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異世界無双禁止規定(ステージ オブ グラウンド)『緩』 ~歌姫神と称された少年のあれこれ~  作者: 浅葱
第5章 ~学園狂想曲(スクールカプリッチオ)~
119/241

第5話 ~オリエンテーション(後編)~

はい、長かったオリエンテーション編もこの話で終わりです。

はたしてミッションクリア出来るのか?

※:オリエンテーション編はあらかじめ話が出来上がっていたので分けて投稿し、編集し直しております。なので執筆が早い訳ではありません


「「「「「か、『格ゲー』。だと!?」」」」」

 リフレイン。前回のラストと同じセリフを5人が言った。


 格ゲー。通称、格闘ゲーム。

 基本的に1対1の対戦ゲームで、スティックやボタンを操作して相手を攻撃し、相手をKOさせるか、時間切れで時に体力ゲージが多い方が勝ちのゲーム。

 それも今回はゲームセンターに置いてある様な(イベント用の)筐体を使用している様で。肝心のソフトというのが、


「クロス×ファイター?」←佐夜

「聞いた事無いな……」←月(るな)

「どこの世界の格ゲーだ?」←健太

「あーこれはこの世界で作ったやつだね~」←リオ

「じゃあある意味オリジナルって事か」←清良


 『クロス×ファイター3』


 何となく分かるとは思うだろうが、名前の通り、各ゲームメーカーの格ゲーキャラをコラボさせて戦わせるゲームだ。だがそれだけじゃない。


「こいつは『カプ〇ン』の龍か?」

「こっちには昔倒産した『エス〇ヌケー』の京子がいるしっ」

「『ナム〇』のジンもいるのか。システム自体違うじゃねーか」

「それよりもアタシは何で格ゲーとは関係ない漫画『バ〇』のユウジロウがいるのか気になって仕方ないんだが?」

「あ、こっちにはとある電〇ラノベに出てるミコトだ!」

「ここには何か北斗〇拳を使いそうな奴がいるんだが?」

「スタ〇ド!? ス〇ンド使いがいるだと!?」

「流石に魔法少女とかはいないd───いた!? しかもリリ〇ルの方!?」

「それよりもここに載っているカード使いの奴ってどうやって戦うんだよ? 『俺のターン』ってか?」

「艦〇レのキャラまでいるじゃねぇか。名前は知らんけどっ」

「つか何でエロゲ(ギャルゲー)のキャラまでいるんだよ?(世界を書き換える力を持ったキャラを指差して言う)」

「最早何でもありだね……」

「まぁ、あくまで戦う事の出来るキャラクターに限るけどねー」

 それぞれの世界で流行ったゲームや漫画、ラノベやエロゲ(ギャルゲー)に出ていたキャラをそれぞれが興奮しながら言い合う。まさに夢の舞台だ。

 そしてその話に全く着いていけない物質界以外の面々はポカンとしている。当然の反応だ。

 しばらくそうやって知っている者同士でワイワイやりたい所だが教官が怖い目でこちらを見ている上、時間ももう余り無い。後ろ髪を引かれる様に互いの選手はそれぞれのパーティーの下に戻された。


 そして今回のこの『クロス×ファイタ-3』では5対5の勝ち抜き戦(フルコンタクト)で行われるそうでつまりパーティ全員が参加しなければならない。勿論覚助もだ。

 あ、近くで御剣が「危なかったでござる……」と言っている。なるほど、素人だろうけどあのまま凹んだ状態の覚助に戦わせていたらこちらの士気や運も下がっていただろうから御剣のあの提案はまさに良き采配だったと言えるだろう。


 で、佐夜達の対戦順はクジによって決められ、1番手『リオ』、2番手『御剣』、3番手『月(るな)』、4番手『佐夜』、5番手『覚助』の順に決まった。最後に覚助がきたって事はこれは良いのか悪いのか分からない。出来れば佐夜までに勝利を掴みたい所だ。


