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第123話:光と影の理合
第一試合場。
仁明館の中堅による決死の猛攻も、大月には通用しなかった。
(仲間のため、か……)
迫りくる剣を最小限の動きで捌きながら、大月はどこか冷めた虚しさを感じていた。
数々の夢や希望を、その剣先で打ち砕いてきた。
両親共に往年の名選手。剣道一家のサラブレッドともてはやされ、物心ついた時には虎皇館という「勝つこと」だけが宿命づけられた場所にいた。
虎皇館に仲間意識など無い。
あるのは歪んだ『教え』と、それを実行する者達。
その中で、自分は勝ち星を積み上げて、一体どこへ向かおうとしているのか。
(愚問、だな……)
大月の瞳から感情が無くなり、一瞬の揺らぎさえ消えた。
虎皇館で叩き込まれた、相手の心を折るための剣を抜く。
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大月がわずかに重心を後ろへ移し、一瞬の『居付き』を演じた。
仁明館の中堅が、それを絶好の機会と捉える。
一撃必殺を期し、中心から捨て身の打突を繰り出した。
(終わりだ)
仁明館の想いを乗せた一撃が大月の左頬をかすめた時には、大月はすでに最短の軌道で『出小手』を決め、鮮やかに体を捌いた後だった。
「勝負あり!」
審判の声が響き、大月は一瞥もくれず、ただ静かに自席へと戻る。
歓声さえも寄せ付けないその背中に、仁明館サイドは、得体の知れない寒気を感じていた。
中堅戦、虎皇館・大月。
冷徹な一本勝ち。




