↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/241

幕話ー3 ~理不尽な処刑の妨害&逃走(天界版)~

お盆の時期も相まって大分遅れました……

幕章は一話完結づつやっている為、今回は長めになります。

あ、だから時間かかったのか……。

後、急いで書き上げたので要らない部分が有ったり、表現がかなりおかしい所があるかもしれません。



 ここはとある天界の一つ。天使族の済む世界。

 だがそれ以外に他の世界で死んで、一先ずここに転生前に待機する死者達もここで一時的に仮住まいをしている。勿論居住区は別。

 ※:自我のある生物(主に人間)が死んだ場合複数の天界、霊界、冥界、魔界、そして稀に神界へと振り分けられてそこで転生を待つ。

 ※:生きていた時期に善と悪のパラメータを算出し、合計±250近くなら霊界(プラス側)や冥界(マイナス側)に行き、それより上なら天界(天国)、下なら魔界(地獄)、そして圧倒的にプラスの場合にのみ神界へ移動させられる仕組みだ。死んだ時点で近くの転生待機世界(ヴァルハラ)に移動する。



「「「「「待てー!!」」」」」

「うおおおおお!? 何で追って来るんだー!?」

 背後から何故か天使が追って来て、一人の少年ヒーローが必死に逃げる。


 このヒーローの名前は『西塔(さいとう) 琢磨(たくま)』16歳。父親が元・仮面ヒーローで琢磨は高校に入ってから祖父・父親の後を継ぎ、密かに自分の街の平和を守っていた。……といっても西塔家は主人公的な立場では無く、他にいる仮面ヒーロー家の主役の助太刀をする味方ヒーローに過ぎないのだが。


 ちなみに何故彼がここにいるのかというと、業魔(ごうま)という悪魔・魔物、もしくは業(カルマ)を背負って怪人(魔人)と化した敵の放った攻撃を主人公ヒーローから庇い、喰らった直後どこかに転移されたのだ。そして流れ着いた場所がここ、天界である。


 で、そんな彼がどうして天使に追われているのかというと、天界であちこち彷徨っていた時、偶然獣に襲われていた天使の女性を変身して助けたからだ。

 しかし獣(天界獣というらしい)を退け女性を助け起こそうとした時、女性が琢磨を見て叫び声を上げたのだ(多分変身した琢磨の見た目の所為)。せっかく助けたのに何で叫ばれるんだ、と言おうとした瞬間、何かに襲われていると通報があって駆け付けてきた天騎士に盛大に勘違いされた結果、今こうして追われている、という事態なのだ。


「そ、そうだ。変身を解けば───」

 そう言いながら琢磨は曲がり角を曲がった瞬間に変身を解いた。


「───あれ? 奴はどこ行った?」

「消えた?」

 その3~4秒後に天使の追手が曲がり角を曲がったがそこには女性を襲ったとされている奴はいなかった。


「おい貴様、悪魔みたいな奴見なかったか?」

「うん、見た。ぶつかりそうになって危なかったけど、その悪魔(?)みたいな奴の方がジャンプして屋上に行ったのを見たよ」

「っ! 屋上だ、飛んで空から見つけるぞ!」

「「はい!」」

 天騎士に悪魔と言われて一瞬ムカッとしたがここは冷静に「その怪し奴は向こう行ったよー」的な事を言って天騎士を撒く事に成功した。


「……見た事無い獣に助けた筈の女の人に叫ばれるわ、騎士の人に僕が女の人を襲ったと勘違いされるわ……ホント、ここどこだよ?」

 もう追手は来ないと確信した琢磨はようやく一息つき、壁にもたれて休憩した。


 何か遠くで騒いでいるのを聞くまでは。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 その一方で、騒ぎの中心から少し離れた所で身を隠していた青年がいた。


