第29話 ~神玉(かみだま)「何でも叶う訳じゃ無いけどね!」~
はい。今回で第5章が終わります。一旦幕章を何話か挟んで6章に向かいます。
あ、後、第6章時にタイトルのあらすじ変更も行います。
もうね。佐夜を主人公に添えた方が良いかと思いました。
故に佐夜を主人公に確定し、物語を進めます。一応SIDEストーリー的な物も入れるかと。
スマホの拡張機能をした途端、その性能と追加されたアプリに夢中になってティーナの事を無視していた生徒達に電撃を浴びせたヴァンが頭をガシガシと掻きながら教室内に入ってくる。
「ったく、このクラスは相変わらず個性の強い奴等ばかりでちっとも説明が先に進まないな」
「ご、ごめんなさい兄さん、私の指導不足で……」
「ティーナの所為じゃねーよ。さっきも言ったろ、明らかにこいつ等が悪い。気にすんな」
「兄さん……」
「ティーナ……」
ヴァンが泣きそうになっているティーナの頭を撫でていると、何か変な雰囲気になってきた。
「はいはいはいはい!」
「うお!?」
「ひゃっ、って、リオ!」
その2人を見たリオがムッとした表情で割り込み、ヴァンとティーナを引き剥がす。
「隊長もティーナもっ、今度は2人がLHRを中断しちゃってるよ。早く終わらせるんでしょ?」
「あー、そうだったな」
「そうでした」
「そうだったー、じゃないよ。ホントに……。ほらティーナ、進めて進めて」
怒り心頭とばかりに教台をバンバン叩くリオにティーナが苦笑しながら進める。
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先ほどテストを通過した後に行うスマホの拡張機能のロック解除をデバイスを使って行っていたティーナだったが、ロックの解除を行って色々な拡張機能が使えるようになった瞬間、クラス中のみんな(一部を除く)は担任であるティーナの静止を無視し、ひたすらスマホを弄っていたのだ。
で、他のクラスはとっくに終わっているのにこのクラスがまだ終わっていないことに気付いた主任のヴァンが指導に来た訳だ。
何か最後(っていうか最初?)に変な雰囲気になりかけていたけど。
「えっと……じゃあ次はコレ『収納空間(小)』です」
ティーナが次に取り出したのは『収納空間(小)』と呼ばれる指輪だ。
これはとある幻想界に召喚や次元転移した連中が持つ『無限収納』とは違い、(小)が付くので想像が着くとは思うがそんなには入らない。実際どのくらいの空間かというと、縦20、横20、高さ20mくらいの空間しかない。
ちなみにスマホの追加された機能の中にも『次元収納(小)』と言うのがあり、容量は『収納空間(小)』とさほど変わらない。
「これを使えば色んな物を限界はありますが出し入れすることが出来ます」
と言いながらティーナは己が持っている『圧縮収納(中)』の中にある食材(保存用)を瞬間的に教台に出現させる。
「って事は食べ物は勿論、武器とかアイテム、金目の物も結構な数が入れられるのか」
「そうですね。ちなみに私のおススメとしましては食べ物や飲み物を多めに入れておいた方が良いかと思います。何時如何なる時、食べ物や飲み物が無くなる事が多くありましたので。ハイ………」
((((((過去に何があったんだ?))))))
