第20話 ~イオンの無双禁止事項、説明回(暴走アリ)~
色々と詰め込んだら大分遅れました。少し長いです。
今回はタイトルにある無双に関しての事です。
これをやったら逮捕されちゃいまっせ!
※:後、この作中の設定はあくまでこの作品内での設定です。色々な事象に関して、他の小説とは何の関係もありません。決してディスってる訳ではありません。あしからず。あしからずぅ!
「うーっす、戻ってきたでー……って何やっとんのや?」
「あ、戻ってきた。おかー」
講師する為のテキストを間違ったので、急いで取りに行って戻ってきたイオンは教室内を見て思わずツッコんだ。優李の挨拶はスルーされる。
「うぉらー!」
「「「ぎゃああああ!?」」」
何故ならリベッタが教室内の男子共を数多のプロレス技で落としていっていたからだ。現状、教室内には男子共の屍が死屍累々としている。いや日本語おかしい。
「お前等いくら暇だからって勝手にプロレスごっこなんかすんなや。つうか、どういう状況なんこれ?」
「あはは……えっと───」
近くにいた上原女史にイオンが尋ねると困った顔で笑いながら説明する。
何でも女性にしては筋肉質が高い斧使いのリベッタに対し、誰が最初に言ったのか、リベッタに対して『アマゾネス=脳筋』という禁句が漏れ、キレたリベッタがその場にいた男子達にその筋肉のもたらすポテンシャルを存分に発揮したプロレス技を見舞くった。だが最初に喰らわされた男子達はリベッタに対しては何も言っていないのでそれを知ったリベッタが「じゃあ誰が言ったぁっ!?」と逆上し、最終的に手当たり次第、男子達を殴ったり投げたり、関節技を掛けたり、締めたりし、結果、イオンが戻って来た時には佐夜以外全員、男子達が伸びていた。
まぁ、単に佐夜が男だとリベッタの頭から抜けていたから佐夜は助かったのだがそれは本人にしか分からない。
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「そんじゃ、遅れて申し訳ないが早速始めるで。……野郎共、意識はある?」
「「「「「「な、何とか……」」」」」」
イオンの言葉に何とか返す一部の男子達。しかし、それでも半分くらいの男子達は未だに気絶中だ。ちなみに暴れたリベッタは例の如く廊下に両手バケツを持って反省中(頭にもバケツが乗っているバージョン)。
「はぁ、本当は全員目ぇ覚めてから始めないかんけど、時間も無いし、後から目が覚めた奴等には補足説明したってなー。では───」
そう言ってイオンは弛緩した顔からキリッと真面目顔になり、デバイスを操作してモニターに画面を移す。今回のテーマはこれ。
──『無双』対象者の種類とその対応、そして対応に当たる際への注意事項──
※:この小説のタイトルにもあった様にようやくその説明をする事が出来る(by作者)。一応第2章にもちょこっと説明はしたがあれはあくまでごく一部の内容だったので。はい。
「『無双』と言ってもこれ色々とあってな。優李、『無双』と聞いてどういうのを思い浮かべる?」
「え? ここでボクに振るの!? えっと……『無双』なのだからきっと無敵に近い力で敵を蹂躙する事。かな?」
「ん。まぁ、それも正解の一つやな。だがここで言う『無双』ってのは何も筋力や異能を使っての『物理的無双』だけじゃない」
優李の出した一つの正解『物理的無双』とは別に違った方角からの事を話す。
「まず一つ目が優李の言った『物理的無双』な。これはもう誰でもわかる「俺、TUEEEE!」的な奴な」
何故かここで急に厨二言語をぶっこんで来たイオンに皆ビクッとした。
