第21話 ~世界破壊者と超兄貴(笑)~
※:前回に引き続き、この作中に出てくる文章にどこかで見覚えがある所があるかもしれませんが、実在する人名、設定、『他の作品』等とは何の関係性もありませんのでご了承ください。出す予定もありません(二次作品になってしまうので)。
今回はあまり出番のなかったR・ハーマンが登場します。
「はぁーはっはー! 今日の授業は我が行おうぞ! 皆の者、心構えはいいかぁ!?」
「い、いやあああああああああ!?」
「……ぬぅ?」
教室内に褐色ムキムキのスキンヘッド、R・ハーマン氏が変なポーチングをしながら入ってきた事で、ムキムキにトラウマを持ってしまっている佐夜が悲鳴を上げた所から今回の話が始まった。
「ムキムキが……ムキムキ怖いぃ~」
「はいはい。大丈夫、ムキムキ怖くないよー」
「う~~……」
プルプル震える佐夜をリオが抱きしめてあやす。何だが和むわぁ。
「? この者は一体どうしたというのだ?」
「ははは……ちょっとな」
ハーマン氏が拾ったとされる覚助と御剣が苦笑し、佐夜に起きたこれまでの事を説明した。
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クラスの再編成後の2つの講習を終えたその翌日、今日はR・ハーマン氏と上条楓の講習が入っている。ちなみに何故ハーマンだけ『氏』が付いているのかはなんとなくだっ。
「……なるほど。クラス対抗の模擬戦での決勝で喰らったサバ折りで筋肉人間がトラウマになったと」
「……うむ。おまけにその後に謝罪に来たベリアル教諭が来た時の事故で性格も変わってしまったでござるよ」
「俺としては口調が優しい分、こっちの方が良いけどなー」
「相変わらず楽観的過ぎるでござるよ覚助……」
覚助としてはやや女の子っぽい方の僕っ娘佐夜の方が好みらしい。
「あい分かった! ならばこういうのは早期治療が肝心。すぐに治療をする!」
「「!?」」
すると何かを思い付いたらしいハーマン氏が突如、未だ震えが止まらない佐夜の下へ歩き出し、幕末剣士の2人は慌てて追いかける。
「わっ、R? ダメだよ、さややが怯えてるって!」
「分かっておる。だからこうして来たのだ」
「?」
そして佐夜を抱きしめてあやしているリオの下にハーマンが来ると佐夜の代わりにリオが拒否るが、あえてここに来たハーマンに首を傾げた。
「美里よ」
「っ!?」
名前を呼ばれ、ビクッと肩が跳ねる佐夜にハーマン氏はこういう行動に出た。
「見よ! 筋肉にトラウマを持っているのなら───そう、あえてのショック療法だ! ふぬぅっ(ムキムキムキ)!!」
ピカーン(ピクピクピク)!
「んにゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?」
黒光りするそのボディビルダーよりも一回り大きい筋肉をより大きく盛り上げ、更に大胸筋や二の腕や脹脛をピクピクと動かした事により、佐夜に更なる衝撃が襲い、猫みたいな悲鳴を上げ、その後気絶した。
「むぅ……。行けると思ったのだがな……」
「「「「「んなわけあるかー!!」」」」」
てっきりアレで立ち直るもんだと本気で思っていたらしいハーマン氏はキョトンと愚痴を漏らし、皆からツッコミを受けた。
その後、マジで気絶した佐夜は月のおんぶで背負い、リオの付き添いの下、医務室に連れていかれた。
「ん゛、ごほん。とある事情で3人ほど欠けてしまったが早速講習を始めようか!(ムキンッ)」
「いや、お主の所為で3人欠けたんだろうに……」
「マザー、それは言わない約束だ(ピカッ)!」
「ええい、いちいちその暑苦しい筋肉を動かしてあぴーるしたり、光らせて存在を示すでない。鬱陶しいわ!」
いちいちポージングを取りながら言うハーマン氏に椿姫がツッコむと更にその筋肉が一層盛り上がって心なしか光る。うん、超暑苦しい。
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今日のテーマは『世界破壊者』について。
「その前に───この中に世界破壊者とあった者はいるかな?」
ハーマン氏の言葉に5人の生徒が手を上げた。
正義と愛沙と真桜。この3人はミシバイクロに接続した魔界で『四月朔日 剛』と会っている。
そしてその他に優李とリベッタ。この2人は以前、正義達同様、他の協会メンバーからのゲスト参戦時に会っていたらしい。こちらは実際戦っているらしく、リベッタや他の協会メンバーがいなかったら超危なかったらしい。
「会った事がある者は既に理解していると思うが世界破壊者は極めて危険な存在だ。筋肉マスターである我でさえ防戦一方になるくらいだからなっ」
「マジすか!?」
勝ててないのに偉そうに言うハーマン氏に覚助が現代っ子の様に言う。こいつ何気に現代を学んでるよな。流石若者。
「なのでもし世界破壊者に出会ってしまったらすぐに退却する事。以上!」
「「「「「「早っ!?」」」」」」
何が『なので』なのかは知らないが、いきなり結論を言われて生徒達全員がツッコんだ。それはもう完璧なまでの右手ツッコミで。
「いや、説明がザックリ過ぎるだろ!!」
ズバンッッ!!