 そして対戦相手のマック・清良チームはと言うと、これまためんどくさい事になっていた。

 と言うのも、マック・清良達の場合、クラスでのパーティー決めの時、ティーナが予めサポート組で編入している20名の上級生の内、戦闘能力や知識、その他の能力が高すぎる4人を特例としてオリエンテーションから免除していた様で、実質クラス内での人数は全部で96人となる。つまり1つのパーティは6人で組む事となり、マック・清良達は今、6人でオリエンテーションを行っているのだ。当然6人もいるという事なのでミッション数も12個中7個クリアしなければならないらしいが。

 なのでマック達の順番は1番手『マック』、2番手『椿姫(義輝)』、3番手『詩織(信長)』、4番手『健太』、5番手『清良』になり、1人だけ余ったロッテは応援に回ったらしい。


 あ、ちなみにこのゲームでは練習無しの1発勝負らしく、全員が「えー?」と不満を溢していた。まぁ、真剣勝負に練習も何もないか。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ラウンド1.~リオVSマック~


 リオはこのゲームを知っているのでリオが有利だと佐夜達は思っていた。がしかし、リオは知っているだけでそもそも格ゲーはしない主義らしいので素人と変わらなかった事が判明して佐夜達を軽く失望させた。

 それとは逆にこういうゲームが無い世界で育ったマックだが、マックはロッテがいうのは天才らしく、リオがアワアワと操作に手古摺ってテンパる隙に操作を覚えたマックはそのままリオをOKし、タイムに応じた分の体力が回復する。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ラウンド2. ~御剣VSマック~


 ……当然の事と言えば当然だが、明治時代にこんな物(ゲーム)なんてある訳も無く、ましてや一戦やって操作に慣れたマックに御剣が勝てるはずも無く。


【K.O!!】


 ────された。

「……誠にすまないでござる」

「い、いいって。しょうがないよ。ね、月(るな)さん」

「ああ、後はアタシらに任せろ(ポキポキポキ)」

 そう凹む御剣の肩を叩いて月(るな)が筐体へ向かう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ラウンド3. ~月(るな)VSマック~


 操作に慣れ始めたマックだったが、そこは物質界出身のヤンキー、月(るな)には劣勢を強いられ、


「おらおらぁ! 真・裂空斬!」

「ぬおおおおおおお! 負けたぁ!」

 月(るな)のキャラが使う超必殺技(2ゲージ使用)でマックが20秒も経たずにKOされた。


「ねぇ、今、『にくうどん』って聞こえなかったデス?」

「うむ。聞こえたな」

「きっとあの箱の中に入ってる小人は腹が減っているに違いない」←大間違い

 月(るな)が使っていたキャラがよく言っていたセリフが『にくうどん』とそう聞こえたのか、ゲーム自体に詳しくないロッテと椿姫、詩音が訳の分からない会話を繰り広げていた。

 ※:ちなみに『裂空斬』が『にくうどん』と聞こえるのは唯(ただ)の誤聴なのだが、昔のゲームでそういうのがあるらしい。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ラウンド4. ~月(るな)VS椿姫(義輝)~


 マック達SIDE────

「大丈夫なのかヨシテルの奴?」←マック

「さ、さぁ? 本人には何か策があるらしいんだけど……」←清良

「何か、嫌な予感しかしないな」←健太

 策があると椿姫は言っていたけど3人共、何かをやらかすんじゃないかとハラハラしていた。


 佐夜達SIDE────

「ね、ねぇさやや。相手の武将さん、何か殺気が出ているんだけど気のせいかなー?」

「気の所為だと思いたいね……月(るな)さん。大丈夫かな、色んな意味で」

「いざという時には拙者が止めるでござるよ」

「お、俺も行くぜ?」

「無理はダメだよ覚助」

「お、おぅ……」

「……すっかり従順になっちゃったね覚さん」

 先ほどのアレですっかり佐夜に従順になった覚助を見て「また1人堕としたね、さやや」とリオは呟いた。


 そして、

【レディー……GO!】

「はぁっ!」

「っ! ぬぁっ!?」

 

 ズボンッ!


