第27話 ~舞華=追跡者~
今回は舞華と詩紗、そして提供者の話です。グダグダになっているので流して読む事をお勧めします。
「待ちなさーい!」
機関所属になった筈の舞華が鈴原いずみと光野詩紗を追いかけている。
何故か魔法少女に変身した状態で。
「と、とりあえず追いかける?」
「ああ、何で2人を追いかけているのかは知らんけどな」
理由は知らないけど、放っておける状況じゃないっぽいのでとりあえず佐夜とリオも3人を追う。
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「はぁ、はぁ……もう逃がさないわよ!」
「し、しつこい……」
「というか何で追いかけてくるのよ……っ!」
微妙に入り組んだビルの奥の方で3人が息を切らしていた。どんだけ走っていたんだよお前等?
「さぁ、アンタが持っているアレを出しなさい!」
「嫌よ! って言うか変身すらしてないのに何で私が魔法少女だって分かるのよ!?」
「ふふん、私には分かるのよ! だてに奴等に騙されて闇落ちしてないわ!」
「「闇落ち!?」」
舞華の口から『闇落ちした』っていう単語にいずみと詩紗に緊張が走る。最悪戦う羽目になるかもしれないと詩紗は変身アイテムに手を伸ばす。ちなみにいずみの場合は単に巻き込まれただけの無能者な故、まともに戦う術はないけど一応学園で習った構えを取る。
「「「……………」」」
3人の間に緊迫とした空気が流れる。
「おーい。お前等何やってんのー?」
「「「……え?」」」
するとそこにポニテの美少女が2人現れた。いやまぁ、言うまでも無く佐夜とリオなんだけど。
「「「佐夜(ちゃん)!?」」」
突如として現れた共通の知り合いに3人はその名を呼び、
・・・・・・・・・・・・・・・。
「「「………え?」」」
互いに佐夜の知り合いだという事が分かって舞華といずみ&詩紗は顔を見合わせた。
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その後、佐夜とリオは舞華、いずみ、詩紗を連れて本日3回目となる飲食店へ。
「で、何で舞華はいずみさん達を追いかけ回してたんだ?」
「いずみ……ってどっちよ?」
「こっち」
リオが無能者であるいずみを指す。
「じゃあ違うわね。私が追っていたのはそっちの方」
「やっぱり私かぁ……」
いずみではなく詩紗の方を指差す舞華に本人は頬を引き攣る。
「詩紗さんの方でもいいけどさ、何でイカry」
「そこまで言うなら最後まで言いなよ!」
わざと最後の方を言わずに濁すと本人にツッコまれた。うん、普段この2人とあまり絡んだ事無いから何か新鮮。
「何で追っていたのかって言われたら、そこの詩紗って子が魔法少女だからよ。それも私の宿敵ともいえる『提供者』の気配も感じるわ」
「提供者……だって!?」
「わぉ」
「??」
まさかこの地でその名を聞く事になろうとは思ってもいなかった佐夜は詩紗に目を張り、リオは小さく驚いた。いずみは「え、何それ?」的な感じで首を捻っていた。まぁ、『提供者』は講習やテキスト、更にテストにも出てなかったからなー。多分該当する人がいるかもしれないって事で伏せていたんだと思う。この詩紗の様に。
事情が良く分かっていない詩紗といずみに佐夜は魔法少女やヒーローの近くにいる小動物について話す。
提供者──────
近未来に住む番組プロデューサーで自世界や他の近未来、もしくはTV文化まで達している物質界に娯楽放送をもたらす為、他世界の人間を異世界へ転移させたり、次元の穴を開けて異能者へと覚醒させたり、小動物アバターに扮して適当な少年少女に近付いて英雄&魔法少女へと変身させたりする。
正直かなり傍迷惑な存在で、異世界へ転移させられた人間の場合(大抵は『物質界』→『幻想界』行き)、突然転移させられて右も左も分からない人間が現地の人々と触れ合い、その後どうなっていくのかをドキュメント風に撮ったり、
物質界(この場合A世界)に次元の穴を開けて異能者を大量覚醒させた状態で色々と手を回し、異能バトルへと発展させ、その催すをそのまま撮ったり、
英雄&魔法少女に変身させ、他世界の魔族やら闇属性の者に協力を要請して手を回し、まるでニチアサの様な戦いをさせてその様子を撮ったりしてそれらの映像を編集して己の管轄世界へと流す存在。
そして提供者のその大半がかなり作業が雑すぎるので、被害に遭った者達へのフォローは殆ど行われていない。
