第113話:四強集結、捕食者の宴
Dブロックの戦いを終えた明鏡館の五人は、面を外して会場を見渡した。
八つの試合場で行われていた熱戦は、いつの間にか全てが幕を下ろし、静まり返っている。
「……俺たちのブロックが最後だったのか」
守屋が周囲を見渡すと、会場の視線が自分たちに集まっていることに気づく。
「準決勝の相手はどこだよ」
大吾が荒い息を整えながら、トーナメント表を探した。
そこへ、大会係員が駆け寄ってくる。
「明鏡館の皆さん、準決勝は第二試合場で行います。至急移動してください」
瞬たちは、会場の最果てにある第八試合場から、来賓席に最も近い「聖域」――第二試合場へと歩を進める。
中央へ近づくにつれ、過酷なトーナメントを勝ち残った「四強(ベスト4)」の姿が明らかになっていった。
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Bブロックを制したのは、今大会の大本命、虎皇館だ。
彼らはすでに第一試合場の傍らに陣取り、獲物を待つ獣のような静寂を纏っている。
その対戦相手として第一試合場に現れたのは、Aブロックの優勝候補・厳武館を大将戦で破った、仁明館だった。
「加賀谷……! 残ってたんだ……」
瞬の胸に、熱いものが込み上げる。
「よかった……本当に、よかった……」
凛の瞳が、安堵で潤んだ。
「……だが、あいつらの相手は虎皇館だぞ」
守屋の厳しい声が、空気を引き締める。
「上等じゃねえか。加賀谷たちなら、俺たちの代わりに叩いてくれるぜ」
大吾が不敵に笑うが、佐伯は冷静に隣のコート――自分たちの戦場となる第二試合場へ目を凝らした。
「……私たちの相手は、あそこです。『蒼龍館』……ですね」
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「蒼龍館か……」
守屋の呟きに、瞬が問いかける。
「知っているのか?」
「……虎皇館と『兄弟』のような道場だ。俺がいた頃も、よく合同合宿や遠征に来ていた。あそこもまた、地獄を知っている連中だ」
その言葉を裏付けるように、来賓席の近くでは、大河内が蒼龍館の監督に歩み寄る姿があった。
「明鏡館なんぞに、足元を掬われるなよ」
大河内の傲慢な声が、周囲に響く。
「ご心配なく。ウチの子たちの実力は、大河内先生もよくご存知でしょう」
蒼龍館の監督が、慇懃無礼な口調で答えた。
「もちろんだ。決勝は虎皇館と蒼龍館。それ以外は認めん」
大河内はそう言い残すと、自らの教え子である鷹司たちの元へと戻っていった。
(相変わらず偉そうに……。あんたに頭を下げているのは、練習相手に不自由しないからだ。優勝旗は、うちが頂く)
蒼龍館の監督は、去りゆく大河内の背中を冷ややかな眼差しで射抜いていた。
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友情の再会と、新たな敵の出現。
四強が揃った武道館の空気は、これまでとは比較にならないほどの緊張感に包まれていく。




