3話 氷帝は化け狐を逃さない
「偽の怪物……。その名なら私は知っているのよ。ありとあらゆる能力を手にして敵を欺き殺す、化け狐のような怪物をね」
『……ソウダ、私ハ偽の怪物ダ。ダガそれがドウシタ? 私ハ何にでもなれる。今の姿ナドお前ガ知っているワケナカロウニ』
偽の怪物だと分かったところでまだ問題は残っている。
―偽の怪物は何の能力に化け、今のように姿を絡ましているのか? それが分からない以上、この弱った怪物にトドメを刺すことはできないのだ。
「(思い返すのよ私……! 奴が姿をくらました直前の行動から、奴が何に化けたのかが分かる手掛かりを考えないと……ここから逆転されて私が死ぬっ!!)」
偽の怪物が姿を消す前に、互いが取っていた行動を思い返してみると。
珠子は「非情豪雨」を放っていた。それ以外には何もしていない。
そして偽の怪物。彼女は非情豪雨で放たれる槍雨から逃れるために、手で印を結び、何やら叫んでいた。
「(『闇から水へ私を導け』…………ッッ!!)」
珠子の口から無意識的に発せられた言葉だった。
そしてその言葉は偽の怪物が先程叫んでいたものであり、最大のヒントであった。
「(あのとき奴の言っていたことは戯言かと思ったけど、偽の怪物だと分かった今、この発言は最重要発言じゃないの!? 闇から水に能力を変えたってことでしょアイツは!?)」
やっと捉えた化け狐の本性。闇から水へと能力変化した怪物。潜んでいるところを見つけるのも時間の問題。
そして。
『(………ナンダ、この間ハ。ルイは気づイタノカ? イヤ、ワカラナイガ。ダガソレデモ私が残した言葉ノ足跡にヒントが残っイルノモ事実。ココハ一気に仕留めた方ガ……絶対ニ良い!!)』
珠子の背後で密かに身を隠す怪物が、まさに背後からの奇襲を実行しようとするときだった。
「(ということは、奴が水の能力に化けているってことは…………っっ―)」
突如として胃の中から這い上がってきた嗚咽感。
反射的に地面に屈むと、出てきたのは多量の血であった。
「ごぶっっ!?」
『(ナニ?!)』
「(な…………なんで……今、なのよ)」
彼女が十分に動ける時間のタイムアップは刻一刻と迫っていたのだ。
――――――――――――――
珠子が吐血する様子を、浩介は精神世界から下唇を引きちぎりそうなぐらいに噛み締めながら見ていた。
「オリバに斬られたって話は本人から聞いてはいたけどっ、まさかこんなにも早く影響が出るなんて思わないだろっ!?」
『このままではっ……』
それは心の怪物も同じであった。
浩介をこの精神世界に引き込んだのは、自身が浩介の恋心に関心があったから。今までは完全に珠子が偽の怪物を圧倒していたがために現世界で気絶したままの浩介の安否を心配する必要はなかったが、こうもなると話は変わってくる。
このまま体に無理をさせているようではいずれかは死に至るし、体を気遣って能力をセーブしながら戦ったとして、今の戦いに追いついていけるわけがない。
「おい怪物、ホントにこの世界から出るには片方が死ななくちゃならないのか!? それ以外の方法がないか思い出せっ!!」
『そんなものあったら思い出してますよぉぉ……。言ったでしょう、私。ここから出るには二人分の魂が一人分になったときだって。……だから片方が死んで一人分の魂になるって方法しかないし、片方しか出られないんですぅ……!』
「クソッ! このまま黙って珠子の死に様なんか見たくねぇよ!」
『あのだから私を殺せば―』
「あーもー、だから言ったろお前は殺したくないって!! 片瀬とも約束したんだよ、これ以上人に手を掛けずに戦争を終わらせるって!! だから無理っ!!」
