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異世界無双禁止規定(ステージ オブ グラウンド)『緩』 ~歌姫神と称された少年のあれこれ~  作者: 浅葱
第5章 ~学園狂想曲(スクールカプリッチオ)~
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第14話 ~クラス対抗模擬戦・Part4 違和感の正体と佐夜参入~

はい。何故敗北したと思っていたZ組が攻撃してきたのかが分かります。

後、今回はあえて短く切っています。


 GOOOOOOOOOOOOOOOOOOMMM!!!


「あーっはっはっはぁー!! この時を待ってた!」

 闘技場の地面が全面1メートル程下がり、その分の質量を持った巨大なアースゴーレムが疲労困憊であるB組とD組の目の前に現れた。


「はっ、何かと思えば唯(ただ)の土塊(つちくれ)ゴーレムじゃない。こんなもの──『飛斬』!」

 と、特段、滅茶苦茶固い金属(・・・・)で出来た訳(・・・・)じゃない(・・・・)アースゴーレムを見て、優李が苦笑しつつ飛斬を放つ。


 スパパパパパ─────


 と、優李の放った飛斬は容易くゴーレムの両腕を切り落とす。

「ふっふっふー。そんな事をしても無駄よーっと♪」

「んなっ!?」

 だがこのゴーレムの素材は闘技場にあった土砂。優李が切り落とした腕は地面に落ちて唯の土塊にはなるが、代わりに周りの地面から土砂を再び集め、一瞬でゴーレムの両腕が復活する。そしてお返しと言わんばかりに迂闊に近付き過ぎた優李にゴーレムのナックルが入る。

 一応優李の防御(ガード)は出来たが、ゴーレムの攻撃力が高い為、怪我は無いがこの一撃で優李のジュエルの色が1段階落ちる。


「ちょっとアラベラ! 何で負けた(・・・)Z組が今更攻撃してくるのよ!?」

「そうだ! お前達はB組に5人(・・)倒された筈だろ!?」

 ゴーレムから聞こえてくるアラベラの声に愛沙と正義が割り込む。


「はぁ? 負けた? 誰が?」

「誰がってそりゃあお前等が……」

「でも失格のアナウンスは流れてないでしょ?」

「「「「「「「あ………」」」」」」」

 そしてアラベラの言葉に皆、ある事に気付いた。


 Z組(魔族組)を倒した後、『失格』のアナウンスを聞いていない事に。

 つまりまだZ組は生きているという事だ。


「で、でも確かにお前達を5人倒した筈だ! なのに何で失格になっていないんだ!?」

「倒した? きちんと5人分の(・・・・)ジュエルの(・・・・・)破壊《・・》、確認した(・・・・)?」

「確認した……ってそれは……………んむ?」

「An? 俺もそうだが……誰も確認してないのか?」

「あいつとあいつは確かに割れるのを見たが……じゃあ誰が?」

 アラベラの言葉にマック達には身に覚えがない様だ。だが確実に見落としはあったのだ。


 それは────


「さっき大銃を持ったマック(あんた)。アンタが光線銃で吹き飛ばした3人。実はその内の1人、ジュエルが破壊されてなかったの」

「何?」

「───というより、ここまでの展開事態こっちの想定内なんだけどねー」

「何だと!?」

「だとしたら1回戦で強い様に感じた魔族チームが2回戦で弱い様に感じたのは」 

「ワザと早く負けておいて体力と魔力の消耗を押さえる為だったのか!?」

「そゆこと♪ 後、付け加えるなら────」


 アラベラが言うにはつまりこういう事らしい。

 まずZ組は全力で相手とぶつかったと見せかけて、自軍のメンバーを2人まで減らす。この際アラベラは迷彩術(ステルス)と気配遮断で隠れている。残りの1人は防御力だけを最大限に上げ、他の者と一緒に攻め入り、吹っ飛ばされる。この際他の者達はジュエルが割れるが、この防御力を上げた者だけはジュエルが割れず、結界外に待機していた後退メンバーと密かに交代していたのだ。