儚く笑いながら『圧縮空間(中)』から大量の食べ物&飲み物を出すティーナに、生徒達は頬を引き攣らせた。
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その後、各世界で換金出来るように『金塊』を2つ。栄養ドリンク(HP&MP)や各種医療品、ひいてはティーナの選んだ手軽で栄養価が高い食料品を10kg、そして何故かアイドル『SAYA』の各種グッズなど色々な物を支給され、残すは先日テストで優秀な点を出した者に与えられる特殊な物だけとなった。
ちなみに佐夜は自分のグッズが自分に支給される事に戦慄を覚えたらしい。実際両手で顔を伏せているくらいだ。相当恥ずかしいのだろう。
「では最後に先日のテストの1回目で満点(以上)を出した月さん、椿姫さん、詩織さん。前へ」
「あ?」
「何じゃ、何かあるのかえ?」
「変な物じゃなきゃいいが……」
やや好戦的な3人が三者三葉な態度でティーナの下に行く。
「1回目で優秀な貴女方3人にはこの『神玉』を3つ、贈呈します」
わざわざ高価なトレイまで用意し、その上に神玉を3つずつ乗せて3人に渡す。
「は、はぁ……」
「何と言うか……見た目は勾玉みたいなもんじゃのぅ」
「それでこの『神玉』とやらはどんなものなのだ?」
「何だこれ?」とばかりに訝しげな月に対し、これが何なのかなんとなく察している椿姫と詩織だが一応聞く。
「これは別名『願い玉』と言いまして、文字通り願いが叶う玉です。……何でも全ての願いが叶う訳ではありませんが」
「「「「「「「おおー!」」」」」」」
『願いが叶う玉』と聞いて皆の歓声が湧く。
実はこの『神玉』、ここイニシエのトップであるマロンが作った特殊なアイテムで、その作り方は企業秘密らしいが、とにかく神気を大量に使うらしいのでマロンは一気に作る事は出来ず、ちょこちょこと少しずつ製作していたのだ。
で、全てではないがある程度願いが叶うこの玉が叶える事が出来ない事は『世界征服』や『不老不死』とか『時間飛行』、ひいては『洗脳・殺人系』の類だ。
その代わり『物欲』や『蘇生』、『次元転移(次元穴は開けないでの転移)』、その他の物の願いは何でも叶う。勿論『願いを増やす系』は当然無理だが。
そしてこのアイテムは他人に譲渡が出来ない仕組みな為、殺して奪う事は出来ない上、『神玉』を所持中に死亡した場合(1回既に残機を使った場合のみ)、自動的に蘇生する。つまり2回死ねるという事。勿論使用後は神玉は消える。
「ふむ、やはり『神玉』だったか。実際見るのは幼少の時以来かの」
「私は伝承でしか知らず、これが初見だが二条館にはあったのかコレ?」
「うむ。父上が生涯大事そうに持っておっての。じゃが応仁の乱の時に襲来を受けての攻防後、何時の間にか無くなっておったわい」
「じゃあ誰かが使ったか持ち去ったって事か?」
「だな」「うむ」
戦国時代から来た椿姫には見るのがこれが2回目となる『神玉』。で、結局元の世界にあった神玉はどうなったのだろうか?
「続きまして80点以上の6人には『神玉』を2つ。贈呈します」
するとティーナは次に優秀な点を取った6人を呼び出して神玉を渡す。
「嘘!? 私達も貰えるの?」
「やったぁ! 何でも願いが叶う……訳じゃないけど、アレが叶うから私だって……っ」
「やっほーい! 今まで全然上がらなかった魔力値がこれで上がるぜ!」
「ふふふ、これで俺も異能が……」
「私はまだ考え中かなぁ」
「だね。すぐに使わなくてもいいし、奪われる心配も無いっていうしね♪」
と、実は次点の6人は無能者、もしくは魔力値が低すぎて弱かった者達だったのだ。まさか満点(以上)じゃないのに貰えるとは思わなかったのだろう。凄い喜びようだ。
更に更に、
「じゃあ次で最後です。51点以上の方、そしてテストを受けられなかった真桜さんに神玉を1つずつ贈呈です」
「「「「「「おおー!」」」」」」
「「「「「「やったぁ!」」」」」」
「え、真桜も!?」
赤点以外の者はともかく、テストを受けていない筈の真桜が貰える事に当の本人が驚いた。
「うわ、マジか……。赤点回避で貰えるならもうちょっとちゃんと勉強すればよかったぜ」
「ああ……。今更悔やんでもしゃあない……」
「というか何であの子テスト受けてないの神玉が貰えるのよ?」
「贔屓良くない!」
すると赤点を取った者達の一部のやるせない気持ちが真桜に向けられる。
「贔屓じゃねぇぞ。真桜は真桜で受けられないテストの代わりにクエストを受けて貰っていたんだよ。魔力で動かす艦のテスト動作員としてな。だから贔屓じゃなくてクエストの報酬扱いだ。おK?」
「「「「「お、おK………」」」」」
だがヴァンに言い負かされて赤点組は黙り込んだ。ちなみに真桜と親しい人達は真桜が何をやっていたのかは知っている。
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「さて、と。ティーナの話が終わった所でこっからは巻きで行くぞ!」
「巻きって何?」←リベッタ
「早く終わらせる事」←メメット