『………じゃあなんですか』
「あ?」
突如として、先程まで弱気も弱気超弱気な心の怪物の声色に変化が見られた。
『約束ごとを守るのが当たり前ってならっ! 愛する人を見殺しにでもしても文句はねぇんですかっっ!?』
「ぶっっ!?」
『ましてやその約束すら片瀬さんともしてっ!? その人が死んだら約束果たせないじゃないですか! 半死にでも生きてるには生きてるんです!! もう見捨てるなんて早すぎますよっっ!!』
「ッッッ…………んなもんわかってっっ…………………………………………ん? 半死に?」
『そうです半死に! まあ瀕死とでも言いますかぁ!? まだ彼女はそこまでに至ってないのに勝手に彼女の人生は終わったかのような言い方して―』
「違うそういうことじゃなくて、いやその俺の考え方自体バカだったのは認めるけど」
耳元で騒ぎ立てる怪物を押しのけ、浩介はベルトに携帯してある小型のナイフを取り出す。そしてそれをまじまじと見つめた。
『そもそも人の心あるんですか!? 仲間であり最愛の片瀬さんでしょう!? そんな人見捨てるより私を殺した方が―って聞いてますっっ!?』
「え、あぁ、まぁ。少し気になったことがあって」
『なんですか』
浩介はナイフの切先を自分の心臓があるであろうところに当て、こう疑問を口にした。
「お前の言う魂ってものの定理はなんだ?」
『へ?』
「言ったろ、ここから出るには二人分の魂が一人分になったときだってさ」
『はいそうですけど。だから私を殺して片瀬さんのところへ早く!』
「だーーーーーっもう人の話を聞けアホンダラっ!」
浩介の持っているナイフを取り上げようとする怪物の右手から何とか逃れて、浩介はナイフを収めつつ続ける。
「一人分の魂は本当に一人死ななきゃならねぇのか?」
『それは……………』
「分かんないだろ。お前は現に人を餓死させてこの世界にいる魂を自分のみにしたことで毎回この世界から出ているっていう手法しかしたことがないっぽいしな」
だから……、と浩介は今度は切先を自分と怪物の交互に向け、この精神世界における核心を突く一言を発した。
「一人分の魂って言われたんだ。互いの魂半分削ったら、一人分の魂にならないか?」
それは実に狂った提案であった。
――――――――――――――
血反吐を吐いたあと、明らかに珠子の調子は良くなかった。
胸にある大きな傷跡からも微かに血が流れているようで、衣服からは血が滲んでいる。
ただ、一応はまだ戦えるぐらいの体力は持ち合わせている。そのうえ偽の怪物が今どこに潜んでいるかの検討も付いている。後は殺さない程度のトドメを指す行動に移すだけだ。
「(まだ……なんとか、なる……わ。水の能力に化けている奴は、多分今数ある水溜りの中に潜んでる)」
何故偽の怪物が一瞬にして姿を消したのか。それは怪物が水の能力に化けたからだ。
だがこの偽の怪物の「能力に化ける」という能力には致命的な弱点がある。
それは、「自分から水や炎を出せない」ということ。今のように水の能力に化けたとて、当の本人は水を生成できず、できるのは水の操作と水に化ける、ということだけ。何も無い平地で水溜りに化けても、すぐにバレる。
だが今の状況は違う。
怪物が化ける前に珠子が放っていた技である非情豪雨。文字通り、槍状の雨を降らせる。
―そう。この地で雨が降った、つまりはカモフラージュとなる水溜まりが数多に存在しているのだ。
ただ、いかにして本体のいる水溜まりを攻撃するかが問題だ。
自慢の能力で辺り一面凍らせたとして、氷自体は水の延長線なのだからあまり意味は成さないだろう。
「(……あと能力を安心して使えるのも多分一回きり。何か能力以外で奴を炙り出す方法は……)」
