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第134話:閃光の先鋒戦
先鋒戦、開始。
立礼の位置に立つ瞬の姿に、かつて虎皇館に心を折られ、絶望の中にいた面影は微塵もない。
その堂々たる佇まいは、まさに名門・明鏡館の先鋒に相応しいものだった。
「始め!」
審判の鋭い声が響く。
立ち上がった瞬間、瞬は完璧な構えを形作った。
基本に忠実で、隙のない美しい立ち姿に、観客席からも思わず溜息が漏れる。
対する虎皇館・藤田は、爪先で小刻みにリズムを刻んでいた。
変幻自在に揺れ動く剣先。
左右にステップを踏み、決して中心を捉えさせない。
瞬が間合いを詰めれば、藤田は軽快にいなし、次の瞬間には間合いを盗んで入り込んでくる。
激しい打突の応酬を予想していた観客は、二人の間に漂う、火花が散るような「間」の削り合いに息を詰めた。
ふと、藤田の背が僅かに反り返る。
それはまるで、極限まで引き絞られた弓のようだった。
リズムを刻む爪先から、引き締まっていく背筋へ。
全身が発射を待つ矢と化していく。
(何かくる――!)
瞬の脳内で、警笛が鳴り止まない。
予測でも、逃げでもない。
ただ、積み重ねてきた死闘の記憶が、瞬の身体を無意識に、ほんの僅かだけ後ろへと滑らせた。
次の瞬間、景色が飛んだ。
瞬の視界のすべてを、藤田の冷たい瞳が埋め尽くしていた。