「「「「「「「「「「……………」」」」」」」」」」


 っと……ここで文字だけでは何が起きたのか伝わり辛いと思うので説明します。


 先ほど策があると言っていた椿姫(義輝)は開始直後、スティックやボタンの操作を放棄したと思ったらいきなり抜刀し、月(るな)が操作していたキャラを物理的に刀でぶっ刺したのだ。んでその刀はそのまま貫通し、反対側の月(るな)の方まで届いた。

 だが開始直前に感じていた殺気のお陰で月(るな)は「何か仕掛けてくるな……」と感じ取り、開始直後咄嗟に避けて椿姫(義輝)の突きを回避したのだ。


「ふっ、他愛もない。これで妾の───」

 何故かドヤ顔で刀を収め、自分の勝利を確信した椿姫(義輝)。だが当然これは───

「反則負け」

 である。


「何故じゃあ!?」

「「「「「「「「「当たり前だろっ!!」」」」」」」」」

 教官の判定に叫ぶ椿姫。流石にこれはみんなツッコむ。


「てめぇ……キャラじゃなく、直接ダイレクトアタックしてくるたぁ、いい度胸じゃねえか? ああ゛!?」

「何を訳の分からぬ事を言っておる? 妾はお主ではなく箱の中の小人を狙ったまでの事。それなのに何故反則なのじゃ!? 意味不明なのじゃ!?」

「だからそれは……っ。はぁ……おい、そこの清良とかいう奴。早くこいつを回収しろ……」

「あ、はい。すみませんでした……。椿姫帰るよー」

「な、何故心の籠っていない棒読みなのじゃ主様よ!?」

「当たり前だ。ったく、だからちゃんとルールは聞けって言ったのに……」

 と、月(るな)はこれ以上説明しても無駄だと思い、清良に椿姫を回収する様に言って、椿姫は納得のいっていない様子で清良の後を追い戻って行った。ちゃんと反省しろよ?

 あ、ちなみに他にも筐体はあるのでそれ以降はそちらで再会する事になった。(月(るな)が使用していたキャラの減っていた体力ゲージは特別にMAX状態で開始)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ラウンド5. ~月(るな)VS詩織(信長)~


 詩織も椿姫同様同じ戦国の世界からやって来ているので筐体の画面を見て「箱の中に人が!?」っと言うタイプだ。

 だが先ほどの椿姫のアレを見て流石に斬りかかる詩織ではなく普通に画面のキャラを慣れない手付きで操作する。そして勿論格ゲーをやり慣れている月(るな)に勝てるはずも無く、ガリガリと体力ゲージ(ついでにSAN値も)を削られていく。これは最早勝負あったな、と皆がそう思った時、


「ぬ……ぬぅわああああああああああああっ!!」

「や、ヤバい。みんなあいつを止めろー!」

 何も出来ずにやられる姿を見て発狂した詩織も何故か抜刀し筐体に斬り掛かろうとした所を同じパーティメンバーに止められる。で、その間に詩織のキャラは負けていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ラウンド6. ~月(るな)VS健太~


 今回は互いに格ゲー経験者というのもあり、久々の良い勝負になったが月(るな)は前回までの戦い方を完全に健太にバレているので、結果的に月(るな)の攻撃を上手く躱し、ちょこ当てしながら判定勝ちを収めた健太。

 というのもこれは単純にヤンキーの月(るな)が怖いのでKOせずに勝とうとしたやり方である意味これが正しいやり方なのかもしれない。が、月(るな)はともかく仲間である椿姫や詩織からは大顰蹙(だいひんしゅく)を買っていた。どうやら「やるからには相手を倒せ!」と言われているらしい。

 どちらにせよ勝ったのに仲間に詰め寄られるとか笑えない。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ラウンド7. ~佐夜VS健太~


 ……正直この組み合わせは最悪だろう。入学式で(女性化時の)佐夜の胸を揉んだ加害者と、その痴態の所為(?)ですっかり学園公認、女の子認定されてしまった被害者の佐夜。両者との間に変な空気が流れる。

