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第143話:静寂の対峙、魂の蹲踞
目を閉じて集中していた佐伯が、静かに目を開ける。
決勝の舞台、相手は絶対王者の虎皇館。
しかし、その心は凪のように静かだった。
極限の集中が、会場の歓声を遠ざけていた。
戻ってきた凛と、言葉はなくとも魂を通わせるような視線を交わし、試合場へと踏み出す。
対峙した大月の、無駄のない所作だけで直感した。
(この男は違う……)
他の四人とは一線を画す、透徹した「剣道への敬意」が、その佇まいから滲み出ていた。
二人が歩み寄り、蹲踞する。
その所作に込められた「相手への敬意」と、己の内に秘めた「闘志の充足」が、火花を散らすように交差した。
「始め!」
審判の号令が、張り詰めた静寂を切り裂いた。




