第126話:繋ぐ背中
第二試合場。
明鏡館の勝利が決した後の副将戦は、残酷なほどの「消化試合」と化していた。
本来ならば、守屋と肩を並べるほどの実力を持つ蒼龍館の副将。
しかし、今の彼の心は空虚な敗北感に支配され、完全に折れていた。
(終わったんだ……。今さら俺が勝ったところで、何の意味がある……)
竹刀を構えていても、そこには魂が宿っていない。
相手の無気力な戦いぶりに、守屋は冷めた視線を向けた。
(……いくら勝敗が決したからって、それはないだろう)
互いに有効打突のないまま、ただ時間だけが虚しく過ぎていく。
引き分けの宣告と共に、守屋は一瞥もくれず自席へと戻った。
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自分のチームへ戻った副将に、蒼龍館の監督の怒号が飛んだ。
「貴様ッ! 必死で繋いだ奴らに、今の無様な姿を見せられるのか!」
監督の剣幕に、副将はハッと顔を上げた。
「前の三人が、どんな思いで戦ったと思っている! 勝ち負け以前に、お前はチームの誇りまで捨てたのか!」
叱責され、副将は恐る恐るチームメイトたちを見た。
そこには、負けが決まった後も、自分の不甲斐なさに涙を流し、拳を握りしめて悔しがっている仲間たちの姿があった。
彼らは最後まで、一糸乱れぬ応援を背中に送り続けてくれていたのだ。
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大将が、ゆっくりと立ち上がる。
「俺たちは、このままでは終わらない」
静かな、しかし確かな闘志を宿した声だった。
「せめて一矢報いてやる。それが、ここまで一緒に戦ってきた仲間へ、唯一俺ができる事だ」
白線へと向かう大将の背中は、絶望に暮れていた副将の目に、今までで一番大きく見えた。




