第59話:昇格の序曲
九月。夏休みが明け、なおも残暑が肌を刺す武道館。
明鏡館の五人は、再開される錬成会――リーグ戦の会場に立っていた。
かつて、最底辺のGリーグから這い上がり、自分たちの存在をこの場所に刻みつけた。だが、今日の彼らはあの時とは違う。
「今回はDリーグからのスタートだ。……一気にAまで駆け上がれ」
康介の短く鋭い言葉に、五人の心に火が灯る。
「Aリーグまで行くと、あいつらがいるな……」
瞬が、はるか遠くに見える虎皇館の白い道着を見つけて拳を握る。その緊張をかき消すように、大吾が瞬の背中を豪快に叩いた。
「へっ、行き着く先は同じだって言ってやったろ! どいつもこいつも、俺たちの進化に驚かせてやろうぜ」
「ええ。虎皇旗に向けた、最高の前哨戦になりますね」
守屋もまた、穏やかな笑みの奥に、合宿を経て研ぎ澄まされた静かな闘志を宿していた。
「無心に、行かせてもらいましょう」
佐伯が眼鏡の奥の目を細める。
「瞬くん、みんな!」
そこへ、今回は青原中の一員として参加する杉森が駆け寄ってきた。
「応援してるよ。明鏡館の強さをみんなに見せつけてやってね」
誇らしげに語る杉森の瞳には、かつての臆病さは微塵もない。合宿を共にした戦友からの、これ以上ないエール。
「当たり前だ!」
全員の声が一つに重なった。
Dリーグの第一試合。
対戦相手のチームが、明鏡館の五人から放たれる「異様な気配」に気づき、思わず後ずさりした。




