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異世界無双禁止規定(ステージ オブ グラウンド)『緩』 ~歌姫神と称された少年のあれこれ~  作者: 浅葱
第5章 ~学園狂想曲(スクールカプリッチオ)~
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第23話 ~佐夜の追憶(略)とこちらでの再会~

長いので身体測定の話は2つに分けました。ゼクターさんは次回登場になります。

後、何か最終回の様な打ち切りさがありますが何の関係もありません。

まだまだ続くおー!


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーっ!」

「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーっ!」

 何やら健太と覚助が全力疾走している。


「「ゴール!」」

 そしてほぼ同時にゴールした。


「「佐夜、どっちが早かったか!?」」

「え? あ、ゴメン。見てなかったわ。つか計ってもなかった」

「「走り損じゃねーか!?」」

 で、ゴールラインの横でボーっとしていた為タイムを計り損ねた佐夜が2人にツッコまれる。




 今日はクラス再編成後の身体測定&異能力測定。

 所謂、入学してからここまでどのくらい体力が上がったのかを測定する訳だが、これはナチュラル状態、つまり魔力や異能による身体能力UP系は禁止されている。あくまで素の状態で計る事を目的とした企画だ。

 そうする事でこの後待っているであろう初の外界任務へのパーティが振り分けられる。一応自分達でも組めるのだが、あまりにバランスが悪いと変えられる可能性がある。

 ※:例として10人パーティの内、10人全員が椿姫の様な好戦的な奴だと明らかにバランスが悪く、回復薬もいない為、何か起こったらデンジャー。


 故に誰がどのくらい動け、またどのくらい魔力や異能力を保持しているのかを測定しているのだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「はぁ、はぁ……全力で走った後のツッコミは……キツイ」

「ぜぇ……はぁ……。それよりも……佐夜、何で計ってなかった…んだ?」

 たかが1000Mを全力(・・)で走っただけなのに息を切らしている2人。いやまぁ、100Mならともかく1000Mを全力で走るのは確かにキツイとは思うけど。


「ん、今日ちょっと昔の夢を見てな。何か懐かしいと言うか切なくなったと言うか……」

「ふむ、所謂『あんにゅい』というやつでござるな?」

 憂いな表情をする佐夜に覚助が「麗しい!?」と何やら喚いているが、当の佐夜本人には聞こえない。

 つか御剣よ、カタカナくらいちゃんと言え。


 どうしてこの時期にあの頃の夢を見たのかは知らないが、もう戻らない日々を思い出してしまった佐夜は深い溜息を付いた。

 ちなみに先日のハーマン氏によるショック療法は何故か成功していて、佐夜の性格は元に戻っている。逆にその他の生徒達には軽いトラウマになっている様だが佐夜はその事を知らない。


「うきゃあああああああああああああ!?」

「いやああああああああああああああ!?」

 そんな黄昏ている佐夜を余所に優李と愛沙が椿姫と詩織に(準備運動なのに)投げ飛ばされていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 昨夜、佐夜が見た懐かしい夢とは【レニアナ】にいた時のイング達との夢だ。


 元いた世界から文字通り叩き出され、亜空間を彷徨い、レニアナに墜落して重傷を負っていた所をエルフの少年【イング】に助けられ(つかよく生きてたな)、見た目から女の子と誤解され、最初はイングと変な雰囲気になったり、「俺は男だー!」と言って誤解は解けたものの、余計に関係が拗れたりした。

 だがそんなイングとのギクシャクした関係は佐夜が(街中にいるのに)酒に酔った盗賊に襲われ、剣を忘れたイングが必死に助けようとするが結局は駆け付けた衛兵(騎士)達によって事なきを得た。そしてその後、イングの治療を佐夜が受け持った時にようやく2人はちゃんとした会話をする様になり、蟠(わだかま)りが解消されて仲良くなった。

 周りからはカップルの様に見られていたけど……。


 その後はレニアナにある学園(の分校)に通う事になり、色々なイベントを行った。詳細は省くけど。


 そんな中、佐夜とイング達に与えられたのが最近発見された地下遺跡の調査。

 大勢の学生、騎士、冒険者、研究者達を連れ、発見された地下遺跡に入り、下層に降りていくと、そこには地獄が待っていた。

 最下層にある転移装置から次々と恐竜が送られてきていて、元々そこに居たモンスター達は食われるか上層に逃げてきたのだ。

 で、この世界のモンスターはともかく、本来この世界(というか地下)にいる筈の無い恐竜がここにいるという事はこの先に何かある、と佐夜は考え、皆は待機組と退路組、そして調査組と分かれて先に進み、ようやく恐竜が転移されたと思われる門(ゲート)を発見し、その場にいた恐竜を何とか倒した。