「脳幹ッ!?」
すると何時からいたのかドアを開けて入ってきた義信がダッシュでハーマン氏に駆け寄ってきて思いっきりそのツルツルな頭にハリセンを食らわせた。
うわ、良い音が出たなぁ。
「──ったく……。「今日の授業は我に任せたまへよ」とか本来体育講師のあんたが変な事言うから職員の人達が不安になり、俺が様子を見に来てみれば案の定じゃねーかよ。しかも何か佐夜が医務室に連れて行かされてたし」
ハリセンを下ろしながら義信は溜息を付いた。
「だから今日はR・ハーマンの代わりに俺が助講師を務める様に言われてきたからみんな、宜しくなー」
ハリセンを担いで義信が教台の前で言った。
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「さて今回『世界破壊者について』で何で教師じゃない俺がここに立っているのかというと、俺は過去、世界破壊者に殺されかけたからだ。それも6回もだ」
両手で6を表し、強調していう。
「普通、敵ならば容赦がないのは誰であっても同じなのだが、奴等は──世界破壊者はそうでもない。まず一度闇落ちしている所為か、話が通じない場合が多いからだ」
そう言う義信だが、その顔は心なしか暗い。
第2~4章の間でちょくちょく言っているが、世界破壊者に成ってしまう条件として殆どの場合『闇落ち』が必須条件になっているので、その闇落ち状態から這い上がっていない状態でかち合ってしまったらもう会話どころではなくなる。エンカウント=必死、だ。
それに闇落ち状態から這い上がって精神が元に戻っていたとしてもそこはやはり世界破壊者。何がきっかけで敵判定されたり、キレるか分からないので下手な事をすれば即BADEND直行だ。寧ろ闇落ち状態より性質が悪い。
「俺は過去。フルボッコにての瀕死(内臓破裂等も含む)が3回、手足をもがれた事が2回、そして一番ヤバかったのが両目を引き千切られた事かな……」
そして笑顔で言う義信だが、その顔は真っ青で身体はガタガタ震えている。
「と、これまで俺が体験した事から言える事は一つ。ある程度強くなったお前達でも万が一、奴らと会えば「あ、こいつやべぇ!」って分かるだろうよ。その時は絶対逃げろ。決して戦いを挑もうとはするな。なんせ奴等に勝てるのは同じ世界破壊者か神だけだからな」
その震える身体に気合を入れ、拳を握りしめて義信は警告した。
「ほう……そんなに強いのか。世界破壊者とやらは……」
「ふむ……一度手合わせしてみたいのぅ」
「いやいやいやいや! だから、戦う事は死を覚悟しないといけないんだってば。どんなに強くなろうが普通の人間じゃ勝てないって! 死にたいのか!?」
武将気質が高い戦国時代出身の詩織と椿姫が何やらウズウズしているのを見て義信はより強く警告した。
「……前にな。俺と同期でお前達と同様、別の戦国世界から来た『長尾景龍(景虎)』と『武田信春(晴信)』って奴がいたが、無謀にも世界破壊者に戦いを挑み、無残に死んでいったさ。で、その時その場にいた俺も問答無用で殺されかけたんだよ……」
「マジか……長尾と武田が……」
「別の世界とはいえ、知っている者がこうもあっさり殺されるっていうのは何とも……」
別の世界とはいえ、自分達の知っている者がこうも簡単に殺されている事実に息を飲んだ椿姫(義輝)と詩織(信長)。
「もう一度言うけど、世界破壊者──というか雰囲気的にヤバいと感じたらすぐ逃げろ。形振り構わず全力でな。……振りじゃないからな?」
押すなよ、押すなよ、ではない。
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「で、今のは世界破壊者のヤバさについて話したけど、次は『世界破壊者とは何か?』だ」
気を取り直して義信はデバイスを操作しモニターを切り替える。
世界破壊者とは────
一般的に一度深い闇落ちをした者がその存在の殻を破り、異質的な存在へと変貌した者の事を言う。見た目には普通の人間と変わりはないが、雰囲気、そして溢れ出る魔力やその他の力が常人とはかけ離れている。
耐性の無い者が近付けば気絶するほどその存在は危険なのだ。
そして精神が病んだ世界破壊者がそこから這い上がる為には最低でも1人、心からの味方を見つける事だ。それも異性の味方が効果的。男性世界破壊者の場合だと、そういう女性と出会い、その女性が男性世界破壊者を心から支える事により、徐々に病んだ精神が癒されて人としての感性を取り戻す事が出来る。
