幕章ー5 ~調理実習(せめて肉と魚は……)~
はい、幕章です。
今回の幕章も大体3~4話くらいやって次章へ行きます。
ワイワイwww────
ガヤガヤwwwwww────
メリ校のとある一室にて261期生3組の面々による調理実習が行われていた。(………どうでもいいがここに『ww』はいるのか?)
「いやぁ、前々から佐夜っちの作った料理、食べてみたかったんだよね~♪」
「うむ。りおが毎回毎回「美味しい美味しい」言うのでな」
「楽しみデス♪」
「いや、俺、皆に食わす事確定なのかよ……」
以前よりリオから話を聞いていた皆が佐夜の料理を楽しみにしている。
何でテストが終わったこのタイミングで調理実習をやるのかというと、他世界に行った時、料理屋が無く、その上料理が出来ないと食事がひもじい事になる。
故に、普段から料理出来る物は好きな物を作り、逆に料理が出来ない者達は最低『肉の焼き方』と『魚の捌き方』、『野菜・野草の毒の見分け方』などを習う。最悪、毒のある植物はスルーするとしても『肉』と『魚』だけは習った方が良い。
そして料理出来る人も普通に好きな料理を作っていいのだが、他世界に行った時にはその料理がその世界に無い場合、人目の付く所では作ってはならない規則になっている。勿論、調味料なんかも現地人に見られてはならない。
何故なら人は真新しい物には凄い興味を示し、現地人に簡単に食べさせたら最後、再現されてしまう恐れがあり、場合によっては『マヨネーズ災害』の様にその世界の生態系を崩す危険があるからだ。
故に料理の出来る者は現地人の目に着かないような(特殊な調味料を使わない)料理を作った方が良いとされる。まぁそこは自由にしていいらしいので皆、勝手にやっているが。
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ガリガリガリ………
「あー、クソっ。鱗がウザい!」
「っておい。だからってこっちに鱗飛ばすな!」
「うえぇ……。内臓気持ち悪い……」
「目が死んでいる……」
「いや、当たり前だろ」
生の魚(鱗・内臓付き)を初めて触る連中は当然、鱗や内臓に悪戦苦闘している。
ジュー…………
「はむっ………。う、半生だ……」
「く……っ。ただ焼くだけかと思っていたのに意外と火加減が難い!」
「だぁ! 外が丸焦げ!?」
「で、また中が半生……っと」
「きゃあああ!? お肉が火だるまにぃ!?」
一方こっちでは大きな肉の火の通し方に悪戦苦闘している。一般的にこういうお大きいブロックの肉はオーブンやレンジなどを使えば楽に出来るのだが、他世界に行けばそういうのは使えないので大きい肉を焼く場合の練習をしている。
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「へい、お待ち!」
「「「「「………」」」」」
そして料理が出来る組では自信満々気に調理を終えた優李が佐夜達の前に料理を出す。が、それを見た佐夜達は溜息しか出ない。
「えっと優李……一応聞くけど、これ何?」
「野菜炒め!」
「「「「「………」」」」」
皆を代表して愛沙が優李に何を作ったのか聞くと意外な答えが返ってきた。
何故ならそこにあったのは紛れもなく『炭』の残骸。恐らく肉も使っているのだろうが完成した物は完全に真っ黒と化していてどれが肉でどれが野菜なのか判別すら不可能だ。
「一つ聞くが優李よ。貴様、料理出来ないのではないか?」
「え? 出来てるよ? ……少し黒いけど」
「これは料理ではない! 炭だ!」
「っ!?」
そして詩織による指摘に優李は初めて自分が作った物が炭だと分かり言葉を失った。
「つかよく料理も出来ない癖にこっちに回ってきたなお前?」
「だ、だってこんなの見よう見まねで出来ると思ってたんだもん!」
「で、出来たこれは何だ?」
「………野菜炒め」
「いい加減認めろよ。これは人が食べる物じゃない」
「だな。よくある『この後スタッフが美味しく頂きました』的な物の範疇を越えてる。まぁ、真っ黒な炭なだけマシだとは思うけど」
そして意外や意外、料理の出来る(らしい)月とマック、健太も優李を追い詰める。
「───というか優李。そもそも料理における『さしすせそ』って分かる?」
こちらも能力は無いが料理は出来るサポート組のいずみが優李にそう尋ねると、
「さ・酸素
し・CO2(しーおーつー)
す・水素
せ・背油
そ・窒素?」
「ほぼ空気じゃん!?」
「何故に元素記号!?」
「ってか実質油っ!?」
「むしろそこまでいったら全部気体で纏めろよ!」
「最早料理関係ないし!」