 すると佐夜達の背後から忍者のコスプレをした少女(?)リオが登場する。


 それと同時に恐竜を倒した時、転移装置も故障させてしまった様で暴走が起き『限定封鎖』が起きてニケを含む一部の者が亜空間へ放り出されてしまった。

 その直後、行動を起こしたリオの機転によってこれ以上の被害は出なかったが転移装置は完全に壊れた。……かの様に思われた。


 半分近くの死者を出しながらも何とかこの世界に転移してきた恐竜を殲滅し、リオと会話しながら地上に戻ると今度は王都が異世界の者達に襲われているとの報告を受け、佐夜とリオ、イング達は亜空間にいる艦『エルシオン』のオペレーター【茨木 透】の操作によって直接王都まで転送させてもらった。

 そして王都に転送してもらった後、ヴァンと合流(であい)、王城全内城及び謁見の間を占領していたゼリア軍を難なく倒した。


 ───だが、最後にふっ飛ばした准将と隣国の裏切者の第二皇子との(意図してやった訳じゃない)連携攻撃で放たれた凶弾がイングの頭を打ち抜く。


「い……イング──────ッ!!?」


 そう、いくら強くても脳天を打ち抜かれれば即死だ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「っ!?」

 その時の光景が浮かんで来た瞬間、佐夜は目が覚めた。手汗はびっしょりで、身体中からも寝汗でパジャマが若干濡れている。


「ん~~。さややぁ、どうしたぉー?」

「ぁ……、いや、何でもない。ちょっと昔の夢を見ただけ」

「昔ぃ~? ……あー、あの脳天エルフの事かぁ……」

「脳天て……」

 嫌なワードを出すなよ……。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 放たれた凶弾を脳に受けて即死したイング。

 本来護るべき現地人をみすみす死なせてしまったヴァン達の責任なのだが、その時のヴァン達を知る目に密かに、そして迅速に行動を起こした佐夜はイングの回復を試みる。そう、この世界において禁止とされている『蘇生術(魔法)』だ。

 この世界では大司祭などの超お偉いさん方が神様(アルガド爺さん以外の神)から許可を得て初めて行使する事が出来るのだが、佐夜はそれらを一切無視し、イングに蘇生術を施したのだ。


 その結果、何とかイングは生き返ったのだが、その代償として佐夜は『他人から佐夜に関する記憶』を消される天罰を喰らう羽目になったのだ。

 だがこれで別れる時に来る寂しさからは解放され、佐夜は協会に保護された。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「──筈だったんだけどなぁ……」

 何故か今頃になってイング(及びその仲間達)の事が夢に出てきて佐夜を愁(うれ)う。


「はい、さやや。ティッシュ」

「?」

 ベットで(どう見ても女の子座りで)へたり込んでいると隣のベッドで寝ていたリオがティッシュを差し出してきた。


「涙、出てるよ」

「え……あ、ホントだ」

 さり気なく佐夜を気遣うリオに差し出されたティッシュを受けとって涙をぬぐった。



 


 その後、レニアナを抜けて教会に保護された佐夜は色々な人達と出会い戦って、更には元の世界に帰れたものの、そこには既に代替人が住んでおり、佐夜は否応なく元の世界からも出る事になった。

 最後の最後に母親と再会できたのが唯一の救いだったけど。


 そして今、佐夜はここイニシエにいる。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「おおおおおおおりゃああああああああああ!!」

「ふんぬらば! ──ですわっ!!」

 そして現在、ぼーっとしている佐夜を余所に月(るな)と花蓮が砲丸投げをしていた。つか『ふんぬらば』ってどっかで聞いたな?


