表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
82/121

第81話:鏡を割る咆哮

 大将戦の火蓋が切られた。

 直後、虎皇館こおうかんの大将は困惑に目を見開いた。目の前の巨漢――大吾だいごが、一歩も引かずに間合いを詰めてきたからだ。

(……なぜだ? なぜ前に出てくる!?)

 今の明鏡館めいきょうかんに、リスクを冒す必要などない。守りに徹し、時間を稼げば、チームの勝利は揺るがないのだ。徹底的に「勝つための歯車」であることを教え込まれたエリートにとって、この状況で打って出る大将など、計算の外だった。

 ざわめきが広がる虎皇館サイド。

「おい……あの大将、逃げねえぞ……」

「信じられん。この状況で取りに来ているのか?」

 絶望に沈んでいた彼らの心に、戸惑いと共に小さな火が灯る。

(……来いよ。お前の全てを、俺にぶつけて来い!)

 大吾の、ど真ん中を真っ二つに割るような、強烈な圧力を伴った面が飛ぶ。

 虎皇館の大将は、反射的にそれを受け止めた。戸惑いは一瞬で消え、戦士としての本能が呼び覚まされる。

(……面白い。なら、俺の方が上だってことを、思い知らせてやる!)

 数々の修羅場を潜り抜けた男の凄まじい剣気が弾け、大吾を襲う。

 お互いに真っ向から打ち合う、正々堂々とした激突。策略も計算もない。ただ「どっちが強いか」だけを決めるための純粋な時間が、そこには流れていた。

 その光景を、新免しんめんは食い入るように見つめていた。

(……こんな指示を出す監督が、いるなんて……)

 新免の瞳から、どす黒い憎しみが静かに剥がれ落ちていく。

(守屋さん……。だからあなたは、そこに居るんですね……)

 白と藍の道着が交錯する向こう側に座る守屋を見つめ、新免の顔には、かつての穏やかなあどけなさが戻っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【読者の皆様へ】 ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます! 本作は全160話完結済みです。 完結まで毎日2回(朝・夜)、欠かさず更新してまいります。 もし少しでも「続きが気になる」「瞬を応援したい」と感じていただけましたら、 **下の【ブックマークに追加】と、【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】**にして応援いただけると、執筆の大きな励みになります。 皆様の一票が、より多くの読者にこの物語を届ける力になります。 よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