表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
70/139

第69話:王者の門番

 Aリーグ試合場。新免しんめんは、手元の竹刀袋を握りしめたまま、Bリーグの光景を凝視していた。

 Bリーグの猛者たちが、まるでなぎ倒される稲穂のように、次々と明鏡館めいきょうかんの前に膝を屈していく。

(……おかしいだろ、守屋もりやさん)

 新免の喉が、渇きで引きつった。

 かつて虎皇館で「燃え尽きた」はずの男。自分が背中を追うことすら諦めたはずの先輩。だが今、コートの端に立つ守屋の背中は、自分が必死に追いかけている「一軍レギュラー」の怪物たちと同じ風格を纏っていた。

「……あの先鋒……」

 新免の視線が、しゅんに止まる。滑るように動く足腰。相手の「出頭でがしら」を正確に射抜く、あの淀みのない面。

(あいつだけじゃない。あの野獣のような大将も……。どいつもこいつも、Bリーグのレベルに収まってねえ)

 新免は、一軍に選ばれなかった「残りカス」としてここにいる。だが、自分たちは『虎皇館』の看板を背負っている。たとえ二軍であっても、負けは一切許されない。

「……面白い」

 新免は、自嘲気味に口角を上げた。

「見せてやるよ。あんたが捨てたところが、どれほど偉大かをな」

 ついに、明鏡館がAリーグに足を踏み入れた。その瞬間、会場中の視線がその試合場に集まった。

 試合直前。明鏡館の控えスペース。

 防具を整える五人の前に、康介こうすけがゆっくりと歩み寄った。

「……ついに来たな」

 その声は、いつになく低い。瞬が面の下から康介を見上げる。

「次が、本番だってことですね」

「そうだ。次に当たるのは『虎皇館』の名を背負った奴らだ。たとえBチームだろうが、あいつらの根底にあるのは大河内の教え――『勝つこと以外、存在価値はない』という狂気だ」

 康介は、対峙する虎皇館の面々を見据えた。

「新免たちは、一軍に上がるために死に物狂いで牙を剥いてくる。あいつらにとっても、お前たちにとっても、この試合は単なる練習試合じゃない。王者に食らいつく『片道切符』を懸けた勝負だ」

 康介が、五人の顔を一人ずつ見つめる。

「お前たちに、その覚悟はあるか?」

 大吾だいごが顔を両手で叩き、守屋が静かに立ち上がる。りんは鋭く息を吐き、佐伯さえきは眼鏡の奥でシミュレーションを終えた。

「……決まってます」

 瞬が、一歩前に出る。

「僕たちは、あの頂点を獲りに来た。……新免には、どいてもらいます」

 康介は、初めて微かに口元を緩めた。

「……行ってこい。明鏡館の剣を、大河内の耳まで届けろ」

 明鏡館が、ついに王者の門番・新免と激突する。

もし『続きが気になる』『面白い』と思っていただけましたら、画面下の【ブックマークに追加】や【評価(☆☆☆☆☆)】で応援していただけると大変励みになります。皆様の一票がランキングを上げ、この物語をより多くの読者の方に届ける力になります。どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【読者の皆様へ】 ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます! 本作は全160話完結済みです。 完結まで毎日2回(朝・夜)、欠かさず更新してまいります。 もし少しでも「続きが気になる」「瞬を応援したい」と感じていただけましたら、 **下の【ブックマークに追加】と、【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】**にして応援いただけると、執筆の大きな励みになります。 皆様の一票が、より多くの読者にこの物語を届ける力になります。 よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