調味料どころかほぼ食材ですらなく、5つの内4つが気体という謎回答に皆ツッコんだ。つかそこまで行くとわざとらしい気がするが、これは単に優李が天然で本当に料理などした事が無いだけである。なんせ元いた世界では有能な陸上選手だったらしいから家事など一切やってこなかったのだ。勿論異世界にいた時は常に料理屋で食事を取っていたらしいし。
「はぁ、アホな優李は放っておいて「アホとは何だー!」(物質界の)みんなは『さしすせそ』、知ってるよな?」
喚く優李はスルー。
「『さ』・は『砂糖』」←月
「『し』・は『塩』」←愛沙
「『す』・は『鈴木』?」←優李
「お前は黙ってろ」←マック
「(´・ω・`)」←優李
『さ』を『佐藤』と勘違いした優李が割り込んで頓珍漢な事を言い出し、マックの真顔によって黙らされた。
「『す』・は『酢』よ優李。寿司のシャリに入っているお酢」
「あ、そうなんだ……」
佐藤とくれば鈴木、という人の名前的なものではなく、酢酸だという事を愛沙が懇切丁寧に説明した。
「『せ』・は『醤油』」
「え、それって『し』じゃないの?」
「醤油は厳密に言えば『せうゆ』って言うんだよ」
「うむ。妾達昔の世界ではそう呼ぶのぅ」
「は~、昔の言葉から来るものなんだ」
……というか物質界以外の者ならともかく優李は物質界出身なのだから料理はしなくても『さしすせそ』くらい分かれや。
あ、テストでも赤点取るくらいだからこんなの分かんないか。
「ちなみに最後の『そ』・は、この『味噌』な」
と、最後に味噌を取り出した佐夜はその味噌を調理途中の鍋に入れ『味噌汁』を完成させる。ちなみに具はネギと豆腐のシンプルな味噌汁。
「って事ではい、これで俺のは全部完成かな?」
「え、何時の間に作ってたんだ?」
「みんながお喋りしてる間にな」
厳密に言えば優李が調理している間にも既に少しずつ調理を進めていた佐夜。
「相変わらず手際良いわね」
「まぁな。前に料理している所をよく(ノン&ロロに)邪魔されてたからな。だからお喋りしながら作るのが身に付いてるんだよ」
あのリス亜人2人はもう佐夜の近くにはいないが、代わりに姦しいリオがいつも一緒なのでお喋りをしながら料理を作るスキルが上がったのだ。……戦闘には役に立ちそうにないけど。
「とりあえず優李。はい、味見」
「え、いいの?」
「いいのも何も優李のお手本となる様に作ったっつの。ほら、とりあえず飲んでみろって」
「あ、うん………。う……美味ぁっ!?」
料理が出来ないのに料理出来る側に来てしまった優李に佐夜は料理とはどういう物なのか、分かりやすい様に味噌汁をお椀に注いで飲ますと、優李はまるで料理漫画の様なリアクションを取った。顔が凄いとろけている。
「ふむ、どれどれ?」
「あ、こら勝手に───」
「っ!? これは……っ」
優李の満足気な顔を見た椿姫が勝手に椀に佐夜の味噌汁を注いで飲むと衝撃が走ったのか劇画状態で固まり、
「椿姫ほどの美食家が唸るほど美味いのか? (ズズッ)………っ!」
「どれどれ……。K、これは美味いな。そしてどこか懐かしい?(ズズズッ)」
「まさにお袋の味って奴だな。ホッとする味だぁ(ズズッ)」
「私達は前々から食べさせてもらってるから知ってるけど、これは…(ゴクッ)」
「佐夜、また腕上げたんじゃないかコレ(ぷはぁ)」
「君等、勝手に飲むなよもう……。大分減ったじゃないか」
んで椿姫に続き、何時の間にか佐夜の味噌汁を飲んでいた面々が称賛の声を上げる。
「(もぐもぐもぐ)美味い!」
「ってコラ! 何他の物まで手を出してんだ!?」
佐夜が他の者に気を取られていると、その隙に佐夜が作った他の料理が気になった優李がその料理に手を伸ばし、思わず声を上げた。
ちなみに佐夜が今回作った料理は多種多様で、『出汁巻き』と『タマゴサンド』、『お好み焼き』に『生姜焼き(タレ不使用)』と『ハンバーグ』、『照り焼きチキン(タレ不使用)』と『オムライス』、『コロッケ』に『餃子(皮は市販)』に『エビチリ』、『秋刀魚の塩焼き』に『サバ味噌』、『かつ丼』と『親子丼(割り下共通)』と、この短時間でかなりの数を作った佐夜は確実に某・得損番組のウル〇クマン並みの速さで料理を仕上げていたのだ。
といっても事前に下準備はしてあったのでそんなに手間はかかっていないのだが。
「──って、もう俺の料理無いじゃないか。みんな食い過ぎ!」
そしてふと気付けばもう佐夜の作った大量の料理は周りの連中に食われ、もう残ってない。
「全く君等はもう……」
文句を言いながらも佐夜の顔は笑顔だった。
と、ここで終わればまったりしたENDだったんだが、それは問屋が許さない。
「こるぁー! 俺達が肉の塊や生魚に苦戦しているのにお前等だけ佐夜の料理食うとか卑怯すぎるだろ。俺達にも食わせやがれ!」