まぁ、完全に感性や感情を取り戻せても世界破壊者としての異質で高圧な力は消えないので一度成ってしまったらもう普通の人間には戻れないが。
「正義達3人がちょっとだけ会った『四月朔日 剛』も最初大分やさぐれていたそうだけど1組のウサ耳女性『リア』と出会い、チャア達や部下達の支えもあって今では普通に会話くらい精神的に落ち着いている。俺はそいつに殺されかけたけどな……」
「ダメじゃん」←メメット
「い、いや実は俺、星運(出会い運)が物凄く悪いらしくてな。何か世界破壊者が苛ついている時に出くわす事が多いんだ。それで何度も瀕死を喰らうというか……」
そう、これは単に義信の運が悪いだけ。通常はそう簡単には出会わないし、出会っても下手に手を出さなければ殺される事は無いのだ。とはいえ世界破壊者が危険な者である事には変わりないが。
「で、お前等がここに来たきっかけとなった『次元震』の後に実は大量の世界破壊者(未救済バージョン)が現れてたらしくてな。それを討伐(一部捕獲)したのがここの理事長とヴァン。そして何か協力してくれた四月朔日だ。その時の一応動画はあるが流石にスプラッタな光景なので『見せられないよ』だ」
モニターに例の『見せられないよ』のテロップを持ったミニキャラリオがテヘペロしていた。……何かイラっとするな。
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「───と、ここまで『世界破壊者=超闇落ちした者』みたいな説明をしたけど実は極僅かだが世界破壊者は闇落ちしなくてもなる場合がある。それは特殊な異能を持った者、もしくは強い信念を持った者だ」
義信がモニターを切り替えるとそこには7人の若者が映っていた。
1人は特殊な異能を宿した少年。その身体には全ての異能(魔法など)を消す力を持っており、その力は神や他の世界破壊者にも有効。しかし、その身体は攻撃魔法だけでなく、回復系や結界系など全ての異能をかき消してしまう為、回復魔法などは受けられないので受けたダメージは普通に回復するのを待つしかない。
しかも消せるのは異能の直接攻撃のみなので銃や剣、体術などは消せなく、自力で何とかしなくてはならない。
2人目は異能は持っていないが、強い信念を持った少年。
その世界では異能者と異能を持たない無能者の間で対立が続いており、その諍いを解消しようと立ち上がった無能の少年。
血を吐くほどの努力の結果、無能ながら異能者と勘違いされる程のスキルを身に着け、異能者達の済む場所に紛れ込み、そして世界を改変する事の出来るアイテムを発見し、いくつもの戦いを経てようやくそのアイテムを手に入れ世界を改変する事に成功した。
しかし、無能ながらにして無理矢理身に着けたスキルを長期に亘り連続で使用した結果、その少年の脳はボロボロになり、しかもそのアイテムを使用した結果、その世界において異質で悪質な存在と誤認され、脳にダメージを負ったまま世界からはじき出されて次元迷子になって今も行方が知れない。
そしてその無理矢理身に着けたスキルが、時を止めた様に見せるスキル『時間停止(疑似スキル)』だ。
実際に時を止める様なモノではないらしいが、そのスキルがどういった物なのかは本人にしか分からない。
3人目は自ら進んで深い闇へと落ちていった少女。
とある魔法少女の話で、激しい戦いの中で命を落とし神様になってしまった親友の魔法少女を神の地位から救うべく、魔法を使って物質界Aの色んな平行世界を旅する物語だ。
2人目の疑似スキルの少年とは違い、この少女は時を自由自在に操る事が出来、色んな平行世界に行っては神様となった親友を救う手掛かりを文字通り手探りで捜索し続ける少女。
しかしこれも使用限度を超えてしまった所為か、世界そのものが壊れてしまい、別の世界へと変貌してしまった為、もう親友に会う事すら出来なくなったのだ。
だがそれでも諦めきれない少女は今もその親友を助けるべく、今も変貌した世界で戦い続けている。
4人目は世界そのものを消去する力を持った少女。
実はその身体の中には破壊神が宿っており、一度その神が顕現したら最後、その世界は完全消去される。故に闇落ちとか強い信念とかは何の関係もない。
5人目はリトライ能力を持った少年少女達。
