第20話 ~帰属できない理由とその後の処遇~
一日遅れました。何でもPCの自動アップデートが作動し、良く分からない更新に丸1日掛かってしまったのが原因ですね。まぁ、それまでアップデートをしてこなかったていうのもありますが。
今回はタイトル通りになります。笑いは少なめと表現が複重しているかもしれません。
「もう、遅刻したらお兄ちゃんの所為だからね!」
「ああ、分かってるって。今度スウィーツ奢るから許せよ凪咲」
「そ、そんなので許されるとは思わないでよね(甘顔)」
美里家の玄関先で2人の兄妹がワイワイ騒いでいる。
普通に他人がこの光景を見たのなら、普通に仲の良い兄妹に見えるだろう。
しかし美里家、特に佐夜を知る者達から見れば驚愕の光景だ。
何故ならば、今この場に『美里佐夜』が2人もいるからだ。
「……。……………」
目の前で仲の良い兄妹愛を見せつけられたもう一人の亜麻色ポニテ美少女、佐夜が口をパクパクと金魚になっている。
「ん?」
「っ!?」
すると口をパクパクとする不審者に気付いた短髪の方の佐夜が正面を向き、もう一人の自分に気付かれた佐夜はヤバいと思い、すぐ横にあった工事中の看板に身を隠す。
「お兄ちゃんどうしたの?」
「いや、あそこ。誰かが隠れている」
咄嗟に看板に身を隠した佐夜だったが、ポニテの長い髪を短髪の方に見られてその短髪佐夜が恐る恐る近付いてくる。
「おいおいマズい、バレるぞ」
「楓、佐夜の回収を頼む」
「分かった」
下手に身を隠してしまったので逃げられなくなった佐夜の身を案じた正義とヴァンが楓に指示を出し、楓が忍びらしくシュッと消える。
「そ、そこに居るのは誰だ!?」
「~~っ」
段々近付いてくるそっくりさんに佐夜は口を押えたまま動けない。
「……佐夜、ちょっと失礼するよ(小声)」
「……ぇ?」
段々近付いてくるそっくりさんにやや恐怖で震えていた佐夜だったが、そこに楓が突然現れ、そのまま楓は佐夜をお姫様抱っこをし、再びシュッと消える。ちなみに瞬間移動などではなく、忍び特有の高速移動だ。
「……あれ? 誰もいない?」
すんでの所に楓が佐夜を攫ったので短髪佐夜が覗き込むが、当然そこには誰もいない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
佐夜を回収し、一同は短髪の方に見つからない様、隣町の大型ショッピングモールの空いている駐車場に移動した。
「で、これは一体、どういう事なんだい!?」
地面にへたり込んで(何故か女の子座り)呆けている佐夜を心配しニケが憤る。ちなみにショックを受けた佐夜の背中をリオと陽菜々が擦っている。
「嫌な予感が的中したか……。最悪な状況だな……」
「勇君……」
佐夜が帰属するにあたって、佐夜が抱えていた状況に嫌な予感を感じていた勇治郎の予感が当たってしまい、勇治郎も苦痛の表情を浮かべ、その勇治郎の背中をゆかりが擦る。
「ヴァン、この場合、佐夜はどうなるんだ?」
「どうって……とりあえず何故佐夜本人がここにいるっているのに、もう一人同じ人間がいる状況をちゃんと把握しないとどうにもな……」
佐夜の危うい状況に正義がどうすればいいのかをヴァンに問い、ヴァンもこんな状況になったのは初めての事なので、とりあえず神がいる世界の管理室に向かおうとしたが、
「いや、何で佐夜がこうなったのかは分かってるから調べる必要は無いぞ」
「って事はお前、知ってたのか!?」
「ああ、こうならなければいいと思ってたんだけどな……」
この原因を知っていた勇治郎がヴァンを止め、佐夜LOVEなやすしが血相を変えて勇治郎の胸を掴んで喰いかかり、勇治郎が額を押さえて大きく息を吐いた。
その後、駐車場で色々騒いだため、再び場所を変えて今度はレンタル会議室を借りてそこで勇治郎から話を聞く事にした。ちなみに佐夜は精神的に色々危ういのでリオを付き添いに近くのホテルに休ませる事にした。