 ともあれこれは真剣勝負。いざ。


【レディー……GO!】

「「っ!」」


 カチャカチャカチャカチャ─────


 流石経験者達(2回目)、慣れた手付きでキャラを操作し、攻撃、回避、防御をこなしていく。

 だが悲しいかな、佐夜と健太ではやり込んだ経験値が違い過ぎた。佐夜は友達と帰りにゲーセンで遊ぶ程度だが、健太は一つ一つのキャラを完全に把握出来るまでのめり込むタイプなのだ。故に新作のゲームとはいえすぐに佐夜との差が生まれ始め、


「や……ちょっ………そこ入れちゃ(ガード無視攻撃)…ああっ!?」

「………」

 佐夜が一撃入れる間に健太は3~4発佐夜に攻撃し、徐々に体力ゲージに差も生まれる。

 しかし健太には佐夜の呻き声が気になってしょうがない。いや、健太だけじゃない、どうやら周りにいた男子生徒達も黙って顔を赤らめている。


「ダメぇ……固い(ガードの事)………あ、そこで上を狙うのぉ!?」

「………(赤面)」

 佐夜の攻撃を受け付けないベストなガード戦法で佐夜の攻撃を受け付けず、逆に健太が佐夜の防御を掻い潜って隙が出来た所を攻撃して佐夜の体力ゲージとSAN値(なのか?)を削っていく。


「あ…ああっ、そこで嵌めちゃダメっ(嵌め技の事)、やぁ……」

 そして犯(や)られている側の佐夜の言葉も段々過激になっていく。


「……なぁ、佐夜(あいつ)のセリフ、ワザとなのか?」

「いやールナルナ。多分あれは素だとリオは思うかなー?」

「寧ろ朝と雰囲気が違い過ぎるのではないか?」

「じゃの。別人だと言われたら納得してしまうれべるじゃ」

「でも何だかんだで楽しんでいるみたいデス」

 そしてこちらもいつの間にか一緒に観戦している女子達(1人を除く)。


「うう……(久々に格ゲーしたから手が)痛い……ってそこに入れちゃダメぇ!(油断してる隙にまた技を喰らっている)」

 そしてまたもやセリフが過激になる佐夜。


「お、お前ー! それワザと言ってんのかぁ!?(顔真っ赤っ赤)」

「ほにゃ!?」

 遂に耐え切れなくなった健太はスティックとボタンから手を放し、台をバンッと叩いて佐夜に吠えて佐夜がビクッとなる。


「お、おいケンタ!? 何スティックとボタンから手を放してるんだ!?」

「あ……っ!?」

「っ! しめた、チャンス!」

「ぐ……っ!」

 健太が佐夜の喘ぎ声(?)に堪らず席を立ち筐体から手を放してしまった事で佐夜のキャラを攻めていた健太のキャラの攻撃が止まり、その瞬間を逃さなかった佐夜が得意の超必殺技(2ゲージ使用)コマンドを入力し、健太のキャラがガードする前にその超必が炸裂。その結果、


【ウィナー、1P!】


「やったー! 勝ったー!」

「かは……っ。……こ、こんなハニトラに引っかかるなんて(orz)」

 ゲームでの集中力が切れてしまい、佐夜の喘ぎ声(笑)に堪きれず筐体から手を放してしまった健太の負け。


「これは……折檻ものだな」

「ああ……それもキツイお仕置きが必要じゃなぁ。ふふふ……」

「ひぃぃっ!?」

 勝てた試合に負けた事で健太、折檻決定。詩織と椿姫に首根っこを引き摺られてどこかに行ってしまった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ラウンド8. ~佐夜VS清良~


 これも互いに経験者なので割とスムーズに対戦が進む。力量差もほとんど無い。だがここでの勝敗を分けたのは残りの体力ゲージの量だった。

 先ほど健太に体力ゲージを削られて結構残り少なくなった佐夜は防御中心に戦うのに対し、清良は最初から体力ゲージはMAXなので危なくなるまで攻め続ける事が出来る。


 格闘ゲームにおいて防御は『完全防御』では無いので、何発も喰らえばガードクラッシュやガード無視+ふっ飛ばし攻撃でのノックバックを喰らわされれば、より攻撃に転じるチャンスは失われ、