第2、第5章でも少し話はしたが、『次元の穴』の出現によりその影響を受けた魂が変異し、物質界では多少なりの異能者が覚醒する。だがこの場合、覚醒したとしても物質界では科学力の方が圧倒的に強いので物理的無双は難しい。
だが次元の穴に入り込み、亜空間に落ちて異世界へ流れ着いた佐夜などの次元迷子や次元転移者が異能覚醒したり、正義や優李達のように召喚されて祝福持ちとなった者達はその異能がその世界にいた現地人達よりも強力な力を持っている事が多く、その力に魅了され傲慢となった者達はすべからず無双行為に走る事が多いそうだ。特に勇者系にこういうのが多いらしい。
実際、このクラスにも何人かこういう行為を摘発されて連れてこられた奴がいるし(正義、優李以外で)。
故に祝福や異能を持った者が何の躊躇も躊躇いも無く異世界を我が物顔で物理的無双し、その世界が本来辿るべきだった未来を大きく変えてしまう前に捕らえ、元の世界に帰す必要があるのだ。
その際、召喚された物は『送還』によって元いた世界に帰し、その時点で異能(祝福)も記憶も消去されるのだが、佐夜などの次元迷子や次元転移者の場合、まずその者の元いた世界の特定を行わなくてはならず、時間が掛かる事も多い。そして記憶も異能も残ったままになるので異能は消去する必要があるが、記憶は任意で残す事も可能。
だが何らかの事情で元の世界に帰れなくなった者や本人の強い希望があった場合、ここにいる生徒達の様に協会や機関入りする事が出来る。
「──と、まぁ、『物理的無双』に関してはざっくりと説明したんやが、次に説明するのは───『料理無双』や」
と言ってイオンはモニターに異世界で調理をする者の画像を出す。
「ちなみにやけど。この中で異世界にいる間、その世界に元々無かった物質界の料理、または調味料を作った奴はいるか?」
「「「「「「「ぎくっ!?」」」」」」」
「……やろなぁ」
イオンの言葉に教室内にいた幻想界経験者達は全員心当たりがあるのか皆、顔を伏せた。
「えっと……イオン先生? 何で異世界で料理をしたらダメなんですか?」
すると皆の様子が気になったのか堕天使のラキエルが聞いてきた。ちなみに仲間の琢磨や蒼太朗は先ほどのリベッタからの巻き添えからまだ復帰していない。
「いんや? 料理自体は別にええよ。やが、問題はそこやない」
「え?」
「問題は『異世界にて地球の料理(日本料理)をする事』じゃなく、地球の料理を知らない異世界の者達にそれらを店を出して振舞ったり、その料理の情報を売って膨大な利益を得てしまう事だ。まさに料理革命的な無双って事や。何せ日本食は万能受けしやすいからなぁ。お好み焼きとかタコ焼きなどの粉もの、カレーやオムライスなどの発展した日本食、そしてその他の和食。どれも異世界、特に幻想界には無いものばかりや」
とある異世界のお店での映像に大きく×マークが付いた。
「と言っても個人で食べたり、仲間内で食うなら問題は無い。あくまでも店を出したり、情報を売って「俺がこの料理を生み出した!」的な事をやったらNGちゅうわけや」
こういう事をするとその世界の人達に「天才だ!」とか言われ、ちやほやされたりする。これもまた無双に当たる。
しかも問題はこれだけじゃない。
「日本食に辺り、本来は日本の食材、または地球の食材で作る事が日本食の前提なんやが、異世界だとその食材が無く、代わりの食材で日本食を作る事になり、それが稀に悲劇をもたらす事があるんや」
と、イオンは次の画像を出す。そこにはとある調味料が映っていた。
それは白くて酸っぱい、あの加工品。