「さて。何から話したらいいかな?」
「勇君、それにはまず私達2人の事を話すべきじゃないかしら」
「そう…だな」
皆に見つめられながら何から話そうか躊躇する勇治郎にゆかりが提言する。
【界勇治郎】と【平泉ゆかり】。実はこの2人のこの名前、本名ではない。
2人は元々次元迷子で、なんと佐夜と同じ終末現象(災害レベルは4)を経て亜空間を通り、別の世界に次元転移する。
そしてそこで別の世界の管理人である神に拾われ、勇治郎は炎の能力を、ゆかりは陰陽師の能力を開花し、機関の人が迎えに来るまでその世界を旅しながら修行を続けていた。
そしてここからが重要。
機関に拾われた勇治郎とゆかり、この2人の生体情報から2人の元いた世界を割り出し、その世界が意外と近場だったこともあり、当時の機関の人達により元の世界まで送ってもらった。
すると、2人がこの世界からいなくなってる間にいつの間にか世界は終末現象から回復し、勇治郎(仮)とゆかりはそれぞれ自宅に戻ろうとした。
しかし自宅に戻った勇治郎が見たのは自分と同じ姿(次元転移する前の姿)の少年だった。その事でショックを受けた勇治郎だったがその後ゆかりから連絡があり、ゆかりから聞いた話がこれまた衝撃的だった。
どうやらゆかりの方も勇治郎と同じ別の人間がすげ替わっていたらしいが、勇治郎とは違い、すげ替わっていた少女は次元転移する前のゆかりの姿とは似ても似つかない所謂ロリだった。勿論顔も違うし性格も全然ゆかりとは違う。
そして極め付けがコレ。
いつの間にかごく普通だった筈の自分達の世界で異能者バトルが繰り広げられていた事だ。
自分達と存在がすげ替わったこの世界の勇治郎(仮)とゆかりの2人は仲間達と共に異世界から侵略してきたと思われる敵に対して様々な攻防をしながら日常と非日常での青春を送っていた。
ちなみにその敵と戦っている光景を見た勇治郎は思わずこう叫んだ「超展開キタコレ!?」と。
その後、その世界での勇治郎と存在がすげ替わった少年は何故か敵側に回り、これまた存在がすげ替わったゆかり(ゆかりに似てないロリ)と敵対していたのを見てゆかり本人はこう叫んだ「ナニコレ!?」と。
結局最終的に良く分からなくなって収拾が付かなくなってきた元の世界での状況に、すげ替わった2人がその後どうなったのかを見届ける事を勇治郎とゆかりは諦め、御守りと調査の為にこの世界に常駐していた機関の人と共に元の世界を後にして、2人は名前を微妙に変えて機関へ入った。
※:ちなみに2人の元々の名前は公開しません。
「それで、アンタ等2人とサヤがどう関係してくるんだい?」
黙って話を全部聞いたニケが腕を組み、首を捻って聞いてきた。
「なるほどな。つまり、佐夜の辿って来た経緯と自分達の辿って来た経緯が酷似している事から『佐夜も世界の理から外されてしまう』可能性を感じたんだな?」
「その通りだ。流石ヴァン、雷帝の名は伊達じゃないな……」
ヴァンに心中を察せられた勇治郎が力なく笑う。
つまり勇治郎とヴァンが言いたいのはこういう事だ。
今回、佐夜が己の世界の理から外されてしまった原因、
1、佐夜が『召喚』による次元転移ではなく、それ以外の方法で世界を出た事。これにより佐夜と己の世界との繋がりが一時的に途切れてしまった事。(召喚でならば送還にて還る事が可能だった)
2、世界との繋がりが途切れた状態で他世界の神(管理者)に保護、もしくは接触にてこれまた一時的に他の世界での神による庇護下に入ってしまった事。(一時的に【レニアナ】所属になってしまった事)
3、終末現象でのエラーが解決する前に佐夜がここに戻って来れなかった事。流石にこればかりはしょうがない。
4、佐夜自身の素質自体が高かった事。見た目は勿論、性格は良いし、料理や家事スキルが高く、知能もそこそこ悪くなく、歌も上手い。そして才能があった錬成術も習得している。これまで素質が高い場合、後々世界に影響を与える可能性がある者として世界が希少種扱いしてしまった事。
