幕章ー7 ~アルケシスの現在と案内屋(ガイド)~
今回は短めです。
前書き、後書きもみじかめm……
「はぁっ!」
ズバァ!
ギエエエエエエエエェェェェェッ!!?
とある天界と魔界の狭間にて、たまたま次元戦争に巻き込まれたエルフの少年は襲い掛かってくる悪魔(とても魔族とは言えない知性)を斬り捨てて一息付く。もうかれこれ2時間は戦いっぱなしだったが、先ほど倒したので今いる敵は全部屠ったのでやっと休憩が出来る。
エルフの少年【イング】は周りを警戒しながらも剣を収め、仲間の帰りを待つ。
「神の名を汚すエルフめ……死ねぇ!!」
「誰が薄汚れたエルフか!?」
「らるふぅっ!?」
と、同時に迷彩術で隠れていた天使に攻撃を仕掛けられたので剣を横にしてぶん殴って吹っ飛ばす。知性の低い(もしくは無い?)悪魔とは違い、一応言葉を発するだけの理性はあるので初対面の相手には出来るだけ殺さずに吹っ飛ばすのが最近のイングのやり方だ。勿論2度目からは手加減はしないし、襲ってくるのだから殺されても文句は言えないだろう。
「………イング~~」
「はぁ、はぁ……ようやく見つけましたわ……」
天使をふっ飛ばすのと同時に反対側からいかにも魔法使いっぽい恰好をした少女【マナ】と、どう見てもどこかの姫騎士の恰好をした【エミリア】がイングと合流した。
この3人は元いた世界、幻想界【レニアナ】からいなくなった【ニケ】と何故か記憶にない筈のアルケシスの7人目を探すべく、自ら異界へと旅立って行ったのだ。
で、3人とは言ったが、元々はそこに【タック】も一緒に行動を取っていたのだが、とある世界で逸れてしまい、タックとは離れ離れになってしまった。故にその逸れてしまったタックも一緒に探さないといけない。
それに自世界とは違い、他世界や亜空間では色んな敵や、成長方法もそれぞれ違うので、自世界で自身の成長が中々上達しなくて悩んでいたイングも1年も旅界をすればそれなりに成長できた。
具体的に言えばイングの奥義ともいえる風系上位魔法『カゼノコロモ』の発動時間が1分から10分にまで延長され、更にその他にも色んな技や魔法も習得している様だ。
勿論それは同行しているマナやエミリアにも同じ事が言え、エミリアは既に単体での大型ドラゴン(古龍や神祖龍)の撃破が出来、マナは魔法の『多重同時展開』が可能になった。流石に魔法同士の融合はまだ難しいらしいが。
そしてそんなイング達にはもう一人頼もしい助っ人がいる。
「あ、アンタ達どこ行ってたのよ? 随分探したわよ!」
「………あ、カヤマ。どこ行ってたの?」
「どこ行ってたのって? それはこっちのセリフよ! 集合時間になっても戻って来ないからわざわざ探しに来たんだからね!?」
「そうなの? それはご苦労さま」
「全然反省の色が見えないんだけど!?」
【カヤマ】と呼ばれた女性が憤る。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この【カヤマ】と呼ばれた女性の名は【香山蛍】。転移スキルの持ち主だ。それもただの転移ではなく『次元転移』も出来る転移スキルの持ち主だ。
イング達がこのカヤマと出会ったのは約半年前。
イング達が亜空間でウロウロしている所をカヤマが所属する組織【案内屋】が発見し、艦に招き入れ事情を聞く。
何でもうろついていた辺りの世界に入れなくて困っていたらしい。
更に話を聞くと、イング達は自世界から自力で移動しつつ、入れそうな世界に入っては行方不明になった仲間を探しているだそうな。
ただ簡単に出入り出来るのはその世界の管理人である『神』が不在、もしくは3つの機能が異常を来しているからであって、普通は管理人の許可が無い限りその世界には入れない。出ないと簡単に異世界侵略がされるからだ。
一応そういう事はイング達も何回か各世界の管理人に出会って聞いている為知ってはいたが、それでも簡単に各世界の管理人にアポが取れる筈がない為、最近では中々各世界に入界する事が出来ないらしい。
