幕話ー2 ~凍る世界~
幕章第二弾は異邦世界。融合した世界とは違って横並びで繋がった世界になっております。
ここは異邦の世界。名前は【アフリエイト(affiliate)】。
元々は幻想界という剣と魔法が主流の世界で、街の外には魔物は勿論、テンプレ的な悪の組織なんかも複数存在する(大概どこの世界にもあるが)。
だがここは異邦の世界。affiliateとは【合併】という意味で、元々小さな世界同士がその存在を長期的に維持出来るように他の小さな世界同士を繋げて一つの世界にしたのだ。ある種『融合世界』と似ている。
しかしそれが仇となり、今では色んな文化や種族、そして魔物も含めて混沌とした世界になっている。
南に行けば砂漠にピラミッド。
中央では車が多く走るコンクリートや高層ビルなどが多く立ち並ぶ科学的な街。
西の方にあるのは今でもファンタジックな魔法が主流の都市。
東では京都の街並みを感じる様な和式の国があり、
北は年中雪が降っている(勿論街はある)。
その北の一部の方には過去、次元転移などで迷い込んだとされている謎のブラックボックスが多数あるそうで、トレジャーハンターなどの有望な冒険者達がこぞって北の方に探索に出る事は珍しくはない。
まぁ、その北の方は一旦横に置いておいて( ̄д ̄)//。
今回の物語はそんな色々な文化が混じった世界で起きた事件───
の、終盤辺りからのお話。
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「さぁ2人共、ここがラストバトルだ」
「ええ、皆さんの頑張りを無駄には出来ないデス!」
「テンションたけぇな。相変わらず」
ラスボスがいると思われる扉の前でカウボーイの少年がそう言うと白髪ハーフエルフの少女が少々片言気味に同意し、そんなテンションの高い2人をかなり着崩した空手の道着を着た日本人の少年が呆れながら言った。
ちなみに3人の名前はというと、
ロングコートにカウボーイの恰好をした少年の名前は『マック・ヘプカーラ』
やや派手な衣装を身に纏っているハーフエルフの少女は『ロッテ・キシル』
そして道着を着た日本人の少年の名前は『揚鶏 健太』
この時点でもうお気付きな方もいらっしゃるだろうが、この3人の名前がどれも某有名なファストフードの名前と一緒なのだ。残念なのがこの世界にはそのファストフード店は無いって事だ。
ちなみに健太も勿論、自分達の名前の事に関して重々承知している。
「分かっていて仕方ない事でスガ、皆さん大丈夫でしょうか……」
「大丈夫だ。奴等も簡単にやられる程、軟じゃないさ。早めにK.Oしてるなら合流するのも近いだろ」
「だな。俺以外みんな強いもんな……」
「だ、大丈夫ですよケンタさんッ」
「そうだ。ケンタも最初に比べれば大分強くなっているって。ハブ・コンフィデンス」
「強くなってるって言ってもそれは一般人からしたら、だろうが……」
所詮一般家庭で生まれた空手かじりの健太と2人の実力差はかなり大きいのだ。
「それでもケンタは回避能力が凄いじゃないか。そうじゃなかったら既に死んでるか安全な場所で待機してもらってるって」
「そうデス。私達もケンタさんのその能力があったからこそここまで来れたんですカラ」
「そ、そうか。そう言ってもらえると照れるぜ」
そういって後頭部をかく健太。
そう。所詮小学校で少し空手をやっていただけの健太がここまで着いてこられたのは一重に健太が持つ唯一の利点の能力『第三の目』のお陰なのだ。
ここに次元転移して来て最初、ひたすら生き残るために必死に戦っていたらいつの間にか開花していた健太の能力でこの能力は自身の回避能力向上に加え、少し先の未来が一瞬だけ見える『未来予知(不完全版)』によって目に見えない危機を仲間に知らせる事により、破滅的な終わりを悉く回避し、ようやくここまで来たのだ。
とはいっても流石にラストダンジョン。ラスボスを除いた2体の強敵を回避する事は出来ず、仲間達が3人づつそこで戦い、自分達を先に行かせたのだ。要するに「ここは俺達に任せて先に行け!」っというやつだ。
「さ、お喋りはここまでにして行こうか。ルシファーが待っている」
「ハイ」
「ああ、回避は任せろ」
そして3人はラスボス『ルシファー』が待つ空間へと入って行った。
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この色んな文化の世界が入り混じった異邦世界を元ある世界、つまり繋がった世界の鎖を解き放ち、分離させようとするラスボス『ルシファー』。
そんな事はさせないとここまでやって来たマック一同。
その両者の最後の戦いが始まった。
レーザー&実弾を備えた大きな銃と大剣が合体したかの様な異様な武器を自由自在に操りながら曲撃ちするマックと、
不器用ながらも槍の『突き』で一撃必殺する程の実力を持つロッテ(突き以外はそんなに威力は無い)、
