第125話:残酷な正道
第二試合場。
中堅・佐伯の勝利により、明鏡館サイドには確かな安堵の空気が漂っていた。
しかし、副将戦に臨む守屋は、横目で第一試合場を鋭く見据えていた。
(加治屋が場を支配しているな……。だが、あいつの本当の恐ろしさは、まだこんなもんじゃないぞ……)
かつての因縁か、あるいはその実力を知るがゆえか。
守屋は仁明館の健闘を祈りつつ、自身の試合のために意識を強制的に切り替えた。
対する蒼龍館の副将は、チームの敗退が決まった時点で、すでに戦意を喪失していた。
(前で決めるつもりが、逆に決められた。こんな状況で、相手が守屋かよ……)
どれほど足掻いても変えられない現実。
準決勝という華やかな舞台にふさわしい熱戦は、そこには存在しなかった。
「始め!」
審判の宣告により試合が始まるも、守屋がどれほど攻めても、蒼龍館の副将はただ守ることに終始した。
自らの敗北を拒絶するだけの、形骸化した時間が過ぎていく。
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一方、第一試合場。
無情に時間が過ぎゆく中で、仁明館の副将はついに賭けに出た。
(このままじゃ、いつか当てられる……一本が必要なんだ!)
間合いが切れた、その一瞬。
左肩に竹刀を担ぎ、相手の『虚』を突く博打の一撃。
「担ぎ面――ッ!!」
仁明館のメンバー全員が、その起死回生の一打に目を奪われた。
だが、その瞬間。
加治屋の竹刀は、最短距離を真っすぐに突き抜け――相手の面を捉えていた。
――パァン!!!
「面あり!」
審判の宣告に、仁明館の副将は呆然と立ち尽くした。
(なぜ……。今まで、あんなに横から当てに来ていたのに……)
加治屋が放ったのは、基本に忠実すぎるほど、真っすぐで鋭い「面」だった。
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絶望に染まる仁明館サイドを眺め、大河内が満足げに口元を歪める。
(当てるだけの剣道をする奴を、俺がわざわざ引き抜くわけなかろう。こいつは、真正面からでも叩き潰せるだけの『地力』があるんだ)
試合終了の笛が会場に鳴り響き、仁明館の敗北が決まった。