「見ての通り、これは『マヨネーズ』。原材料は主に『卵』『酢』『油』『塩』の4つ。しかも卵に関しては現状、地球にしかいないニワトリの卵が主な原材料や」
「え? ニワトリって地球にしかいないの?」
割と料理をする佐夜が食い付く。
「地球にというかやな。そもそも確かニワトリって地球が貧困時代の時、肉や卵を沢山食べられる様に品種改良をして生み出された生き物だった筈や。厳密にどの時代で品種改良されたかは世界によって違うけどな。言うならば『卵が先かニワトリが先か』、や」
ニワトリの遺伝情報をモニターに映しながらイオンは言う。
「で、地球とは違い。野生の生き物や魔物がいる為、肉や卵には困らない為、牧畜や養鶏場がほとんど必要がない異世界、幻想界では当然ニワトリの卵は無く、代わりに味の濃い卵が使われる訳や。酢、油なんかも本来の作るマヨネーズの原材料とは違う物が使われている場合も多い。そしてその結果、悲劇が起きる」
そしてイオンはおちゃらけた顔から一転困った顔でモニターを切り替える。
「これって……」
「何でみんな倒れてるの?」
「酷い……」
そのモニターに映る人々を見て女子達が揃って口を押える。男子達は物理的なダメージでそれどころじゃないが。
そのモニター越しに映っていたのは街の人々が道端で倒れていたり、何かうわ言で喚いたり、ある者は何か白い液体をひたすら舐めていたりしていた。これはある種のバイオハザードに近い。
「本来の原材料で作らなかった結果、食材の組み合わせでものっそい化学反応が起き、こうやってこの世界で作られたマヨネーズに強い麻薬反応が出て、それらを大量に摂取した人達がこうやって廃人になってしまったんや」
「何でそんな事になったの? そうなるって分かったのなら食べるのを止めればいいのに……」
見ていられなくなったのか、愛沙が顔を伏せたまま言うが、イオンは首を横に振り、
「……中毒患者がその中毒になった物を止められない様に、マヨネーズが嫌いな奴は地球でもあまりいないやろ? それと一緒や。少しなら大丈夫、少しなら大丈夫、と摂り続けて蓄積して精神崩壊し、最終的にこの世界ではほぼ人口の9割近くの人間が中毒で死んだり廃人になったんや」
「きゅ、9割も……」
「うわぁ……」
残った1割の人間達も残された遺産が多すぎて全てを管理できず、その世界では地図上の半分以上がロストシティとなった。
「この様に料理によって利益を得る『無双』だけでなく、原材料の代わりだといって使った物の食い合わせが原因でとんでもない災厄に見舞われる事もあるから数十年前から『料理無双』も取り締まらなくてはいけなくなったんや」
「「「「「「はぁ………」」」」」」
最後に映ったのは廃虚と化した大都市。その衝撃的な映像を見た後、皆はドッと疲れた。あ、それと同時に気絶していた男子達の殆どが復活している。
実際、物質界でもマヨラーがいるくらいだしね。
「んで最後が『文化・政治無双』や。これはまぁ、言わなくても何となく分かるやろ月?」
「何でアタシに聞くんだ……。んー、政治って言うからには多分日々の暮らしに関して地球のノウハウを生かした無双ってところか?」
「お? 不真面目の割には冴えとるな。政治無双に関してはほぼ正解や」
「うっせぇ」
うっかり正解してしまったので恥ずかしくなったのか月はそっぽを向いた。
「政治無双に関しては月が言っていた様に地球で政治に関して詳しい奴が異世界に行った時限定での話になるんやが、地球で行われた政策を異世界で行った結果、これがバッチリとハマり、料理無双の時同様に「天才だ!」的な以下略や。己が考えた政策じゃないのに偶々上手く行っただけで天才だと天狗になっとるバカがいたんや。が、これもそれに限っては別の意味で危険が迫る訳なんやが分かるか花蓮お嬢?」