「くそ……っ。どうにかして助けないと」

 その青年はその身を隠しながらも騒ぎの中心を見据えて歯噛ゆむ。


 青年の名前は『青山 蒼太朗(そうたろう)』。戦隊ヒーローの『ブルー』を務めていた(・)。

 だが、とある戦闘で敵の謎の攻撃を喰らい、琢磨同様ここに転移してきたのだが、蒼太朗の場合、自分は死んだと勘違いをしている。


 というのも蒼太朗がそう勘違いをしたのには理由があり、蒼太朗が昨日天界(ここ)へやって来た時、一人の少女が声を掛けてきたのだが、その少女にこの場所の説明を受けたが為に蒼太朗はそう勘違いをしてしまったのだ(上記の※印参照)。

 転移してきた時は夜だった為、仕方なく少女の家に案内され、説明を受け、更には夕飯と寝床まで貸してくれたのだが蒼太朗はこれからどうすればいいのか分からず眠れない夜を過ごした。


 だが翌日、蒼太朗にとって事件が起きる。

 少女の家に天騎士部隊がやって来たからだ。

 それもただ事じゃない雰囲気を出している。 


 蒼太朗は一瞬、少女が通報したと思ったが、事はそうじゃなかった。


「ラキエルよ。今日12時を持って処刑されるが、準備はよいか?」

「……はい」

「っ!?」

 この天騎士達は蒼太朗ではなくこの少女『ラキエル』を処刑(・・)する為に連行しに来たのだ。


「ちょ、ちょっと待ってくれ! 何で処刑!? 一体その子が何をしたというんだ!?」

「……? 君は?」

「え……あ、俺は蒼太朗と言います。それより何でこの子が処刑されるんですか!?」

 大人しく連行されようとするラキエルを引き留めようと蒼太朗が天騎士の偉そうな人に問いかける。


「それはこの少女が『堕天使』。魔族とのハーフだからだ」

「は? それだけ?」

「そうだ。最近ここの天界の長が変わって法も変更されたのだ。『魔族、及び魔族の血が混じった者は速やかに処刑に処し、以後、魔族の侵入を阻止する』とな」

「な、何だよ……それじゃあこの子自体は何も悪くないって事じゃないか!?」

「ああ、しかし法は法だ。決まりは守られればならない。ラキエル、それはお前も分かっているな」

「……はい」

「そんな……っ」

 何も罪を犯してもいないのに処刑される事になるとは思わなかった蒼太朗は壁にもたれて項垂れる。

 ※:ちなみに一般的な天使と悪魔(魔族)のハーフが『堕天使』ではなく、あくまでここの天界でのみの設定です。


「蒼太朗さん。住むところが無いのならこの家をあげます」

「え?」

「だってこの家にはもう住む人がいないのですから。だから貴方にあげます。……このくらいの我が儘はいいですよね?」

「……いいだろう。遺産の譲渡に関しては何も言われていないからな」

「ありがとうございます」

 そういってラキエルは天騎士長に頭を下げ、連行されようとする。


「ちょっと待てよラキエル、君はそれでいいのか!? 何でそんな簡単に死を受け入れるんだ。生きたくはないのか!?」

 だが納得のいかない蒼太朗はラキエルに問いかける。


「私は……私はもう生きるのに疲れたのです」

「な────」

 しかしラキエルは色々と諦めた表情でそう言い、蒼太朗が驚愕した。


「……魔族とのハーフとして生まれてきた私達は先代の王のお陰で今まで生きてこれはしましたが、今の王に代わり処刑命令が出てからは迫害や今まで懇意にしてくれていた人達からも疎遠され、最早私達に居場所なんてどこにもないんです」