【K.O!】


「あー、さやや負けちゃったー」

「佐夜は防御し過ぎなんだよ。もっとガンガン攻めろよな」

「……格ゲーって性格が出るよねぇ」

「あ? 何か言ったか?」

「何でもない☆」

 佐夜を応援していたリオと月(るな)が何か言っている。


「はー、負けちゃったよ。君強いね」

「ははは、君の回避や防御も中々手強かくて、中々体力ゲージを削れなかったよ。ほら、その所為で残りタイムが4秒しかないし。これじゃあ碌に回復しないさ」

「ふふ、どうせ勝てないならせめて次戦の為に回復量を減らす作戦に出たんだよ」

「そうだったのか。こりゃ1本取られたな」

「あはは、何言ってるの勝ったのはそっちじゃないか」

「おっと、そうだった」

 そして戦った2人は握手しながら互いに褒め合った。が、


「ぬぅ、清良がまた他の女といちゃついとる」

「これも後で折檻じゃな……」

「俺、勝ったのに!?」

 『折檻』という言葉が聞こえたのか清良は急々(いそいそ)と自陣に戻って行った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ファイナルラウンド ~覚助VS清良~


 正直この終盤にきてこの対戦カードは御剣同様、格ゲーなんて物が無い時代に生まれた覚助に勝ち目なんて無いだろう。

 実際、アワアワとテンパって碌に操作できない覚助に清良は容赦なく連撃(コンボ)を繋げていく。そしてあっという間に覚助の体力ゲージは半分を切り、清良よりも下回った。


(また……また俺が迷惑を掛けちまうのか?)

 佐夜が行っていた後ろにレバーを下げる、所謂ガード状態のまま覚助はまたもやダークサイドに落ちかかっていた。

 開始直後、佐夜が前戦頑張って清良の体力ゲージを半分くらいにしたので「もしかしたら勝てるか?」と思われたのだが、そこはやはり素人とやった事のある経験者との違い。少しだけあった希望すら簡単に砕け散り、佐夜達のパーティは最早、風前の灯火状態だ。


(せっかく佐夜が立ち直らせてくれたのに、また俺落ち込んでる……)

 ボタンからも手を放し、顔も画面を向いておらず、傍から見たら戦闘放棄に見える。仲間達からも何か言われている様な気がするが、今はそれどころじゃない。

 その上、清良の必殺ゲージは2つ以上溜まっており、逆に覚助の体力ゲージはもう10分の1も無く、点滅状態だ。

 そして清良が止めと言わんばかりに必殺ゲージ2つを使用して超必を出してきた。この技はガードも可能なのだが、ガード状態でも少しづつ削っていく技なのでこれなら技が終える頃にはKOするだろうと他の経験者4人はそう思った。





(どうせ……)

 しかしここから────


(どうせ負けるのなら────せめて精いっぱい足掻いてやるっ!!)

 と、いよ決して覚助の目に力が戻り、再びボタンに手を掛けた。


 そして、


 がちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃがちゃ───────


 と、ひたすらスティックとボタンをランダムに動かしたり押したりしてひたすら操作する覚助。そのプレイに、


「「「「「が、がちゃプレイ!?」」」」」

 経験者はあまりやらないとされるガチャプレイに5人は驚愕した。


「? 何ぞそれ?」

「何かの暗号か?」

「いやいや、あの破廉恥漢の事だ。嫌らしい事に違いないのぅ」

「ソウは見えませんが……」

「うむ。覚助のあの表情は実に切羽詰まっているでござるな」

 ガチャプレイを知らない5人もそれぞれ思考する。若干1名不名誉な事を言っているが。

 けど、確かにガチャプレイなら勝てる見込みはある。


 しかし忘れてはいけない。

 今日の覚助の運勢は最悪。

 その状態で勝てる見込みなどホコリを掃く程度の確率だと本人は思っていた。洗練された達人相手にひたすら我武者羅(がむしゃら)に剣を振るう素人の様なものだ。実戦で戦ったらあっという間に剣を飛ばされるか一撃入れられて終了だ。




