第63話:白の衝撃
Cリーグの全対戦相手を圧倒し、明鏡館の五人は次の試合場、Bリーグへと向かっていた。
歩を進めるごとに、Aリーグに鎮座している、あの「絶対王者」の姿が大きく、鮮明になっていく。
だが、その時。先頭を歩いていた守屋の足が、凍りついたように止まった。
「なっ……」
守屋の喉から、掠れた声が漏れる。瞬が敏感に反応した。
「どうした守屋、何かあった……っ!?」
守屋の視線を追った瞬もまた、その光景に釘付けになった。それを見た凛が不思議そうに、二人の背中に声をかける。
「二人ともどうしたの? 早くBリーグの会場に……」
「違う……。どういうことだ、これ……」
瞬の呟きは、戸惑いに満ちていた。
視線の先。
白い道着に白い袴、左腕には『虎皇館』の輝かしい金色の刺繍。間違いなく、あの虎皇館だ。
だが、その垂に書かれた名札を見た守屋が、戦慄を押し殺すように言った。
「……Bチームだ」
その言葉に、大吾、佐伯、そして凛までもが息を呑んだ。
「……Bチームって、二軍ってことか? なんで二軍がAリーグにいるんだよ!?」
大吾が声を荒らげる。だが、現実は残酷だった。
虎皇館は、一軍(Aチーム)がAリーグの頂点に君臨しているだけでなく、二軍(Bチーム)ですら他の学校のレギュラーをなぎ倒し、トップリーグであるAリーグに居座り続けているのだ。
今、瞬たちが見ている相手は、虎皇館にとっての「最強」ですらない。
圧倒的な組織力。王者の底知れぬ厚みが、五人の前に巨大な壁となって立ちはだかった。




