙撃手の2人によって街の方も簡単に鎮圧されてしまったのだ。
更にその上、通常は征服に来たのだから処刑されても文句は言えないのだが、鎮圧した連中は自分達を元いた世界に全員送り返し、その上再びその世界の門が開かない様、厳重に蓋をして重石を乗せたのだ。これではもう異世界には行けない。
誰もがそう思っていた。
しかしその後、別の国に侵略を仕掛けていた准将もこちらに送り還される時、偶然その僅かに空いた空間の隙間に楔を打つことに成功。その後はその穴を広げると共に別の世界へのルートを検索していたのだ。
(今度はあの連中に見つからないようにしなくては……)
ベレッカは静かに決意した。
異世界征服の仕方には流石にやり過ぎだっかと思うが、こちらの世界だってもうそんなに残された猶予はあまり無いのだ。残っている資源では後3~4年が限界でそれが切れてしまったらどうなるか、考えただけでも身震いがする。
「お父様はあの一件で全ての責任を取らされ処刑された。私も次失敗したら後が無い。絶対に資源を持ち帰ってやる。その為には……」
独り言を言いながらベレッカは訓練場へと向かて行った。
その後、僅かだが門の拡張とルート確保に成功し、ベレッカ率いるゼリア軍が再び異世界へ侵攻するのは佐夜達がやって来る2週間前の事だった。
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「事前に調理した料理、よし。下拵えした食材、よし。大量の飲料水、よし。各種調味料、よし。特殊な食材、よし。調理器具、よし。簡易食料(カロ〇ーメイト系)、よし。回復アイテム、よし!」
「さやや。着替えとか武器・防具は?」
「あ、そうだった。……って容量いっぱいでもう入らない!?」
「いくらなんでも入れすぎだよさやや!?」
指輪の『収納空間(小)』とスマホの『次元収納(小)』の容量をほぼ食料でいっぱいにしてしまった佐夜はリオにツッコまれてようやくその事に気付いた。
「仕方ないからリオの方に少し分けて入れよ?」
「ああ宜しく」
と言いながら佐夜はリオの『圧縮収納(中)』に事前に調理を済ませておいた料理を全部入れる。
「ってさやや。何でそれだけを入れるのさ!?」
「え、だってこれ全部リオが食べる分だし」
「そうなの!?」
『圧縮収納(中)』に大量の料理を入れながら佐夜にそう言われたリオはビックリした。だってどう見ても1ヵ月分くらいはあるからだ。まぁ、余ってもみんなで食べれば大丈夫だろうという佐夜の判断だが。
「だったらさやや。これだけじゃ全然足りないよ~?」
「マジで!?」
どうやら考慮が足りなかったのは佐夜の方だったらしい。
という訳で佐夜はリオに食材を買いに行かせ、リオ用の料理を追加で作った。
……つまみ食いで3分の1くらい食われたけど。
佐夜達が幻想界【アンヴェ】に向かうまで後2日を切っていた。
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~SS~
ティーナ「はいマロンさん。紅茶とお菓子です」
マロン「ありがとティーナ。お、今日はファッサトルティなのね。凝ってるわぁ」
理事長室のとあるひと時、マロンはティーナに休憩を進められて休憩を取る。ちなみにファッサトルティとは異世界の洋菓子みたいな物でこれは佐夜がレニアナにいた時にアイナに習ったスイーツだ。ついでに言うと形はホールケーキに似ているが使う材料と作り方が全然違う事から普通のケーキとは違うらしい。
ティーナ「ですよね。ちなみにこれ佐夜さんの手作r──」
マロン「ほわぁ~、美味しいぃ~」
ティーナ「って、もう食べてるし!?」
マロン「ほら、貴女も食べて食べて」
ティーナの説明も聞かず勝手に切り分けて食べ始めたマロンにティーナも溜息を吐きながらご相伴に預かる。
ティーナ「はぁ………。っ!? 美味しい!」
マロン「でしょ? もう、何と言うかヴァンとは違うタイプのパティシエね」
ティーナ「ですね。兄さんはどちらかというと後味サッパリ系が多いですから。ですが佐夜さんのは後味引きますねぇ」
マロン「ええ……この余韻がたまらないわ……」
2人してうっとりする似た物母娘。
マロン「これまでにも何度も思ったけど男にするのはもったいないわねあの子」
ティーナ「料理の腕と性別は関係無いじゃないですか。……見た目は完全な女性みたいですけど」
マロン「何でも噂では入学してからもう告られた回数が100回を超えたとか?」
ティーナ「いえ、軽く300は超えてるそうですよ? それも男女問わず」
マロン「300回!? はー、相変わらず罪作りな子ね」
ティーナ「そうですね。佐夜さんの美貌と可愛さを聞きつけた各地で活動中の上級生達も佐夜さんを見に来るくらいですし」
マロン「……ちゃんと任務はこなしてるんでしょうね。その子達?」
ティーナ「それが……」
マロン「あー、その反応で理解したわ。後でそのレポートと不備のあった生徒達の情報を寄こして」
間接的に佐夜の所為で任務に支障が出たのでは本末転倒である。マロンはうっとりしていた表情をキリッと変え、ティーナに指示した。
ティーナ「はい。……あ、マロンさん。ちなみに佐夜さん、もう一つスイーツを作っていたんですが───」
マロン「食べるわ」
ティーナ「即決ですね!? 先ほど話した件はどうするんですか!?」
マロン「そんなの食べた後でも出来るわよ! さぁ、早く出しなさい!」
ティーナ「ひゃっ、そ、そんなに急かさないで下さい」
マロンがティーナの両肩に手を置き迫る。3億年を生きるマロンでさえ甘味には目が無いらしい。
ガラッ────
透「理事長。すみません、今日お見えになる来客の方なんですけd───」
マロン・ティーナ「「あ……」」
するとそこに透がやって来てティーナに迫るマロンを見て3人が固まる。
透「し、失礼しました。ご、ごゆっくり~?(赤面)」
そしてそのまま何事も無く透は顔を真っ赤にしながら後退りし、理事長室を後にする。
ティーナ「ちょ、ちょっと待ったー!」
マロン「お、ここで伝説の『ちょっと待った』コールが入ったわねっ」
ティーナ「冷静に懐かしんでないで誤解を解いて下さーい!」
理事長室にティーナの叫び声が木霊し、丁度透と入れ違いで理事長室にやって来たゼクターがビクッとした。
一応次回は20日の予定です。
執筆が早ければもっと早くなるかも?
では。