半年前まで一般人だった健太はその特異な能力で回避したり、ルシファーの攻撃を事前に先制攻撃にて封じたり、またルシファーが特殊な攻撃の準備をしようものなら事前にそれを察知し、マックとロッテに下がる様指示を出す。
このメンツだと回復師がいないので、常に立ち回っている健太がルシファーの隙を見て2人にポーションなどの回復アイテムを使用して2人がやられない様に慎重に動き回る。
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・・・
────そして2時間にも及ぶ激闘の末、
「く……っ。何たる事だ。この私がたった3人相手にここまで追い詰められるなんて……っ」
「ああ、それは俺も同意してるさ。が、悠長に話している時間は無いんでな。ロッテ!」
「ハイ!」
謎の大きな機械までふっ飛ばされたルシファーに止めを刺さんとマックがロッテに指示を出し、ロッテが槍を構えて得意の一撃必殺の突き技『トルシューラ』が100M先にいるルシファーに迫る。
が、
「神を……舐めるな! 世界を分かつ綻びの光『ライファラン』!」
「っ!?」
そこは流石のラスボス。すぐさま体制を立て直し、相手を消滅させる必殺技の光線(光の羽根付き)を放ってきて、ロッテが驚愕するがこちらも技を発動している最中で自力ではキャンセル出来ないし、軌道修正してレーザーも避けられない。
なので、
「その攻撃も読んでいたぜ!」
ガシッ────
「キャッ!?」
あらかじめこうなる事を読み切っていた健太が真横から突進してきて、光線が直撃する寸前でロッテにタックルをかまして、そのままロッテごと光線の射線から外す。
「何っ!?」
そして当然ルシファーも突然の割り込みでの回避に驚愕する。そしてその術を放っている最中の硬直を狙ってマックが大銃を構える。
そう、追い詰めた後、下手に止めを刺そうものならこんな感じで返り討ちに逢う事も視野に入れていたマックは全員ではなくロッテに仕掛けさせ、相手の『技(術)後の硬直』を待っていたのだ。勿論それは健太の『第三の目』を信頼していなければ出来ない事でもある。
「ナイスだケンタ。ってな訳でアンタの負けだ。『ラグナ』!!」
ドシュゥ────────────
ロッテが仕掛け、健太が庇っている隙に大銃のバッテリーを交換し終え、大銃が持つこちらの最大の技の光線『ラグナ』のリミットを解除し、最大出力で光線を放った。
「こ……こんなバカな事……が───っ!?」
術後の硬直の隙を狙われたルシファーがまともに『ラグナ』を喰らう。
「アンタの敗因は俺達を───特にケンタを舐め過ぎたからだ!」
リミットを解除して何時銃が暴発するか分からないが、それでも銃をしっかりと握りしめつつマックはそう言い放った。
というのもこのラストバトルの大分前にこのルシファーとは一度戦っていて、その時健太がこのルシファーに「ゴミ」だの「殺す価値もない」だの散々ザコ扱いされ、このラストバトルの時にもルシファーは健太の事をかなり侮っていた結果、ここまで追い詰められていたのだ。そして最後も返り討ちにしようとしたロッテすらも健太の機転によって回避され、更に今、致命的なカウンターを喰らってしまったのだ。
「ぐうぅぅ────っ」
リミットを解除した『ラグナ』の光線に耐えているルシファー。だがこれまでのダメージを加え、そろそろ体力が尽きようとしていた。
がしっ。
「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ───────」
体力が尽きる前に後ろの機械に設置されていたとある物を回収の為、掴んだ瞬間、遂に身体が持たず、『ラグナ』の餌食になって光線を受け、そのままルシファーは遠くの奈落へと消えていった。
「ふぅ……何とか暴発しなずに済んだな」
あちこちパーツが破損やら焼け溶けていたりしていたが何とか大銃は暴発せずにすんでマックは銃を振り回して少しでも銃に溜まった熱を冷ます。
「終わったのデスか?」
「ああ、終わった。これでとりあえず今の所この世界は大丈夫だろう」
「……そうですか。良かったデス」
健太に庇われたロッテもマックに話しかけ、これで全てが終わったのだと2人は思った。
しかし、
「っ!?」
何かに気付いた健太がこめかみに人差し指を当て、何かを感じ取っていた。
「? どうしたケンタ、まさかルシファーがまだ生きt───」
「違うそうじゃない。そうじゃないけど今すぐここから離れるぞ!」
「え? え?」
「おいおい、ルシファーがいないのならそんなに急がなくても───」
「いいから! 早くしないと俺達は疎か、みんな全滅するぞ!」
「何!?」
「ええ!?」
何が起きているのかは分からない2人だが、健太がそこまで焦るという事は何か途轍もなくヤバい事が起きている、という事だけは理解して、3人はこの場所に入って来た扉を何とか捜し出して来た道を戻る。
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「……おい、何だアレは!?」