自身の備え付けのポーチを片手で探る。
入っているのは、地図とライトと簡易的食料。そして―
「(この感触……っ! そうだまだある、私の秘密兵器!)」
完全に存在を忘れていた秘密兵器。
それを手に握り締めて天に掲げた。
「リバースマテリアルッッ!! その効力を水に示せ!!」
―偽の怪物はその光景を間近に、というか直に感じていた。
『ナっ、ナンだと!? アツッ熱いぃぃ!! 私はッタシカニ水溜まりニ潜んでいたハズっっ!?』
唐突に周囲の水溜りが全て炎に変わったのだ。
リバースマテリアル。メタ的だが久方ぶりに登場する神装級の道具で、それも最上級の代物だ。
その力は、「指名した物と反対となる物質に変える」、というもの。
つまり珠子は、この代物を使って周囲にある水溜りを全て炎に変えたのだ。
「やっぱり水溜まりの中にいたのね怪物。もうこれで逃げ場はないわ」
『フっ……フフフフフっギャハハハハハぁぁっっ!! ソレデ勝ったつもりかルイ!! オマエも私モもうソウナガクないのだ、イツドチラガ倒れてもオカシクハナイっ!! 私は相打ちデモ大金星ナノダヨっ!!』
「そうはさせないわ。その前にアンタを倒して私は生き残っ……ごぶっっ!!?」
だが度重なる吐血、そして今回の吐血によっていよいよ立つのもままならなくなった珠子は、遂に地面に膝をついてしまった。
『ホラナ、オマエもモウもたない! せめて最期ハ私の手でその首ブッタぎってやるッッッ!!!』
怪物の手が珠子の首を目掛けて飛びかかる。
「(浩介っ……助けてっ……)」
朦朧とする意識の中で珠子は最愛の男の名を叫んだ。
―そのときだった。
「てええええりゃあああああああああッッッ!!!!」
燃えたぎる右拳が怪物を捉え、そのまま近くの木にぶっ飛ばしたのだ。
「こう、すけ……」
「片瀬を死なせるわけにはいかない。………仲間だからな」
「ふふ……嘘つき。ほんとは私の事好きなんでしょ」
「まだ言うかそれ!? ていうか瀕死の人間は喋んなしばらく寝てろ!」
「うっ…ぷ。で、でも浩介。その身体―」
『ナゼ貴様がココニイル!! オマエは精神世界デ今頃餓死シテイルノデハ!?』
『彼が……ぐっ……提案、したんです』
『ッ! オマエさては裏切ったナァァ!!』
皮膚がコゲ落ち、見るも哀れな醜い風貌となった偽の怪物は、本来味方であった心の怪物に向けて牙を向ける。
それをなんなくかわしながら、心の怪物は事の顛末を語った。
『浩介さんは、私と自分との魂を半分削る……つまりは互いに命の半分のダメージ量を負うことで精神世界の脱出条件である、「一人分の魂になること」を強引に達成する案を考案しました』
「そしてそれを実行し、実際俺たちはここから出られた。まあこうして全身傷だらけだし、今にも倒れそうなぐらいなんだけどな」
「そこまでして……でもその怪物を殺せば浩介は出られたでしょう!?」
「それは一番最初に思ったよ。でもコイツは俺に興味があるんだってよ。だからコイツに殺気もなかったし、精神世界での戦う気が感じられないとこを見て殺す気もなくなった」
『キサマらァァァァ!!!』
「おっと暴れるのは別に良いけどさぁ。精神世界から全部見てたから、お前の能力がその場の資源頼りってのも知ってるし、ここら辺的にお前は影の闇、水溜まりの水、あとまああるっちゃあるけど。全部火で関係なしに完封できる。お前に勝ち目はねぇよ」
獣のように理性なんか知ったこっちゃないと言わんばかりに暴れようとする偽の怪物だったが、浩介の言葉を聞いて石のようにピタリと身体を止めた。
闇なんぞ灯りの役目を果たす火にはあまり効果を出さない。