「そん……な………」

「ですが処刑前日に貴方の様な優しい人に会えた事だけはとても喜ばしい事でした。ですのでせめて優しい貴方にこの家をお譲りします。……では行きましょう」

「………ああ」

 ラキエルの今まで生きてきた経緯を知らされ言葉を失った蒼太朗は無言になり、ラキエルは天騎士長を声を掛け家を後にした。



「………っ。やっぱり納得いかねぇよ!」

 そしてその十分後、蒼太朗はようやく復帰し、ラキエルを連れ戻す為に家を飛び出して、処刑場となっている王城・商店街前広場に向かった。


 しかし、

「くっ、人が多すぎる。これじゃあ安易に助けに行けない!」

 そこには天界の王や幹部、騎士や一般天使(&死人)の野次馬達がいっぱいいて迂闊に近付く事すらできない。


「何かこう、きっかけがあればその隙に行けそうだけど。どうしたもんかな……」


 蒼太朗はすぐにでも飛び出していけるような場所に身を顰めた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ん~~~~~~~~」

 更に別の場所では一人の女子高生が首を傾げながら天界の街中を練り歩いていた。


「……はぁ、どう見てもここ、私の住んでいた世界でもミック達の世界でも無いわね。看板の文字が全然読めないし」

 噴水前のベンチに腰掛けながら溜息を付いた女子高生。


 このJK(女子高生)の名前は『光野(ひかりの) 詩紗(ししゃ)』。どこかの魔法少女漫画に出てきそうな名前なのだが驚くことなかれ、本当に魔法少女なのだ。

 いや、実際には魔法少女は高校生に上がる時に引退し、今は普通の女子高生を満喫しているのだが。

 ※:ちなみに『ミック』とは例の小動物です(提供者(エンターテイナー)は無関係バージョン)。

 そして何故詩紗がこんな所に居るのかというと詩紗自信も良く分かっていないのだ。最後の記憶では確か文化祭の準備中に居眠りをしていたと思うのだが……。


 おおおおおおおおおお────────

 いやあああああああああ──────


「ん? 何事!?」

 ベンチで少し休んでいると城の所から何か罵声やら悲鳴やらの騒めきが聞こえ、詩紗はその声に只事ではないと思い、急いで現場へ向かった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「これより新・天界王の命により、魔族及びハーフ達の処刑を行う!」

 宰相(さいしょう)が大声で広場に集まった人達に向かって言う。


「やめろー!」

「そうだ殺す必要は無い筈だー!」

「やれー!」

「いやぁ! ミミルゥ!」

「殺せー!」

「何だとお前!?」

「お前こそなんだ!?」

「こらそこ。騒ぎを起こすな!」

 その民衆の中には処刑反対派と賛成派が言い争い、天騎士達がその騒動を止めていたが宰相はその騒動にちょっと動揺している。本当に罪の無い魔族や堕天使達を殺してしまってよいのかと。


「宰相、民の声に耳を傾けている時間は無い。さっさと処刑しろ」

「………っ。分かりました」

 大臣の声にちょっと苦虫を噛んだ宰相は左手を上げ、その手を振り下ろせば首出し板の上にあるギロチンが落とされ魔族関係者は処刑される。


「待ちなさいっ!!」

「「っ!? 誰だ!?」」

 しかしそこに騒ぐ民の声よりも大きな声が聞こえ大臣と宰相は声のする方に目を向ける。そこには一人の小娘が仁王立ちしていた。


「話はそこらにいる人達から聞いたわ。何の罪も無い人達を理不尽に処刑するなんて……そんな事はさせないわ!」

 勿論そこに立っていたのは詩紗で、仁王立ちの状態から前に変身アイテムを突き出し両手で掴む。


「聖なる光に属する星達(みんな)、再び私に力を貸して───聖変身(ホーリィトランス)!」


 パァァァァァァァァ─────


 そして魔法少女(プリ〇ュア)的なお馴染みのセリフを言いながら詩紗はフリフリのカッコ可愛い衣装に変身する。


「……何者なのか知らないが処刑の邪魔はさせない。やれ!」

 固まっている宰相を放置し、大臣が代わりに左手を下げ、ギロチンを持っている者が手を放し、ギロチンが落下する。


「しまっ───」

 詩紗が呑気に変身している間に処刑される人達の首が飛ぶ───


 その時、

「────ィダー……キーック!!」


 ────ッガァァァァァァァァァンッ!!!