その結果どうなるのかというと、被害に遭った者達の半数以上が死亡するか、もしくは闇落ちしてのBADENDになる。ハッピーエンドなんて殆どない。近未来では『人間がどう落ちていく様が見たい』っていう需要が多いらしく、提供者は最初だけ手を加えれば後は特に何もしなくても被害者達が勝手にBADEND直行していくので、最近ではこういう被害が多い。
そして一番性質が悪いのが英雄&魔法少女へ変身させて戦わすパターンだ。
何が性質悪いのかというと、本気で他世界に助けを求めている(天界などの)世界から派遣された本物の小動物と提供者が使用している偽物の小動物は見た目では見分けが付かず、教会や機関の者達でもどっちなのか分からないので手を焼いている。
「あれ? でも舞華、さっき『提供者の気配が分かる』って言ってなかったっけ? ヴァンや勇治郎達は分からんって言っていたけど」
「そうね。何故か分からないけど私には判るのよ。提供者の偽物か本物の小動物なのか、ね」
「はー、それで提供者の気配を感じ取ったまっちゃんはシャーたんを追いかけてたんだねー」
「まっちゃん!?」
「シャーたん!?」
いきなりあだ名で呼ばれた2人はとても驚いている。
「っていうか私は完全に巻き込まれた側なんだけどねぇ。マジ疲れたわ」
「あはは……さっきまではどっちが追われていたのか分かんなかったから……」
「ま、私じゃなかったから別にどうでも良いけど」
「そんな他人事な!?」
舞華に追われていたのが自分でないことが分かった事で詩紗が「裏切られた!?」とショックを受けた。
「多分だけど一度闇落ちした事と、提供者と直接戦った事で奴等の持つ気配とかが分かる様になったんじゃないかってリクが言ってた」
「リクって誰よ?」
「機関にいるレイレイの弟だよ」
「あいつ弟なんていたのか」
全く関係ない話でゼロの事が分かった。
「それで、追われてたのが私じゃなくて詩紗なのはいいけどさ、捕まえてどうするつもりよ?」
「どうするってそりゃあ『変身アイテム』を破壊するのよ」
「っ!?」
詩紗にとって戦う為の必須アイテムを『壊す』と言われ、舞華から距離を取る。
「……舞華、いきなりそんな事言われたら誰だって身構えるって」
「あ、そうね。説明も無しに破壊されるのは仁義に欠くものね」
「仁義て……」
一瞬、ヤンキーのやすしを思い浮かべた佐夜。いや、あの人はヤクザじゃないし。
と、いう訳で、佐夜の補足も含め、舞華が自分が体験した悲惨な出来事を詩紗に話す。騙されて魔法少女になり、仲間を殺され、大人達にはいい様に使われ、最終的には全てに絶望し、闇落ちした事。
その後、舞華の心の中にダイブした佐夜によって何とか復帰し、自分達をこうした提供者に復讐を誓い、ようやく見つけたと思ったら、他の闇落ち英雄達と戦う羽目になり、それでも何とかそれらを突破して全ての元凶となったノーンを佐夜と一緒に撃破した事。
提供者ノーンを撃破後、奴に殺されたり、闇落ちした者達の魂を見送った後、舞華は機関に入り、未だ提供者に騙されている人達を解放すべく日々頑張っている事。
それらを全て話し終え、舞華と佐夜は当人の詩紗と関係は無いがいずみに目を向ける。
「「~~~~~~(涙)っ」」
「「??」」
すると2人は泣いていた。リオはいつの間に頼んだのかパフェを食べている。
閑話休題─────
「う~~……そんな事が……そんな事があったんだねぇ~~(泣)」
「怖い……提供者怖いよ………(ガタガタブルブル)」
黙って話を聞いていた2人はガタガタ震えながら泣いていた。
「んー……こんな話をしておいてなんだけど、とても『変身アイテムを破壊させてください』なんて言える雰囲気じゃないわね」
「まぁね」
流石にこの状況で破壊するほど舞華は鬼畜じゃない。
「うう……ノーマの奴、そんな事やってたのかぁ……」
「っ、誰!?」
すると突然何処からか声が聞こえてきて舞華が身構える。
舞華が身構えるという事は………
「こっち、こっちー」
「「「「え?」」」」
詩紗以外の4人が声のする方、詩紗の胸元に目を向ける。
「よ………いっしょっ」
「「……は?」」
「わ、可愛い……」
「……ケサランパサラン?」
そうお、そこにいたのはあの有名な白くてモフモフした丸い毛玉『ケサランパサラン』だった。いや、一応目と口があるから微妙に違うか。
「アンタがこの子に憑いている提供者?(ギロリ)」
「怖い、怖いから睨まないでよ……」
「無理。そもそもアンタ『ノーン』を知ってたっぽいし。仲間なんじゃないの?」
「ち、違う違う。ワテは寧ろあいつの被害者!」
「は? 何で提供者が提供者を襲うのよ?」
