表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
92/123

第91話:研ぎ澄まされる刃

 錬成会の熱狂が去り、明鏡館には再び、日常の稽古風景が戻っていた。

 だが、そこを流れる空気は以前とは明らかに違う。鋭く、重く、肌を刺すような緊張感が満ちていた。

(もっと速く、もっと深く。父さんが認めてくれた『攻め』を、確実に『誘い』へ繋げないと……!)

 瞬は焦っていた。虎皇館Bチームとの薄氷の勝利。

 あの日感じた虎皇館Aチームとの実力差を埋めるには、もう一段階、己を脱皮させる必要がある。

 凛は己の非力さを自覚し、体捌きによる回避と、それを支える体幹の強化に没頭していた。

 佐伯は眼鏡の奥で無数のパターンを演算し、身体が思考を追い越すまで、愚直に同じ動作を繰り返す。

 守屋は、一度敗れた加治屋へのリベンジという重圧に、独り静かに苦しんでいた。技術は完成に近い。だが出口が見えない。自分に足りない「最後の一片」は何なのか。

 そして大吾だけは、戦うたびに強くなる実感を全身で享受し、その進化を加速させていた。

 傍らでは、杉森ら青原中の面々も、GリーグからEリーグへと這い上がった自信を胸に、必死に食らいついている。

 六人が六様の悩みを抱えながら、竹刀の音を響かせる日々。

 その光景を、成瀬康介は静かに、そして誰よりも深く悩める瞳で見つめていた。

(……驚くほど強くなった。だが、これでもまだ届かない)

 虎皇館Aチーム。あの漆黒の壁を打ち破るイメージが、どうしても結ばない。

 理論や根性だけでは届かない領域。そこへ手を届かせるために、康介は一つの結論を出した。

「――遠征だ。今週末、お前たちをある場所へ連れて行く」

 その一言が、新たな苦しみ、あるいは黄金の夜明けへの合図となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【読者の皆様へ】 ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます! 本作は全160話完結済みです。 完結まで毎日2回(朝・夜)、欠かさず更新してまいります。 もし少しでも「続きが気になる」「瞬を応援したい」と感じていただけましたら、 **下の【ブックマークに追加】と、【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】**にして応援いただけると、執筆の大きな励みになります。 皆様の一票が、より多くの読者にこの物語を届ける力になります。 よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