 ─────直前に何者かがギロチンごと装置を吹き飛ばす。


「ふぅ。何がどうなっているのかサッパリ分かんないけど……こんなたくさんの人混みの中での処刑なんて非常識すぎるでしょ」

 装置をふっ飛ばした者が処刑される人達の首に挟まっている板を外しながら言う。そりゃあ、こんな処刑される所を目(ま)の当りにしたら普通発狂するって。

 そう、この謎のライダーは『西塔(さいとう) 琢磨(たくま)』。先ほど天騎士達を撒いた後、騒ぎを聞きつけて来たのだ。といっても詩紗と違い、事情をよく知らずに来たらしいが。


「おーい。そこの魔法少女(プリ〇ュア)っぽい子! 共闘しないかー!?」

「え? えっと、貴方はもしかしてあの仮面ヒーローですかー?」

「そうだー! この場はとりあえずこの人達を逃がさないとー!」

「あ、うん。分かったー!」

 南側の詩紗と北側(処刑台側)の琢磨との距離が離れている為、大声で話す2人。


「くそっ、処刑を邪魔する者も処刑の対象だ! 天騎士達よ、この者達を堕天使共と一緒に排除せよ!」

「「「「「「は……はっ!」」」」」」

 するとすぐさま正気に戻った大臣が天騎士達に堕天使達とそれを邪魔した2人を殺す様にいい、騎士達も少し戸惑いながらもすぐさま剣を構える。


「ちょーっと待ったー!」

 すると今度は東の方の物陰から蒼太朗が出てくる。


「え?」

「今度は何?」

 戦いの前にいきなりストップがかかった為、詩紗と琢磨が蒼太朗を見る。


「この戦い、俺も参戦させてもらう。変身!」

 カッコいいポーズを取って持ってきていたスマホを天に掲げて蒼太朗は戦隊ブルーに変身した。

「あれは戦隊の」

「ブルー!?」

 「何でレッドとかじゃなくてブルーなんだ?」と2人は呟いた。


「ラキエル! 無事か!?」

「けほっ、けほ……っ。そ、その声は蒼太朗さん?」

 変身したブルーこと蒼太朗はひとっ飛びで琢磨のいる処刑台へ行き、ラキエルを起こす。


「ああ、助け出せる状況を探っていたんだけど、まさか俺と同じヒーロー達もここに来ていたなんてな……。君、名前は?」

「え、あ、僕? 僕は琢磨っていうんだ。アンタは?」

「俺は蒼太朗。こっちは昨日俺が世話になったラキエルだ。とりあえず話は後、一先ず向こうにいる魔法少女(プリ〇ュア)っぽい子と合流するぞ!」

「分かった。おいアンタらもこんな所で死にたくなかったら着いて来るんだ!」

「「あ、ああ……」」

「分かったわ」

「せっかく助かったのにこんな所で死にたくないからね!」

「「「「………(コクコク)」」」」

 ラキエルと魔族1人、そして他の堕天使7人を連れて蒼太朗と琢磨は詩紗のいる場所まで移動を始める。


 しかし、

「お前は先ほどの魔族!? まさかこの騒動は魔界からの妨害か!?」

「だから僕は魔族じゃないって! むしろ正義の味方だ!」

「「「「「「(その見た目的に)どこがだよ!?」」」」」」

「は、ははは……」

 天騎士長の勘違いに反論した琢磨だったが、変身した仮面ヒーローは初見で見た時、どう見ても悪役にしか見えないだろう。対して同じ変身ヒーローのブルーの場合は(初見で見た時)ただ全身にタイツみたいな物を着ている様にしか見えないだろう。それなら唯の人間だ。普段時に比べ性能は格段に上がってはいるけども。

