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異世界無双禁止規定(ステージ オブ グラウンド)『緩』 ~歌姫神と称された少年のあれこれ~  作者: 浅葱
第5章 ~学園狂想曲(スクールカプリッチオ)~
113/241

プロローグ前編 ~リオの悪戯と集まる新参者~

お待たせしました(誰に言っているんだろう?)

第5章の始まりです。

本当は23日に載せるつもりでしたが、急遽体調不良などが原因で入院しておりました。

昨日退院しましてそのまま編集し、載せました。

後、長いので前・後に分けてました。

【亜空間-0012.0008.0045地点辺り】

 BGM:トラベル・トラブル


 ビー、ビー、ビー。(警告音)


 ゴゴゴゴゴゴゴゴg(機体が揺れる音)─────


「お。おい親父(ダディ)、どうなってんだこりゃ!?」

 激しく揺れる艦内でマックが椅子にしがみ付いて父親に訪ねる。


「ハッハッハー。何せ急ごしらえで組み立て直した物だからなー。機体に合わない部品とかあってもおかしくないサー(笑)」

「「「「「「「笑ってる場合か!?」」」」」」」

 艦がガタガタ言っているのに呑気に言うドナルに全員がツッコむ。


「って、ああ!? 皆さんアレ見て下サイ!」

「うわっ!? いつの間にか世界(の壁)が目の前に!?」

「このままだと正面から激突するぞ!?」

 ロッテや健太達が慌てふためく中、


「アア、なら丁度いい。目的地はその世界だからそのまま突っ込むぞー(笑)」

「「「「「「「何────!?」」」」」」」

 ドナルが笑みを浮かべながら目の前にある世界【イニシエ】に舵(かじ)の利かない艦を突っ込ませ、全員が絶叫を上げた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 新世界【イニシエ】────の中心にあるマンモス学園【メリファカルト】。


 ♪♪~~♪♪~♪~♪♪♪♪~~~♪♪~~


 その近くにある男子寮、


 ────ではなく女子寮、


 ──でもなく特殊寮内の一室でとある美少女が朝からシャワーを浴びていた。


「さややー。昨日届いた制服、ここに置いとくねー」

 ……言わずもがなシャワーを浴びてる美少女とは佐夜の事だけど。


「おー。ありがとー」

 佐夜が朝シャンしている間にリオが佐夜の制服をある物(・・・)と一緒にかごに入れ、リオはその場を後にする。


「………にひっ」

 ………悪戯な笑みを浮かべて。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 所変わって3つの寮を結ぶエントランスでは2人の青年が新たな生活と学園生活に心を躍らせながら通路を歩いていた。


「今日からここで学園生活かー。可愛い子もいっぱいいるみたいだし……楽しみだな御剣ー」

「それには同意するでござるが、そんな動機を堂々と口に出して聞かれたら女子(おなご)達に嫌われるでござるよ覚助(かくすけ)」

「別にエロい事言ってないから大丈夫だろ?」

「『女子(おなご)との出会い』を主にしている事自体が不純だと言ってるんでござる」

「えー? そうかー?」

「うむ」

 御剣の固い言葉に眉を顰める覚助。


 何やら古そうな名前から連想する様にこの2人は物質界、それも過去の世界(明治時代)の者で、過去の世界に逃げ込んだとある事件の容疑者を追っていたR・ハーマン氏との出会いと、それによってもたらされたトラブルによって結果的に2人は幕府に追われる身になってしまい、それを見かねたR(アール)が2人を誘致し、今に至ったわけだ。


「それにしても和服以外の服とはこれ如何に……窮屈でござるなぁ」

「そうかぁ? 俺は良いと思うぜ? こう、ビシッとな!」

「……覚助、お主には似合うと思うが拙者にはこういうの似合わぬでござるよ」

「だったら入学式(?)とやらが終わったらハーマン氏に相談すればいいんじゃね? 確か亜人(?)とか魔族(?)とかそういう色んな種族に合わせた服装とかがあるって言ってたしな。多分和服もあるだろ」

