4.変わりゆく日々
告白の返事はしばらく保留になった。
だが、その日からジョゼットの日常は少しずつ変わっていく。
「ジョゼットは今日も可愛いな。」
「っ!?」
さらりと褒められて真っ赤になる。
オリバーは自然にエスコートをし、重い本を持ってくれて、さりげなくジョゼットを気遣った。
そんな一つ一つにジョゼットは慣れていなくて、その度に胸が高鳴った。
アンディにも可愛いとよく言われてはいたが。
「(アンディと全然違う・・・・。)」
胸の高鳴りの種類はアンディの時とは違った。
アンディは昔から距離が近い。
抱きつくのも手を繋ぐのも自然だった。
でもそこに“男女”を意識した事はなかった。
・・・なかった、はずだ。
「ジョゼット!」
ある日、いつものようにアンディが笑顔で駆け寄ってくる。
以前ならそのまま隣に並んでいたのにジョゼットは一歩下がった。
「ご、ごめんなさい! 今日はオリバーと約束があるの。」
「え?」
アンディが固まる。
「またね!」
ジョゼットは逃げるようにその場を去った。
残されたアンディは呆然と立ち尽くす。
「(今・・・避けられた?)」
胸がざわつく。
最近ジョゼットが冷たい。
一緒にいる時間が減った。
前は自分を最優先してくれていたのに。
「兄上・・・。」
「なんだ。」
「ジョゼットが最近変なんです・・・。」
トワイス伯爵家の書斎でローディは紅茶を飲みながら弟を見る。
内心では「(やっとか・・・!)」と歓喜していたが、表情には出さなかった。
「変って?」
「前より一緒にいてくれなくて・・・最近オリバーとばっかりいるし。」
「気のせいじゃないか?」
「でも!」
アンディは眉を下げる。
「なんか避けられてる気がするんです。」
「恋人でも出来たんじゃないのか?」
「そんなわけありません!」
アンディは即答した。
「ジョゼットは僕の大親友ですよ!?もし出来たら僕に報告してくれる筈です!」
「ふーん。」
ローディは生暖かい目を向ける。
「(その“大親友”を他の男に取られそうだから不安なんだろうが。)」
だが敢えて言わない。
ここまで来たら自分で気付けと思っていた。
「まぁ、ジョゼットだって年頃の令嬢だ。お前以外と仲良くしたって不思議じゃない。」
「嫌です。」
「は?」
「なんか嫌なんです。」
「そうかそうか」
棒読みで返す兄に、アンディは不満げに頬を膨らませた。