来た道を戻ってラストダンジョンの塔に戻ってきた3人が窓から外を見れば、外は一面氷───というよりは全てがクリスタル化していっている。その光景は見渡す限り繋がっている世界中がこの光景になっている。しかも現在進行形でこの塔の下部分からドンドンクリスタル化が進んでいる。
「早く屋上に上がるぞ!」
「今更屋上に上がってどうするデスか。もう逃げ道は無いっていうのに!」
「待て、ケンタがこう言っているんだ。何か策があるんだろ?」
「ああ、そこに行けば助かる」
全てがクリスタルと化した世界のどこに逃げ場があると言うのか。通常ならそう言わざるを得ないが、一瞬だけど未来が見える健太が『助かる』というのだから間違いないと2人は健太を信じて屋上へ上がる。
「あ、3人共来た!」
「って事は無事ルシファーを倒しのだな」
「つか呑気に話している場合じゃないでしょうが!」
「お~い! 早く乗れー!」
屋上に上がるとそこには見覚えのある乗り物とその中に下階で別れた仲間達が乗っていた。
「何でこんな所に『ノルノア』が!?」
「そうデス。あの乗り物はエンジンが壊れて動かないってドナルのオジサマが……」
「2人共御託はいいから早く乗るぞ!」
「あ、ああ……」
「は、ハイ!」
呆然としている2人の手を引きながら健太達3人は空飛ぶ乗り物『ノルノア』に乗り込み素早くこの場から脱出した。
そして遅れる事1分後、遂に先ほどまで健太達がいた塔の屋上までがクリスタルと化した。
「これは一体何がどうなったんだ?」
「さぁな。恐らくルシファーとやらを倒した事と何か関係があるんじゃないのか?」
「って親父!? 何でここに!?」
マックがノルノアの窓からクリスタルと化した地上を見ていると操縦室からマックの父親『ドナル』が声を掛けて来てマックとロッテがビックリする。
「何でってそりゃあお前、『ラスボスを倒すと何か異変が起こる』っていうのはゲームでは常識だぜ。な、ケンタ」
「え? あ、まぁ、そうっすね」
突然話を振られて健太がキョドる。
「そしてそれに合わせて念の為、お前等が大分前に北国でトレジャーに行って手に入れたガラクタの中にエンジンを修復出来る部品があってお前等が留守にしている間、暇を見つけてはこうして修理して何とか飛べるようにしたわけだ。で、ルシファーとやらを倒す頃合いを見計らって迎えに来た途端、これだ」
と言いながらドナルは地上を指差す。
「それで? 実際ルシファーと戦った後、何があったんだ?」
「それが────」
仲間の一人がラスボス戦での最後を聞いてきた為、マックはそのままの状況を説明するが特に異変は無い。しかし相手をじっくり観察して回避するタイプの健太はルシファーの最後をハッキリ覚えていた。
それはルシファーがマックの『ラグナ』を受け、吹き飛ばされる寸前、背後にあった謎の機械から何かを取り出していた事を思い出し、それを伝えた。
「……それは多分ルシファーとやらが取り出したのは、この世界を維持する為の『機能・構成コア』だろう」
「その『機能・構成コア』というやつが無くなるとどうなるんだ?」
「どうなるも何も現状こうなっているじゃねぇか。世界を維持するコアの内『エネルギーコア』『機能・構成コア』『メモリーコア』この3つのどれかが欠けたり異常が出るとと世界に異変が起きる」
そしてドナルはマック達が知らない世界の秘密を話す。
「というか親父。アンタ一体何者なんだ?」
「俺か? 俺は元々色々と繋がったこの世界にいた住人じゃないのさ。言うならばケンタと同じ外の世界の者だ」
「マジか!?」
「マジで!?」
「ああ、大マジだ」
今更明らかになる事実にマックと健太が超ビックリ。一応他の者も驚いてはいるが。
「ま、まぁ、親父が外の世界の者というのはこの際置いといてだ。それで親父、どうすればこのクリスタル化を止められるんだ?」
「こうなってしまってはもう俺達だけでは無理だ。外の世界の者の力が必要になる」
「……つまり一時的にこの世界を出るって事か?」
「そうだ。一先ず亜空間へ出て、それから世界管理協会という組織に連絡を入れてからそこに向かう事にしよう。健太の元いた世界ももしかしたらそこで簡単に見つかるやもしれん」
「マジか!?」
これまで散々世界座標を調べて見つける事が出来なかったのにもしかするとすぐにでも元の世界に帰れそうだ。
「大マジだ。それにそこはかつて俺がお世話になった場所でもあるからな。ってな訳でこれからすぐに向かうが異論はあるか?」
「俺は無い。みんなは?」
ドナルの言葉にマックが代表して答え、みんなも首を縦にして同意した。
「じゃあ、行くぞ。久しぶりの我が学び舎へ!」
そう言ってルシファーを撃退した一同はこの世界から飛び出し、亜空間へと出て行った。
補足(あまり意味はない)↓
※:ちなみに『ノルノア』とは壊れていた飛行船で元々はドナルがこの世界に来た時に乗ってきた奴である。現在はそこを改良し、マックの秘密基地と化していた。
※:マックの父親ドナルは中央のビルが並ぶ都市の一角を任せられている市長。
次回は天界に迷い込んだ少年ヒーロー達のお話です。
ではまた。
本編開始まで後2話。