「そうだといいのだがなぁ……」

 そうボヤく御剣とケラケラ笑う覚助の2人はかなり大きめに作られた体育館へ向かって歩き出す。


「──────ォーッ!」


「「?」」

 向かっている最中、特殊寮の方から怒声が聞こえた様な気がした。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「──────ォーッ!」


「ん?」

 何処(どこ)からか怒声が聞こえてきて七原清良(ななはらきよし)は歩みを止めた。


「どうした清良、立ち止まったりして?」

「……何やら怒声の様な声が聞こえたな?」

 そんな清良の前を歩いていた2人の少女も歩みを止めた。


 その少女達の名前は日本人なら誰でも聞いた事のある【織田信長(通称『詩織(しおり)』)】と【足利義輝(通称『椿姫(つばき)』)】だ。

 

 それで何故そんな2人がこんな所にいるのか、つか何で女の子なのかというツッコミについてはまぁ、色々と面倒くさい理由がある。


 まず戦国武将達が女性化するなんていうネタはゲームや漫画などでいくつもあり、ここにいる信長や義輝もその一例である。

 そしてその信長や義輝が元々いた世界に21世紀の現代社会に生きる清良が『次元転移』してきて物語が始まる。

 ※:時空戻り(タイムスリップ)ではなく次元転移なのは、清良が元々いた世界では信長も義輝も『男』となっているので、この2つは全く別の世界という訳。


 で、清良も含めて戦国時代で色々な戦いとか『変』やら『乱』やらを乗り越えて絆を強め、天下布武まであと一歩の所まで来たところで清良の元の世界へ帰る方法が分かり、信長も義輝も大いに悩んだ。『愛しい人をこのまま還してもいいのか?』という苦悩と『この機を逃すともう二度と清良が元の世界に還れなくなるのではないか?』という心配だ。


 そして悩んだ結果、清良を元の世界に帰す事に決め、2人を含めた清良を好いている武将達(勿論全員女の子)が涙を呑んで清良を見送る。

 清良を元の世界に送る為に使用した3種の神器の一つ『八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)』を使用して『天の架け橋』を作り出し、清良がそれを渡る。

 だがその途中で我慢しきれなかった信長と義輝の2人が清良の後を追い、橋の途中まで渡っている清良の所まで来てしまった。で、当然そこで一悶着があったわけだがその部分はあえて省く。


 問題は、歴史に大きく影響をもたらすとされている信長と義輝が清良を追い、『橋を渡ろうとしている』事だ。もしそんな事をしてこの世界から消えるようなことがあれば今後、この世界がどう動くのか誰にも分からなくなる。それに2人がいなくなると分かればこの隙に天下を取ろうと画策する輩が出てくる恐れもあった。

 が、事態はそう分かりやすいものではなかった。


 空に掛かる橋は月に照らされて日ノ本全土で見る事が出来るので、信長と義輝がいなくなろうとしているのを見たどこかのバカ将軍(九州辺り)とアホ将軍(東北辺り)が3種の神器の『八咫鏡(やたのかがみ)』と『草薙剣(くさなぎのつるぎ)』を使用してしまった事でこちらの『八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)』がその2つに共鳴し、事態は一変した。


 無暗に、そして誤った手順で3つの神器が使われた事で溢れ出た神気行き場を求めて暴走し、地震が起き、大地は割れ、割れた大地からも瘴気が溢れ、その瘴気と神気が混じり合って強烈な雪氷現象が起き、瞬く間に地上が氷漬けになってしまった。

 そしてその強烈な冷気は天の架け橋の上にいた清良達にも襲い掛かるが、そこは最強の将軍と第六天魔王と恐れられていた2人が冷気を押し返し、架け橋の先にある光に向かって3人は突っ走り、ギリギリ逃げ切った。

 しかし逃げた先はピンク色した謎の空間で、息は出来るが上手く身動きが出来ず3人は芋虫の様にもがいていた。


「おい、そこの3人。生きてるか?」

「「「っ!?」」」

 するとそこに場違い的な艦が現れてスピーカーから男性のイイ声(低音)が聞こえ芋虫の3人はビクッてした。

 実はその艦は『蒼天楼』で、今丁度イオンがこの近くにあった天界で次元迷子者の回収に当たっている最中で、その間にブリッジの指令席でモニターを見ていたゼクターにオペレーターの子から「この近辺に亜空間に生物反応があります」との報告を受け、ゼクターは指示を出してイオンが帰還要請を出す間にここに来たのだ。