 だが────


 だが、覚助は9つ目のミッションを終え、超凹んでいる時に佐夜に抱きしめられ、慰められ、あやされていた時、覚助を取り巻いていた『大凶』や『女運の悪さ』その他諸共の星の巡りの悪さが一変して好転していた(勿論その事は佐夜達には分からない)。

 それに加え、今の覚助は佐夜に『アピール』する為に戦っているのではなく、パーティ全員の為、そして自分の為に必死なって死地からもがいている。


 その結果どうなったのかというと、ここで覚助の運勢が変わった事を証明する出来事が起きる。


 スカッ────


「なっ!?」

 ガチャプレイの前に発動していた清良の超必は覚助のキャラがその攻撃が当たる寸前にガチャプレイによって偶然にも超回避行動(必殺ゲージ1使用)をとり、清良の超必を神回避した。

 それだけじゃない。


「おらおらおらおらおらおらおらおらおらおr─────」

「な……な…なっ!?」

 覚助のガチャプレイは止まる事は無く更なる行動に移していた。

 通常、格ゲーに限った事ではないが、技、それも大技であればあるほどその直後の技後硬直は長く(と言ってもほんの1~2秒)、超必を放ち、それを回避された清良のキャラも画面端で技後硬直していた。

 その隙に覚助のキャラは覚助の滅茶苦茶な操作によって筐体に載っていないキャラの技、つまり裏・超必殺技が作動した。

 まず画面に閃光が走り(裏・超必共通)覚助のキャラが画面端で技後硬直しているキャラに掴みかかり、そのまま神懸かり的な連撃を繰り出し、最後には清良のキャラを反対側の端にふっ飛ばす。

 その奇跡的な逆転劇に佐夜達は大盛上がる。


「っ! まだだ!」

 しかしこれで決着が着いた訳ではない。清良のキャラは体力ゲージが『1』のギリギリ状態で生きており、地面に叩きつけられる寸前で受け身を取り、急いで(・・・)超必のコマンド(飛び道具的な技)を入れる。


「っ! しま……っ!?」

 そして清良の体力ゲージを示すバーが無くなった事で勝ったと勘違いしてしまった覚助は先ほどの健太同様筐体から離れてしまった。


 で、覚助のキャラはそのまま清良のキャラが放った波動的な技によって吹き飛ばされる。

 元々、覚助の体力ゲージは残り10を切っており、普通の飛び道具をガード無しで喰らった時点で死ぬほどの体力しかなかった。そんなキャラが超必の技をもろに喰らえばどうなるか。佐夜達は喜びの一転、悲しみに包まれる。まさかこんな結末になるとは思わなかったのだろう。

 ここまできて覚助の運勢は結局変わらなかったのか……。


「まさかこんな結末になるなんてな……」

 清良も同じ(誰と?)事を言い、筐体から離れる。勝者の余裕なのだろうか?