「今回佐夜がこうなってしまった原因の内、俺達と条件が被ったのは1~3だな」
自分達との共通点を上げた勇治郎がホワイトボードに丸を付けていく。
「……つまり、何だ。佐夜は次元転移した最初から自分の世界に還る事が出来なくなっていたって事か?」
「……そういう事だな。佐夜がこの世界に居なくなっていた時期は約9ヵ月。それに対して世界が復旧したのが終末現象後の3ヵ月後らしいからな(この世界のアカシックレコード参照)」
「って事は俺達が佐夜を見つけた時点でもうアウトじゃねぇか」
やすしの疑問に勇治郎が答え、ヴァンがツッコむ。
「俺達の時もそうだが、もし佐夜が正義の様に召喚で転移していたら、もしサポートメンバー(戦闘能力が無いメンバー)の様になんの素質も無かったら他世界の神の目にも止まる事も無く、もしもっと早く元の世界に戻れていたら───結末は大きく変わっていたかもな」
「「「「「………」」」」」
自分&ゆかりと佐夜の事を重ね合わせて黄昏て言う勇治郎に誰もが言葉を失う。
結局この結末は誰かが悪い訳じゃなく、いくつもの偶然が重なって起きた悲劇なのだ。
皆は勿論、佐夜LOVEなやすしでさえも誰も責められず会議室が少し暗く感じた。
「まぁ、こうなってしまったからには佐夜にはいくつかの選択が生まれるよな」
「ああ、それを選ぶのも佐夜の自由だ」
帰属できなくなった佐夜が取れる行動は以下の通り。
1、自分の居場所を取られたとはいえ、ここは自分の故郷なので別の人間としてこの世界で生きていく(推奨)
2、自分の居場所を取られ、色々な理由から居づらくなったので別の世界に移住する(物質界なら物質界へ)
3、自分の世界に帰属出来ないので、佐夜の希望があれば協会や機関入りする事が可能。もしくは世界破壊者同様にライセンスを取り『異世界旅人』に進む道。
4、絶望し、自らの運命を閉じる(死、もしくは闇落ち)
「いや、4は無いでしょ普通」
「普通はな。これはあくまで可能性と選択肢だ。お前だって提供者に騙されて気付いた時、絶望したんじゃないか?」
「……確かに」
4の選択肢は無いだろうと舞華がツッコむが、逆にツッコまれた。
「可能性としては3か?」←正義
「多分そうなるだろうな。何だかんだでリオとか陽奈々とかルイとか舞華とかに懐かれているし」←ヴァン
「見事にロリ&ショタ(男の娘)ばっかりじゃねぇか!?」←やすし
「私をそのジャンルに入れるな!」←舞華
いや、ロリだろうお前は。
「おそらく『3』になるだろうが、そうなると次の問題は───」
「『協会』か『機関』か、だな」
勇治郎とヴァンがそう言った瞬間、やすしと舞華、正義と陽菜々の目がキランと光った。
「そりゃあ勿論断然機関だろう!」
「何言ってるんですか!? 佐夜さんが過ごした時間が長い協会の方が良いに決まってます!」
「過ごした時間じゃないでしょこういうのは。佐夜に会うのは機関の方よ!」
「何を根拠に言っているんだ、お前達は。そもそもそれを決めるのは佐夜だろ(連れて帰れたら愛沙と真桜は喜ぶだろうな)」
そして始まる無意味な佐夜取り合戦。さっきまでの暗い雰囲気は払拭されたが今度は別の意味で緊張が走りそうだ。
♪♪♪♪♪~♪♪~♪♪♪♪~♪♪♪~♪~~~
がやがやと騒ぐ4人にヴァンと勇治郎が呆れていると突然ヴァンのスマホが鳴る。
「リオか。どうし────」
騒ぐ4人を置いといてヴァンは電話に出る。すると、
「隊長、大変だよ! さややがいなくなった!」
「……なんだと?」
焦った声でリオが泣き付いてきた。
次回は7月21日の金曜日の更新デス。
ホテルで看病していた筈のリオの元から消えた佐夜。一体どこに行ったのか。
そして次回はゆかりが佐夜と接触します。
それは次回へ。
では。