水も、以前暴走した浩介と珠子が戦った際、氷も水も関係なしに蒸発してみせた。
周囲にある木々の能力になっても、土になっても、結局は燃やせば炭になるし脆くなって耐久性が下がるだけ。なので能力だけなら本当に不利なのだ。
だが裏切った心の怪物も珠子も浩介も、皆かなりのダメージを負っている。
『……ハッ。だがオマエもボロボロダロ。勝ち目ハマダ私ニモあるッッ!!』
「(あんだけボロボロなのにまだこんな力が!?)」
『浩介さんっ!!』
最後の力を振り絞り、偽の怪物は瞬時に浩介との距離を詰める。
『死ねッッッ!!!!』
そして鋭く尖った爪による渾身の一発を浩介に放った。
「『浩介[さん]ッッ!!!』」
爪といっても、それは鉄と同じ硬度であり、非常に鋭利なものだ。半死にの浩介にはあまりにも重い一撃になりうる。
「るっっっせぇんだよ、揃いも揃ってピーピー喚くなセミじゃねぇだろセミだったら7日経って死にやがれ!」
そんなツッコミを高速詠唱しつつ、ナイフ爪は既に腹部の目の前まで迫っている。
「まあ俺はセミじゃねぇから死なないけどなぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
切先が腹部に触れた瞬間。ほぼ同時に浩介が怪物の手首を掴み、触れ合っている交点を始点に一気に怪物の全身を炎で包み込んだ。
『ア” ア” ア” ア” ア” ア” ア” ア” ア” ア” ア” ア”ッッッッ!!!!!!!???』
「そしてお前は死にかけも死にかけのセミ。最期は生きながらの火葬」
「浩介っ! 殺しはダメって―」
「わーかってる」
パチンと浩介が指を鳴らすと、すぐに炎は消え去った。
「片瀬との約束破んのは違うしな」
『ハァーーっっ……ハァっハァーーっっ……………ナンデ、殺さなイ……』
「あ? 聞いてなかったか今の。約束だよ、俺たちのな。これ以上誰も殺さないっていう」
『ソ、ソンナンデこの先生きて行けルノカ? 無理だロウそんなモノ』
「無理じゃねーんだよ。やるんだよ、ていうかやれる」
浩介は怪物の隣に胡座をかき、星々が煌めく夜空を眺めながら、自身の思いを打ち明けた。
「自分たちが正義だと思っていても、その正義が他国の誰かを苦しめてるのは絶対なんだ。だから俺たち第三者が介入してヘイトを集めて戦争を終わらせる。歪んだ正義が誰かに差し向けられる前にな」
『ナルホド…………ジツニ馬鹿らしいナ』
「なっ!? テメェこの野郎―」
憤慨する浩介を横目に、怪物はボロな身体で立ち上がり、フラフラと歩き始めた。
『ダカラ、そんな馬鹿トこれ以上タメを張るツモリはナイ』
「……はんっ! そうかよ」
怪物がドレイク山脈の山林の中へ消えるまで、一行はその先をただ見つめているだけだった。
そして、完全に姿が消えたとわかった途端、今までの疲労や怪我の痛みが襲ってきたようで、浩介と珠子はそのまま地面に倒れてしまった。
「片瀬……大丈夫か、血は」
「別に……平気よ。それより、そこのやけに日本人っぽい怪物はなんなのよ。アンタ何がしたかったわけ?」
『私はあの怪物に言いくるめられていたんです。お前の興味があるその男を好きにして良いから、私組めって』
「……そう、なら良いけど――いや好きにして良いってポッと出の輩に私の浩介の貞操握らせてたまるかってのッッ!! アンタ殺すっっ!!」
「待て待て待て待て片瀬! 別に何もされてないから落ち着け!」
珠子を羽交締めして、心の怪物に降りかかる暴力を阻止する。
だが忘れてはいけないのは、二人はすでに血みどろの満身創痍、死にかけなことだ。
