第24話:王者の残光
副将、守屋。
「はじめ!」
審判の声が響くと同時に、守屋は冷徹に相手を観察した。相手の構えは、これまでと同様の「守りの壁」。
(まだリードしてるもんね。……引き分ければチームは勝てると思ってる?)
守屋の瞳から温度が消える。一気に間合いを詰め、肉薄した。
相手は瞬を沈めた「返し技」の軌道を作るべく、反射的に手元を上げ防御姿勢をとった。――その瞬間だった。
守屋の体が低く沈み込み、閃光のような横一文字が相手の右脇を裂いた。
「――胴あり!」
審判の声に、会場がざわめく。
「逆胴だと……!?」
瞬が驚愕の声を漏らす。面と小手の防御を徹底するあまり、がら空きになった脇腹。心影会の鉄壁を、守屋は一撃でこじ開けたのだ。
「二本目!」
逆胴を警戒し、自慢の守りが崩れた相手は、もはや守屋の敵ではなかった。
「面あり! 勝負あり!」
「……こういうことだよ」
淡々と戻ってくる守屋の姿に、瞬は言葉を失っていた。かつて頂点に君臨していた男の、圧倒的な戦術眼と、躊躇のない技。それを試合という極限状態でまざまざと見せつけられた。
続いて、大将・大吾。
副将が敗れ、勝数でも逆転を許した心影会には、もはや「待つ」という選択肢は残されていない。必死に勝負を仕掛けてくる相手に対し、大吾は不敵に笑った。
「ようやく出てくる気になったか!」
爆発的な踏み込み。豪快かつ素早い、一点の曇りもない相面。正面から打ち砕くような大吾の剣が、相手の心を完全に叩き折った。
「面あり! 二本目、面あり!」
暗雲の中、絶望的な予感と共に始まった試合は、蓋を開けてみれば三勝一敗一引き分け。
明鏡館の地力の深さを見せつける、鮮やかな逆転劇となった。
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