「ねぇ佐夜、どうかしたの?」

「熱、ある?」

 するとぼーっとしていた佐夜の下に愛沙とメメットがやってくる。


「ん? ああいや、熱は無いかな。単にレニアナの時の夢を見てアンニュイな感じになってただけ」

「レニアナって……事は、あの佐夜の『愛しき人』の事?」

「え゛?」

「え? 何々? 恋バナ?」

「嘘!? 佐夜ちゃんに好きな人が!?」

「マジかぁー!?」

「俺、そいつ殺す……」

 確かにイングの事も思い返していたが何故か話は変な方向に転がる。そしていつの間にか佐夜の周りに人だかりが。


「ねぇ、その人ってどんな人?」

「確かエルフって言ってたよね?」

「って事はイケメンじゃん! やったね!」

「寧ろ相手はまだ身体が小さいんじゃない? エルフだし」

「もしかして佐夜っち、年下好き?」

 女子達はもうすっかり佐夜を女子扱いしてグイグイ迫る。佐夜はタジタジだ。


「ダメだ! 佐夜、今ここにいない奴なんか忘れて俺と──」

「ああ゛? 何どさくさに紛れて告ってんだ!?」

「殺せ! そいつも佐夜の好きな奴も!」

「「「ギルティ!」」」

 男子は男子で物騒な事を言っている。



「だー! もう、うるさーい!!」


 佐夜の話なのに佐夜を置いてけぼりにし、周りで勝手に騒ぐ連中に佐夜が吠えて皆、笑いながら散って行った。つい先ほどまで黄昏ていたのが嘘みたいに。




「ま、考えていたのとは違うが佐夜が元気になって良かった」

「YAー」

「佐夜、元気ー!」

「ああ、佐夜が暗くなると色々とめんどいからな」

 どうやら佐夜は皆に心配されてたっぽく、佐夜が怒鳴った事で一時的だとは思うが元気になったので、佐夜を(他の人達よりは)よく知る正義達が安堵した。




「ったくみんなして……」

 そして佐夜も溜息を付き、空を見上げた。




「イング。君は……君達は今、何をしてるのかなぁ……?」

 空を見上げた佐夜は目を閉じてイング達を思う。




「…………また、会いたいな」

 そう呟いた声は誰の耳にも届かなかった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 その頃、機関所属になったニケと舞華、あとグラスはとある物質界にて次元の穴がもたらした近未来のロボットを相手に戦っていた。


「にゃああああああ! 固い! 色んな意味で!」

「どゆこと!? つかよそ見しない!」

「舞華さんもツッコんでる場合じゃないっす!」

 相手は生身の生き物ではないので殴ったら痛い。しかも所々角ばってるので下手に攻撃すればこっちが怪我をする。


「何やってんだお前等は……『引力』!」

「「「「「ピピピピピp!?」」」」」

 すると他の現場からこっちに来たやすしが能力を使ってバラバラに散会していたロボ達を一ヵ所に集めた。


「ほれニケ。闘気術で片付けろ」

「うにゃ、任されたー!」


 ドゴーン!! 


 やすしの指示にてニケは全身の気を右手に集め、集められて固まったロボ達を一撃で粉砕した。破壊ではなく、粉砕。粉々。


≪やすしさん、やすしさん。応答願います≫

「んあ? ああ、俺だ。何だ、どうした? 何か緊急事態か?」

 ニケの放った破壊音で少し耳が遠くなったが亜空間で待機している仲間からの応答に出る。


≪いえ、緊急という訳ではありませんがその現場の近くに異界人反応が検出されましたのでその報告を≫

「あい分かった。場所を送ってくれ」

≪了解≫

 と、やすしのスマホに異界人の情報が送られてきて、4人はその異界人のいるであろう貸しビルにやって来た。

 一応戦闘になった場合に備えてビルの所有者に話を通して金を払っているので万が一ビルが壊れても保険金や払ったお金で立て直す事も可能だ。


 そして立ち入り許可をもらったビルに入るとそこにはいくつものトラップが張り巡らせており、グラスや舞華が何回か掛かったが、実はこのトラップ自体は殺傷能力は無く、あくまで対象物の動きを止めたり、音を鳴らして知らせたりする物だ。

 おまけに何よりここのトラップは連動したり、フェイクトラップなどもあり、更にはどこかのアトラクション的な構造が施されていて、ニケ以外の3人は思わず「SA●UKEか!?」とツッコんでいた。


 そしてツッコまなかったニケはというと、このトラップを作った人物の臭いやトラップ自体のアトラクション要素を見て「まさかねぇ~」と呟く。


 そしてその呟きは現実のものとなった。


「……やっぱりアンタだったのかい……タック」


「……ニケ?」


 そう、そこに居たのはアトラクショントラップ大好き、器用貧乏な魔法使い、そしてニケやイング達と同じパーティを組んでいた【タック】だった。



はい。チーム『アルケシス』のメンバー、タックと再会したのはニケの方でした。

まぁ、例え佐夜と会っても覚えていないので意味無いのですが。

後、近い内にイング達の現在の様子も書こうと思います。

ではまた。

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