「「「「そうだそうだー!」」」」
覚助率いる所謂料理出来ない組の連中がこぞって怒りを露にし、殴り込んで来た。
「食わせろって言ってももう残ってないぞ?」
マックが指を指す先にはもう佐夜の料理は食いカスどころかソース(タレ)すら残っておらず、全て優李と椿姫によって食いつくされた。
「佐夜さぁん……」
「うわっ委員長、何で泣きながら抱き着いてくる!?」
すると突然お嬢様の花蓮が泣きながら抱き着いてきた。
「だってぇ、魚の内臓が……内臓が触れないんですもの……恐ろしくて」
「恐ろしいって……生き物は皆、内臓あるだろ。何言ってんの?」
「佐夜さんこそ何を言ってるんですの! あんなの人が触れていい物ではありませんわ!」
「いや、取らないと駄目だろ。それとも何か? 内臓ごと調理してお腹壊す気か?」
「いいえ! 私は悟りました。料理なんてもうしないと!」
「威張っていう事か!」
何処までお嬢様気質なんだよこいつ。
「魚は生臭いし、お肉は血の匂いが強烈過ぎます……。こんなものよく皆さんは触れますわねっ。信じられませんわ!」
「信じられないのはお前の頭と潔癖さだ」
ですわですわと煩い可憐に月がジト目で言う。
「さややー、お腹すいたー! ってもう無い!?」
「あはは……全部食われたぞ。みんなに」
「そ、そんな……っ」
するとヴァンの手伝いから戻ってきたリオが昼食を求めてきたのだが、もう佐夜の料理は空。リオはorzで項垂れた。
「キッ!(怒)」
「「「「「「う………」」」」」」
毎日佐夜の手料理を楽しみにしているリオにとって佐夜の料理が食べられないのが余程悔しかったのか。佐夜の料理を食べた連中を泣きながら睨む。
「はいはい。そんなに怒るなって。まだ時間もあるしリオもまだ空腹の限界じゃないだろ? カレーでも作ってやるから泣くな」
「え、ホント? やったぁー!」
「ごふぉ!?」
『カレー』という響きにさっきまで泣きそうになっていたリオは飛び跳ねて喜ぶが、両手を上に挙げながらジャンプした事により、側にいたマックに思いっきりアッパーを食らわせた。
こうして色々と面倒くさい事になってきたのでとりあえず、料理の出来ない面々には魚の下処理&肉の焼き加減を料理の出来る面々に教わりながら作ってもらい、佐夜は月&愛沙の協力の下、大量のカレーをクラス全員分作る羽目になった。ちなみに下処理の済んだ魚はそのままシーフードカレーに、中までちゃんと火が通った肉は切り分けてビーフ(ポーク)カレーにし、どれも佐夜の配合したスパイスのオリジナルカレーにピッタリ合い、どれも美味しかったという。
そしてみんなで協力した結果、何とか花蓮も含めて全員が魚の下処理と肉の火加減を覚えることが出来た。これならもしみんなと逸れて1人になったとしても魔物や魚を取って簡単な調理くらいは出来るだろう。
「くんくん……お、いい匂いだな?」
「この匂いはカレー、ですか?」
「そだよ。それもさやや特製カレー! ……お肉とお魚は違うけど」
すると今度はカレーの匂いに誘われてきたヴァンとティーナが調理実習室に入って来た。
「お、佐夜のカレーか。2か月ぶりだな」
「そうですね。リオ、私達の分もある?」
「ない!」
「「無いのかよ!?」」
てっきり自分達の分くらいはあるだろうと思っていたヴァンとティーナだがリオが即言して言うので思わずツッコんだ。
「いやいや、リオ何言ってんの。今作ったカレーは多めに作ったから2人の分もちゃんとあるから」
「え~。リオ、カレーいっぱい食べたいのに~」
普段から大食漢(?)気味で(全然太らない体質)のリオはカレーは最低でも5、6杯は食べる。しかもそれが佐夜の特製ともなれば10杯はイケる。
「その分、大量に焼き余った肉と魚を何とかアレンジしてやるから我慢しろ」
「やっほーい!」
「げばらっ!?」←リオの隣で食べていたらアッパーを喰らった健太
「「子供か!?」」
「子供ね」
ヴァンとティーナ、そしてこの後にも誰か来るかもしれないのでその分カレーは残し、リオには代わりに余った肉と魚を使って色んな料理を作り、リオはそれを満足気に食べ、それを見た他の者も佐夜にそれを要求し、結局佐夜はこの場で一番料理をする羽目になった。
余談だがこの後、ゼロと陽菜々、ユフィと透、義信に楓、更にはゼクターとイオン、更に更に理事のマロンまでやってきて、プチ宴会みたいな事になったのは言うまでも無い。勿論その分の料理は佐夜(一応見るに見かねて他の者も数名手伝っていた)が作る羽目になったのも以下ry。
次回は少しイニシエを離れて佐夜の元いたで起きている騒動についての話です。
ではまた。