それもその筈、最近、超恐ろしい世界破壊者が亜空間を徘徊しているらしく、万が一世界に穴が開いていたり、何らかの異常で世界に入られたりでもされたら最後、文字通り世界を破壊されるか、改変されてしまう恐れがある為、各世界の管理人は機能を強化し、警戒を怠らない。
何らかの事情で神がいない世界では神界から新たに管理人を派遣したり、機能に異常があればエンジニアを呼んで直せる世界は直して出来るだけ被害を減らそうと協会や機関などから注意や支援を行っている。
その為、前まで管理人にアポを取れば入界出来たイング達も、簡単に世界に入ることが出来ず亜空間でウロウロする羽目になったのだ。
そんな事情を聞いた『案内屋』のリーダー【フィーリア】は部下である【香山】をイング達に就くように言い、報酬はそのままカヤマが貰う形でイング達はカヤマを連れて世界と世界を直接次元転移する術を手に入れたのだ。
ちなみに案内屋はオペレーター・雑務以外の実務従業員(全39人)は皆『次元転移スキル(または魔法)』を習得しているので移動には事欠かないが一応、艦はギルドとして持っている。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
こほん、少々脱線したが、こうして世界と世界との移動手段を手に入れたイング達だったが、カヤマが加入して2~3回目くらい先の世界にて異常事態発生。
何と運悪く世界破壊者が張っている縄張りに転移してしまったのだ。というのもそれに気付いたのがカヤマではなくエミリアで、遠視スキルで見られていると気付き、急いで退却しようと進言。
だがいきなり縄張りに入って来た者を簡単に許す程世界破壊者では甘くは無く、その部下達によってイング達は退却するまでもなく襲われる。
その際一番近くにいたタック、マナ、イングの順にカヤマはランダム転移を強行し、3人を先に逃がして最後にエミリアと共に何とか脱出。
その後、イング、マナと何とか合流したが何故かタックだけが見つからず、現在に至る。
そして今、現在。
何故か天界と魔界との間にある滅びた世界【物質界カテゴリーD】で天使(+天界神)と魔族(+魔王)との戦争に巻き込まれている。
え? だったら再び転移で逃げればいいだろって?
それが出来たらカヤマは苦労しないさ。
というのも今現在、天使達と魔族達は互いに転移で逃げられない様、特定のスキル&魔法を封じ(られ)ているのだ。で、そのスキル&魔法は当然『転移(次元転移も含む)』だ。
要するに転移で入る事は出来ても脱出する事が簡単にいかなくなったという訳。
そうすると当然、イング達は天使達や魔族達両方から襲われるのでイング達はそれに対抗する。
だがイング達4人に対し、相手はかなりの大勢。
いちいち全ての天使&魔族達を相手にしている暇は無いのでイング達は以前、『案内屋』のリーダーから受け取ったスマホで電波が入る場所を手分けして探す事になったのだ。何でも今はジャミングの魔法が全体的に掛かっている所為で『転移』が使えないそうなので、ジャミング、つまりスマホの電波が入る場所まで移動すれば『転移』が可能となる訳。
そして4人の中で運よく電波が入る場所を見つけたのがカヤマだ。故にそのままスマホで皆に場所を知らせ、こっちに来る様に指示したのだが、その頃イング達は一向に絡んでくる天使&魔族達を相手にしていたので中々合流出来なかったのだ。その為カヤマが直接迎えに来たのだ。
「全く……いくら奴等が連続で襲ってくるからってせめて連絡くらいしなさいよ」
「すまんすまん。まだこういうの扱いなれてないんだ」
「慣れろ」
「「「……はい」」」
カヤマのメンチに3人は従った。
「とりあえず私がさっき見つけたポイントまで急いで行くよ。遅れないでよ」
「………おK」
「ええ」
「だけどこういう時に限って敵が襲ってくるよな?」
「周りに敵が居ない時に変なフラグ立てようとしないでよ!?」
イングが不吉な事を言うのでツッコむカヤマ。
だったが、
「……あ、フラグが立った」
「え? ……あああぁっ!?」