 だが普通に交代していたらすぐにB組とD組にバレてしまうので、Z組はとある物(・)を交代メンバーとしてチームに入れていたのだ。


 それがアラベラのゴーレム。このゴーレムこそがZ組の交代メンバーなのだ。

「ちょっ、ちょっと待て! それって反則じゃないのか!? 何で召喚獣がメンバーに入ってるんだよ!?」

「何でってそりゃあゴムちゃん(ゴーレムの事)がメンバーの参入に認められたからよ。そもそも他のクラスだって召喚獣の幻狼(フェンリル)やらアンドロイドとかが参戦していたじゃん?」

「そ、それは……」

 ゴーレムがメンバーに入っていた事に正義が抗議するがアラベラに反論される。


 そもそもこの模擬戦では生徒以外の(召喚獣とかの)メンバーも参加する事を認められている。その際はその召喚獣もメンバーとして登録しないといけないのだが。でないと召喚しまくりで召喚師だけが超有利になってしまうからだ。ちなみにアンドロイドは生徒に登録しているので問題は無い。

 ただしメンバーに認められるのは自我や自立行動が出来る物だけ。

 なので他のクラスで暴れていた生き物の幻狼(フェンリル)や自我があるこのゴーレムもメンバー内なので交代するのに何の問題も無いのだ。

 だが、それだと別の疑問が浮かび上がる。


「密かに交代していたのは分かったけどそれでもその質量のゴーレムが入ってきたら流石に気付くでしょうに。交代後、どうやって隠れていたの?」

「それも簡単。ゴムちゃんには核(コア)だけの状態になってもらって、交代時、その核(コア)を結界まで近付いた私が核(コア)を受けとったのよ」

「マイガっ……そういう事か」

 これで試合開始直後、アラベラが迷彩術で隠れた理由がはっきりした。最初は奇襲を仕掛ける為に隠れたのだと皆は思ったのだが、実はそうではなく、迷彩術で隠れたのは密かに交代するメンバーのゴーレム(の核(コア))をクラスメイトから受けとる為に消えていたのだ。これなら確かに上手く誤魔化せられる。


 そしてB・D組のメンバーが徐々に減ってゆき、時間ギリギリになって今、ヘロヘロになった所で楽々止めを刺さんとばかりにゴーレムを起動させたのだ。

 しかもそのゴーレムは斬れば倒せる普通の石ゴーレムや金属系ゴーレムではなく、斬ってもすぐに質量を補充できる土砂(アース)ゴーレムだ。実際優李がゴーレムの両腕を斬ったがすぐに戻ってしまう程直るのが早い。

 時間を掛ければ普通に倒せるだろうと思うのだが今回、もう時間が無い上に闘技場に残っている者達はアラベラ以外全員ヘロヘロだ。残りジュエル残量も心許ない。


「もうそろそろ時間も無いからこっちから攻めるよっ」

「「「「「「「っ!?」」」」」」」

 そして攻撃宣言をしたアラベラにその場にいたB・D組の7人が距離を取る。


 が、

「甘い、甘いよみんな。綿飴に酢とタバスコを掛けるくらい激甘!」

「甘くねぇよそれ!?」

「例えが間違ってる!?」

「おい、ツッコむなっ! ──ってうおっ!?」

「なっ!?」

「足が!?」

 例えを間違っているアラベラにうっかりツッコんだ健太と優李に正義が注意し、3人の足が止まった瞬間、3人の足元から砂で出来た手が地面から生え、3人の両足を掴んだ。


「GOOOOOOOOOOOOOOOOMMM!」

「っ、『風障壁(ウィンドウォール)』!!」


 ガキィン!!