 天騎士達のツッコミに戦隊ブルーの蒼太朗は苦笑いしか出ない。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「しかしこれ……突破できるか?」

「ぐはっ!?」

「出来る出来ないじゃない。やるんだ、よ!」

「うぬぶっ!?」

「まぁ、そうだけど、よ!」

「ごはっ!?」 

 9人を保護しながら前進するが、天騎士達の予想外の多さ(戦闘開始後に急に増えた)に少し琢磨の気力が少し減った。勿論反対側の詩紗も天騎士達をいなしてはいるがそちらは1人で戦っている為、全然合流出来ない。


 しかもおまけに、

「ふんっ!」

「きゃっ!?」

 天騎士達の集団連撃に対・化け物戦でしか戦った事が無く、対人間で、かつ現役の時からも半年以上経っているので戦闘の感も戻っていなく、どちらかといえば琢磨&蒼太朗の2人より詩紗の方が追い込まれてきている。


「お、おい。あの子ヤバくないか?」

「ああ……だけどこっちもすぐに援護に行ける余裕は無い。ここは堪えてもらうしか───」

 追い込まれてきている詩紗の様子を戦いながら進んでいる2人もすぐに助けに行けずに歯噛みながら耐える。が、


 ドッ──────


「かはっ!?」

「っ!?」

「拙い!」

 天騎士達の剣を弾いた瞬間を狙われ、詩紗の腹に鋭い蹴りが入り詩紗の軽い身体が浮き、その両脇から別の天騎士が詩紗の頭に剣を振り下ろす。


「……どうやらここまでの様やな」


 ドカン、ドカンッ!!


「「だはぁっ!?」」

「っ!?」 

 剣が詩紗の頭に届く寸前で何者かが乱入し、詩紗の両脇から攻めてきた天騎士2人を吹き飛ばす。


「かはっ。……はぁ、はぁ………誰?」

「大丈夫かいな嬢ちゃん? 立てる?」

「な、何とか……」

 天騎士をふっ飛ばした奴が現れ詩紗に手を借りて詩紗を起こし、そこでようやく琢磨達にもその乱入者の姿が見えた。


 そいつは白色がメインの天騎士と違い、真逆の漆黒の騎士っぽい恰好をした痩せ型の少年でどう見ても日本人じゃないのに変な関西弁を喋る奴だ。


「……また邪魔者が増えたか。だが、たかだか一人増えた所で────」


「冥王滅覇斬(めいおうめっはざん)(弱)!!」


 ズオオオオォォォォォ──────ドカーンッ!!


「「「「「「うわあああああああっ!?」」」」」」

「ぬおっ!?」

「吹っ飛んだ……だと?」

 大臣がまた増えた乱入者を殺害命令を出す前にその乱入者は詩紗と琢磨達を結んだライン上にいた天騎士達を琢磨達目掛けて放ち、琢磨達の進行の邪魔をしていた天騎士達を琢磨達の背後にふっ飛ばした。


「おい、兄ちゃん達、何ボサッとしとんのや! 今の内に早くこっち来んかい!」

「あ、ああ分かった」

「よし、今の内に行くぞ!」

 あれだけ手強かった天騎士達があっさりと吹き飛んだためポカンとしていたがふっ飛ばした本人の声によって我に返り、琢磨と蒼太朗は列の最後尾、殿(しんがり)を走りながら追手の追撃をいなしながら詩紗と謎の騎士との合流を果たし、一同はそのまま天界の端と言われる所まで走って行った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 そして天騎士達の追手を振り切り、13人は天界の端までやってきた。


