3.否定された恋心に蓋をして
「ねぇオリバー! 私とアンディっておかしいの? 普通の親友の関係じゃないの?」
ジョゼットは半ば縋るように問いかけた。
その問いを受けたオリバー・ベアードは、困ったように眉を下げる。
焦茶色の髪に同じ色の瞳。
穏やかな雰囲気を纏う端正な顔立ちの青年は、幼い頃からジョゼット達と交流のある幼馴染で昔から2人をよく知る数少ない人物でもある。
「・・・ジョゼット。本当に気付いてなかったのか?」
「え?」
オリバーは静かにため息を吐いた。
「君達、どう見ても普通の親友じゃない」
「え!?」
「距離感が恋人なんだよ。いや、下手な恋人よりずっと特別に見える。」
ジョゼットの肩がビクリと揺れる。
やはり、婚約者達に言われた事は間違いではなかったのだ。
「アンディは君に触れすぎだし、君もそれを当たり前みたいに受け入れてる。周囲から見たら“恋人同士”以外の何物でもない。」
「でも、アンディは私を親友だって・・・。」
「そうだろうね。」
オリバーは苦笑した。
「本人は本気でそう思ってるんだろう。でも周りはそう見ない。正直、婚約者がいて許される距離じゃないよ。」
ジョゼットは俯いた。
胸が痛い・・・が、アンディに悪気はない。
そして自分も悪い。
「・・・私、どうしたらいいのかな」
「距離を置くしかないだろうね。もちろん物理的に。」
その言葉に、ジョゼットの胸がぎゅっと締め付けられた。
ずっと当たり前に隣にいた。
呼吸をするみたいに一緒にいた。
それを失うのは、怖かった。
「そんな顔するなよ・・・。」
ふいに優しい声が降ってくる。
顔を上げれば、オリバーが真っ直ぐジョゼットを見つめていた。
「ジョゼット。俺は・・・君が好きだ!」
「え?」
一瞬、意味が理解できなかった。
ぽかんと固まるジョゼットに真剣な表情のオリバー。
「ずっと前から好きだった」
「えっ、あ、えっ!?」
人生初の告白だった。
ジョゼットは頭が真っ白になり慌てる。
「アンディが好きなままでも構わない」
「っ!?」
図星を刺されてジョゼットの頬が熱くなる。
「すぐに俺を好きになってほしいとは言わない。でも、少しずつでいい。俺を見てほしい。」
「オ、オリバー・・・っ。」
「返事は急がなくていい。」
そう言って優しく微笑むオリバーに、ジョゼットの心臓はうるさいほど跳ねた。
こんな風に“女性”として見られた事なんてなかった。
アンディとは違う。
全然違う。
その違いに、ジョゼットは戸惑いながらも胸を高鳴らせていた。




