表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
79/124

第78話:鏡像の剣

 構え合う守屋もりや新免しんめん。その静止した二人の姿に、真っ先に違和感を覚えたのはしゅんだった。

「……なんか、構えが似てねえか……?」

 瞬は自分の目を疑い、確認するように隣のりんへ視線を送る。

「似てるどころじゃないわ……うり二つよ」

 凛もまた、信じられないものを見るような表情で固まっていた。

「構えだけじゃない。足の運び、剣先の揺らぎ、攻めの理詰めに至るまで……まるで……」

 佐伯さえきの言葉を、大吾だいごが低い声で引き継ぐ。

「守屋のコピーだな……」

 新免が、剣先をわずかに中心から外して「誘い」を入れる。

(……さあ、打ってこい。あなたなら、この隙を見逃さないはずだ)

 その誘いに応じるように、守屋が鋭い踏み込みから面を放つ。

 その瞬間。瞬の目に、攻防のすべてが克明に焼き付いた。

 守屋の竹刀が新免の面を射抜くと思われた刹那。下から新免の剣先が跳ね上がり、守屋の竹刀の腹を捉えた。

 ――シャリッ。

 しのぎの擦れる音が、試合場に響く。

 新免の竹刀が守屋の竹刀を鮮やかに滑らせ、面の軌道から外す。がら空きとなった守屋の頭上へ、新免の竹刀が振り下ろされた。

(当たる!?)

 瞬が戦慄した瞬間、守屋がさらに一歩、深く前へ踏み込んだ。

 新免の「擦り上げ面」を、あえて懐に飛び込むことで、元打ち(竹刀の根元での打突)で潰し、有効打突にさせない。

 激しくぶつかり合う二人の身体。つば迫り合いから離れ際、双方が同時に「引き面」を繰り出す。それは大きく振りかぶる動きを排した、手首の返しだけで剣先を落とす高等技術。

「あの擦り上げ面……守屋の得意技だ!」

 瞬がたまらず声を上げる。

「引き面の打ち方まで、全く同じ……!」

 凛も息を呑む。

「間違いない。……新免は、守屋に憧れていたんだ」

 佐伯の言葉に、明鏡館のメンバーは絶句した。

 柔らかな竹刀捌きと、多彩な応じ技。

 白い道着の新免と、藍染の道着を纏った守屋。纏う色は違えど、そこには「二人の守屋」が、互いの命を削り合うような異様な光景が広がっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【読者の皆様へ】 ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます! 本作は全160話完結済みです。 完結まで毎日2回(朝・夜)、欠かさず更新してまいります。 もし少しでも「続きが気になる」「瞬を応援したい」と感じていただけましたら、 **下の【ブックマークに追加】と、【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】**にして応援いただけると、執筆の大きな励みになります。 皆様の一票が、より多くの読者にこの物語を届ける力になります。 よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