「実は……」
『ケサランパサラン』に殺意を向ける舞華に当のケサパラは語り出す。
何でもこのケサパラ(名前は一人称の『ワテ』)の本体が異世界に転移した者(ワテが転移させた訳じゃない)の物語を収録していた時、他の提供者が闇落ちさせたヒーローとかち合ってしまい、本体は殺されてしまったらしい。
で、死んで完全に意識が消える前に何とか手元に残っていたアバターがこの『ケサランパサラン』だったらしく、そのままワテの意識はこのアバターに宿った。そしてその後、自分を襲ったのがノーンの駒だったらしく、自分を襲ったのは事故ではなく意図的にワテを排除する為にやった事なのだと分かった。
分かったのだが、この姿ではもう仕返しどころかまともに動く事すら出来ない。出来る事と言えば昔、魔法少女にした『光野詩紗』の下に行き、注意する事しか出来ない。
「そういえば何で私だったの? 他にも色々とやってたんじゃない?」
「いんや。ワテは少数かつ長期に亘って収録するタイプ。それもあまり自分で自作自演はやらない主義。襲われた時にいた世界での撮影対象もたまたまその世界に次元転移した人だし。まぁ、所謂ドキュメンタリー担当ってやつだと思っといて。それに詩紗以外の人間はみんな、既に結婚してるから下手に巻き込めない」
「……なるへそ。確かにノーンを撃破後に現れた奴も「提供者にも色んな奴がいる」って言っていたしね。理解したわ。……納得はしてないけど」
「理解してくれてありがとさん。で、この姿だともう提供者としての活動は困難だからこうやって詩紗の所に匿ってもらってるのさ」
「そ、良かったわね。もし普通にフラフラしていたら確実にギルティしていた所よ」
「「「怖っ!?」」」
「舞華……相変わらず提供者相手になるとダークサイドになるなぁ」
「仕方ないでしょ。それくらい恨み辛みがあったんだから」
ふふふ……と笑う舞華だが闇オーラが全身から漏れているのが分かる。
「まっちゃん。りじちょーと連絡が取れたよ。そこのケサパラ……『ワテ』は無害だから放っておいていいんだって」
「あ、そっか……ここは協会の本部世界。害する可能性のある奴が侵入して来たら流石に上の人達には分かるか」
「そゆこと~」
いつの間にかマロンと連絡を取っていたリオが舞華に伝える。これで詩紗に害が及ぶ事は無いだろう。
「まぁ、ここのトップが『問題無い』って判断したのなら私が出る幕は無いって事ね。……殺れなくて残念だけど」
「「「だから怖いって!」」」
相変わらずのダークサイドにリオ以外の3人がツッコんだ。
と、問題も解決(?)してそろそろ会計して帰ろうかとしたその時、
カランカラーン──────
「あー喉痛てぇ……」
「アタシも……」
「お2方、歌い過ぎでござるよ」
「いや、お前の方がいっぱい歌っていたじゃないか」
「何で平気なんだよ……」
佐夜達のいるファミレスにさっきまで一緒にいたメンツがそこにいた。
「あれ、佐夜? ニケさん達と一緒じゃなかったの?」
「あ、佐夜ー!」
「え、愛沙達、なんでここに」
「ドリンクバーと夕ご飯ー!」
そう、愛沙達だ。どうやらカラオケを歌い終え、軽い夕食がてらドリンクバーに来たらしい。
カランカラーン──────
「あ、マイカさん、こんな所にいたー」
「スンスン……。あれ、佐夜達もいる?」
「あ、ホントだ」
更にルイとニケも舞華を探してファミレスに凸。
「おー。これで土管兄弟が揃ったなー」
「「誰がマリ○ブラザーズか!?」」
正義がリオとルイ見てほくそ笑み、ちみっこ2人に絡まれる。
「あら、よく見れば舞華に……え、同じクラスのいずみと詩紗まで……どんな組み合わせよ?」
「あはは……ちょっとな」
まさか一触即発だった事は言えない。
「う~ん。和気藹々でいいねぇ」
「え、何この生き物。カワたん!」
「そうか? ただの毛玉じゃないか」
「むむ、これはあの『けさらんぱさらん』ではなかろうか?」
「けすらんはさらぬって何?」
続いて舞華に殺されそうになったワテが乱入してきたニケ達&正義達を見て微笑んだ(様に見えた)。
「はぁ……ホント、カオス過ぎるわ。ここの連中……」
「でも退屈はしないでしょ」
「まぁね」
最早、グダグダになった場ではあるが、和気藹々と騒ぐ佐夜達を知る目に舞華といずみが最後締めた。
次回でようやく一段落つきます。テストが返ってきて、スマホのアップデート、そして外界研修の予定があります。
5章も大体残り2~3くらいで終わる予定です。
6章は外界研修の為、再び幻想界に行きます。




