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第64話:選別された者たち

 Bリーグの会場へ足を踏み入れた明鏡館めいきょうかんの前に、Aリーグの試合場から一人の男がやって来た。

 白い道着に金色の刺繍。虎皇館こおうかんの、新免しんめんだ。

「お久しぶりです、守屋もりやさん。……『仲良しチーム』のごっこ遊びは楽しいですか?」

 淡々と、感情を削ぎ落としたような声。だが、その言葉には隠しきれないとげがあった。

「新免……。レギュラー(一軍)はどうした?」

 守屋の怪訝けげんな問いに、新免は冷ややかな笑みを浮かべて答える。

「一軍はここにはいませんよ。もっとハイレベルな招待試合に行っています。格下の相手しかいないこんな場所に、わざわざ本隊が来る必要はないでしょう。……あなたしか戦力がいないようなチームが、ここまで上がって来られる程度のリーグなんですから」

 招待すらされていない明鏡館を、露骨に見下す言葉。

「なんだと……っ!」

 しゅんが怒りに任せて一歩踏み出そうとするが、隣にいたりんがその腕を静かに制し、首を振った。

「なるほど。……つまり、お前たちは『置いていかれた』わけか」

 守屋の静かなカウンターに、新免の表情が引きつった。

 感情を押し殺し、真っ向から睨み返す守屋。その瞳には、かつての「虎皇館の重圧」に怯える色は微塵もない。図星を突かれた新免は、唇を噛み、言葉を詰まらせた。

「……っ。Aリーグまで上がって来たら、あなたの相手は俺がしますよ。そこで思い知らせてやる」

 背を向けて立ち去ろうとする新免。

「……ちょっと待て。なぜお前が、Bチームにいるんだ」

 守屋の言葉に、新免は苛立ちを隠そうともせずに言い放った。

「あなたに答える必要はない!」

 明鏡館の五人は、その白装束の背中を無言で見送った。

「俺が抜けた後、次期レギュラーの筆頭は間違いなく新免だったはずだ。実力だけなら、一軍にいてもおかしくない男が、なぜ……」

「……理由なんて、どうでもいい」

 瞬が、低く、重い声で言った。その瞳には、かつてないほど鋭い闘志が宿っている。

「Bチームだろうが一軍だろうが、関係ねえ。……あいつらを全員ぶち抜いて、あの一番奥のコートの頂点に行く。それだけだ」

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