「ええ分かりますとも。それは恐らく──暗殺ですわね!」
「残念、不正解や」
「ええぇっ!?」
自信満々に答えた縦ロールの花蓮が盛大に誤爆し、暗くなっていた教室のムードが一気に回復した。
「いや、一応暗殺もありはするがそれは極少数派や。正解は『その世界の者達に頼られまくった所為でネタが無くなった』んや」
「? 意味が解りませんわ?」
どうやら正解を言われても意味が通じなかった様子。それは他の者達も同じな様だ。
「つまりや。1度や2、3度地球での政策がバッチリ嵌り、その異世界で天才と称された奴がいたとするやろ? で、それ以降も頼られまくるが段々と地球での政策ネタが底を着いたり、策が上手く行かなかったりした場合、そいつどうなると思う?」
「ああ、そういうことですの……」
「そういうことや。つまり、暗殺ではないが、失望される可能性が高い。そしてその場しのぎでの政策が不十分だった場合もその後、副作用的な異常が発生したりと本来起こりうる事が変化して更なる災厄になる事もあるんや。特に金策絡みが多い」
良かれと思って出した策によって悪循環に陥るケースをいくつか挙げながらイオンは言う。所詮物質界(地球)での策は物質界(地球)でしか通用しないのだ。状況は似ていてもその後に起こる現象は物質界と幻想界では全然違うからだ。
「最後が『文化無双』これは主に『物創り』に関する無双や」
イオンはデバイスを操作し、これまで異世界に次元転移(召喚)された者達が作ったとされるものを一気に映し出す。
「料理は勿論、娯楽系(トランプやリバーシー)、植物紙、鉄などの金属精製(鍛冶力上昇)、洋式トイレに機関車、ゴム製品からの自転車にコンロ、釘を使わない家造りにコンクリート、更には物質界では絶対にある『電気』まで作り出した奴もいたな」
「電気とか」
厳密な作り方は恐らくこの中には誰も知らないだろうが、電気は非常に便利だ。それこそ今まであった物が一新され、古い物が淘汰される程に。
「何となくこれに関しては「いや、別に便利になるなら良いんじゃね?」と思うかもしれないが、これこそ世界の寿命を縮める要因がデカい。何でか分かる佐夜?」
「うぇっ!?」
と、いきなり振られた佐夜が狼狽える。
「直感とか思いついたとか適当に言ってみろ。当たったら拍手喝采や」
「変なハードル上げないでよ!? っと……多分、電気って元々自然災害で発生する物だから人工的に電気を作ると世界にダメージが入る……とか?」
「……いや、当ててどうする!?」
「当ててみろって言ったのはそっちじゃん!」
適当に言ったら本当に当たったらしい。
厳密に言うと、物質界でも電気を作るのに主に原発を使用しているので二酸化炭素の増量や、原発の事故にてメルトダウンでの放射性物質の撒き散らし、その他、電気を用いた事による地盤振動。これらによっていくつかの物質界の地球では地震が絶えず、海面の上昇、そしてそれによる自然災害発生の増加。
その結果、何の対策もしなかった物質界(地球)では西暦2300年も持たずに滅んだ。
「で、その電気を便利だからといって何の対策もしないまま異世界へ普及させてしまうとどうなるか、これで分かるやろ?」
滅びた地球の映像を見せながらイオンは言う。その地球を見て物質界出身の者達は何とも言えない寂しさを感じた。自分のいた世界ではないとはいえ、地球が滅んだのだから当然か。
