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第27話:理合いのストーリー

 道場に、康介こうすけの静かな声が響く。

「瞬、構えるとはどういうことだ?」

「いつも通り、ちゃんと構えてます」

 しゅんの答えに、康介は首を振った。

「構えには『身構え』と『心構え』がある。心影会の先鋒が前に出た時、お前はパニックになって手元を上げた。形は構えていても、心は居着いついていたんだ」

 瞬は昨日の感触を思い出す。相手が守るばかりだから、自分の頭の中は「打つこと」だけで一杯になっていた。

「……隙ができる前に、打ってしまったんだな」

「そうだ。間合いを詰め、攻め、相手を動かす。相手が打たれる恐怖に負けて手元を上げれば、そこを打つ。打たれる前に打とうと出てくるなら、そこを出頭でがしらで捉えるか、応じる。それが『理合い』だ」

 佐伯さえきが眼鏡を押し上げ、補足するように呟いた。

「……打つまでのストーリー、ですね。美しい」

「理屈はわかった。でも、相手がいつ打ってくるかなんて……」

「誘うんだよ、瞬。自分が崩れない程度に、僅かな隙を見せる。すると相手はそこを打ちたくなる。――つまり、相手がいつどこを打ってくるかは、お前が決めるんだ」

 瞬の目が見開かれた。

 自分が闇雲に突っ込むのではなく、主導権を握って相手を「踊らせる」。

「シュッ(攻め)、グッ(溜め)、相手が我慢できずに打とうとしたところを……ドカンだ!」

 大吾だいごが竹刀を振る真似をして笑う。

「そういうことか……! あの時凛に教えてもらったことだ!」

 瞬の中で、バラバラだったピースが繋がり始める。

「打たれて感謝」。あの負けがあったからこそ、今、この「理」が血肉となって染み込んでいく。

「簡単そうに言うけど、やるのは至難の業よ。……でも」

 りんが少しだけ期待を込めた目で瞬を見た。

「やるしかないわね」

「ああ。……見えてきた。次、どう動けばいいか」

 瞬の瞳に、迷いのない光が宿る。

 それは「熱血」という根性論ではなく、勝利を論理的に手繰り寄せようとする「剣士」の目だった。


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