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16-2

ちょっとユニークな考え方を持つちづるさん。

いつも独創的な作品を執筆して注目を集める彼女だから、このような彼女の特性はもしかしたら当然のことかもしれない。

天才たちの奇行はいつも受け入れられるように、私も彼女の独特さを自然に受け入れた。

しかし、テーブルに置かれたチョコレートコーティングされたアイスクリームの写真を様々な角度から撮影するちづるさんの普通の女性らしい行動を見ると、彼女がそれほど遠い存在ではないと思う。


「さあ、もう食べましょうか?」


写真を撮られるためにちづるさんに誘拐されたアイスクリームが戻ってきた。


「ちづる。」

「はい?」

「写真は何に使うの?」


このような質問をする理由は、彼女が一度も自分のSNSに写真を共有したことがなかったからだ。

普通なら写真を撮ってSNSに共有するのが平凡さの範疇なので、彼女が写真を撮った後に何をするのか気になる。


「え?ただの所蔵用です。 ところで、どうしてですか?」

「あなたは写真をきれいに撮るから··· 一人だけ見るのはもったいないと思った。」

「あら!そこまでではないはずなのに···。」

「たまには··· あ、何でもない。」

「?」


私は言おうとしたことをやめた。

ちづるさんと一緒にいる時は、SNSに関するテーマは避けることを自分自身と約束した。

実はこれは私一人で勝手に下した決定だ。

このような決定を下した理由を説明するためには、私たちが初めてお互いのSNSアカウントを共有した日にさかのぼらなければならない。

多様な写真がいっぱいになるだろうという予想とは異なり、意外にもちづるさんのアカウントは空いていた。

最初は距離を置くためにダミーアカウントを与えたと思ったが、そうではなかった。

『私は友達がいないんですよ? ハルトさまも知ってるでしょ!? 』

これが、なぜアカウントが空いているのかという質問に対する答えだった。

軽い笑みを浮かべながら返ってきた答えには苦味が混じっていた。

何か事情があるようだが、これ以上彼女の領域に足を踏み入れると仲が悪くなるかもしれないと思い、わかったと答えた私は、いまだにその一線を越えられない。

どうせお互いにアドバイスし合う関係。

今のままの関係でも十分だと思うから問題ない。


「とにかく··· ここはちょっと立ち寄った所だよね?」

「どういうことですか?」

「今日の会議のことよ。まさかこんな所で進行するつもりではないだろう?」

「ここでやるんですけど?」


ちづるさんの手に握られたタブレットPC。

私は驚愕した。

電源の位置に上がっているちづるさんの指がほんの少し動けば、膨大な内容のイメージファイルが公開されるだろう。

しかし私は自分の考えをもう一度疑った。

いくら奇行が多いちづるさんとはいえ、こんなところでそんなイメージファイルを取り出すはずがない。

(クリック)

あっという間に明るくなるちづるさんのタブレットPC。

心臓が乾いてねじれるイメージが目の前をかすめた。


「ちょっと···!」

「ジャーン!」


ちづるさんがタブレットに浮かんだのは、初めて見る猫の写真。

私はただただ、私たちの作品をこんな公共の場で公開しないことに安堵した。


「どうですか、今回新しく飼った猫なんですよ!?」

「······。」

「あれ? ハルトさま、大丈夫ですか?」

「あ、何でもないよ。」


緊張が解けて力が抜けたせいで、私はぼろぼろのシャツのように椅子にかかっている状態で答えた。


「そんなに悩んだのに、やっと養子になったんだね。」

「はい! 結局、この白い子に連れてきました! 白い毛と青い目の組み合わせが頭から離れませんでした!」

「おめでとう。 これで寂しくなくなったね。」

「それでですね、ハルトさま······実は今日、私が会議しようって言ったのは···。」


前に突き出たちづるさんの唇。

それは何かを頼むと出てくるちづるさんの癖だ。


「この猫についての話をしようと思って、お願いしたんです。」

「猫の話?」

「はい!」

「えっと··· 何の話?」

「これはこの子の診断記録書ですが···。」


ちづるさんは一枚の書類ファイルを見せてくれた。

そこには猫の体重から血液検査に関する内容までびっしりと記録されていた。


「もしかしたら、変なところがないかどうか確認してもらえませんか······?」


確かに私がアメリカで勉強したのは獣医学だ。

しかし、本科の勉強に入る前に私たちが学ぶのは、ほとんどが家畜に関する知識だ。

これは、獣医科がもともと家畜の世話をするために作られた学科であるため、農学部にルーツがあるからだ。

だから、ほとんどの場合、牛や鶏のような家畜に関する知識から学び始め、細分化された分野に関する選択は後で行われだ。

そのため、犬や猫のようなペットに関する知識は基礎的な常識レベルしか知らない。


「ちづる。」

「はい!」

「私がアメリカにいたときに獣医の勉強をしたことはあるけど···専門家レベルの知識を持っているわけじゃないし、役に立つかどうかはわからない···多分ダメだろう。」

「あ、やっぱりそうですか···。」

「うん、私が猫について知っていることって言っても···ホルモンが猫に与える影響とか···必須栄養素、関節のチェック、そして傾向の把握といった基礎的な診断法···超音波、レントゲン、そして血液検査表を見て現在の猫の健康状態を分析するくらいかな···?」

「······、それだけでも十分役に立つよ、ハルト君。」

「え?」

(キャラクターが崩壊した!? 私···何かミスでもしたのか!?)


