表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷イ人  作者: Shkmn
3/5

第三夜 「前進ノ夜」

 ようするに、塵にも芥にも等しい個人という存在に価値はあるのか。そんなくだらない問なのだ。

 答えなんて決まっている。塵芥で出来たこの世界に、いらない塵や芥なんか無い。

 けれど、そんな答えじゃ納得できないのがヒトというもので。




 夜を歩き始めて、一か月ほどたった。

 二週間前から、僕は何も考えないようにしていた。

 あれ以上考えることが、怖かったから。

 けれど、この夜の街で他のことを考えたり何も考えないでいるのは難しい。

 どうやら街の景色というのは人が作るもので、誰もいない街は案外どこも似たような感じなのだ。

 こんな状態では、自分の中へと潜ることくらいしかできることが無い。

 恐怖なんて、致死的な退屈の前には無力らしい。

 そして、思考は始まりへと回帰する。

 人はなんのために生きているのだろうか。個々人にある個人的理由や生物学的多様性の欲求の他に、何もないのか。

 生きているということは、生きていたということは、何によって証明されるのか。

 いや、そもそも命とは何をもって命というのだろう。

 どれ一つとして、満足のいく答えが出ない。

 人が生きる理由なんて個人的欲求の充足以外に見当たらないし、生の証なんてそれがどんなものかさえ想像できない。

 命の定義なんて、雲をつかむような話だ。

 ただ、こうやって思い悩みながら見る無人の街は、いい。

 明かりはついていて、無人でも動く機械は動いていても、やはり命の気配がない街を生きているとは誰も言えない。

 まるで僕の悩みがバカバカしいことのように、これが答えだと言わんばかりに死んでいる街が、僕を励ましてくれているようで。

 そうだ。答えはきっと、ここにある。

 そう信じよう、今は。

 そして、僕は再び歩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