ティーナの話が終わった所でヴァンに代わり、ここからは巻きで行きます。他のクラスではもうLHRが終わって下校しているからだ。
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テストが無事終了し、第261期生の生き残り(別に死んではいないが)342人はこれから実際に事件が起きている実地に魔族Z組と上級生のサポート生と共に任務に向かう。どこに向かうかはそれぞれ事前に決まっており、何処に向かうかは当日のお楽しみらしいが、別に遠足に行くわけじゃない。
だが一応どこに行くのかは教えないが、候補として5つの世界が挙げられている。
まず1つが幻想界【アンヴェ】。剣と魔法の世界だというのは皆知っているがこの世界には人間以外のエルフや亜人、ドワーフなどの人型生物はいない(はず)。
2つ目は近未来【テンベス】~[物質界B-564-02891R]。何で2つ挙がっているのかというと、近未来【テンベス】から物質界へ物資が流出しているとか何とか。で、その調査を両方の世界から行うらしい。
3つ目には【Y45天界~魔界】。よくある天魔戦争なのだが、その両方とその間にある物質界Cに次元迷子者がいるらしいのでその救出と戦争の被害軽減活動。
4つ目は再び幻想界【ジル】。今度は逆に亜人やエルフ、ドワーフや魚人、魔族などはいるが『人間』がいない世界。居たとしても忌み嫌われる存在の世界。
最後の5つ目は[物質界A-113-4892]。こっちも逆に異世界の者が大勢物質界に次元転移したパターン。マスコミなどに騒がれる前に収拾を付けなくてはいけない。
この5つの中で4クラスがどれかを受ける事になっている(選ばれなかった任務はクランに依頼)。
その間にもヴァンは超速巻きで説明する。だが早口過ぎて誰も頭の中に入って行かない。
「────ってな訳で。各自、来週からの実地での活動に備えて準備を怠るなよ。それと今の早口で分かりにくかった奴はスマホの動画にもアップしておくからそれも見る様に。じゃあ解散」
「「「「「「「早っ!?」」」」」」」
まるでアコ〇のCMみたいな驚き方をする生徒達。なんせ通常だったら1時間掛けて説明する筈のものが15分に短縮されたからだ。詰め込み過ぎにも程がある。
「さやや、来週からいよいよ実地での任務だね。わくわくする?」
「んー、ワクワクと言うよりはドキドキの方が大きいな」
「───それは恋だね!」
「いや、そのドキドキとは意味合いが違うだろっ。緊張の方だ」
何をとち狂った事を言ってるんだこいつ。
「え、何何? 佐夜ちゃん恋しちゃってるの?」
「マジか!? こりゃワイドショーものだな!」
「今度は誰だ、佐夜ちゃんのハートを射止めたのは!?」
「俺か?」←覚助
「何言ってるの。んな訳ないでしょ」←優李
「何おー!」
で、すっかりアイドルと化している佐夜にそんな誤情報が一度発信されれば、このクラスだけでこんな騒ぎになる。正直うるさい。
「……こんな調子で当日大丈夫なんでしょうか?」
「ま、このクラスは個性の強い奴等ばかりだからな。何とかなるだろ」
「そうですね。では兄さん。私は食料の大量保存に行ってきます」
「………また変な物詰め込み過ぎて化学反応起こすなよ?」
「そこは大丈夫です。ゼロさんに区切りを作ってもらいましたからっ」
「そ、そうか……(不安しかねぇ)」
やけに食料に拘るティーナにヴァンは不安しか抱かなかった。
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~SS~
マロン「………え、もう終わり? 早くない?」
理事長室で紅茶を啜りながら仕事をこなしていたマロンが急に誰かにツッコんだ。
楓「? どうしたマロン急に?」
マロン「い、いえ、何か突然の電波を……」
楓「電波て……アンタこそ何言ってるんだ? キャラ変か?」
マロン「ちがいますー。………でも最近本当に出番少ないわね、私」
楓「それこそ今更でしょうに。恐らく今の所アンタが一番出番が少ないと思うぞ」
マロン「マジですか!?」
楓「何だその口調!?」
変な言葉使いになったマロンにツッコんだ。マジですかて……。
楓「ハーマンもそれほど出番は無いがキャラが濃すぎるからな。出番の少なく、尚且つキャラがいまいち薄そうなアンタだ。その内空気になるんじゃない?」
マロン「!?」
神様なのに空気になるかも、と言われたマロンはショックを受けて立ち上がり、
楓「え、おい、ちょっと。どこ行くの!?」
マロン「旅路の準備よ! 今回の新入生の付き添いには私も同行するわ!」
楓「アンタが行ったらバランスが崩れるだろ!」
マロン「そんなの知った事じゃねぇっすわ!」
楓「だから何だその口調は!?」
透「……何やってるんですか一体………」
マロンとそのマロンを羽交い絞めにする楓がギャーギャーと騒ぐ光景に廊下で待機していた透が溜息を付いた。
果たしてマロンは無事、新入生達の付き添いに同行出来るのだろうか?
それは次章で分かります。
事前に分かっているかと思いますが佐夜達が行くのは幻想界です。どっちの幻想界かは秘密ですか。
では幕章を挟みつつ次章で。