「「ぐあああああ!?」」

「きゃああああ!?」

 そして3人の足が止まった瞬間を狙ってゴーレムが殴ってきて、残り魔力が少ない愛沙が何とか少ない魔力で出せる盾を出すが、流石にゴーレムの拳に耐え切れず、盾を突き破り3人を吹き飛ばす。一応3人も防御するが足を止められているので下がって攻撃の勢いを殺す事が出来ずジュエルダメージが更に入る。


「腕を斬っても駄目ならここを斬ればよかろう!」

 と、3人が攻撃をされている中、いつの間にかゴーレムの背後に回っていた椿姫が縦割りでゴーレムを斬り割く。


 だが、

「無駄よ。このゴムちゃんの本体は核(コア)だから土の身体を斬ってもいくらでも再生するんだからっ」

「ちっ」

 アラベラのドヤ声と共に縦に割れたゴーレムが再びくっ付く。


「これはちょっとマズイな……」

「ええ、戦っても時間内に倒せそうにない上、時間切れまでにとてもこっちの体力が持たない……っ」

 普通に斬っても倒せないゴーレムを見て正義と優李が歯噛ゆむ。


 GOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOMMM!!


「どうでもいいけどよ、何で俺ばかり連続で狙うん───だっ!?」

 その間にも狙いを健太に定めたゴーレムがかなりの大振りで健太を狙い、超回避能力で避け続ける健太だが、体力の減っている状態ではいつまでも避け続けられるものではなく遂に健太の腕に掠り、それだけで健太の身体は結界まで吹っ飛ばされる。


「はぁ、はぁ……くそっ。ここまでか……」

 健太が結界を背にして何とか座るが最早体力切れで碌に動けない。ジュエルも黒色を通り越して若干ひびまで入っている。多分何かに少しぶつかっただけでも割れるだろう。幸いな所といえばゴーレムが今はこっちを向いてないという所かな。


「健太、健太っ|(小声)」

「ん……? 佐夜?」

 すると結界の外から佐夜が声を掛けてきた。


「健太。俺と代われ|(小声)」

「……そうは言うけど、正直アレの相手はきついぞ?」

「大丈夫。俺に策がある」

「そうか……。だったら代わってくれるか?」

「ああ、任せろ」

 何か策があるという佐夜に後を任し、健太がスルッと結界を通り抜け、代わりに佐夜が闘技場内に入る。


 すると何故かこの試合を見ていた観客達がたかが佐夜が参入しただけで何故か湧き、何かアイドルが現れたかのような雰囲気になった。


 ・・・・・・・・・。


「あーっはっはっはぁー! いっけぇゴムちゃん。このまま相手を全滅にしちゃえー!」

「GOOOOOOOOOOMMM!!」

 限定的とはいえ、すっかり無双しつつあるアラベラとアースゴーレムは逃げまくる6人をどんどん攻めて追い詰めていく。


「はぁ、はぁ……も、もう限界……っ」

 そしてゴーレムから一番攻撃を受けた優李が遂に膝を着き動けなくなった。


「今よ! ゴムちゃん、あいつを退場させちゃって!」

「GOOOOOOOOOOMMM!!」

「っ!?」

 そしてそれを運悪くゴーレムに最初に目を付けられ、狙われる。

 咄嗟に避けようとするが疲労が溜まり過ぎて足が動かず、優李は攻撃の衝撃に耐えるべく目を閉じた。


「させるか。『多重障壁』!!」


 ドンッ!


「GOOO!?」

「え?」

 だが優李に攻撃が当たる直前で分厚い土が隆起してゴーレムの攻撃を止めた。


「接触してる部分から通じて錬成術発動。『分解』!」

「っ!? 離れてゴムちゃん!」

「GO!?」

 更に佐夜はゴーレムが攻撃した土を通じて錬成術を発動し、土で作った障壁諸共ゴーレムの腕を土砂に戻す。咄嗟に腕を引くゴーレムだが佐夜の錬成術の発動が早く、肩はおろか胸くらいまで土砂に分解した。


「あ、あんたは佐夜!?」

「や、アラベラ。ちょっと無双が過ぎるんじゃないか?」

「何よ。これもれっきとした策略なんだから文句を言われる筋合いはないよ」

「まぁ、確かに試合なんだから文句はないよ。ただ───」

 そこで佐夜は言葉を区切り、


「俺が来たからにはそう簡単には勝たせないぜ?」

 腕を組み、きめ顔でそう言った。



佐夜の参入で試合もいよいよ佳境を迎えます。まだ準決勝なのに。

ではまた。

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