5人目と言うけれど、実はこの能力、極少数ながら色んな者が持っており、そして色んな物語がある為、一概に誰々が~、という説明は出来ない。
だが共通しているのはその能力。『リトライ』という言葉からすぐに理解出来るとは思うが所謂『死に戻り』の力だ。
ギャルゲーなどでいうと、間違った選択肢をしたらその後DEADEND(BADEND)になり普通はそのまま死ぬのだが、この能力を持った者はその間違った選択肢、もしくはそうなってしまった分岐点にまで戻る事が出来、やり直すことが出来る。
ただ自分で制御する事は不可能。あくまで死亡したら勝手に発動する自動発動の力だ。この能力は神様でも習得不可能なのでこの力を持つ者は世界破壊者に認定されている。なんせ何度でも死に戻りが出来るのだから。
6人目は『書き換える能力』を持った少年。
正直2人目の疑似スキル持ちの少年と似た様な境遇だが、この少年は実際、異能者としての力を持っている。
その能力は文字通り『書き換える』能力で、ありとあらゆる事象や物体、更には自分の身体でさえも書き換える事が出来るらしい。
だがその能力も使用限度があるらしく、最終的にその少年は自分を書き換えまくった所為で魔物化してしまったのだ。一応人としての理性はあるが、身体能力は勿論、色んな物に対しての耐性や、更なる異能の開花など、最早通常の人とは言えず、これも世界破壊者と言えよう。
ここまで行くともう世界破壊者というより神に近い。
7人目は4人目の少女とは対照的に『世界を創造する』力を持った者。
何故少年とか少女とかという言い方をしなかったのは、この者は性別不問。つまり雌雄同体、無性別、男でも女でもないのだ。見た目的には少女っぽく見えるけど。勿論股間のアレはあるが玉は無く、胸も無い。
世界を創造する程の力を持った者と先ほどは言ったが、実はこの力を持つ者は『創る』事は出来ても『想像(妄想)』する事は出来ないという弱点を持つ。故に想像する事が出来ないという事は『創る』事も出来ず、そのまま一生を終える事もしばしばある。
故にこの者が力を発揮するには想像力に長けた協力者が必要になってくる。
だがその協力者が善人だろうが悪人だろうが『世界を創造する』という事は神の禁忌に触れる行為。限度を超え神の逆鱗に触れたら最後どうなるかは誰にも分からない。
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「──と、ここまで闇落ちせずに(?)世界破壊者になったケースを話したけど……何か気付いた事、あるか?」
義信がモニターを切ってそう言うと、物質界出身の者達が一斉に手を上げた。
どうやら気付いたみたいだ。
この上げた一例の話をどこかで聞いた事が、見た事があると。
そう、これらの一例は実際にラノベ化、漫画化したり、ゲームにもなっている物がある。その作者達はこの協会出身者だったり、もしくはその一例を目撃し、それらを元に物語を作成しているのもある。物質界出身の者達が手を上げたのはきっとその作品を見たり、プレイした事があるからだろう。世界は広いようで以外にも狭いのだ。
「ああ、ちなみにこの中の何人かは実際、このイニシエ内にいるから。暇があれば探してみるといいかもな」
と、義信はデバイスも消し、教室の明かりを付けた。
「これで一通り俺の話は終わりだ。……ハーマン、何か最後に言いたい事はあるか?」
「む? うむ。ならば言おう。万が一世界破壊者に出くわした時の対処法をな」
そう言って最後に教台の前に立ったハーマン氏は上着を脱ぎ、
「世界破壊者に出くわした時の対処法。それは───ひたすら筋肉を磨く事だぁー!!」
ムキムキムキムキッ!
「「「「「う…うわああああああああああああ!?」」」」」
「「「「「きゃああああああああああああああ!?」」」」」
その身体の質量からは考えられない程、筋肉が盛り上がったのを見て佐夜ほどトラウマでは無い筈の生徒達が皆、悲鳴を上げた。
その後しばらく、3組の生徒達はハーマン氏は勿論、ボディビルダーの様なムキムキな奴が苦手になり、ハーマン氏は3組へ出禁となったそうな。
「……義信さんだけでは不安だと思い来てみれば……これは酷いですね」
教室のドアから透がその様子を見ていた……。
女生徒たちは勿論、男子達もトラウマになったりしなければいいんですけど……。
次回は楓が登場。リオとの絡みが発生します。
では。