「とりあえず回収してやるが……危害は加えるなよ」

 清良はともかく明らかに血の気の多そうな信長と義輝を見てゼクターはそう言い、3人を回収した。


 その後、何かと刀をチラつかせる戦国武将乙女2人とイオンが保護したヒーロー達(&天魔族)との間に当然ながらトラブルが起きたがそこはあえて省略。

 そして『凍結した世界を回復させるのに2~4年は掛かる』と、信長達の世界の管理人はそう言ったので、その間2人は協会預かりになって今、別れるはずだった清良と共にイニシエにいる。


「それにしても2人共、和服も似合うがこういうヒラヒラした服も似合うよな」

「そ、そうか? 服を作っている者に大分無理言って改造してもらったのだが……そうか、似合っているのか……」

「むぅ……主(ぬし)よ。詩織(信長の事)ばかり褒めてないで妾も褒めぬか」

「ああ、ごめんごめん。椿姫は………これまた思い切った服装だな……」

「であろう? 妾も服を作っている者に相当無茶を言って頼んだのじゃ」

「2人共無茶を言っている事、自覚あるんだ……」

 ドヤ顔で誇る2人に頬が引き攣る清良。きっとこれを作った人は相当疲れてる筈だ。ごめんなさい。

 ちなみに詩織は単純に制服に和風テイストを盛り込んだ物だが椿の場合、それプラス肩の部分が開いていて、変な所に金属は付いてるし、そして何より何故かタイツとガーター(ベルト)まで穿いていて、もうすっかり現代に馴染んでいる様に思える格好だ。すっごいセクシー。


「リオ──────ッ!(怒)」


「……何か今度ははっきりと聞こえたな?」

「どうする? 2人共、見に行ってみる?」

「やめておけ。こういう場合行ったら行ったで巻き込まれるのが主の毎度のぱたーん(?)であろうが」

「だな。清良のそういう野次馬(首突っ込む)精神は褒められたものじゃないからな」

「ひ、酷い言い草だ」

 そう言いながら3人は佐夜の怒声を無視して体育館へ向かって行った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「リオ──────ッ!(怒)」

 佐夜が超怒りながら特殊寮と他の寮を結ぶ通路を早歩きで歩く。本当は走って探したいが今の恰好で走ったらスカート(・・・・)が捲れるので走れない。


 朝風呂から上がった佐夜が籠から取り出したのは、なんと女子の制服だった。おまけにパンスト(タイツ)とガーター(ベルト)付きで。ついでに言うと色は白。

 流石に入学初日からそんな物着る訳にはいかない(?)ので佐夜はしょうがなくヴァン達の所に行ってから男子制服を貰おうと裸タオルで部屋に戻り、私服に着替えようとした。が、何故か服が全部消えていた。当然下着(トランクス)も含めて。


 なので仕方なく佐夜はリオが用意した女子制服を着て入学式が始まる前にリオをとっ捕まえるか、他の男子生徒から男服を借りようと寮内やエントランス、食堂を練り歩いていた。ちなみに律義にタイツとガーターまで穿いているので、それがポニテと相まって何だか知らないけど神聖なオーラを周りを感じた生徒達はそのプリプリ怒りながら歩く佐夜に遠巻きに視線を送りながらもそんな美しさに男子はおろか、女子まで見惚れていた。

 しかし時間が経つにつれて寮内に残っていた生徒達は入学式や新学期に向けて学園に行ってしまい、結果的に佐夜はリオどころか男子生徒と接触すら出来なかった。


「おや佐夜ちゃん。まだいたの?」

「あ、美鈴(みれい)さん」

 もう誰もいなくなった食堂に入るとテーブルを拭いていたお姉さんに声を掛けられた。

 ここの食堂はこの学園の卒業生の一部の生徒が切り盛りしており、食堂の大きさもあって食堂の店員は30人を超える。佐夜に声を掛けてきたお姉さん、美鈴さんも例外なくここの卒業生だ。


