第49話:加速する共鳴
「――はじめ!」
康介の号令と共に、六人の身体が弾けた。
その動きは、合宿初日とはもはや別物だった。お互いの攻めが火花を散らし、打たれた次の瞬間にはもう身体が反応して技を返している。
(瞬の攻めが強い……!)
守屋の手元が反射的に上がった。だが、守屋もただでは打たせない。守りの体勢から一転、最短距離で面を放つ。
――そこを、瞬の小手が捉えた。
パァンッ!
(……な!? そこで反応するのか!)
守屋の驚愕をよそに、瞬は確信していた。
(身体が勝手に動いた。今の感覚だ……!)
隣では凛と大吾が激突していた。大吾が重戦車のような圧力をかけた瞬間、凛がその起こりを捉えて鋭く跳ねる。
パァーーン!
乾いた音が道場に響く。鮮やかな出頭の面。凛は佐伯の「理」を、実戦の中で自分のものに変えていた。
その佐伯は、杉森と対峙していた。
(無心、無心……)
「悩むな! 攻めろ!」
康介の叱咤を受け、突っ込んできた杉森を佐伯が冷静に捌く。
(……今の杉森くんは、何も考えていない。あれは私の目指す『無心』とは違うな。あれはただの『空』だ。反面教師にさせてもらいましょう)
相手を入れ替え、限界を超えた勝負が続く。
昨日は「苦しみの音」しか聞こえなかった道場に、今は鋭く、そしてどこか心地よい打突音が絶え間なく鳴り響いている。
康介は厳しい目線を崩さない。だが、その瞳の奥には、教え子たちの目覚ましい成長を喜ぶ、師匠としての静かな熱が灯っていた。
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