「ふー。ここまでこればすぐには追って来れないだろ?」

「でもこれからどうする? このままだと僕達だって危ないんだよ?」

「そうね。何かこう……せめて別の世界に行ける方法があればいいんだけど」

 全力疾走で逃げて来たので3人と保護した9人は肩で息をしている程疲れていた。それでもこれからどうするべきなのかを話し合うと、


「有(あ)るで?」

 先ほど詩紗と琢磨達を纏めて助けてくれた謎の騎士があっけらかんと言った。


「え、本当に?」

「え、それってどうやって行くんですか?」

「近い、近いってアンタ等!?」

 こうもあっさり脱出手段が見つかった事で興奮気味の琢磨と詩紗が謎の騎士に詰め寄る。顔と顔の距離が5cmも無いくらい近い。


 その後、互いに自己紹介を済ませ、蒼太朗の「自分達、死んでるんじゃね?」的な発言をした事で少し琢磨と詩紗が混乱するがそこは謎の騎士によって疑問が解消される。

 あ、ちなみに謎の騎士の名前は『イオン・クルーバー』。闇属性で協会の【ハンター】にあたる。変な関西弁(他にも色々な方言が混じっている)で話しているのは単純に日本語の習得に失敗したから。

 言うならばたまにいる変な関西弁で話す外国人みたいな者。


「それにしてもアンタ等、よく後先考えずに戦闘を始めおったな……」

「いやー、褒めないでよ」

「褒めとらんわ! 後ちょっとワイが駆け付けるのが遅かったらそこの嬢ちゃん完全にド頭(たま)かち割られて死んどったろ!」

「「「う……っ」」」

 そう怒られてヒーローである3人はパパパンッとハリセンで頭を叩(はた)かれて反省する。あの時はヒーローとして『何の罪も謂(いわ)れも無い人達を死刑から助けようと』した3人だったが、改めて考えれば確かに3人だけで騎士を200人以上相手をするのは少々無謀な事だったと今更思った。


「……まぁ、ワイが駆け付けて来る前に兄ちゃん達がこの天魔ハーフ達を助けなかったら今頃コレ(首チョン)だったから結果オーライやったけどな(笑)」

 自分の首をトントンとするイオンに3人の頬が引き攣る。


 ちなみにどうしてここに協会の者がいるのかというと、偶々(ぐうぜん)この世界の横を通り過ぎる直前に天界から不自然な魔力を感知した艦内で「イオン、お前行ってこい」といきなりゼクターに命令されて渋々やって来たのだ。おそらく不自然な魔力というのは詩紗が変身した時に起きた魔力変異だろう。多分ゼクターはそれを一瞬で理解しイオンに行かせたのだと推測する。わざわざ巨大な力を持つゼクターが天界へ降りればそれこそ一大事だからだ。


「さてそろそろ帰りましょか。本来なら兄ちゃん達3人だけ艦に乗せるんやけど、この天魔ハーフをここに置いて行ったら確実に殺されるのは目に見えとるからな。特別に全員乗せて、自立できそうな世界を見つけたらそこに降ろすわ。兄ちゃん達もそれでええな?」

「「ああ」」「ええ」

 イオンの計らいで逃走者全員が艦に乗せてもらえる事になり、一同は無事天界から脱出した。


 その後、この天界がどうなったかは誰も知らない(未調査の為)。


 ちなみに琢磨、蒼太朗は同じ世界出身だという事は生体情報から分かったが、どこの世界までは分からなかった。詩紗の場合、世界座標はすぐに発見できたが、その世界は既に破壊されていて真っ二つになっていた。

 ※:実は詩紗と幕章-1に出て来たいずみと同じ世界出身なんだけど、それが分かるのは次章。


「お? どうやらヴァン達も無事任務を終えたようやな」

「ああ、それに合わせて俺達もイニシエに帰還する。忘れ物は無いな」

「無いでー」

 ブリッジに戻ったイオンがモニターーに映っているメールを見てゼクターと言葉を交わし、『蒼天楼』はイニシエに向かって帰還する。



次回は早めの8月20日になります。

ネタはあるので後は編集のみですね。

では。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。