「けどな、危険なのは電気だけやない。『紙』もや。紙は言わずもがな植物で出来とるが、羊皮紙や石板しかない異世界でこれをやってまうとどうなると思う御剣?」
すると今度はリベッタにやられた男子の一人御剣に問うイオン。しかし、
「………」
「返事がない。ただの屍の様だ」
「……死んでないでござるよぅ~」
「あ、生きてた」
返事が無かったので月が定番のセリフを言うと、何とか返した御剣。
「何やまだ回復しとらんのか。しゃあない───」
と、答えられない上に時間も押しかかっているのでイオンは巻いて説明する。
言わずもがな紙は主に『木』から出来ている。一応他の植物からも作れはするが木の方が白い紙が出来るので、この技術を持ち込んだとある次元転移者が幻想界で普及する事で『紙』の文化が発展。しかし、これも何の考慮もしなかった故、何が起きたのかというと、土砂崩れだ。紙を作るのに森林を伐採し続けた結果、近くにあった村が滅んだりし、農作物に多大な影響をもたらす。そうすると国への納税や食物が届かなくなってしまうのだ。
後は酸素量の低下。森林が大きく伐採される事によって火炎魔法を多く使う幻想界では当然、熱や二酸化炭素が多く、その排出される熱・CO2を押さえる為にあった森林が無くなる事でその世界での気温が上昇。後は言うまでもない。
なので紙が無い世界ではキチンと植物における説明が必要不可欠だ。
そしてもう一つ、トイレの話だ(お食事中の皆さまには申し訳ない)。
どの世界が最初に発明したのかは不明だが、物質界で洋式トイレを知っている者が異世界へ飛ばされ、初めて和式のポットン便所を見た時の衝撃は堪らないだろう。現に幻想界で旅をした者達は皆このポットン便所を経験している筈だし、何より水洗ではないので便所の蓋を開けた時の強烈な臭いは堪えられるものじゃない。ぶっちゃけ人によっては死ぬ。
故に幻想界にて洋式の水洗トイレを作ってしまうケースが多くなるのだが、ここでの問題点はずばり『下水(ろ過装置付き)』だ。
便利さを優先し、下水の設置を怠ると人から出る排泄物が川や井戸水などに入り込み、汚染される。後は言うまでもない。なのでこれに関してはキチンと下水まで作っているのならばおK。
「と、時間が無かったっから最後の辺りは巻いて説明したが、要するに何が言いたかったのか、分かる奴はいるか?」
「ほい」
「お? 正義復活したんか。じゃあ答えてみそ」
「みそて………。ぶっちゃけ協会や機関は次元転移者・迷子者・召喚者にこう言いたいんだろ。「自重しろ」と」
「グラッツェ」
((((何でイタリア語?))))
((((つか動きが完全にゲッツじゃん))))
言葉とは裏腹に変な動きで正解を出した正義に両人差し指で指す。
「ま、そういうこっちゃ。いくら不本意に異世界へ飛ばされたからといって無暗に色んな物や情報、策を提供し、その世界の秩序を乱せば待っているのは決定的な破滅。やるなとは言わないが、せめてそれらが持つ危険性を説明しないといけないわけや」
ドンッと両手で教台を叩き、皆を見渡して言った。
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「で、ここまではあくまで『自重』という形で無双するな。と言ったが、今度のは『絶対に作ってはいけない(見せても説明してもいけない)物』や。それは何か分かるか───マック!」
「Oh? 何で俺の時だけ強調していうのか?」
何故かマックの時だけジョ〇ョ立ちのポーズで言うイオン。……いちいち何かアクションを起こしながら言わんとあかんのか?