自分の発言に気付いたカヤマだったが時すでに遅い。
今、この場は一方通行、つまり入界のみの次元転移が可能。
つまり、
シュン、シュシュシュシュシュシュシュシュ(次元転移する音)────
ジュアアアアアア嗚呼ああ嗚呼ああAAA(悪魔達)────
ぴゃあああああああああああああああああ(天界獣)────
「「「「「「言葉を発する知能の無い悪魔共めぇ!」」」」」」←天使達
「「「「「「おいおい、悪魔と魔族を一緒にするな!」」」」」」←魔族
「「「「「「似たような物だろ!」」」」」」←天使達
「「「「「「だったら手前等は鳥頭だ、この融通の利かない石頭共が!」」」」」」←魔族
「「「「「「んだとぉ!?」」」」」」
「「「「「「あ゛あぁ!?」」」」」」
「「「「………」」」」
転移と共に互いの天敵を発見した両軍は互いに罵る。魔族はともかく天使の言葉使いが悪い。イング達は既にこれまでに何回か天使に遭遇しているので天使=行儀が良い、というのは幻想に過ぎないというのは既に知っているが正直この光景は小さい子にはお見せ出来ない。教育に悪すぎる。
「と、とりあえず奴等の視界に入らない内に逃げるか」
「え、ええ。また巻き込まれるのは勘弁願いたいですわ」
「………ん」
だが連中はイング達には目もくれていない様なので今の内に撤退する事に。
「じゃあ、こっちよ。見つからない様に着いて来て」
「……あ、またフラグが」
またもやカヤマがフラグを立てた事でさっきまで視界に入らなかった天使&魔族達がイング達をロックオン。
「に、逃げろぉ!」
「………わぁー」
「相変わらず緊張感の無い叫びですわねぇ!」
「みんなごめーん!」
大量の視線がこちらに向いた事で4人は一斉に逃げる。勿論スマホの電波が入る所まで。
ちなみに天使&魔族達は互いに戦うべき相手が目の前にいる為、イング達を追って行ったのは知性の引くい悪魔&魔物と天界獣の数十匹だけだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
最初に天使&魔族と遭遇して戦いに巻き込まれた時よりは大分マシだった悪魔&魔物&天界獣を軽く倒した後、ようやく電波の入る所までたどり着き、イング達はその世界から脱出する事に成功した。
現在はとりあえず亜空間に待機し、次はどこに行こうか相談している。相談も無しに次々行ってしまうとまた先ほどの世界みたいに戦いに巻き込まれて逃げられなくなる可能性があるからだ。
「全く酷い目に逢いましたわ」
「………カヤマはフラグ建築士(笑)」
「自分でも反省してるんだからそれ言わないで!」
腕を組んでカヤマを睨むエミリアとニヤリと言ってやったり顔のマナにカヤマが叫ぶ。
そもそもの話、この世界に入ろうと言ったのは他でもないカヤマだったからだ。……詳しい内容はあえて伏せるがその時にも怪しいフラグを立てたとか何とか。
「それで……次はどこを探そうか?」
「私は選ばないわよ」
「……それは分かってる」
「では次は私が選びましょう」
と、エミリアがくじの入った箱から紙を引く。
「幻想界……またですの?」
紙に書かれた内容を見て少しうんざりする。
「いいじゃないか。少なくとも物質界に行って武器・魔法の使用が出来なくなるよりはマシだろ」
「……物質界はハンデ戦」
「そもそも物質界は基本戦いなんて無いんだけどね」
逆にイング達の反応は良い方。
ちなみにイング達が自世界から出て最初はランダムで行ける所から行っていたのだが、カヤマが参入してからは「闇雲に捜索するよりは少しでも楽しみながら行った方がいいよ」と進言したので今ではくじを引いた世界の一番近い所に行っている。
「じゃあ次の目的地は幻想界だ。カヤマ、転移と管理人への連絡を頼むぞ」
「連絡くらいは自分でしなさいよ全く……」
スマホの扱いには未だ慣れていないのでイングはカヤマに任せる。
ちなみに次にイング達の向かった世界の名は【アンヴぇ】。奇しくも佐夜達の研修先となる世界だった。
次章で再会するのかな?




