↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/241

第23話 ~おかえりなさい~

今回で第4章は終わりです。しかも今回は少し短め。

「じゃあ、行ってらっしゃい佐夜。……寂しくなったら何時でも会いに来ていいからね」

「うん……。行ってくるね、お母さん……」

 美里家の玄関先で美里親子が熱い抱擁を交わし、それを横で見ていたヴァンが頬を引き攣らせる。何故なら子供の方は男の子なのだがこの親子のやり取りはどう見ても母と娘にしか見えないからだ。


「ヴァンさん」

「……何すか?」

「不束(ふつつか)な娘(こ)をどうか末永く宜しくお願いします(_ _)」

「それは一体どういう意味だ……(- -;)」

 気の所為だろうか、『子(こ)』ではなく『娘(こ)』って言わなかったか?

 そして佐夜、照れるな。モジモジするな。ヴァンをチラチラ見るのは止めろ。


 手を振って2人を見送る佐夜の母親、沙奈を背にヴァンと佐夜は皆が待つ公園に向かって歩き出す。


「そういや佐夜、一つ気になったんだが、何でお前の母親(沙奈さん)はお前の事、『佐夜』だと分かったんだ?」

「あー、それね……」

 公園に着くまでの間、ヴァンが気になっていた事を聞き、佐夜はポリポリと頬をかきながら言う。


「実は僕の代替えの人、記憶喪失みたいなんだ」

「代替えっつうと短髪の方か?」

「うん。何でもお母さんが言うにはあの人、GW(ゴールデンウィーク)中の朝には既に記憶が無くなっていたみたいでさ」

「……それって『無くなった』んじゃなく、『元から無い』って事じゃないのか?」

 佐夜本人がここにいる以上、代替え人の姿形と基本知識は入れられてもエピソード記憶までは流石に無理らしい。


「そうだね僕も同じ考えだよ。その時期は丁度、僕がこの世界から出た時期と被っているからね」

「って事は代替え(すげ替え)人は以前の記憶は持ち合わせていないって事になるな。当然っちゃ当然か」

「それでね、僕が最後だと無理言って実家を見ていたらお母さんが声を掛けて来てね」

「ああ、そこまでは分かる。その後だ」

「で、お母さんを見て思わず感極まって泣きそうになった僕を母さんが見て、「もしかして……佐夜?」ってな感じになってね」

「……あー、そういう事か」

 ここまで聞いてようやく合点が行ったヴァン。


 つまりこの世界において、代替え人(短髪の方)には以前の記憶が無く、それとは別にそっくりな人物(この場合佐夜本人)が家族に会ってしまい、会ってしまった時の本物(佐夜)の反応を見てピンっと来た、という事なのだ。

 もし短髪の人が普通に以前の記憶も持っていたとしたら、例え佐夜本人が家族に会ってしまい不自然さはあっても、その人物がまさか本物だとは思わないだろう。

 だとすると佐夜の場合、勇治郎達とは違う事情が絡んでいる可能性があるが、ここではそれは関係ない。


「そういやゆかりさんに話を聞いてて思ったんだけど、何で会議をするのにわざわざ現地で会議室を『レンタル』したの? そんな事しなくても一旦亜空間の艦に戻る事出来たんじゃない?」

「まぁ、出来ない事は無いが、こういう緊急時でもない時は転移転送の類は極力減らさないといけないんだ。現地の人に見られても面倒だし、転移転送の度(たび)に世界に穴を開ける事になるからな」

「へぇ」

 何よりこの世界はまだ『未調査』世界なのだから簡単にゲートを設置出来ない。 


「……つかよ佐夜、お前会う度にコロコロと性格変わり過ぎだろ!?(ズビシッ)」

「あたっ!?」

 俺って言ったり、僕って言ったりとどっちかにせぇや、と言わんばかりに佐夜の額を人差し指で突く(やや強め)ヴァン。


「痛たた……。そ、そんな事言われても僕にどうしろっていうのさ。自分じゃ意識して戻せないのに」

「それはこれからの課題だな。何、時間はたっぷりあるさ」

「そりゃそうだけど!」

 佐夜が何をいきり立っているのかが分からない。


「そういえばヴァン。ミシバイクロでの事後処理って何をやっていたの?」

「んあ? リオから聞いてないのか?」

「………言ってた気もするけど覚えてない、かな? あの時はちょっとショック受けていたし」

「ちょっとどころじゃない位動揺してた様に見えたが?」

「ちょっとはちょっとだよっ。で、あの後どうなったの?」

「……ま、いっか。どうせこれからお前にもやってもらう訳だしな」

 そう言ってヴァンは小さく溜息をしつつ、ミシバイクロでの事後処理について話す。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 物質界(ミシバイクロ)及び魔界での戦いを終えた一同は、保護対象者達&世界破壊者一同をホテルに待機させ、各自事後処理に当たっていた。


 まず、やすしが世界中の瓦礫やその他散らばっている物を一ヵ所に集め、グラスがそれを一気に錬成術で応急処置で何とか直す(やや歪な形になるが)。この時、手持ちの魔力だけでは当然足りないのでMPポーション的なアイテムを使用している。