「あーーー! 浩介のバックハグッッ! いい怪物。これぞ私のみ許された特権なのよぉぉぉ!!」
「羽交締めをハグっていう奴初めてみたっつーの!? お前本当俺関係だと軍人と思えぬほどアホらしくなる……よ、な……」
「浩介、いきなり力が抜けたみたいに倒れちゃってどうした……の、あれ私もなん、か―」
まるで電池の切れた動く人形のように、ブツンと何かが切れるような音がしたかと思うと同時、二人は完全に意識をシャットアウトしたのだ。
――――――――――――――
偽の怪物は一人でに夜のドレイク山脈の中を歩いていた。
仲間が裏切っておらずに精神世界で浩介を引き留めてていたとしても、おそらくは珠子にやられていたのは確実であった。いくら瀕死の状態とはいえ、相手は若くしてロンリー軍の元大佐だった片瀬珠子その人だ。実際に珠子は偽の怪物の能力を見抜いた上に、今何に化けているのかさえも見透かした。
だからこうして、まるで闘いに飽きた風を装ってここまで逃げてきたのはいいのだが。
『(ソレニシテモ、これカラどうするベキか……。)』
そもそもの話。なぜ偽の怪物がこのドレイク山脈にいたのか。それには、単にここが居住区だからと言うものもあるが、もう一つ大きな理由があった。
『(命令ハ果たせなカッタシ)』
それは今は亡きゴビ将軍という男に、生前ドレイク山脈から侵入しようとする者を抹殺せよと命令が降っていたのだ。
それは知っての通り失敗に終わった。
自分に価値なしと思ったのだろう。
『トリアエズ。ドレイク山脈から出ルカ……ココを離れルのは心苦しイがナ。ナニヨリ私モ体力的に戦う気力ガナイ』
偽の怪物は別にこの戦争にはなから関わる気はない。あくまで依頼されたことを内容そのままに実行しただけだ。
依頼が終わったのならばあとは逃げるなりなんなり自由にしても悪いことではない。
………まあ、ただ。今回ばかりは運が悪かったと言おうがないだろう。
「ハハッ……テメェどの面下げてここから逃げようとしてやがる??」
突如として、闇に包まれたドレイク山脈に一人の男の声がこだました。
『アイツらの仲間カ? ソレトモ、スワームの連中―』
「あーわりぃ、どっちもハズレよ」
『ア? ナラ帰れ小僧。ココはお前ガいるべき所ではナイ』
「………はぁ。まあ別に強がっちゃっても構わねぇけど」
暗闇に慣れ始めた怪物の瞳が、徐々に男の姿を捉え始める。
筋骨隆々とした肉体。長髪を後ろで留めた髪型。そして昼行燈な言動と態度。
その姿をにはどこか見覚えが―
『オマエ……まさか―』
「あーそれはよろしくねぇ、今言うのは展開的につまんねぇよ」
『展開? ナンノ話だ』
「別に。―でも、まあ。強いて言うならなぁ」
男が何かを掴む動作を右手で行う。
すると気のせいか定かではないが、その掴んだところを軸に空間が歪んでいるような錯覚に怪物は陥った。
「お前のその既視感ってのは、何も間違っちゃいねぇ。全てお前の想像通りってこたぁ」
『………? …………ッッッ!? マサカぁっ!!』
男の言う既視感が、怪物が先程考えていたことを指していることに気づいたときには、もうすでに遅かった。
男が振るった右手により、すでにボロボロになっていた怪物の身体が唐突に切り裂かれたのだ。
「はぁー。もう少し早く気づいてくれたら、もしかしたら逃げれたからしれないのに」
『ナ………んデ……』
「あ?」
『ナン、デ……アンタほどノ人間が…………ココニ……?』
「あぁ、そんなこと聞くかよ普通」
男は死に行く怪物を横目に、怪物が通ってきた道の方向へと歩みを進めながら、ニヒルな笑みを浮かべて言った。
「せっかく遥々お客様がやってきたんだ。手厚いお迎えをして何が悪い?」