 と、思ったら、


【ターイムアップ!】


「「「「「「「「「「………へ?」」」」」」」」」」

 全員が筐体に目を向けるとそこには覚助のキャラが立っていた。


 つまりこういう事、時間切れギリギリで清良の放った超必は放った瞬間に0秒となり、その時点でタイムアップなのだが、技自体は出ていたので覚助のキャラは攻撃を喰らう。

 しかし時間切れ(タイムアップ)なのでそれ以降のダメージは向こうとなり、結果、覚助のキャラは清良の最後に放った超必のダメージを喰らう事無く、


【ウィナー、1P!】


「あ、あ……あああ……」

 何が起きたのか分からないが、信じられない覚助は震え、


「か、勝ったの?」

 同じくこの格ゲー自体は知っているが、あまりやった事の無いリオもポカンとし、

「うおっ。マジか……」

「奇跡でござる……」

 月(るな)と御剣も「勝ったー!」と再び喜びを露にし、


「ううん。奇跡じゃないよ。これは……」

 と、佐夜は筐体に目が向いてポカンとしている覚助の下に行き、


「覚助が頑張った結果だよ!」

「にょっ!?」

 と後ろから覚助をハグし、覚助が変な声を上げる。


「うむ。覚助は頑張ったでござる、なっ!」

「最後ヒヤヒヤしたけど、なっ!」

「痛いっ!?」

 御剣と月(るな)も佐夜に続き、覚助の空いているスペースに拳を叩きこむ。


「はぁ、これで何とか6つ目クリア、だね」

「だね。あ、でもそうしたら今度マックと清良達が足りなくなって罰ゲームを受ける事になるんじゃ?」

 リオがそうホッとして佐夜がそれに同意したが、ある事に気付き、マック達を見る。


「an? ああ、俺達はここに来る前、既に11個中8つクリアしてるからノルマは達成だ」

「え、じゃあ何でわざわざ12個目を受けたの?」

 既にクリアしているのならわざわざ受ける必要は無いはず。


「いや、そうでもないのさ美里君。ミッションの他に隠しルールがあるだろ?」

「う、うん。僕達のは『全てのミッション中、全員が必ず3回以上参加する事(ただしサポート上級生は除く)』だけど。あ、もしかして!」

 佐夜が自分達に渡された隠しルールを教えると、自分でそれに気付く。


「そういう事。俺達が渡されたルールは『必ず上限の数のミッションをこなす事』だ。だからクリアはしてるがミッションの数が11個しかしてないからわざわざこうして12個目をやる羽目になったんだよ」

「しかもうちの姫さん方(主に椿姫と詩織)は妥協は許さないタイプらしくてな。やるからには相手を殺る気でやれとのお達しだ」

「何それ怖いっ!?」

 健太とマックがヤレヤレと手を振って言うとリオが叫んだ。


 後、物凄く遅い説明になるが、各クラスの各パーティーにはそれぞれ違う隠しルールが配布されており、自分達の知らないルールを破った時点で失格となる。

 それは全部で10個あり、それを他のパーティから聞き出していち早く把握し、行動しなければならない。

 だがその中には相手に知られると不利になるルールも含まれているので安易に教えるパーティーはいない。


 ちなみにマック達に聞いたその全内容はというと、

1、他の生徒(当然教師も含む)を殺してはならない。←当たり前

2、全てのパーティは7種類あるミッション全てを必ず1つずつ以上やらなくてはならない。

3、『バトル』ミッション時で、対戦相手への過剰攻撃は禁止。木人(ウッド)君はOK。

4、『採取系』ミッション時、他のパーティが採取した物を強奪してはならない。

5、サポート上級生に『個人』ミッションをさせてはならない。

6、『運』ミッションを3回以上行ってはいけない。←過剰占い

7、必ず上限の数のミッションをこなす事。10なら10。12なら12

8、全てのミッション中、全員が必ず3回以上参加する事(ただしサポート上級生は除く)

9、上限の数以下(10個中9個など)の状態で自分の教室(・・)に戻った場合、即失格。

10、上限のミッションをこなし、クリアした者は全員、制限時間内に教室へ戻らなくてはならない。


 ………。


 ………え?


「ちょ、ちょっと待って。今、何時!?」

「今、12時56分!? 後4分しかないよ!?」

「み、みんな走れ! 急いで教室に戻るぞ!」

「あ、あわわわわ……」

「「「嘘だろおいっ!?」」」

「って、義輝さんと信長さん、もういないデス!?」

「……これ、間に合うのか? でござる……」

 御剣がかなり不吉な事を言うが、全員で教室へ猛ダッシュする。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 だが最後のミッション会場から教室までは結構距離があり、その結末は、




「はい、罰ゲーム決定ーです♪」


「「「「「「「「「「「ああああああああ………」」」」」」」」」」」

 教室前で待っていたティーナが笑顔で両手を合わせ、時間切れ判定により佐夜達、及びマック&清良達は罰ゲームが確定し、11人全員がorzした。



オリエンテーションが終わり、罰ゲームはともかく、次回は遂に講習が始まります。

まぁ、第2章で話した説明の詳しい内容と、それによる質問タイムの話です。

それも長くなりそうだな……

では

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