 その間に亜空間では機関のトップである笠間文一郎がミシバイクロに半(なか)ばくっ付いた魔界を引っ剥(ぺ)がし、穴が開きまくったミシバイクロの外壁を修復した(魔界は廃虚行き)。


 次にヴァンと義信、そして亜空間で待機しているゼロで情報操作をし、SNSやツイターなどで流れている余計な誤情報や混乱を防ぎ、WEBで投稿されている戦いの映像や、特殊な映像も全て消した。


 勇治郎とゆかり、そしてニケは人命救助だ。しかし真面目にやっている勇治郎とゆかりに対し、ニケは亜人特有の所為か何故か人気が出るらしく、よく食べ物を貰っているらしい。


 リオとルイ、そして楓とその部下達はこの混乱の中、良からぬ事(強盗の類)を行っている、もしくは企んでいる輩を摘発し二次被害を防ぐ。


 最後に結界を張り続けていたユフィと付き添いの陽菜々がその結界を解き、一般人に今日一日起きた出来事を『夢』だと思い込ませた(各国の政治の方々には無効)。これによりWEBに投稿していない画像や映像などは全てCGだと思い込む。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「これがミシバイクロで行っていた事後処理だ」

「長いよ!」

「お前が説明しろって言ったんだろうが!(ズビシッ)」

「痛いっ!?」

 長々と説明したヴァンにツッコむと逆にツッコみ返された(額に人差し指)。


「後、色々気になる事はQ&Aで投稿されるだろ。その時にリオにでも聞け」

「……思ったんだけどヴァンはアレ(Q&A)出ないの?」

「俺にはああいうの向いてないからいい」

「そっか」

 そう言って2人の歩は公園に着き、


「あ、帰って来た!」

「みたいだね」

 割と耳の良い亜人(陽菜々とニケ)が真っ先に2人に気付き、駆け出そうとしたその時、陽菜々とニケの間を誰かが凄い勢いで駆け抜けて行った。


 そいつは勿論、

「おかえり、さやや!」

「……うん、ただいまリオ。そしてごめんね、急にいなくなったりして」 

「ううん、いいの。さややが帰って来てくれただけで……来てくれただけで……うえぇぇぇぇん(泣)」

「よしよし、ごめんね」

 泣きじゃくるリオの頭を優しく撫でるその姿はまるで先ほどの佐夜の母親、沙奈と非常に酷似していて被って見える(byヴァン)。


「全く、一時はどうなるかと思ったけど何とかなったみたいだね」

「ホント良かったです」

 リオに遅れてニケと陽菜々が合流。


「そうね。佐夜に悲しい涙は似合わないわ。さっきのは流石に心にきゅんとしたけど……」

「あー、分かる分かる」

「………(コクコク)」

 次に舞華と正義、やすしがやって来て先ほどの佐夜の表情について語る。


「ここでの調査も先ほどようやく終わった事だし、そろそろ撤退するわよ」

「だな。何時までもこんな所でコスプレ集団がいたら警察に通報されてもおかしくないなっ」

「自分でコスプレって言うかな普通……」

 更に遅れて楓、勇治郎、ゆかりが来た。……何で勇治郎はそんな自虐的なんだろう?


「そうだな。もう日も落ちかけているし、撤退するか」

「……だね」

 そしてヴァンの言う『撤退』という単語に佐夜は少し寂しくなり、自宅を振り向いて言った。

 言わずもがなその佐夜の愁いの表情にやすしといつの間にか佐夜LOVEと化していた舞華の心を打ち抜く。どんだけ人の心を射抜くんだこいつ?


「じゃあ俺達は先に撤退するわ」

「じゃあ、またね」

「困った事があったらいつでも声を掛けてくれ、佐夜!」

「暇になったらいつでも遊びに行くわ、佐夜!」

「にゃー」

 勇治郎とゆかりはともかく、やすしと舞華は名指しかよ。つかニケはちゃんと話せ。「にゃー」じゃ分からん。


 何だかんだ色々あったが今度こそ機関の人達は完全に撤退した。


「……俺達もそろそろ行くか」

「帰りましょう!」

「ああ」

「にゅーん」

「リオはそろそろ佐夜から離れなさい」

「やー」

 機関の人達を見送り、ヴァンが言葉を発して行動を促す。陽菜々と正義はともかくリオは佐夜にベタベタし過ぎて楓に怒られて引き剥がされた。


「佐夜」

「うん」


 そして皆は佐夜から少し距離を置き、佐夜と向かい合って、





「ようこそ我が世界管理協会、通称『ヴァルハーレ』へ」

 ヴァンが佐夜に手を差し伸べてそう言った。




「うん……。みんな、これからよろしくねっ!」

 そう言い返す佐夜の表情はとても晴れやかで素敵な笑顔だった。



ちょっとした謎の説明も終わり、次回は第4章のQ&Aです。

が、今回で一つの区切りなので次回のQ&Aは1~3との関連も含んだ内容になります。

では。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。