「Aaー。俺を指して言うくらいなのだからきっと……コレだろ?」
と、マックが指し示したのはマックの相棒の大銃剣。その『銃』の部分だ。
「DA。あ……ん、こほん。そういう事や。『銃』ってのは異世界において禁忌とされている一つ。『見せない・作らない・説明しない』とテキストに書いてあるように銃はそれだけで多大な影響を与えるんや!」
何か過去に銃に対して嫌な事があったのか、イオンはやや怒り顔で言う。
イオンの過去についてはまた別の機会に話すとして今は銃に関して話そう。
元々『銃』がある世界に関していえば特に銃の事を話しても問題は無い(高性能過ぎるやつはNG)。が、銃そのものが無い世界において銃はとても殺傷能力が高く危険な代物だ。何せ碌な力が無い小さな子供でも銃があれば簡単に屈強の男を殺せるのだから。
それに銃があれば暗殺や戦争の道具にされたり、剣とは違って軽く、持ち運びが出来て一度設計図さえあれば(練習次第で)誰でも作れるのも銃の特徴だ。剣やその他の武器とは違って鍛冶職人はいらないのだ。
そうなると、どんどん剣やその他の武器を使う者達が減り、鍛冶職人も減ってゆき、段々と銃社会が広がる。こうなってしまってはもう誰も止められない。
ここで一つ例を挙げよう。
銃の手入れをしていた父親が銃をそのままにして少し席を離れた隙に子供がそれを玩具と勘違いして手に取り、戻って来た父親に向けて発砲。弾が脳天に直撃して父親が即死。
という子供による玩具と勘違いした事による誤射事故が後を絶たない。
子供からしたら何が起きたのか分からず父親が死んだのだから。
その他にも先ほど言った暗殺。これも剣や普通の盾では容易に防ぐ事が出来なく、王族や貴族の銃による殺害が後を絶たない。そして国を治めるべき者達がいなくなれば、後に待つのは荒廃した世界。世紀〇伝説の始まりだぁー。
「ぶっちゃけ銃を作ろうとするのは異能や祝福が無い次元転移者達か、死んで異世界に転生した者が極端に多い」
「あ、そっか……異能や魔法が使えるのなら銃になんか頼らないもんね」
確かに異世界に行って何の力も得られない者が求めるのはやはり『銃』だ。剣なんて生まれた時から使っている異世界の者達と比べたらいくら修業しても焼け石に水。魔法も素質が無きゃ使えない。
だが銃ならどうだ?
細かな設計は知らずとも細工職人や鍛冶職人と協力すればそれなりに作れはするし、劣っていた戦力も少しは補える。
しかし先ほどから言っている様に、一度『銃』という物が広がればもう誰にも止められなくなり、最後には破滅が待っている。
「これまでに色んな幻想界へ調査しに行ったんやが、その内の4~5割は次元転移者・転生者による銃が既に世に広まっていっててな。こうなってはいくら協会や機関の者でも止めきれん。出来る事といえばその世界にいる次元迷子者の確保だけや」
やれやれと、手と頭を振って悩ましい声で言う。
実際、こういった銃の持ち込みは多く、異世界において本来辿るべき未来を大きく捻じ曲げてしまうのも危惧しなくてはならない。
「何度銃に関して警戒しても、こういった事例は一向に無くならない。一体どれだけ好き勝手にすれば気が済むんやー!」
「ど、どうどう。先生落ち着いてっ」
「何で勝手にキレてんだこいつ!?」
すると急にキレ始めたイオンに対し、皆が止めに入る。
「全く……いくら銃の持ち込んだ輩を駆除(←言い方悪い)しても、後から後から湧いてくるとかマジで奴らはゴキ〇リか!?」
「言葉使い悪いな!?」
「お、落ち着いてってば! キャラが崩れてるよ!?」
「ああ、ダメじゃ。負のオーラが漏れとる」
イオンは闇属性。闇落ちした訳じゃないが今はそれっぽく見える。
「はぁ、はぁ……と、とにかく、幻想界で銃を持っている奴に出会ったら注意する事を忘れるな。場合によっては駆除も認める!」
「「「「「そんな簡単に殺害を承認するな!!?」」」」」
協会は基本、資格を持っている者以外の殺しは禁止されています。
「な、何か入りづらい雰囲気、だね」
「一体何があったんでしょうか?」
ヴァンからのお仕置きを終えたリオとティーナが教室内で暴れているイオンとそれを止める生徒達を見て教室に入るのを躊躇っていた。
「………何やってんのお前等?」
「「はっ!?」」
そしてその背後にはヴァンがいた。
次回は『世界破壊者』についてです。
これを知らずに対象者に近付くと殺されます。
講師はこれまであまり出番が無かったR・ハーマン氏です。
ムキムキのスキンヘッドです。超兄貴です。
更新は12/14~15です。
では。