混乱する。

この程度の基本的な診断は動物病院で済ませたはず···!

なんで私にこんなお願いをするんだ!?


「あの···このような診断書があるということは、すでに病院に行かれたということなんですが···もしかして、なぜ私にこんなお願いをするのか聞いてもいいですか?」

「タメ口。」

「どうしてこんな頼みをするんだ?」


低いトーンの命令口調で話すちづるさんにビビった私は、慌てて口調を直した。


「私は人を信じられない性格なので、獣医さんの言うことを全部信じることができないんです···私の周りで唯一頼れるのはハルトさまだけだし、ハルトさまはかつてはこちらが専門だったので···。」

(うっ···!その顔で男にそんなこと言うのは反則ですよ、ちづるさん!!)

「仕方ないな···そこまで頼まれるなら···。」

「···!ありがとうございます!!」

そのようにしばらくちづる氏が持ってきた猫のデータを見て説明する時間を持った。

猫の健康状態は完璧に近かった。

尿酸値が少し高いのが気になるところだが、ほとんどが遺伝的な要因が大きく、まだ心配する段階ではない。

食事の調整さえしっかりすれば、健康に育つだろう。

おそらくこの猫を診察した医者も同じ診断を下したのだろう。

私から猫に何の問題もないと言われたちづるさんは、安堵したように胸に手を当ててため息をついた。


「本当に良かったですね…··· ハルトさまのおかげで安心です!」

「お役に立ててよかったです。」

「タメ口。」

「ま, まあ···こんなことで。」


久しぶりの診断だったが、容易だった。

インターンシップの時に何十時間もシャドーイングをしながら学んだ経験がまだ死んでいないようだ。

何かやりがいのあることをやり遂げたような気分。

たぶんこれが医師が感じる達成感みたいなものだと思う。


「そういえば、私たちの仕事の話ですが···。」


どうやら本業の話をするようだ。

幸いタブレットPCは鞄に戻ったので、余計な心配をする必要はなさそうだ。

実際、いくらちづるさんとはいえ、過激な行動はしない方なので、そもそも心配は杞憂だった。


「この前送ってくださった作品に対するレビュー。 とても良かったです!」

「よかった。 気に入ってもらえてうれしいよ。」

「今度もお願いできますか?」

「もちろんだよ。私たちはそのために会うんだから。 今度は私のスタジオで会おう。 そこが安全だから。」

「でも、たまにはこういうスリルを楽しむのも悪くなかったでしょう? 今日驚いた表情がとても面白かったです。 私が私たちのファイルを ここで公開するんじゃないかと 心配していたあの表情···!もしかすると自分のアイデンティティを捨てさせるかも···!」

「いや··· 安全なのが一番だよ。 間違ったら社会的に私たち二人とも終わりだよ?」

「はあ··· もしかしたらその方も悪くないかも?」

「私が困るんだって!?!?」



ところがその時。

聞き覚えのある声が聞こえた。

それはあまりにも愛する妻の声に似ていた。

声が聞こえたところにクジラを回すと、そこにはダサいスカーフを顔に巻いたある女性が座っていた。

それに室内にもかかわらず使っている厄介なデザインのサングラス。

雑誌や漫画に出てきそうな格好だ。


「どうしたんですか?」

「あ、どこかで妻の声を聞いたような気がしたんだけど、誤解だったみたいでね。」

「なぜですか?」

「妻はあんなにダサくないんだよ。」


私の話を聞いたちづるさんは中指をはじいて額を殴った。


「他人のファッションセンスをそんな風にけなすのは正しくないよ、ハルト。」


道徳的に非の打ちどころのないちづるさんの言葉に、私は言葉を失った。

同時に、先ほどの発言に恥ずかしさを感じた。

特異な人。

しかし、道徳的に非の打ちどころのない価値観を持つ人。

それがちづるさんだ。

社会通念に反しない範囲で、自分ができる紀行を全て行う自由で真っ直ぐな魂。

流石に私のような人間は接することのできないレベルだ。


「ごめんなさい。」


私は頭を下げて謝った。


「実は謝るべきはあの女性の方なんだけど···あ、帰っちゃった···さっきの言葉を聞いたのかな···。」

「うっ···。」

「次からは気をつけてね。 私は自分の同業者が無礼な人であってほしくないから。」

「気をつけます。」

「そう、謝罪の意味で私の猫が死ぬまで診断してくれ。」

「え?」

「そして今日は夕飯もおごって!」

「え?ちょっと···。」

「この辺に有名なデザート屋さんがあるんだけど··· 夕飯を食べたら··· え?ハルト君? ハルトさま!? どこへ行くんですか!?」



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