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第139話:嵐の次鋒戦、激突の火花

先鋒戦が残した熱狂の余韻を切り裂くように、二人の剣士が開始線に立った。

虎皇館の次鋒・樋口の前に立つのは、一際小柄な少女、凛。

しかし、その背筋は一点の揺らぎもなく伸び、堂々と前に進むその姿に、会場中の視線が釘付けとなった。

「始め!」

合図と同時に、会場の空気が爆発した。

静かな立ち上がりを見せた先鋒戦とは対照的に、一歩も引かぬ激しい攻め合いが幕を開ける。

樋口は本来、相手の竹刀を殺し、焦れて崩れた隙を最小限の動きで仕留める「冷徹な支配者」だ。

だが今、彼は大河内監督の下した『二本取り返せ』という峻烈な指示を完遂すべく、牙を剥いて前に出る。

いつもとは違う、殺気を孕んだ樋口の猛攻。

対する凛は、その荒れ狂う波のような圧力を、軽やかなステップとしなやかな竹刀捌きで真っ向から受け止めては、瞬時に鋭い攻撃へと転じさせる。

(こいつ……なんて強気だ。剣先が、殺しきれない……!)

小さな凛の身体から放たれる、想像を絶する重圧。

自慢の竹刀捌きがわずかに狂い始めたその時、樋口は瞬時に思考を切り替えた。

(その竹刀……邪魔だ…)

それまで激しい動きをしていた樋口の足が、ピタリと止まった。

不気味に忍び寄る樋口の剣先が、凛の竹刀の上を滑るように這う。

裏から掬い上げるような、鋭い回転。

強烈な衝撃が、凛の竹刀の根元を強引に跳ね上げた。

(巻き技――!?)

凛が事態に気づいた時には、竹刀はすでに手元を離れ、宙を舞っていた。

完全に無防備となった凛の脳天に、樋口の冷徹な一撃が突き刺さる。

「面あり!」

呆然と立ち尽くす凛。

その眼前で、樋口は一切の感情を排したまま完璧な残心を取り、明鏡館が必死に繋いできた勢いを無慈悲に刈り取った。

静まり返る会場。

王者が放った圧倒的な暴力の前に、重苦しい絶望が漂い始めていた。

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