性奴隷の少女
下着姿のその少女は、服を着ようとする素振りも無ければ、手で肌を隠そうとすらせずに、ただ無機質な目で俺を見つめていた。
これは…………俺の指示を待っている、とかなのか?
思考がまとまらずに混乱状態に陥っていると、その子は突然、俺に跨った。
そして何も言わずに、俺のシャツをめくり、ズボンを緩めていく。
――――ああ、なるほど。
この子はきっと、俺の奴隷なのだろう。
より詳しく言うのなら、性奴隷とでも言ったところか。
下着姿なのを考えれば奴隷であることは確定なのだが、その割に長い髪は整えられているし、やせ細ってもいない。
それに帰宅して早々この対応。性奴隷以外にあるまい。
実際に、顔はカエデと同等かそれ以上に良いため、フラッシュが性奴隷として飼いならしていても何ら不思議ではないだろう。
「失礼します」
その少女は、俺の服を脱がせていく。
シャツを脱がせ、ズボンを引き抜き、そして下着に手を掛けた。
俺はそれを、ただ無言で見守る。
――――ここは、流れに身を任せるべきだ。
ここで変に拒んだりしたら、不信感を抱かれ、中身が入れ替わったことに気づかれかねない。
別に気にする事でも無かろう。俺自体はそういう行為は初めてだが、フラッシュの肉体はすでにこの子と何度もしている。今更純潔ぶっても仕方がない。
もちろん引け目はあるが、それでもここで断るリスクを考えたら、気にしない方が良いはずだ。
だから俺は、受け入れる事にした。
息をそっと吐き、少女の頬に手を伸ばそうとする。
だが――――俺は頬に触れる寸前で、少女が僅かに震えているのを目に捉えた。
「…………はあ」
俺はため息を吐いた後で、少女の手首を掴んで動きを静止させた。
「えっ――」
「俺は疲れてるんだ。だから、今日はやめておこう」
俺がそう告げると、少女は驚愕のあまりか、目を点にして固まってしまった。
「おい、どうした」
「あ、いえ、すみません…………」
少女はそう言うと、俺のベッドから降りた。
「では、失礼します」
そして、なぜだか急に、ベッドの下にある僅かな隙間に体をねじ込んで行く。
「お、おい。何やってんだお前」
俺が問うと、少女はビクッと体を震わせた後、ベッドと床の狭間から体を引っこ抜き、即座に俺に向かい頭を下げた。
「も、申し訳ありません。何か気に障ることをしてしまったでしょうか…………」
「あ、いや……。やっぱり何でもない。えっと……いつも通りにしてくれ」
「はい」
少女は返事をした後、再びベッドと床の隙間に体をねじ込んで行った。
…………それ、いつも通りなのかよ。
きっと少女は、性交渉の時以外はベッドの下の隙間に入っているようフラッシュに命令されているのだろう。
やはりフラッシュは、絵に描いたようなクズ貴族だったか。
ただ、心は痛むが、それがいつも通りと言うのなら、俺としてはそれに従うしかない。
悪いが、俺の正体について、疑問を持たれる訳にはいかないからな。
俺はそう心の中で謝りながらも、すぐさま頭を切り替えて、目を閉じ眠ろうとした。
でも、目を閉じた瞬間に、嫌でも思い出してしまった。
あの狭い炭鉱での日々を。
狭くて暗くて固い寝床の窮屈さを。
「…………まったく」
俺は状態を起こし、その少女を呼び出す。
「オイ。出てこい」
「は、はい。何でしょう」
俺が呼ぶと、少女はすぐにベッドの下から出てきた。
「前々から思っていたが、ベッドの下に居られると、なんだかすぐそばに人の気配を感じて窮屈だ。だから、その辺に適当に寝てろ」
「は、はい?」
「あと、この枕、何だか変な匂いがして気に入らない。お前、明日の朝まで持ってろ」
「わ、分かりました……」
俺は少女にたくさんある内の枕を一つ投げつけ、そっぽを向いて寝た。
別に俺は何もしていない。
ただ、気に障ることをやめさせただけだ。