 佐夜はリオが自分の制服や男物の服を隠された事を伝え、リオや他の男子生徒が捕まらなかった事を言うと美鈴さんに腹を抱えて笑われた。失礼なっ。


「あ、ここにいやがったか佐夜。探したぞ」

「あ、ヴァン。そんな急いでどうした?」

 すると今度はヴァンが食堂にやって来て佐夜の下に歩いてきた。どうやら佐夜を探していたらしい。


「どうしたも何ももうすぐ入学式が始まるのにお前の姿が見えないから探しに来たんだ。………つか何で女子の制服を着てるんだよ。ご丁寧にタイツやガーターまで着とるし」

「こ、これはその……」

 ヴァンが佐夜の恰好に気付き、佐夜はリオの策略で男子制服や男物を隠された事を言い、それは分かったヴァンだが何故下(タイツ&ガーター)まで着ているのかというと、部屋に裸で戻った時、クーラーが冷房の最低温度に固定されていたのだ。勿論リモコンも隠されていた。なので寒いから仕方なく下(タイツ&ガーター)も付けているのだ。


「ヴァンが見つかったから丁度いいや。ヴァン、男子制服か男物貸してくれないか?」

「無理」

「何でさ!?」

「時間がもう無いから。それに俺ん家は寮じゃないからな。取りに行っている暇はねぇよ」

「じゃあどうすればいいんだよ!?」

「……そのまま行けばいいんじゃね? その姿なら誰もお前が男だって気付かんだろ」

「それが嫌だからこうやってリオとか他の男子を探してんじゃないか!」

 誰もいないからとはいえ、食堂で叫ぶ佐夜。その近くのテーブルを拭いていた美鈴がビクッてなった。


「……なるほど。でもどちらにせよもう時間はねぇって。諦めろ」

「じゃあ、今日はもう行かない! 俺は休む!」

「駄々っ子かっ!? ったくしょうがないやつだな」

「何だ? やる気か!?」

 ヴァンが佐夜に近付くので佐夜は身構える。どうでもいいが女子制服にファイティングポーズは似合わない。


「大人しくすれば何もしねぇよ───っと」

「っ!? うわぁっ!?」

「きゃああ!(黄色い声)」

 目の前に歩いてくるヴァンに対して身構えていた佐夜だったが、ヴァンは一瞬で佐夜の横に移動して素早く佐夜の足を払い、後ろに倒れる佐夜の膝と脇に手を入れ、何とお姫様抱っこをしたのだ。これには佐夜本人はおろか、近くで見ていた美鈴も目を見開いて声を上げた。


「お、下ろせ!」

「うるさい。喋ると舌噛むぞ。……すまない美鈴さん、そこの窓を開けてくれるか?」

「え? あ、はいはい」

 ぎゃあぎゃあ騒ぐ佐夜をヴァンは無視して佐夜を抱きかかえたまま窓に向かい、美鈴が開けた窓枠にジャンプし、


「お、おいヴァン。まさか……」

「だから言ったろ。喋ると舌噛むって」

「わ、わわわわw────」

 20メートル位ある高さから飛び降りようとするヴァンに青ざめる佐夜。ヴァンが言うからには大丈夫なのだろうが喋ると舌を噛むぞと言われるがそれどころじゃない。

 そして、


「わああああああああああああああああああああああっ!?」

 何の迷いも無くヴァンは佐夜を抱きかかえたまま食堂の窓から飛び降り、佐夜が絶叫を上げた。勿論佐夜の両手はヴァンの首を無意識に回していた。これだけ見れば立派な乙女。

 

「きゅぅぅぅ………」

 そして佐夜は気絶した。チーン。


 その後、気絶した事で暴れられる心配がなくなったヴァンはそのまま佐夜をお姫様抱っこ状態のまま体育館へ早歩きで向かった。

 その光景をまだ体育館へ向かっている生徒達に見られている事を気絶してる佐夜は勿論知らない(ヴァンは気にしない)。


 プロローグ後半に続く。



次回は入学式です。もうどうなるかは予想が付くと思いますがもうしばらく茶番にお付き合いください。

では。

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